大輝は確かにCランク迷宮という深淵からの帰還には成功した……しかしだからと言って流石に衆人環視の中でキスシーンをやるつもりは無いし見せ付ける趣味なぞ無い。これがあの状況が大輝単独だったりCランク迷宮単独攻略やBランク迷宮の攻略後なら理性をかなぐり捨ててどんな場所でもやらかす自信はあるが
抱き合っていても時間は無情に過ぎるだけであり、直ぐに元に戻った大輝&姫子は……名残惜し過ぎるがお互い職員室に出頭したり日直だったりとで別れなくてはならない。まあ昼休み辺りは姫子謹製のお弁当が用意されているので昼休みはちょっとしたデート気分を味わえるだろう
……放課後は夜中まで掛かるであろう意味厄介な銭闘が待っているが、何かと物入りな冒険者稼業の為にも頑張らなくてはならない
さて、職員室でレポート提出とイレギュラー討伐の報告を行い証拠品として大ぶりな赤い魔石を預け……と言いたいところだが職員室はちょっとした騒ぎになった
無理もない、出没したのが『最弱』と揶揄される存在とはいえイレギュラーの発生である。この学園の歴史でも二回はイレギュラーの襲来で優秀な冒険者達が死んだり再起不能になったりしているのだ
非常に運が良かったとしか言いようのないレアケースではあるが、それでもあのイレギュラーの厄介な誘惑を完全無視して即抹殺に走ったのは間違いなく大金星である
その為、今日の一時間目は緊急職員会議で全校自習になってしまった。学内迷宮……それもCランクという高ランク迷宮で死者や再起不能者ゼロかつ手札ロストすらゼロでイレギュラー撃破は間違いなく大金星かつ大吉報である
しかし大輝達は当事者としてその説明の為にその職員会議に出頭する羽目に陥るのはご愛嬌である。しかしその手間賃と言うか高レベルイレギュラー討伐報酬として迷宮課外学習権が大輝達全員に二日分支給される事となった
更には一時間に渡る職員会議の後には緊急全校集会になり、勿論事の中心人物である大輝達五人は壇上逝き……要は『何らかの、国技クラスの権威ある大会で優勝した部活』みたいな扱いである。例えそれが不戦勝に近い代物だとしてもだ
そしてこの学園は『冒険者稼業』というものには鋭敏かつ強く反応する環境である……ならばこの学園で高ランクイレギュラーの撃破なぞやればどんな結果が起きるかを考えて見よう
大絶賛の嵐である
この学園内部の迷宮は確かに所属する学生達に富や冒険者稼業への確かな足掛かりを齎す……しかし、それでも迷宮である限り必ず『最深層に出没するイレギュラーの脅威』だけは免れない。故に無傷でイレギュラー撃退はとんでもない大吉報である、そしてこれから暫くはイレギュラーも近寄らない筈だと思う
特にこの迷宮を探索出来る資格持ちの生徒達からの喝采が凄まじく、特に一番需要の高い大輝への喝采……いやむしろスカウトラブコールで爆音状態ですらある。本音炸裂状態だこれ
そんな風にてんやわんやで二時間目も潰れてしまったが、まぁそれは構わない話だろう
緊急全校集会が終われば普通に授業である……四時間目に入る前の休憩時間はクラス全体の質問責めが発生したりはしたがまぁ多分平穏ではある
問題は昼休み。姫子は大輝の部室で待っていて貰ってはいるが、大輝の場合は先ず間違いなく『小魔闘技』で戦り合った美城冒険者互助会部を筆頭に他クラス等々や有力少数問わず様々なチームからの質問責めや学内新聞のインタビュアーなどが殺到するだろう
「佐藤!すまないがイレギュラーの件について教えてくれ!!!」
「佐藤大輝さん!すみませんがインタビューにお答え下さい!!!」
「うちに加入してくれ佐藤!!!」
「おいこいつ紳士協定に違反しているぞ!!!」
「佐藤さんの独占勧誘は厳禁だろうがヴォクぇが!!!」
「吊るせ吊るせ!!こいつのチームは佐藤さん廻りから出禁だ出禁!!!」
「よし、これで一枠減るぜ!!」
こんな感じでギャースカギャースカやらかすから大変である……が、当の大輝当人は既に授業終了から直ぐに窓から撤退済みだ
前回、大輝が得た配当の一つに『蜘蛛の歩みの秘薬』という魔道具が有ったのを皆様は覚えておられるだろうか?十分間だけ重力を無視して壁や天井を歩ける様になる人間にも有効という珍奇な秘薬の事である。その一人分しか無い秘薬を惜しげもなく使ってまで質問やインタビュー責めは嫌だったか?むしろそっちはどうでも良い話だ
姫子とのデートの約束
ぶっちゃけた話、大輝にとって姫子との約束はほぼあらゆる全てに勝る最重要案件だ。それこそ過酷なCランク迷宮から帰ってきた際の癒しでもあるささやかなデートタイムをそんなくだらない厄介事の為に潰される訳にはいかないというだけである
ちなみにパーティーメンバーにはあらかじめ撤退許可は得ているので問題は無いが、後の打ち上げは同じく逃げ組になった浩介と一緒に奢りになる程度は覚悟するべきだろうか?浩介以外は全員彼女が同じクラスに在籍しているからまぁ大丈夫だろう。浩介は浩介でさっと逃げ切ってはいるだろう……あいつもやはり『蜘蛛の歩みの秘薬』で逃げ切っているみたいだし
文字通り蜘蛛の様に静かに、そして繊細に、されど素早く壁を伝ってゆく筋肉……非常に幻想的と言うか奇怪な、何処ぞの『新宿の種馬のかべちょろ』みたいな光景は誰にも見られずに大輝は部室棟は冒険者長屋の大輝の部屋にもう一度たどり着いた
……が、甘かった様だ
良くも悪くも優秀な美城学園の生徒らしく既に部室付近はインタビュアーの群れに包囲されていた。行けば間違いなく捕まるだろう……ならばやるべきことは簡単だ
大輝は三つ星昇格記念に買ったばかりのスマホにしてはやたら重くて滅茶苦茶頑丈な対プロ冒険者仕様の冒険者用スマホ、通称『ドカ弁』を取り出して姫子に連絡を入れ……ようとしたが姫子からLINEが来ていた
〔にいさま インタビュアーにかこまれた 私部室の中 逃げて〕
……其処までやるかあいつら?其処までして公式見解が欲しいか?
こうなれば大輝のやるべきことは今は唯一つだろう
〔必ずそっちに向かう、お弁当用意して待ってろ〕
今すぐ囚われの我が愛しき
……実際には部室長屋少人数棟二階にある大輝の部室に未だ少し時間が残っていた『蜘蛛の歩みの秘薬』の力で壁や天井を伝って軽々と部室のガラス戸から侵入に成功でフィニッシュだ
見られても部室内部に突撃する奴はいないだろう……流石にそれはさっきもちらっと話に出た『紳士協定』に反し過ぎた行いだし
ちなみに『紳士協定』とは、この学園のローカルルールの一種であり、まぁ言ってしまえば『三つ星持ち』を筆頭に『リンク能力持ち』『迷宮士資格』や『実技合格者』、『贈り物持ち』に『Bランクカード持ち』などのこの学園でも稀少かつ優秀な実力者やアドバンテージ持ちである傭兵達のプライバシー保護(と独占阻止)の為にある取り決めだ
この学園は冒険者……曲がりなりにもCランク迷宮に挑める実力や気概を持った強者が異様な程に集まる一種の魔窟魔境である事はご理解頂けるとは思う。何しろ複数のプロ級冒険者チームや準プロ級冒険者チームが多数存在する様な特異極まる環境だ、普通の学校に居る冒険者なぞ一つ星でDランクカードが良くて二枚程度までしか無い様なエンジョイ勢ばかりである
この美城学園から外に出てプロ級や準プロ級の学生チームは探せば以外と存在はするが大概私塾の地縁や大学の冒険者部、それも社会人プロの二軍かダンジョンカルトの手先か企業、自衛隊関係者か何かが大多数だろう。独立独歩でやっていける様な更なる強者は非常にレアケースである
そういう意味では美城学園の生徒も強大な組織の紐付きという意味では変わらないだろう……芸能系最大手企業とそのスポンサー達の支援という意味では間違っていないし生活や学業のフォローは非常に洗練されているのだから。他にも今回の大輝達の臨時チーム一同や姫子だって最大手冒険者私塾や大企業等々複数の紐付きである事は言うまでも無いだろう。確かに
話が少し逸れたが、その『紳士協定』なるものは大輝達みたいなフリーランス枠のプライバシー保護の為にある様なシステムである事はご理解頂けただろうか?偶に美城学園を『梁山泊』に例えたりもしたが流石に『梁山泊式スカウト』みたいな無法や非道、外道行為を許す様な真似はしない。少なくともこの国は腐敗と無法蔓延る北宋末期や大航海時代のヨーロッパや世紀末などではなく法治国家日本であるからして
……まぁ、今回みたいな学園のある意味心臓部みたいな迷宮でのイレギュラー事案なので皆紳士協定ガン無視で大輝達に殺到するのは仕方ない話だろうか?大輝&姫子にはちと迷惑な話だったけど
近いうちに作戦会議用のホワイトボートや居住性向上の為の電子レンジと電気ポットに毛布や新しい座布団ぐらいは買い込んでおくぐらいはやっておくべきではあるだろう。今この部室に置いてある私物なぞスマホ用コンセントに大輝と姫子用のマグカップと歯ブラシセットぐらいしか無いし……その買い出しをデートにというのもまた一興
一応鍵は大輝と姫子、後は掃除担当に雇った生徒と学園が管理しているマスターキーの四つがある。まぁ普通の鍵かつ安普請のプレハブハウスなので割と簡単に開けられる様なちゃちな代物ではあるが
部室長屋はどう足掻いても『最低限の仮拠点』でしかないし、基本的に学内での仮拠点でしか無い為それなり以上に成功したならば学外に本部たるオフィスや拠点を形成するのがこの学園生徒達の嗜みだと不文律になっている。実際大輝も姫子が中学に上がる頃迄にはちゃんとした拠点を見繕っておく積もりではある。東京一円のDランク迷宮を全て制覇するか今年が終わるかの何れかには必ず
大概は近場の雑居ビルの一区画やマンションの一室、空いた一軒家などばかりであり、中には何らかのビルの屋上に用意したペントハウスや郊外に豪邸を建てたり……中にはビルそのものをチーム一丸となって建てた猛者も居るという話だ
大輝の場合は結婚後の新居か何かになるだろうが
話は逸れたが、姫子愛用のカード化出来る籐籠のバスケットに入っている沢山のガッツリ系サンドイッチと温かいスープと紅茶が入った二種類のポット、それとケーキとカットフルーツいう食べ盛りにはありがたいラインナップだ……ここ数日はキャンプ系男飯や中華三昧だったのでこういうメニューは食欲に刺さる
先ずは千切りキャベツとマヨネーズをかけた鶏腿照り焼きサンドイッチから……前のお弁当よりも更に腕を上げたのが分かる。照り焼きの焼き加減は絶妙でありマヨネーズにも芥子やレモンで僅かに味変が付いている
他にもカツサンド、コロッケサンド、クラブハウスサンド等々色々あったが一番気に入ったサンドイッチはチキンハムとチリコンカンのホットサンドイッチだった……筋肉が喜んでいる様な気分になる
野菜たっぷりのミネストローネとデザートであるドライフルーツと洋酒で味付けられた保存の効きやすいパウンドケーキとカットフルーツに林檎の皮を煮出したアップルティーを楽しみながら二人の時間は過ぎてゆく
流石にパウンドケーキは薬丸家のお手伝いさんの作品だが他全ては姫子の手製である。前のお弁当よりも更に腕を上げているのがわかる
食後は歯を磨いてからだが姫子の膝枕で静かに過ごす……外部の連中を刺激しない様に静かに過ごす必要があるからゆっくりしているべきだろう
出来れば土産話をしてやりたいが聞き耳を立てている連中に聴かせてやる気なぞ無いので決して話しはしない……此処に張り込んだ事を悔めと言っておこうか?
満腹気分で昼寝したくもあるが、やはり姫子の柔らかくも張りのある美脚の感触や眼を上げれば見える何気に雄大な薬丸山の絶景、その向こうに視える姫子の可愛らしい顔、そして甘くて幸せな気分になる姫子の匂いを楽しみながら静かに時は過ぎてゆく
しかし幸せな時間は元より一時間すら無くあっという間に始業十分前。名残惜しくも直ぐに部室を出てそれぞれの教室に戻らなくてはならないだろう……少なくともこの学園で冒険者をやっていたり冒険者志願だったりする生徒たちは基本的に品性方正をモットーにしているものだ
少なくともちゃんと品性方正にやってさえいれば学園はある程度の便宜を計ってくれる。多少のトラブルにも手を貸してくれたりもする……偶に学園側からの『頼み事』なども来たりする。それはギルドの依頼ほど美味しいものではないがこの学園でやってゆく上でなら別の旨味もあるので間違いなく良い話ではある、功績次第では迷宮課外学習権の需要だってあるし
大輝もエネルギーチャージは出来た……後出来るのは短い時間のキス程度である。此処は大輝と姫子のプライベート空間なのでその程度なら不可能ではない
言ってはないが一応古びたカーテンぐらいはこの部屋にもある。陽に焼けてボロボロなので次のデートで必ず買い替える予定ではあるが、少なくとも二人の蜜月を隠す役には立ってはいる
さて……今日以降の予定だが、来週もこの迷宮に『傭兵』として突入する事になっている。そのパーティーとはまた打ち合わせなどの所用もあるし再来週は『治験バイト』といった具合。ちなみに姫子に関わる事以外なら放課後はなるべく近場のDランク迷宮攻略に精を出しながら学校の勉強に勤しむ日々だろう、大輝の場合『姫子に関わる=休暇、エネルギー充電タイム』という思考回路と若さ、ついでに肉体疲労はカード達からの疲労回復魔法やヒュプノスの枕だってあるから大丈夫だ。偶に迷宮深層部間近で宿泊して早朝ボス討伐からの朝帰りや学園直行などもある
長い道中もアリアドネーの糸があるから出来る事であり、その中でショートカットや送り提灯や送り拍子木、祝や蔵の能力を活用したり時には強力なCランクカード軍団のごり押しを駆使して時短でDランク迷宮の攻略を何とかこなしてはいる……一応、夏休み終わりまでに比較的易しい分類である三つのDランク迷宮攻略は熟せてはいる。ちなみに大した収穫は無かった
姫子に関わる事以外は完全にストイックという訳でもなく、偶には迷宮から出てメアリー塾で情報交換を兼ねた稽古を受けたり仲間達と遊びに行く事やトレーニングジムに通ったりといったプライベートを楽しんだりもするが基本的にはプロ資格を目指して迷宮探索と修行漬けのやはりストイックな日々ではあるが
今は東京一円のDランク迷宮攻略行脚と美城学園迷宮で資金稼ぎが基本的な行動になるだろう……目標なら先ずは鋼をヒュドラみたいなちゃんとしたカードにクラスチェンジしてやる事や東京のDランク迷宮全制覇からの地方行脚を目指し、後は学園外の拠点作成や相性の合う追加のパーティーメンバー探しなど様々な目標が挙げられる
特に鋼はちゃんとしたカードにしてやらないと……『アレ』を姫子の前に出せるか?と考えればわかるだろう?
目標であるヒュドラはそれこそ市価四十億円が基本レートの超絶高額カードである。それこそ今の大輝の全財産でも足りない強烈な超高額カードの一枚だ……あの時のブラックカードが大輝ソロの時にでも入手出来ていたなら即座に買えたのだがまぁ欲をかき過ぎても宜しくはない
むしろ先ずは定の強化が最優先だろう……そろそろ高和の店にCランクからの妖刀系カードを発注しておいた方が良い頃合いだ。勘太郎の様な村雨やその身内である八重樫姉妹愛用である定番の村正、村正には幾つかのバリエーションがあるけど先ずは定との相性次第ではあるか
ちなみに定は色々ある村正シリーズの中でも特に『籠釣瓶』と呼ばれる『村正の呪われし妖刀としての側面』が一番濃いバリエーションに惹かれている様である……一応はもう一つ適性のありそうなカードはあるが籠釣瓶よりも更に稀少なので先ずお眼にかかれるとは思えないので除外して考えた方が良いだろう
籠釣瓶とは……江戸時代に実在する事件である『吉原百人斬り』をベースにした歌舞伎『籠釣瓶花街酔醒』に出る村正派の一振りである。その名の由来は籠で作った釣瓶のように「水も溜まらぬ切れ味」で一度抜くと血を見ないではおかない、というなんとも禍々しい因縁のある妖刀村正の名品だ
まぁ……類似する『梅乃振袖』と同じく強烈な呪い属性の装備化カードであり、やはり強烈な女殺しの特性を備えた強カードの一枚である
……しかし、これを入手する前に出来れば虎徹をもう一振り調達しておきたい。今直ぐに籠釣瓶にクラスチェンジしても虎徹の強化分は損なわれる為である。一応籠釣瓶にも贋作妖刀の様に刀の魔道具を取り込む能力があるので強い刀型魔道具は必須である。付喪神に近い運用の出来るCランク以降ならむしろ無銘の名刀辺りに切り替えるのもまた一計ではあるが
妖刀系カードは刀型魔道具を取り込むとその刀型魔道具を手入れするのが難しくなるから鍛治能力持ちカードと一緒に運用しないと面倒な事になる、という欠点もあるがそれでも装備化系統としては優秀なので評判は悪くはないものだが
籠釣瓶みたいな例外を除けば付喪神みたいに自動修復する訳ではないから取り扱いや維持には手間暇がかかるが使い熟せれば非常に強力なカードではある……呪いの効果もまた危険ではあるが得てして妖刀とはそういうものである。だから比較的安全な村雨や通常の村正辺りが妖刀系統としては人気なのだが
籠釣瓶は妖刀のなかでもひたすらピーキーかつ癖の強い面倒な代物故にごく一部の好事家や相性の良いマスターぐらいしか使わない代物ではあるが……その分強いカードでもあるので適合するなら戦士タイプの冒険者からは割と評判は良い
此処に村正のデータを示すと
【種族】村正
【戦闘力】380
【先天技能】
・人斬り包丁:村正は兎に角『刀にしては安く、早く作れる、良く切れる』を体現した正に『人斬り包丁』であった。名刀を扱う刀工の常識を無視する数打ち特化の正に工業刀の走りこそ村正の基礎である
中等クラスの装備化スキルと浮遊を内包する、支持肢が無いので物を持ったりなどは基本的に出来ない
・倒幕妄執の妖刀:幕府に不平不満や復讐心を持つ者達の怨念怨嗟が概念的に染み込んでいる、基本的に様々な偶然や思惑が独り歩きした結果生まれた風評被害だが数百年続いた強固な概念である事は間違いない
その性質からか器物系統としては強い自我を持つ
無下に扱うと反逆系マイナス技能に目覚め易い
剣術、武術、火事場の馬鹿力を内包する
・村正に銘は要らず:村正はその性質上数打ち前提の刀であり、朝に頼めば運が良ければその日の夕方には完成したとも謂れる逸話すら存在する
故に村正に銘は無く時には他の無銘と混合し混じり合う側面を持つ
『日本刀型魔道具』ならば取り込んでその能力を自身の能力として扱える様になる。この能力を使えば『物品憑依型』として扱えるが代わりに武器型魔道具の装備スロットを消費した状態になる
その取り込んだ日本刀型魔道具が壊れたら元の刀身に戻りその日本刀型魔道具は消滅する。擬似的ではあるがその日本刀型魔道具を身代わりにする能力とも言える
一日に一度だけ同一アイテムを二重に取り込むことで一時的にステータスが二倍に上昇する。二重に取り込んだアイテムは戻ってこないため注意
要は自己再生の無い刀だけ取り込める付喪神みたいな能力である。通常の武器型魔道具と同じ様な修繕は廉価版の贋作妖刀と同じく可能
正に『人を斬る為の道具』である事を体現した様なカードである。戦闘力はやや低いが非常に実戦的かつ使いこなせれば非常に強い代物となるだろう。Cランクの妖刀系に限った話ではあるが一番ありふれたカードである為比較的代替の入手には困らない辺りもまた村正らしいと言えるだろう
付喪神より少し安いので一部の冒険者達はデュラハンの代わりにこのカードを使う者も居るぐらいである、後でデュラハンを入手しても物品憑依型としての属性もあるので被らないのもまた強みだと言える
そして……大輝と定が求める籠釣瓶とは……
【種族】籠釣瓶
【戦闘力】490
【先天技能】
・籠釣瓶花街酔醒:村正という銘が『妖刀』として真に認識された最大のきっかけ。通常の村正と違い『呪われた妖刀』としての側面が浮き彫りになっている
中等呪い属性の装備化能力を保有し、痘痕面の小男の幻影体(籠釣瓶で凶行に走る佐野次郎兵衛だと思われる)を作り出せる
その呪いの効果で所有者の生命力を吸収するが代わりに勇敢スキルを自動的に付与される。但しその勇敢から来る高揚と狂奔こそが真の呪いかもしれない
・吉原百人斬り:江戸時代に実際に起きた事件である『吉原百人斬り』を再現した能力。ある花魁を狙い追い詰め襲いかかって殺す様を体現する
『ハテ籠釣瓶はよく切れるなあ』
女性特効、切断強化、奇襲、追跡を与える
・銘持ち村正・籠釣瓶:村正はその性質上数打ち前提の刀であり、朝に頼めば運が良ければその日の夕方には完成したとも謂れる逸話すら存在する。故に村正に銘は無く時には他の無銘と混合し混じり合う側面を持つ
しかし確固たる『銘』を与えられた村正もまた世には存在する
『日本刀型魔道具』ならば取り込んでその能力を自身の能力として扱える様になる。この能力を使えば『物品憑依型』として扱えるが代わりに武器型魔道具の装備スロットを消費した状態になる
その取り込んだ日本刀型魔道具が壊れたら元の刀身に戻りその日本刀型魔道具は消滅する。擬似的ではあるがその日本刀型魔道具を身代わりにする能力とも言える
一日に一度だけ同一アイテムを二重に取り込むことで一時的にステータスが二倍に上昇する。二重に取り込んだアイテムは戻ってこないため注意
この籠釣瓶の場合は多数の人間を斬り殺しても尚その切れ味に曇りなく美しいままであった事から自己再生能力を内包する
非常にピーキーかつ面倒くさいとしか言い様のない取り回しの難しいカードである、装備型なのは良いが呪い型かつ勇敢付与付きと先ず素人には持たせられない効果だ。素人にはあの高揚感を制御するのは難しいだろうし何より呪いのせいで戦闘は時間制限付きだ
それにこのカード、お気付きの人も居るだろうが武術や剣術の様な動作支援は基本的には一切無い。この刀で凶行に走った佐野次郎兵衛が武術なぞ一切経験のない狂った凡人だからという意味もあるからだろうか?
なのに切れ味は凄まじく戦闘力自体はCランク最高クラスとはっきり言って素人がこれを持っても碌に扱えないだろう……むしろ味方や自分自身を切り刻むのがオチになりかねないぐらいである。ちなみに通常仕様の幻影体だと戦わせてもただ刀を振り回すだけで戦闘ではあまり当てにならない、要は戦闘力の持ち腐れだ
そんなお笑い辻斬りアイテム同然の厄介物ではあるが……ちゃんと磨き鍛えた贋作妖刀のクラスチェンジ先として考えれば間違いなく有益ではある。これを愛用する冒険者はほぼ間違いなく優れた剣士ばかりである事がその証拠だ
これをごく稀に宝籤やカードパックでこれを当てて使う新人も居たりはするが……まぁ大概は途中で叩き売ってリビングアーマー辺りを買ったりするのがオチである。これを使いこなせた新人ならまず間違いなく優秀な戦士になれるだろう
幾らか引っ掛かりはあるが現状で定に見合うクラスチェンジ先はこれになるだろう……非常にピーキーなのは兎も角悪性の強いカードではあるが
しかし、大輝的にも由来的にはあまり好ましいものではないから出来れば
なんにせよ明日は部室の備品購入という名のデートの約束になった。それを楽しみに今日を乗り切れば良い
さて……今回の収益はどうなるか?それは次回の話になるだろう
とりあえず学内拠点は簡易休憩所、作戦会議室、避難所、カップルの密会室と様々な有効活用が出来ました。ついでに学内冒険者にとっても学内拠点はステータスという意味でも重要ですね
……しかし倉庫としてはあまり信用出来ませんしガラクタ置き場とかにも使えません。私物は高等部卒業迄に全部撤去という鉄の掟があるので