月姫 零刻   作:マジカル赤褐色

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新生・月の都

 

「オラオラオラオラオラオラオラオラ!」

 

「おらおらおらおらおらおらおらおら!」

 

一方、乙黒教会で繰り広げられていたはずの、神話の激闘。しかし、その規模は徐々に他人事では済まされないものになっていき、遂にもみくちゃになってもなお進む二つの光は山道を転がり落ち、やがて乙黒の街中に流れ込んだ。

手始めに、付近の老人ホームが突如爆破される。犯人はどちらだったかはともかく、間違いなくこの死闘によるものである。

 

「まっ、待って!このままじゃ………!!」

 

「構うもんか!俺は何があっても君を捕らえる!街中での戦闘なんて、想定範疇だ!巻き込まれて何人か死ぬだろうけど、そこはそれだ!運がなかったと思ってもらうしかないね!お互い、自然災害なんだから」

 

街を巻き込むことをあくまでも気にかけているアルクェイドと、それを目的のためならば良しとするエセキエル。

街を巻き込んではならないはずのその闘いはむしろ森でのものよりも強くなっている。

次々と付近の家屋が倒壊していく。逃げ遅れた人々が瓦礫の下敷きになっていき、二人の攻撃に巻き込まれて跡形もなく、血も撒き散らすことなく粉となって消えていく。逃げまどう人々、次々と消防に通報する人々。そこは、まさに地獄だった。

 

「いい加減に………………して!!」

 

「ぐはぁぁつ!?」

 

エセキエルはアルクェイドの渾身の一撃に吹き飛ばされ、山の元へと戻される。

アルクェイドによるダメージはゼロ。

何せ、今のはアルクェイドがエセキエルを倒すためではなく、エセキエルを街から引き離すための攻撃。ノックバックだけに力を入れた攻撃は、さすがのエセキエルも、ダメージを殺しても、勢いまでは殺しきれなかった。

実に800メートルの距離を吹き飛ばされたエセキエル。普通ならば見えない距離だが、

 

「────!!」

 

山の表面から放たれる光の断層。空を切り裂く金色のレーザービーム。街の被害などお構いなしに、アルクェイドに向けて掃射される。

 

「────ちっ!!」

 

アルクェイドの左腕を掠める攻撃。

度重なる限界突破と対神兵装から放たれる攻撃を立て続けに受け、アルクェイドの体力は限界を迎えている。

追撃しなければならないはずなのに、アルクェイドは片膝をついて停止する。

 

「───くっ、なんで…………!!」

 

「終わらせる!!」

 

エセキエルと共に、山の中からバジリスクが現れて、アルクェイドに突撃してくる。

 

「嘘!?」

 

その巨竜の突進を間一髪で避けた矢先、

 

「狙いをすまして………どーん!!」

 

「きゃぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

エセキエルのビームがアルクェイドの座り込んだマンションめがけて放たれた。

照射対象であるアルクェイドは勿論、ついでにアルクェイドが立っていたマンションすらも世界の破滅を告げるような熱線に呑まれた。

辺り一面の瓦礫から、アルクェイドが現れる。もうぼろぼろだ。ずっと閉じたままの左目からは血が流れており、右足もおかしな方向に曲がってしまっている。

エセキエルも傷だらけだが、アルクェイドに比べると小さなものだ。まるで影響はない。

 

「さて、仕上げと行こうかな。生け捕りにするのって大変でさ。オーバーキルしてはいけないし、峰打ち損ねにするわけにも行かないんだよ、っと。」

 

エセキエルが手を伸ばすと、金色の鎖がアルクェイドに向けて放たれる。しかし、鎖はアルクェイドを攻撃するのではなく、その右腕を縛り上げる。

 

「しまっ…………」

 

あわててアルクェイドが振りほどこうとするが遅い。天の鎖(エルキドゥ)に絡まれた以上、神であろうと抜け出せず、むしろ神に近いほど抜け出せなくなる。

アルクェイドといえど、強引に振りほどくなんて猿知恵は通用しない。

 

「きゃっ!!」

 

一斉に鎖が引っ張られ、アルクェイドは強引にエセキエルの前に差し出される。

 

「おぉぉぉぉら!!!」

 

動けないアルクェイドに止めを刺すように、エセキエルは全力の蹴りを打ち込んだ。

鎖から解き放たれたアルクェイドは流星のように夜空を横切る弾丸となり、エセキエルの脚から放たれた熱線と共に教会のある山に激突した。

まるで隕石が落下したかのような、一際大きな地響きと爆発音、それから爆風。

森の木々は一斉に焼き払われ、緑色の山は、一部分だけが禿げたかのようになくなっていた。

 

「さぁて、そろそろ帰…………」

 

瞬間。エセキエルの身体が、斜めに傾いた。

 

「っと!危ない!浮遊には慣れてないもんで、って、あれ?」

 

見れば。エセキエルの右脚は消えていた。たった今アルクェイドを蹴りつけた、膝から下が消滅している。

 

「───────」

 

エセキエルは痛みにもがくこともなく、先の消えた自分の脚を見つめていた。

ついでに。

 

「■■■■■■■!!!!」

 

「どうした~バジリスク?」

 

バジリスクが雄叫びを上げて、苦悶を吐き出す。

苦しそうに空中で踠き、苦しむ。

やがてその踠きすらも弱々しくなっていき、最終的にはスパン、とギロチンで斬られたように頚が落ちてしまった。

 

「───は、はぁ」

 

エセキエルにしては限界を出しすぎたようだ。いくらなんでも、モノにはリミットという決まりごとがある。それを超過してしまえば、崩壊は否めない。

 

「…………そっか。もう、そんなに限界を迎えていたんだね」

 

いわゆる、エセキエルの寿命。人造人間であるエセキエルは、もともと細胞の劣化が早く、老衰することも、癌に罹ることもないが、こうして肉体を形成する組織が崩れ落ちて、泥団子が水に濡れて溶けていくように崩れていくのだ。

 

「さっさとしないとね」

 

エセキエルは全力で飛行を開始する。

 

 

 

「……………づっ!!」

 

アルクェイドは限界だった。体力も、魔力も。魔力に関しては呼吸をするだけでマナを吸収できるため、考慮は必要ないが、とにかく体力が危険値だった。ロアの長い存在に体力のおよそ七割を奪われ、残りの大半をエセキエルに削られた。

残り粕しか残っていない体力。アルクェイドは自身が残れるのは、どれほど長くとも、今夜までだと確信する。

 

「───そんな、コト」

 

自分が、負けたのか?ただの人間が作った人形に?まんまと策に嵌められ、ロアにも体力を盗られ。

罠に嵌まったのはこれで二回目だ。アルクェイドにとって屈辱以外の何者でもない。

 

その時、アルクェイドは決心した。アレは、ロアとほぼ同等か、それ以上の脅威だと。

 

「お待たせ、ようやく捕まえる時が来た」

 

エセキエルの背後には生き返ったバジリスクがいた。当然だ。バジリスクを布の姿に戻して錬金術で修復し、元に戻った布をバジリスクの姿に戻したのだ。

 

「まだよ。特別に、アナタには本気を出してあげる。ロアよりも優先して殺さなきゃならない相手なんて初めて。命を賭す覚悟だけは認めてあげる。けど、もう、ここからは、容赦しないから。ホント、楽に消えれると思わないで」

 

アルクェイドは右手を掲げる。右手が大気の断層を纏って輝きだす。

 

「いいよ。俺ももう見ての通り限界だ。だから、」

 

エセキエルはバジリスクに触れて、その姿を布の姿に戻して、それを羽織りなおす。

 

「正々堂々、ここで決着をつけよう」

 

エセキエルの本気度はアルクェイドの現在の本気度と同等。即ち全力だ。

今から、互いの全てをつぎ込んだ、世界神話の終局、創世の逆時論崩壊現象が巻き起こることとなる。

 

エセキエルの周囲に風が巻き起こる。風圧を纏って、攻撃を強化しているようだ。

 

「いいわ。アナタには勿体ないけど、見せてあげる」

 

アルクェイドも、声高らかに吼える。

 

「────私の、空想具現化を……!!」

 

 

 

───森がざわめく。姫の降臨を謳う木々の歓びの声。響く自然との共鳴。

繰り返される命の鼓動。

呼覚まされる星の息吹。

繰り出される姫の咆哮。

開闢の刻、終局の時。

真祖新生、月姫降臨、惑星誕生。

創世の光年より出づる天体の受胎の予告。

逆行銀河駆けるは一条の流星。

巡る運命の中舞い降りた白き人よ。

今こそ星の内海、その記憶、有り余る輝きと宇宙の芽吹きを指し示せ。

 

 

「戯れだ。最期の逢い引きを許す」

 

顕現せよ。アーキタイプ・アース。

 

「恐れ入るね、姫君よ」

 

謁見せよ。天の鎖。

 

 

出逢いはこの一瞬だけ。

 

 

時を止めよう。さて、これこそ、ロアが待ち焦がれていた、白き装束の真祖。麗しの月の姫。あの少女より、ずっと長い髪。あの少女より、ずっと紅い瞳。

あの少女より、もっと美しい月の光の鏡。

鏡に映る花より、水に映る月よりも、その輝き千辺夢幻、幽玄麗らかに舞い上がる星。

 

 

あぁ、訪れの真祖よ。舞い降りの姫君よ。

また今一度、この星に月の輝きをもたらし給え。貴女の、その眼差しを以て、星に願いを与えた給え。

 

「うーん、実際にお目にかかるのは初めてだけど、いざ謁見してみては、こりゃあ震えるよ。星に住む者なら、これを見て怖じ気付くのは当然かな。仮にも人形の俺を震え上がらせるなんて、さすがは姫君だね。なんなんだか。より一層、欲しくなってきたけど、触れられない」

 

「──────詩を遺していくつもりか」

 

「いいや?なんだい、その。今にも落ちてきそうな、掌に収まりそうな月を見るのと、君を見つめるのは、同じ気持ちなのかなって。そうだろう?手に入らないから、モノは輝くんだ。あの目が痛くなるような光も、この、心がはち切れそうな麗しも。まぁ、そうかな。これが見れただけ、俺は幸せかな。びっくりした。きっとこの先、なにがあろうと、誰を愛そうと。俺は、これ以上に美しいと思うものには、出逢えないのかな」

 

「───────」

 

「古い昔に、悪魔に魂を売った馬鹿がいた。そいつは最後まで、自分が良ければ、なんでもいいと思っていた。けれど、それすらも、今はいい。俺にはただ、この一秒の出逢いだけが、全部でよかった。不思議だね。人間ってのは。全てを失ってから、大切だったものを思い出すんだから。だけど、俺は違う。俺には、最後まで、エルキドゥがこの輝きに相応しいかを、試し続ける義務がある。───僕の名前は、フィオルォレイン。アルクェイド・ブリュンスタッドを手にするためにこの星に産まれた、埋葬機関第七位だ!!」

 

「─────ゆくぞ」

 

アルクェイドはいかにも動きづらそうな優雅なドレスを着ながら身構える。

 

「勝負だ。君は僕の物だ、原初の一!!!」

 

フィオルォレインは、左足で踏み込んで、右手を掲げて、自分の欲しかった人生に向かって、飛び出した。

 

「よくぞ吼えた、道化よ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………はぁ、はぁ、はぁ、」

 

着いた。ようやく。伊賀見総合病棟跡。間違いなく、ここにロアが居る。

辺りを見回してみる。建物自体は大きくない。三階構造で横幅の長い建物であり、敷地は広いものの、建物自体は実に単純であり、実に平凡だ。

しかし、この地下には、とんでもない大空洞が広がっている。ロアがいつどこから現れるかは知れたもんじゃない。

だけど、

 

「わかる」

 

わかる。わかるとも。もし、俺の前に出てくるとしたら、それは。

記憶を辿る。見える。見えるとも。

あの日のことが。幼き中村白邪が命を落とした、あの病院での出来事を。

 

 

 

 

 

「ハクヤ!だいじょうぶなの!?」

 

不意に。

 

「うん!だいじょうぶ!おねえちゃん、おみまいにきてくれたんだね!ありがとう!あ、みんなもいっしょだ!」

 

不意に。誰かの声がしてくる。幼い、小さい、弱々しい、まだ漢字もロクに書けなかった、バカな男の声が。

 

「──────」

 

 

 

 

 

「………………ねぇ、きみ。オカリナふくの、すきなの?ねぇねぇ、なにかきかせてよ!」

 

「だ、だ、だ、だれですか?」

 

「ボク?ボクはハクヤ。きみは?」

 

「わたしは……………クロエ…………」

 

「そうなんだ!あ、ちょっとまってね!おねえちゃんをよんでくる!それから、リンゴちゃんと、ブドウちゃんと、ミカンちゃんと、レモンちゃんと、メロンちゃんと、あと、あと、えーっと、あれ?ボクなんにんいったっけ?」

 

「くす…………」

 

「な、なんだよ!なんでわらうの!」

 

「あははははははは!!ハクヤくんっておもしろいですね!」

 

 

 

 

 

懐かしい。俺は、ここから始まったんだ。

 

病棟の正面入口の扉を蹴破る。そのまま中に入る。まっすぐ進んで、待合室にたどり着く。

俺は、ここで終わって。ここで始まったんだ。

 

 

 

 

 

「にげて!ハクヤくん!」

 

「で、でも、クロエちゃんは!?」

 

「わたしはだいじょうぶ!ハクヤくんは、そのコをたすけてあげて!」

 

「うん、わかった!さぁ、にげよう!だいじょうぶだよ、ボクがついているから!」

 

 

 

 

 

頼もしいヤツがどこかにいた。頼もしかったけど、最後は全部、自分で台無しにしてしまった、生きる価値もない、ただの肉塊が。

あれはいつだったか。こんなところで、自分の正義を貫き通して、自業自得に果てたバカがいた。

 

 

 

 

 

「よし、にげよう!いりぐちはすぐそこだよ!」

 

「おや、何処へ行くつもりかな、お二人さん」

 

「────あぶない!!」

 

 

 

 

 

けれど。結局、それは。俺をバカなやつに変えただけだった。

 

「あ、あぁ…………」

 

後悔が背中を圧迫してくる。

こんなことなら、産まれてこなければよかった。

俺が産まれたせいだ。そのお陰で、みんなが不幸な目に遭ってしまっている。俺は、みんなに迷惑をかけてばかりだ。

一人ではなにもできないくせに、さも当然のように、毎日みんなに助けられていることでしか、中村白邪で居られない。

俺のような死人には、居場所なんてなかった。最初から。

 

(────中村くん)

 

けれど、俺を認めてくれた人がいた。

 

(────中村くんが大切だから、という理由ではいけませんか?)

 

産まれて初めて、こんな俺に、生きるコトを許してくれた人がいた。

 

(────中村くん)

 

産まれて初めて、こんな俺が、ここにいることを赦してくれた君がいたから。

 

「あぁ………あ、あぁぁぁぁぁ!!」

 

俺はここに居れているのに。俺は、またもここでなにをやっているんだよ!!

 

「バカ野郎………!!」

 

涙が溢れてきてしょうがない。前が見えない。足下を濡らしていく雨のような雫。

俺は、とっくに、壊れていた。前々から。

だから、彼女にもらった命は、彼女のために返してあげないと。

 

そのために、俺はこんなところに来てまで、死にに来たんだ。

 

「ようこそ、白邪」

 

「────ロア」

 

待合室から少し離れた廊下から、ヤツは俺に話しかけてくる。

 

「覚えているか?この廊下」

 

「当たり前だ。けど、もう、思い出の話は結構だ」

 

「残念。昔のことでも語り合いたかったんだが」

 

「要らねぇよ。どうせ反吐が出るような内容ばっかりなんだろう?聞き飽きたよ。いつだって血生臭いものばかり。たまにはメルヘンチックなおはなしなんかないのかよ?」

 

「残念ながら、良いネタがなさそうだ。強いて言えば800年近く前にワタシが見た美しいものの話ぐらいだが、まぁ、素人に言ってもつまらんよ」

 

「助かったぜ。余分な時間は要らなかったからな。このままだと、家族に余計な不安かけて消えなくちゃならない。そうなる前に、俺はお前と一緒に消えてやる」

 

血刀を取り出して、ロアと向き合う。

それを見て、ヤツはまた、爆笑する。

 

「く、くク─────くはははははははははははははは!!懲りない馬鹿は使いようとはよく言うもんだ!いいか?今のオマエではワタシには敵わない。オマエはワタシの配下にあたる吸血鬼なのだからな。単純な話だよ。群れのヌシを前に勝てるものなど居ない。オマエの足掻きも、どうせ無駄に終わるだけだ。十年前のようにな!!」

 

ロアがあの細い剣を構えて突然斬りかかってきた。

 

「づっ、うっ!!」

 

紫色の雷を纏った強烈な一撃。

なるほど、これは過去最大の強敵だ。吸血鬼は、ほかの連中とは比べ物にならない力だ。こう、なんだ。圧が違う。打ち合う度に痛みではなく、恐怖が押し付けられる。

能力で言えば、俺たちはほぼ同等か、俺の方が一枚上手。

だが、なぜか不思議とこの身体がこの生物と戦うことを拒否している。

 

「ほう、今の受けたか」

 

「舐めんじゃねぇ………俺は何度も死ぬ覚悟で修羅場くぐってきたんだ。十五回も死から逃げたお前と一緒にするんじゃねぇ!」

 

そのままロアの胸を右足で蹴飛ばす。

殺意を込めた蹴りが、だん、と生々しい皮膚を叩いて骨を殴打する感覚を伝えてくる。

 

「ぐはぁっ!!」

 

ロアは20メートル近く転がりながら吹き飛ばされた。吸血鬼の脚力だ。食らえば常人じゃ大怪我。だが、

 

「やるじゃねぇか、こいつは殺りがいがあるな!」

 

この生物も吸血鬼の枠組みだ。当然この程度では死なない。恐らくは、腕を切り落としたとて再生してくるだろう。

 

「なら、これはどうだ?」

 

雷を纏ったロアが低姿勢で突進してくる。

ヤツは俺の目の前で一気に体勢を低くし、スライディングを繰り出してくる。

 

「はぁっ!!」

 

反応が間に合った。跳躍して躱しきる。

地面に降り立ち、地面に座った体勢のロアを狙って斬りかかる。

 

「遅い、遅い………!!」

 

ロアは次々とその攻撃を後退しながら躱していく。

 

「なるほどねぇ、ならば、こうか!!」

 

立ち上がったロアがこちらに雷を一斉に照射してくる。

迫る神速。大気間を雷速で走る雷を躱す術はない。回避も防御もできず、俺はマトモにその雷霆を──────

 

「ぐぁっ………!!」

 

よりにもよって。あの左肩に受けた。

 

 

 

「え──────」

 

 

 

────瞬間。俺は、中村白邪という器を基点に、世界が傾く瞬間を目にした。

地球儀のように、軸に沿って、溢れるように傾いていく空間。

歪曲しながら捻れて壊れるように、視界が斜めになる。魚眼レンズ越しに見るかのようなそのセカイは、瞬く間に中村白邪の意識を奪っていった。




永遠を追う転生無限者、久遠を目指す死徒、輪廻を往くアカシャの「蛇」

ミハイル・ロア・バルダムヨォン

性別 男性
身長 180cm
体重 60㎏
誕生日 9月8日
血液型 O型
好きなもの 音楽
嫌いなもの 乾燥した空気
武装 数秘紋による雷霆、管楽砲(ギャラルホルン)

(プロフィールは転生先の凱逢玄武のもの)


概要

二十七祖番外位。「永遠」というものを追い求めて転生を繰り返す死徒。これまでに15回の転生を繰り返している。かつては聖職者であり、偶然見た月の姫君に心を奪われ、姫君を拐かして血を飲ませることで死徒となる。吸血鬼の転生による生命の輪廻を繰り返すことで、永遠を定義しようとしたのだ。
今回のロアは16代目であり、クロエの父親、凱逢玄武(がいあくろむ)の肉体に転生している。

性格は転生先である凱逢玄武の精神性、人間性に大きく影響しており、一定の状態になるまでロアの精神性は表面に現れない。玄武の性格は、基本的に物腰軽く、優しさに溢れているが、一方で決意の堅い人間でもあり、しつこく白邪に接触を図ろうとする。

白邪からは吸血鬼としても、人間としても嫌われており、白邪当人曰く、「吸血鬼じゃなくてもぶちのめしていた」らしい。
そんなワケで、人付き合いとはあまり縁がない人間である。

戦闘ではロア由来の数秘紋から雷を放つ魔術と、凱逢玄武由来の管楽砲(ギャラルホルン)を組み合わせた戦術を使う。雷による高い機動力と管楽砲の圧倒的破壊力を持ち、かなり長い間、器を保ち続けていた。
今回は15代目ロアからの転生にかけた時間が短く、教会やアルクェイドの感知も大幅に遅れ、実に10年近く乙黒に滞在していた。

しかし、実際のところははロアの影が薄かったわけではなく、当時埋葬機関に所属していた代行者、エセキエルによる一方的な妨害によるものだった。
エセキエルの完璧な策と隠蔽能力が功を奏して10年間ロアは残ることになり、転生を完了した10年後にアルクェイドと教会が同時にロアを感知することになった。
しかし、それでも「ロアがいる」ということしか知られず、なおも半年もの間、エセキエルはロアを匿い続けた。………実際はエセキエルにとってロアなどどうでもよかったのだが。
しかし、エセキエルの目的はロアにも知られておらず、一方的な手助けであるとして、ロア自身もエセキエルを完全に信用してしまっている。自身の前回の器であることすら気付かず───

凱逢玄武とは、クロエの実の父親である。
両儀一派時期総長補佐、凱逢家の元当主だ。玄武は病弱だった娘、クロエを守るために手術医として、過去クロエが入院していた病院、伊賀見総合病棟に潜入していたところ、ロアの転生先となってしまった。
玄武自身はロアのような邪悪な心も、憎しみや怨嗟も持つことなく、家族を守ることだけを考えていたただの善人だったという。
しかし、その慈仏のような人間性と修羅のような戦闘力は、話から別物。いざ戦闘になれば容赦なくバイオリンの弓を模した剣を取り、ギャラルホルンで混血や魔を蹴散らし、両儀一派の最上位メンバーとして長く座に有り続けた。

中村白邪をただの混血から吸血鬼に変えた原因となる、超重要人物でもある。
白邪は幼い頃、伊賀見総合病棟に入院していたところをロアに襲われ、吸血鬼となってしまう。
ロアにとって、元はといえば自身から出た残飯だった白邪は特別な存在であるらしく、殺意が比較的薄いらしい。




吸血鬼の少年、中村白邪は、すべての元凶となったロアを倒すことができるのか?
そして、ロアとその器の娘、その再開は如何に?

中村白邪の吸血鬼の力と鬼人の力を重ねた、「生粋の魔人」としての力が、遂に解き放たれる………!!

月姫零刻屈指の悪人といえば? 中「いや、だから誰も入れないってば!」ヨ「票が50個以上入ったら主人公交代ね!」中「足りなかったらヨエルコーナー終わりだからな!」

  • 口悪すぎ横暴すぎてみんなボコす中村白邪
  • 目的のために街の人々を犠牲にしたヨエル
  • とりあえず悪役のロア
  • その他
  • 誰もお前のアンケートに票なんか入れねぇよ
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