流水の勁   作:魚肴サカナ

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ワンパンマン読んでて書きたくなりました。続けられる気がしない


第一話

瓦礫の山の中、修行に励む少年がいた。自身の持つ生命エネルギー、オーラを限界まで高めてそれを長時間維持し続けるだけの、シンプルだがこれ以上ない修行法である。

 

「...ッ、グギギッ...!!ブハッ‼︎」

 

オーラが底をつき倒れ込む。極度の疲労からそのまま眠ってしまいたくなるのをなんとか堪えて立ち上がると、寝床に帰ろうと歩き出した。

 

「全力の堅で20時間か。まだまだ足りないけど伸びてはいるな。出来ればヨークシンシティ編開始までに丸三日は持続させられるようにしときたいんだけど...ちっと厳しそうだよなぁ」

 

この世界にきてからもう直ぐ10年になる少年は、前世の記憶を取り戻したその日から修行を続けていた。少年の前世は至って普通の大学生である。いつものように大学で講義を受けた帰り道、少年はあっけなく交通事故で命を落とした。結末を見届けたかった漫画やアニメに想いを馳せながら目を閉じた少年は、まず再び目を開けることが出来た事実に困惑した。

 

(え?俺生きてんの?痛みすら感じないくらいメタメタにされた気がしたんだけど...ここは病院...じゃない?え、ドコデスカココ?)

 

起き上がって周囲を観察しながらあることに気付く。目線が低い。元々身長は低い方だがこれではまるで子供のそれだ。そこまで考えてから自身の体をみて驚きのあまり思考が一時中断する。子供だ。正に自分が子供になっている。慌てて近くにあった姿見で確認すれば、やはりそこには子供の姿が。しかし見覚えのないその姿に再度困惑してしまう。何度か写真で見たことのある自身の幼少期の姿とは似ても似つかないのだ。逆立った銀髪に鋭い眼光。純日本人のはずの自身の容姿ではない。暫く鏡とにらめっこをしてふと気づく。自分はこの子供を見たことがある。先ほどは気づけなかったが、間違いないこれは

 

「ガロウ、だよなこれ」

 

『ガロウ』。ONE先生の代表作『ONE PUNCH-MAN』に登場するキャラクター。武術の天才であり幼少期にいじめにあった経験から、ヒーローではなく恐怖の象徴となることで世界を平和にしようと歪んだ正義を掲げてしまった青年である。

 

「まじかよ。俺転生しちゃったってことか?ワンパンマンの世界に?」

 

少年は前世で大好きだったワンパンマンの世界に転生出来た事実に震えた。それにガロウはかなり好きなキャラクターだ。間違った道に進んでしまいはしたが、その奥底には確かな優しさと正義感を持っている。

 

「原作じゃヒーロー狩りなんてやってたけど...俺はそんなことはしねぇ。ガロウがなりたかったものにはなれるかは分かんねぇけど...俺は、ヒーローになる」

 

そう決意しながら浮かれていると不意に部屋に誰かが入ってきた。少年が振り返ると、そこにはまるで防護服のようなものを着た人物が立っていた。

 

「目が覚めたか、ガロウ。今日も一日忙しくなる。さっさと食事を済ませて着替えろ。俺は先に仕事に行く」

 

それだけいうと返事も待たずに防護服を着た人物は出ていってしまった。声音からして男だろう。机の上をみると食事が用意されていたらしい。驚きの連続で全く気づいていなかった。サラダ、ベーコンエッグ、トーストと前世とあまり変わらない内容である。なかなか美味しそうな...

 

(いやいやいやちょっと待て、さっきの男の格好...あれって...)

 

恐る恐る窓の外を見れば、そこはまるでゴミの山。見える範囲のほぼ全てがである。

 

「まさかここ...ワンパンマンじゃなくて、HUNTER×HUNTERの世界、なのか?しかもさっきの男の格好...いまいるここってもしかしなくても...流星街?」

 

 

---------------

 

 

この世界で目覚めてから1日が経った。今のガロウの年齢は5歳らしい。前世の記憶を取り戻すまでの記憶が残っていたため、生活に支障は無かった。初めは流星街で生きていかなければならないことに絶望仕掛けたが、ここは思っていたよりもインフラが整っており、大した不自由は感じることなく過ごせている。ガロウは今が原作のどの時期に当たるのかを把握するために今年のハンター試験が第何期なのかを調べていた。

 

「今年頭の試験が第274期か。俺が今年で5歳ってことは...原作開始の第287期時点で17歳。クラピカと同い年ってことだな。つまり原作が始まるまでに12年の猶予があると。それだけあれば修行の時間は充分とれそうだ」

 

計算が済むとガロウは早速座禅を組み、己の肉体の内に流れているであろう力を感じ取るため集中力を高めていく。一朝一夕で掴めるようなものでは無いだろうと思っていたが、そこはやはりガロウの肉体。世界線は違えどその才能は遺憾なく発揮されるようだ。

 

(すげえ。もうオーラっぽいもんが感じ取れるぞ...なるほど、たしかに全身を巡ってるな。これを体の外に解放するには...こう、か?)

 

瞬間、体内を巡っていた力が肉体の外へと溢れ出した。それを確認したガロウは座禅を解いて立ち上がり、自然体をとって再び集中する。すると無秩序に溢れ出していたオーラはあっという間に落ち着いてゆき、ガロウの周囲で透明な膜のようになって安定した。

 

「...よし、これが『纏』だな。じゃあ次は精孔を閉じて...オーケー、『絶』もいけそうだ。そんじゃ次はと」

 

目を閉じて己の内側でオーラを増幅していく。そのまま纏のときよりもさらに精孔を押し広げ、増幅したオーラを一気に外へ。すると通常よりはるかに多いオーラがガロウから溢れ出した。『練』の成功だ。しかしそこで終わらず、ガロウはそのまま『練』によって増幅したオーラを両目へと集中させていく。

 

「うし、ちときついが『凝』もいけるな。ならこのまま『硬』と『堅』まで一気にいってみるか」

 

オーラを拳に集中させながらそこ以外の精孔を閉じてゆく。拳以外の精孔が完全に閉じ切ると、『練』で練り上げられた大量のオーラが拳のみに集まった状態『硬』の完成である。次にガロウは『硬』を解いて再び『練』を行いながら、放出されていくオーラを『纏』の要領で体の周囲にとどめていく。これで『堅』の完成である。なかなか満足のいく結果に終わり『堅』を解いたところで後ろから声がかかった

 

「ガロウ」

 

「おう、親父か。どした、仕事ならもうすませたぜ」

 

「...そんなことはどうでもいい。何故お前がオーラを扱えている」

 

「なんだ、親父も使えんのかよ。まあコソコソ練習する必要なくなるのはありがてぇか」

 

「質問に答えろ、ガロウ。どこでそれを知り誰から扱い方を学んだ」

 

「...なにをそんなにピリピリしてんのかしらねぇけど、余所者のおっさんから教わっただけだ。俺将来ハンターになるのもいいんじゃねえかと思っててよ。色々調べてたらそのおっさんにあってな。ほら、ここにはなんでもあるし誰でも来るだろ」

 

「そいつの名前は」

 

「さあ?聞かなかったからわかんね」

 

「...まあ、いい。くれぐれもその力を此処で使って揉め事を起こしたりするなよ」

 

「わぁってるっつの。で?俺がハンター目指すのはいいのかよ」

 

「好きにしろ。お前の人生だ。どう生きるかはお前に決める権利がある」

 

「そりゃどうも」

 

「...無茶はするなよ」

 

そういうとこの世界でのガロウの父親、正確には父親代わりとしてガロウを育てている男ロゴスは部屋を出ていった。部屋に1人残されたガロウは意識を切り替えて、ハンター試験までの予定を立てることにした。

 

「あんまし原作開始前に介入すべきじゃねえよな。出来れば試験も主人公組とはずらして受けた方がいいだろ。ただ286期だとヒソカがいるんだよな...となると285期に受けんのがまるいか」

 

試験を受ける時期を決め、次に修行内容を決めていく。

 

「最初のうちは系統修行はすっとばしてとにかく念の基礎と応用を磨いてきゃいいな。時間はそこそこあるし。あとは流水岩砕拳の修行か」

 

思考を巡らせながら修行内容を定めていく。いくら原作の知識があるとはいえ念を初めて使ってから1日で『堅』までいけるのは明らかに異常な才能といえる。世界は違えど流石ガロウの肉体といったところだ。この体なら多少の負荷などものともしないだろう。原作のグリードアイランドでゴンとキルアが行っていた修行を中心にメニューを組んでいく。

 

「ん。こんなもんだろ。さて、本格的な修行は明日からだ。今日は水見式だけやって休むとするかな」

 

用意しておいたグラスに水をいっぱいに入れ、水面に葉を一枚浮かべる。そこに両手をかざし、オーラを込めることで水や葉に変化が起こり、その変化によって念能力者は自身の系統を探れるのだ。ガロウの結果は...

 

「渦...?」

 

グラスの中に渦が発生していた。念の基本である五つの系統のどれにも当てはまらない事象の発生。すなわち、ガロウは特質系能力者ということになる。

 

「多分特質系であってるよな...まあ急ぎで『発』を考えなきゃいけないわけでもないし、これの判断は後回しでいいだろ」

 

そう自分を納得させ、その日はそのまま眠りについた。

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