月姫 零刻   作:マジカル赤褐色

48 / 52
最期の逢瀬

 

「七夜…………?」

 

俺は目の前にいるその男を睨み付ける。

七夜黄理と名乗ったその男はみすぼらしい風体の若い男だった。

体つきは悪く無さそうだが、かなり痩せ細ったなんかすぐに折れそうな細い高身長。全身黒服。目付きの悪く暗い顔。おしゃれを気にしない、ちょい悪風の青年。年齢は間違いなく俺より上だが、そんなにえらく遠いわけでもなさそうだ。20代半ば?少なくとも30はない。

 

「お前、なんでクロエ先輩を…………!!」

 

七夜がなんなのかなんてどうでもいい。こっちは大事な彼女が殺られたんで怒り心頭。今すぐ殴り倒したい気持ちだが、まずは心を一瞬だけ休め、とにかく全ての情報を押さえる。

なんでコイツはクロエ先輩を殺したのか。

 

「勘違いはするな。俺はその女に興味などない。元から狙いはアンタだけだった。女が殺られたのはただ彼女が当たり屋してきただけだ。俺も想定外だ。反応されるとも思わなかったし、この鋭い一撃から庇おうという発想に至るなど、余程アンタが大切にされていたのか、それとも余程の命知らずか」

 

「─────お前の目的はなんだ」

 

話している隙に、いろいろな情報を探る。

武器は、両手に持ったその短い鉄の棒か?

 

姉さんが昔やっていたな。

カリ、だっけ?海外のちょっとしマイナーな武芸で、2本の棒で相手を滅多打ちにするやつだ。

だが、七夜の武器はあれの半分以下の長さ。どちらかというとより汎用的な棍術、といったところか。

ん?棍!?

コイツ、棍だぞ武器?嘘だろ、クロエ先輩の死因は刺し傷によるものだ。あ、あの、ただの金属棒で突いただけで、刺し傷!?

当然、あれの先端は平らな構造。豆腐ぐらいしか刺せない。あれを、人体に捩じ込むとか、人間の筋力で、一体何日かかると思う?それを、あの一瞬で?

 

これじゃあ、棍というより、(キリ)じゃないか。なるほど、実に言葉遊びが利いている。錐のように鋭い黄理…………か。

 

「俺らは退魔の血族だ。俺らに私心や野望はねぇ。ただ混血を一匹残らず消すのが俺らの役目だ。だから、アンタはここで死ね。混血だから死ね。生まれたという罪のもと死ね」

 

「ふざけんな、そうやって何人も殺してきたのかお前らは!」

 

「当然の帰結だ。悪なるものを残さず全て排除し、この世に善のみを残すのが我々の仕事だ。俺たちの行動に、悪など存在しない。産まれてきた時点で混血も魔も悪に該当する。その全てを排斥することに、我々には責務はあっても罪悪などは存在しない」

 

「違う。善も悪もねぇだろ。お前らが産まれてきた人を善か悪かとか決めつけるのを誰が許したんだ。理解もしようとせずに殺してくるようなお前らのほうが、よっぽど悪者だろ………!」

 

コイツもロアと違うようで同じだ。

産まれだけで、その価値全てを勝手に自分の尺で決めつけて、都合が悪くなったらすぐに殺す。

戦時中の枢軸国のポピュリズムと同じだ。

民族が違うというだけで、罪もない人に悪をおっ被せ、収容所に閉じ込めたり、虐殺したりして、魔女狩りしていく。

幼い頃、アンネ・フランクの伝記を読んで、俺はかなりの影響を受けた。

なんで、同じ人間なのに、こうして僅かな違いだけでこんなにも大きな立場の違いが産まれるのか。

 

戦後も未だこうして差別は続いている。

だが、七夜のやってることは差別なんて生ぬるいもんじゃない。

これは、ただの虐殺(ジェノサイド)だ。

差別よりもずっとずっとたちが悪い。

 

人権を奪うばかりか、その命まで奪うなんて。

 

「そうか、お前が槇久の旦那が言っていた、中村邸に現れた侵入者か!」

 

「む、噂に聞いていたのかよ。なら話は早ぇ。ついでに言うと、確信がついてよかった。お前があの憎き中村家の子息なんだな!」

 

七夜はそう言うと、突然俺に向かって攻撃をしてきた。

驚いた。スタートダッシュの体勢すら作っていなかった。

まっすぐ直立したまま、目にも留まらない高速の平行移動だった。

脚すら動いていなかったように見えた。

 

「ぐっ………!!」

 

血刀で弾き返す。

─────が、

 

「く……………………」

 

衝撃が重い。一発でもこの威力。

耐えてもわずか数発といったところか。

なんだコイツ。今まで戦ってきたどんな敵よりも、強いぞ………!

 

「良く防いだな。その身は、憎悪と焦りの色に包まれているというのに。ふむ、アンタは、俺の想像以上に、限界に強いようだ」

 

「色……………?」

 

憎悪と焦り。確かに、間違いなく俺が今俺という個を形成するために消費している感情だ。

俺は七夜に憎悪を抱き、その反面、俺はあいつに殺されるかもしれないという焦りを持っている。

それを、あいつは言い当てた。

 

「俺たちは眼が少し変わっていてな。色々と普通は見えないようなモノを視覚化する力を持っている。俺の場合、こうして相手の思念をさまざまな色として視ることができる。熱意や希望のような感情は赤。悲しみや落胆といった感情は青。忍耐や待望は黄。安寧や快感は緑。などだな」

 

「……………………」

 

「アンタは今、薄い水色と橙が重なったような色に包まれている。なんだろうか、これは少なくとも、悪い感情と、もうひとつ、アンタを突き動かす炎のような感情があるな。それは憎悪から来るものか。それとも怨念から来るものか」

 

「───────」

 

あぁ。そうだ。俺は、大切な先輩を奪われて、ただ悲しかった。ただ哀しかった。ただ虚しく、ただ空しく。

これから、いろいろなコトをいっしょにできたのに。いろいろな思い出を作れたはずなのに。

もっと、いろんな所に連れていって、もっといろんなことを話したかったのに。

俺は、中村白邪は、始まってわずか5日で葬り去られた。

 

あの思い出は、あの願いは、永遠に、叶わない。

もう、二度と、彼女の笑顔も、彼女の笑い声も、彼女の姿も、見られない。

俺にはただ、この何もない、虚無の寝顔を、ただ見つめることしかできない。

この満ち足りたような、なんでこんな結末なのに笑っているのか。もう二度と目を開けれないのに、もう二度と同じ空気を吸えないのに。そんなことをわかっておきながらただ穏やかなその寝顔を、ただ見つめることしか俺にはできない。

何もできなかった。彼女を守ることも。俺が前に出ていれば、アイツに気付けていれば。いっそのこと、俺が死んでいれば、先輩は助かったのかもしれない。

 

けど、それは叶わない。過去は何一つ変わらない。そこには一人の男が生き延び、一人の女が死んだという事実だけがある。

 

悲しい。辛い。苦しい。

それでも、ただそれ以上に、俺は、彼女を奪ったアイツが憎々しい。

 

「────ない」

 

「……………………」

 

「─────お前は絶対に許さない」

 

でも。先輩。あなたが俺を助けたというのなら。

 

 

「───────」

 

俺は、彼女のために、生きていなければならない。

 

 

────夜空に輝くひとりきりの月。月世界に舞う月の姫。

 

輝きは今、零時のお告げを指し示す。

 

この先は、月の姫の物語の零刻。

鬼人が吸血鬼となった根端を巡る少年の時代。

 

鬼人の血を引く少年は、相容れざる、退魔の少女に、恋をした。

 

此処から先が────────月の零刻。

 

 

 

此よりは、月の裏。光を帯びることのなく、忘れ去られる、鮮やかに光を放つ一つの物語の、麗しい、思い出の断片。その記憶の一端が、時を越えて、思い出される。

 

─────さぁ、殺し合いを始めよう。

 

 

「行くぞ、七夜─────!!!!」

 

俺はこの一瞬ですべての思考を投棄した。

俺の眼に映るのは目の前にいる男だけ。

他の何も考えない。いまの俺には、ただアイツをブッ飛ばすことしか頭にない。

 

「は──────ぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

俺の挑戦に応え、向こうからも一直線の疾走が襲いかかる。

流石は戦士。相手が如何なる存在であれ、命を賭した挑戦には敬意を示し、それに応える。

 

だが、この闘いはそんなに美しいものではない。

もっと単純なものだ。イラついた相手を殴るだけの、ものすごく単純な喧嘩である。

意義を見出すならば、まぁ、生き残るための闘いと言ったところか。

 

俺は走りながらすぐに隣に移動し、先輩の懐からフランベンジュを借りる。

 

────コイツで先輩の仇を討ってやる。

 

 

「ハァァッ!!」

 

「シャァァ!!」

 

 

互いの突き出した武器が互いの首横を通り抜ける。

 

「───────ッ」

 

「───────ッ」

 

一瞬の睨み合い。

互いの肩がぶつかる。その反動で距離が離れる。

だが、まだ詰める。

もう一度、両者が走り出す。今度はもっと強く。

互いの全力の蹴りをぶつける。

 

七夜の動作はとんでもないものだった。

背中を相手に向けながら身体を前傾姿勢にし、後ろ脚で蹴り上げるという、なんと冴えた動作。柔軟性と体幹、そしてそれだけの筋肉を以てしてようやく可能となる技だろう。

とりわけ体術を専門とした一家か。

こちらの繰り出した蹴りはその一撃で完全に防がれることになる。

 

「───────ッ」

 

「───────ッ」

 

またも睨み合い。

だが、これ以上、互いの時間を無駄にしてる場合じゃない。

 

「死ね─────!!」

 

七夜は飛び蹴りを終えて地面に降り立った瞬間にあり得ない速度で突進してきた。

後隙を消したといっても過言ではない。

反動で隙が生まれたこちらに反応する術はない。

 

「ぐ──────うッ!!」

 

俺の腹部を貫いていく1本の鉄棍。

 

「う、ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

反射的に繰り出された俺の大振りの一撃。

 

「くっ」

 

向こうの回避は間に合ってしまう。

速い。とにかく動きが速い。ロアとはまた違う速さだ。

とにかく人間の動きをしていない。

突然方向転換したり、あり得ない動きをしてくる。

 

「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

追いかける。後退する七夜に向かって疾走。

しかし、その攻撃も棍で防がれる。

 

「遅い」

 

「───────?………ガッ!!」

 

横殴りに繰り出された蹴りが俺の脇腹を直撃する。

一瞬で詰めた距離が、一閃にして引き離される。

果たして、今ので何本折れたのか。人間だったら致命的な一撃だが、吸血鬼の俺には再生がある。痛みなどは気にしない。激痛を伴うのは承知の上。

もはや、なんの感覚もない。

あるのはとてつもない頭と胸の痛みだけだ。

 

「うぉぉぉォォォォォォォ!!!」

 

「ハァァァァァァァァァァ!!!」

 

七夜と同時に走り出す。

こちらの攻撃はすべて防がれ、あるいは躱され、一発も命中しない。なのに、

 

「ぐはぁッ!!」

 

向こうの攻撃はすべて命中する。

一発の蹴りに心臓を狙われ、一気に吹き飛ばされ、倒れ込む。

 

「ぐ─────」

 

顔を上げ、七夜の姿を捉えようとする。

 

「感情任せすぎて、あまりにも動きが単純だ。浄眼で視ればアンタの一手先が簡単に読める」

 

瞬間、七夜の姿が消滅した。

 

「消えた!?」

 

「程度を知れ、吸血鬼」

 

音は背後からした。

 

「ぐぁぁぁぁっ!!」

 

胸を棍で貫かれたのか。

そのまま棍が引き抜かれ、さらに蹴り飛ばされる。

 

「ぐ……………ぁぁづ…………!!」

 

木に打ち付けられ、倒れる。立ち上がるにも、今のが強すぎて立ち上がれない。

 

「─────」

 

「ぐぁっ!!」

 

蹴りによる追撃。地面に跪いて体力の回復に専念するが。

 

「──────ッ」

 

「づぁぁっ!!」

 

今度は拳裏による顔面への追撃。

さっきからコイツ急所しか狙ってこない。

当然か。

だが、このままでは反撃どころか復帰すらもできない。

 

地面に仰向けに倒れる。

死ぬ、負ける。このバケモノに勝てるビジョンが見えない。

さっきとは話が違う。なんで、こんなにもコイツは強いんだ?

 

「終わりだ」

 

あぁ、考えている暇もなかったよな。

 

「ぐ……………づ……………っ!!」

 

胸に棍が再び突き刺される。

 

一秒ごとに戻ってくる痛覚。

一秒ごとに消えていく感覚。

一秒毎に削り取られる意識。

一秒毎に迫ってくる恐怖心。

 

だんだん、諦めのようなものがついてくる。

勝てない相手に抵抗しても無駄だ。

アイツと俺では経験が違う。

アイツは俺のような人外を幾度となく奪ってきたやつだ。対して俺は、ちょっとこの街の危機を救った程度。

経験の差は実力の差。

俺がアイツに勝つには純粋な時間が足りなかった。

 

「──────先、輩」

 

俺は、また、約束を破ってしまうのか。

彼女の願いも、善意も、一度も受け取ってやれなかった。

そもそも、俺は何一つ、約束を守ったことがなかった。

そう、俺は昔から嘘つきだった。

誰も守ってやれなかった。誰のためにもなれなかった、ただの人殺し。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「白邪」

 

古い、ユメのようなモノをみた。

 

とても、大昔、まだ俺が、生きていたころのユメをみた。

 

屋敷の前。橋の上から一望できる青い青い空と蒼い蒼い川。

そこに、橙色の髪の、背の高い女性が橋の手すりに座っていた。

彼女のとなりに座っていたのは、小さく、弱々しい、まだまだ幼い小さな朱毛の子供だった。

 

「白邪、お父さんのことは知っているの?」

 

女性はただ子供とつまらない話をしているだけだった。

 

「しってるよ。ボクのおとうさんでしょ?おとうさんはね、おかあさんとけっこんしたヒトだよ。だから、ボクがうまれたんだ。おねえちゃんも、おにいちゃんも」

 

「うん。………そうだね。けれど、白邪は知ってるの?お父さんが、普通とは違うということを」

 

それは、彼女から口にした言葉だった。

当時の少年には、この言葉の意味はなにもわからなかった。

 

「フツウ?フツウってなぁに?」

 

無垢な彼は言う。

 

「お父さんはね、お母さんとは違う血を引いているの。お母さんはフツウの人間。けれど、お父さんはフツウとは違う人間なのよ」

 

「なにそれ。おとうさんとおかあさんはどっちもニンゲンじゃないの?」

 

彼は理解できていない。

そう、これは内容の時点で、まだ世界の狭さも知らない子供が理解できるような話ではないのだ。

 

「えぇ。どっちもニンゲンよ。けれど、お父さんは、ニンゲンとは違う血を引いている。その子供のあなたもよ。ほかのみんなもね」

 

「ニンゲンじゃないチってなに?おとうさんはオバケのこどもなの?」

 

子供は好奇心と疑問でできている。何度も質問を繰り返す。

けれど、その度に女性は呆れることもなく、優しく丁寧に答える。

 

「えぇ。それに近いモノよ。いつか、お父さんは、本物のオバケになってしまう。それは仕方がないことなのよ。けれど、それ以上に、あなたもいつか、その血と向き合わなければならない」

 

「ボクも、いつかはオバケになっちゃうの?」

 

少年は、昔はかなり賢い子供だった。

先のことを見据え、規律と礼儀に厳しく、時に気になることがあったらすぐに訊き、調べ、時には大人を困らせるような難しい質問をしてくることもあったらしい。

そして、これもその一部。彼の日課の質問ラッシュが、女性へと降り注ぐ。

 

「えぇ。多分ね。まぁ、必ずしもなるとは限らないし、ニンゲンはニンゲンだから、きっといつか直るとは思うけどね」

 

「かならずしもならない…………?なんでそんなことがいえるの?」

 

こうして、少年は大人を困らせていた。

わざとではない。悪戯でもない。ただ、あまりにも無垢であったため、純粋にこの世の不条理を知らぬが故にこのすっきりしない疑問に不満を持っていた。

 

「お母さんは、あなたにはオバケになってほしくないの。そうでしょう?あなたも、オバケにはなりたくないでしょう?」

 

少年は無言でうなずく。

 

「あなたはね、特別だったの。特別。それはとてもすごいことなの。けれど、同時にそれはとても辛いことなの」

 

「なんで?すごいのにどうしてつらいの?」

 

「すごい人はね、いつか必ず一人になってしまう。あなたは、必ず、回りとは別の道を歩まないといけない」

 

「そう、なの?」

 

「えぇ。だからね」

 

女性は手すりから飛び降りると、その場で屈んで、子供の肩に両手を置く。

 

「強い子になりなさい、白邪。あなたは、きっと、強い男の子になれる」

 

「そうなの?ボク、あしははやいけど、ちからはないから、つよくはなれないよ」

 

「うふふ。違うよ。一人になっても、それを乗り越える心を身に付けてってこと。そして、自分以外の誰かが一人になってしまったとき、あなたはその人を助けてあげられる、そっと声をかけてあげられるような、そんな人になりなさい」

 

「ひとりぼっちのこどものおともだちになればいいの?」

 

「えぇ。その通りよ。あなたは、賢いから、自分がやろうとしたことにきちんと責任を持てる。自分を客観的に見ることができる。けれど、そんなものはあなたにはいらない。あなたは、自分がやろうとしたことを正しいと思い、そして、誰かのためになれる大人になってね。それが、あなたがニンゲンでない生き物として生まれた変わりに与えられた、とても素晴らしいちからなのよ」

 

女性はそう言って子供に微笑んだ。

 

「─────うん、わかった。ボク、おかあさんがいったように、つよいこどもになる!いつかたいせつなひとができたら、そのひとのためになれるようなおにいさんになるよ!」

 

あぁ。そんなことがあったんだ。

俺は、今まで、母さんの言葉に、ずっと続いていたんだ。

俺は、あそこから始まっていた。

みんなを助けるためじゃない。自分が守ろうとした誰かのためになれること。

それが、俺がやらないといけないこと。

孤独な俺に託された、正義のヒーローになる権利。

 

───俺は、母さんみたいな大人になりたかった。

 

一人のためなら、他の誰かのことなんて考えない。ただ、一人の弱い人間の傍にいてやれるような、強い人に。

 

でも、それはもう叶わない。

俺は、守りたいものすら守れなかった。

誰かのためになろうとして、誰のためにもなれなかった。

彼女を守るためだけに、自分の命を賭け、そして自分だけが生き残る。

彼女がいなければ、生きる目的もない。

ただ、ここで虚しさに苛まれるだけだ。

 

けれど、まだ。俺には役目がある。

彼女は、俺を守ってくれた。

それは、彼女も命を賭けて俺を守ろうとしたということだ。

俺たちは、互いの命を自分の命に変えてでも守ろうとした。

ただ、順番が違ったというだけで。

 

「─────────」

 

こんなところで、全部を投げ棄てたら、彼女はなんて言うだろう。

彼女の行いは何だった?

彼女は誰のために、何のために自分の命を擲ったのだ?

 

「────────ア」

 

そう。彼女は俺のために。俺を守るために、自分の命を擲ったのだ。

俺を守ろうとした彼女の想いを、その勇気を、その覚悟を無碍にするな。

 

思い出せ。俺は怒っているはずだ。

自分の女を奪われ、それでいてヤツに何も還せていない。

抵抗もまるで意味を成しておらず、俺は未だに無力に終わっている。

これ以上の屈辱があってたまるか。これ以上の結果があってたまるか。

 

俺は大嫌いだ。母さんの話を聞いたときから、母さんの前で、正義のヒーローになると決意した時から決めていただろ。

 

そうだ。俺は、罪もない人が犠牲になるのが、大っ嫌いなんだよ─────!!

 

「─────はぁぁ…………ぁぁぁ」

 

まして、犠牲者が自分の周囲の人間、あまつさえ俺の命よりも大事だったひとで。

これで諦めがつくなんて、どれだけ俺は根性無しなんだ────!!!

 

「─────はぁぁぁぁ、あぁぁぁぁぁ!!」

 

立ち上がれ。脚が立ち上がれなくても根性で立ち直れ。

怨みを還せ。恨みをぶつけろ。恩讐の心を忘れるな。

やられたら倍でやり返さないといけない。

 

立ち直れ、白邪。俺は、自分のやりたいことをやれ。自分の守りたい人のために戦え。

俺は、先輩のために、先輩から二度も貰った命を、ここで先輩のために使わなければならない。先輩のために、あの人の想いを受け止めて、そのために生き続けなければならない。

 

「────はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「──────む、むぅ!?」

 

鬼人、此処に覚醒。

両足で倒れる俺の前にいる相手を蹴り飛ばす。

刺さった鉄棍を引き抜き、投げ棄てる。

これでアイツの武器は残り1本。

 

「お前────タダじゃ済まさねぇぞ」

 

敵を睨み付ける。視界が真っ赤だ。あまりにも怒りすぎて、目が破裂するくらいに充血してしまっているみたいだ。

 

「─────づ………この見ているだけで肉体か割れそうな威圧感、間違いない」

 

「お前だけはマジで許さねぇ。俺を本気にさせたらどうなるか、これからたっぷりと教えてやるよ…………!」

 

「ふざけるな………!!」

 

ふぅ───、息を大きく吸う。

もう、俺は何一つ諦めない。

あの選択を、俺はもう二度と後悔しない。

俺は、正しいことをした。俺は自分が正しいと思ったことを正しく成し遂げたんだ。

きっと、親父もあの世で喜んでいるはずだ。

自身の息子の成長を。自身の息子が、異物としての自分と向き合えるようになった瞬間、ある意味での我が子の自立、巣立ちを。

 

大雑把な始まりで悪いが、頑固者の俺だ。

ヤツには最後まで、地獄の底まで付き合ってもらう。

ただ生きてきただけじゃない。生きてきたことすべてに意味がある。

俺は、中村白邪。凱逢黒依を守るために生まれ、凱逢黒依の想いを引き継ぐために生きる吸血鬼だ。

 

「勝負だ、七夜───!!!」

 

この山の自然から生命力を借りる。

鬼人として得た能力を使いこなせ。

吸血衝動が解放されるが、そこは仕方ない。相手は罪もない、ターゲットですらなかった人の女殺しておいて謝りもしないヤツだ。

 

「くそ…………ぉぉぉぉぉ!!」

 

七夜の行動に焦りが見える。生き物は本能的に逃亡に長けている。闘うのは自分と対等、もしくは自分より弱い相手、小さい相手に対する行動。自分より大きい相手、自分より強い相手に対して、生物は逃亡を優先する。

 

七夜の目の前に映るのは、人間とは圧倒的に規模が違う生き物。七夜も退魔の血族。人間を超える生き物は何度も見てきた。時には自分より強い、大きい相手も倒してきたのだろう。

だが、今回は違う。さっきまでただの混血だった相手が、見たことのない生き物に変貌しているのだ。

 

この様子から見るに、おそらく七夜は吸血鬼を見たことがないのだろう。

だから、負けるビジョンも勝つビジョンも見えない。

 

初見の相手だ。必ず負けるとも限らない。

だが、それは同時に負ける可能性があるということ。

このよくわからないパターンといものは、すべての生き物にとって最大の恐怖となる。

故に、七夜の動きが鈍くなるのは道理だ。

 

「死ね、さっさと死ね!!」

 

迫る疾風迅雷。回避の術はない。

関係ない。回避の必要も逃亡の必要もない。

俺にはただ、

 

「死ぬかよ─────!!」

 

目の前にコイツが居ることが腹立たしくて仕方がないだけだ。

 

攻撃は同時。七夜の棍も実に素早い。だが、残念ながら、リーチの差というものがある。

 

「はぁぁぁっ!!!」

 

七夜の身体にフランベルジュを叩き付ける。

 

フランベルジュとは西洋の剣。中世の騎士が持っているアレだ。

刃は薄く、波打つ刀身を持っており、相手の肉を抉り裂く。西洋における画期的な刀剣である。

何せ、西洋剣と日本刀は全く異なる。

刃が両方にあるとか、それ以前に武器としての仕組みが違う。

日本刀は鍛冶師による業。切れ味はお墨付きだ。だから、どのような相手であろうと、扱いが合っていれば一刀両断。

対して西洋剣は量産型。一刀両断するというより、相手を叩き斬るというイメージなのだ。

そのようなスタイルであった西洋にとって、相手を両断するフランベルジュは画期的な発明だったのだ。

 

そして、フランベルジュの真の強さはその後。抉った肉への切り傷は大きかった。治癒も遅く、回復が難しい。そのまま出血で死亡する場合もあれば、あるいは傷口から感染症に感染して死亡するなど。いろんなパターンで死亡した。

 

とにかく、そのフランベルジュを愛用するとは、なかなか先輩のセンスも素晴らしい。

しかし、今度は加工レベルが全く違う。

残念ながら、七夜の死は今確定した。

ここで俺が殺られることはあっても、最後に七夜は死ぬだろう。

 

前述の通り、これは先輩のフランベルジュ。

なのだが、これはただ振ればいい訳ではない。道具も馬鹿も使いよう。先輩にはこの発想はなかったらしいが、俺にはわかる。

確かに、ただ振っただけでも凶悪だが、俺はさらにこれの強みを伸ばすべく、ちょっとした細工をした。

傷口を作ったあとが最強といえるフランベルジュの刀身に俺の血を塗り込んだ。

分かりやすく言えば、フランベルジュに毒を塗ったようなものだ。

効果があるかは不明だが、俺の血の能力のことだ。おそらく生命力を減らすとか、そういう効果がある。

 

「ぐ─────ぁぁぁぁぁづ………!!!」

 

苦悶を上げて七夜が引き下がる。

よく倒れなかったな。今の一撃受けて。

 

「こ───この野郎…………!!」

 

しかし、すぐに立て直せる相手だ。この程度の修羅場、幾度となく潜り抜けているに違いない。

相変わらずの消えるような高速移動。

だが、もう今の俺には通用しない。

第六感持ちの俺に、二度目は意味がない。

 

「───────」

 

俺の頭の上に現れた七夜。その右手の棍が俺の頸を貫こうとしているが、もう。

 

「遅ぇんだよ」

 

屈んで絶対死にして必殺必中の攻撃を回避した。

 

「なんだと─────!?」

 

そのまま七夜のがら空きになった腕を掴んで空中から手繰り寄せる。

 

「ぐ…………!?」

 

「おらぁぁぁぁぁ!!」

 

右腕の二の腕に勢いよく肘打ちをぶつけて折り曲げる。

 

「ぐ、あぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

あり得ない方向に折れ曲がった腕を抱え、七夜が激痛に痛みを覚えて狂ったように暴れまわる。

からんからん、と鉄棍が転がる軽快な音。

 

まぁ、確かにありゃ冴えた動作だったが、幾らなんでも平凡だ。七夜は殺すことについては並ぶものは居ないが、同時に脆さも一級品だ。

 

今のは別にたいしたことはない。警察官程度でも習うような匕首(あいくち)曲げだ。

武器を持った相手の二の腕の、筋肉が緩んでいる部分を攻撃して武器を落とさせるという、武道の入り口のようなものだ。俺も街でこれをよく振り回したものだ。

しかし、今のは上手く決まったな。お手本動画にしてやりたい。

こういうときに、姉さんや甜瓜さんの武道知識は俄然役に立つ。

 

しかし、こちらも今は素手だ。さっきの一撃が強すぎたのか、フランベルジュの刀身も粉々に割れてしまった。

だが、いい。これぐらいがちょうどいい。

割れてしまった金属の破片が刺さったのだ。それだけでも死ぬほどの激痛だというのに、さらに腕を折られたのだ。

 

さて、ここからは殴り合いに移行することになる。

 

「畜生…………無駄な足掻きを…………!!」

 

「まだまだ──────!!!」

 

七夜に走り寄り、鍛え上げた俺の腕を力強くぶつける。

二人の拳が同時に互いの顔面を貫く。

クロスカウンターで始動するこの殴り合いは単純に最後の意地の張り合いだ。

七夜の死は確定している。ここで生き残ろうと、俺の血が傷口に入り込んであとでとんでもない死に方をする。何年か後だろうが。

俺も、ここで生き残ったところで心臓が二度も貫かれている。多分それ以降は生き残れない。

 

両方に死の運命が確定しているが、俺たちには関係ない。

まだどちらが強いのかが決まっていない。

ここで決着をつけてやる。

 

「ガァァァァァァ!!!」

 

獣のような叫びを上げて七夜が俺を地面に叩き付ける。

 

「ぐぁぁぁっ!!」

 

口から吐き出される血。関係ない。ここでの流血は意味がない。どっちみち死ぬ。

 

「はぁぁぁぁっ!」

 

上から迫る拳。棍を刺し込む馬鹿力。岩をも打ち砕くだろう。

それが顔面に直撃して、鼻や歯が折れても文句は言えない。

 

「ぐ…………づ………!!」

 

だが、顔面の骨の大半を壊す破壊の一発をなんとか耐えた。

追撃の踏みつけ。

転がってなんとか凌ぎ、立ち上がって反撃する。

 

「でやぁぁぁぁぁ!!!」

 

強烈な飛び蹴り。七夜の顎関節からヒビが入った音が聞こえた。

 

「ぐおおぉ………!!」

 

「オォォォッ!!!」

 

追撃の心臓打ち。今ので胸骨も破損させた。内蔵に到達するのも時間の問題か。

 

「く…………やぁぁぁぁぁ!!」

 

腹部を狙った七夜の蹴りが肋骨を穿つ。

 

「がはぁっ………!!」

 

「────────っ!!」

 

くずおれる俺に向けてさらに強烈なアッパーが叩き込まれる。

 

「ぐぁぁぁぁぁぁぁづ!!!」

 

打ち上がった身体をさらに蹴り飛ばされ、遠く遠くへ弾き飛ばされる。

 

地面に打ち付けられることバウンド三回。

転がること五回。目が回りそうだ。

意識も途切れ途切れだ。

だが、諦めない。

 

「せいやぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「うぉりゃぁぁぁぁぁ!!!」

 

互いに連続で拳を叩き込む。

相手を殴る度にこちらも殴られる。

殴られる度にこちらも相手を殴り返す。

 

一発、二発、三発、四発、五発、六発…………

 

止まらない弾丸の嵐。意地の競り合いはただ先に倒れた方の負け。回避の必要はない。当たって砕けるだけだ。

 

「ぐ………この甲斐性無しが………!!」

 

七夜の一発。

 

「うるせぇ、この外道が………!!」

 

俺の一撃。

 

「ふぅ──────」

 

「はぁ──────」

 

同時に停止。呼吸を整えろ。次で決める。

七夜も同じことを考えている。

 

「せいやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「ハァァァァァァァァァァ!!!」

 

同時に拳を突き出したが俺の方が速度がわずかに速かった。

一発で七夜を遠くへ吹き飛ばす。

 

 

森を抜けた先には高い崖がある。ここから落ちるような阿呆はいないが、落ちたらそりゃ生きては帰れない。

 

七夜の背後に広がる絶景。美しいが今やただの最強の兵器。ここから落とした方の勝ちだ。

真っ先に蹴り飛ばそうと襲いかかる。

 

七夜は動かない。代わりに、

 

「甘いっ……!!」

 

「ぐっ………!?」

 

俺の胸に新たな凶器を刺し込んできた。

七夜の手には装飾の美しいナイフが握られていた。

ここにきてまさかの凶器。

 

「づ……………あぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

ここで俺の怒りは頂点に達した。堪忍袋の尾はもとからそう堅くなかったが、袋ごと突き破った。

刺されたまま頭突きをぶつける。

 

「ぐが…………づ……ぅづ!!」

 

「おらぁぁぁぁぁ!!」

 

そのまま引き寄せて投げ飛ばし、空中からのブローを右頬にぶつける。

七夜は勢いよく転がるが、そっちは崖の反対方向。七夜にとって最高のポジションだ。

 

「そろそろ死ね─────!!!!」

 

七夜の全力疾走。首を掴まれ、崖へと押し出される。

 

「ぐ…………………」

 

首を絞められたまま一気に押し出される。

崖から落ちるまであと数センチ。

耐える俺と押す七夜。

首を掴まれて頭を後ろに押し出される。

人間は頭を中心にバランスを取る。頭を動かすのは良い手だ。

 

「あ…………あぁぁあ…………ぐ…………」

 

意識が断線しそうになる。

だが、走馬灯に映るものは、余計に俺の怒りを加速させるだけだ。俺の記憶に映るのは、もう先輩しかいない。

 

「う…………おぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」

 

折った七夜の右腕を掴んで強引に曲げる。

 

「ぐっ………!?」

 

さらに別の方向に折られ、七夜の絞首がほどかれる。

そのまま俺の後ろに引き寄せて頭を下げさせ、膝で前歯を蹴り上げる。

 

「ぐ────はぁぁぁぁ!?」

 

七夜が今の致命的な一撃で完全に動きを止めた。

 

────完全に貰った。俺の勝ちだ。

 

だが、もう、これは、

 

俺の問題ではない。

ヤツに奪われた全ての命、その恩讐を、この拳に集める。

 

俺の怒り、俺の恨み、俺の怨み、俺の嘆き、そして、先輩の仇。

 

すべてをこの一発に集束させる。

 

地面を砕くように脚を踏み込む。

空気を裂くように腕を振りかぶる。

狗鷲が飛ぶように身体を震わせる。

視線だけで殺すかのように睨み付ける──!!

 

「てめぇは二度と──────」

 

「──────っ………!!!」

 

「俺にツラ見せんじゃねぇ───!!!」

 

一閃、一条。流星のような一発のストレートが七夜の顔面に叩き付けられる。

七夜に反撃の術はなかった。

もう完全に向こうが限界を迎えていたのだった。

 

「ぐ───アぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

七夜は崖から遠くへ受け身もとれずに、まっすぐ勢いのまま投げ出され、地上数百メートルの高さを真っ逆さまに落ちていく。

それはほんの一瞬。俺がその情けない顔も見る間もなく、七夜黄理は落ちていく。崖の上から覗いてみたが、やがてその姿は見えなくなった。

 

「ふぅ────疲れた………な」

 

もう、それが第一の感想だったりする。

 

「やった、やった、やった─────」

 

でも、あとからやってくるのはやはりこれ以上ないほどの歓喜。

 

─────俺の怒りは、俺の想いは、最強の相手を打ち倒したのだ。

誇れ、俺。俺は、先輩との約束を果たしたのだ。

 

「────勝ったよ、先輩」

 

もう、届きもしない声を届ける。

 

「さて、次だ」

 

まだ、やることは山積みだ。

来た道を戻る。

先輩の元までざっと500メートル。

今の激闘で、俺たちはこんなに移動していたのか。

 

「うぅ…………ぐ………ぅ………」

 

勝ったが、さっきも言ったように、俺は死に体。結局、限界はすぐそこまできている。歩くのももう、無理だ。

 

それでも頑張って戻ってみると、やはりそこには安らかに眠っている先輩の姿があった。

 

「先輩──────」

 

先輩をゆっくりと抱き抱え、背中に背負う。

 

「────うちへ帰ろう。先輩」

 

俺は、そう言うと、ゆっくり歩き出した。

 

 

 

 

 

 

──────帰るために。

 

 

 

 

 

 

──────あの馬鹿でかい、豪華なお屋敷ではなく、もっと平凡で質素な、どこにでもある、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────小さなアパートへ向かって。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、あ、ぁぁ……………」

 

 

 

 

けれど、それはもう叶わない。

 

 

 

時間切れだ。先輩を背負ったまま地面に倒れ伏す。

俺のとなりには、誰よりも美しい、安らかな寝顔が。

 

「───────うん」

 

もう、俺にはただそれが見れただけでよかった。最期に見れるのが七夜の顔色悪い顔面じゃないだけずっとマシだ。

 

しんしん、と、白いものが降りはじめる。

 

寒い。けれど、なんだかとても柔らかで、暖かい。

 

「──────雪だ」

 

今年の雪はなんだか早いな。

そんなどうでもいいことを思って、空を見上げる。

 

空には、ただひとりきりの月がある。

何も見えない。けれど、それでもただ絶えずに輝いている。

美しいが、まん丸でもない。もう欠けに欠けて、今にも消え入りそうな、星の合間を縫う天蓋。地を覆う白雪。

幽玄麗らかに欠けてゆく蒼星。

世界がだんだん消えていく。

心に走る、ずきん、とした小さな痛み。

 

 

月は、嫌いだな。また、あの日のことばかり、思い出されて。

 

「──────あぁ」

 

意外と当たり前のことって、気がつかないもんなのかな。

あぁ。今夜だけは、こう思えた。彼女もきっと、同じことを思っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今夜はこんなにも───月が、綺麗だ───




赤い鬼人

七夜黄理
性別 男性
身長 不明、白邪(175cm)より高い
体重 不明、身長にしてはかなり軽い
誕生日 不明
血液型 AB型
好きなもの 不明
嫌いなもの 甲斐性無し
所属 七夜一門当主
武装 鉄棍、七夜の短刀、浄眼


混血への切り札と称された最強の退魔の血族、七夜の当主。
当時はまだ若い青年であり、退魔業を行ってきた年月は少なめだが、それでも戦闘経験は豊富であり、卓越した身体能力と敏捷性で、七夜の身内でも、最高傑作と呼ばれた。

作中では【とある一家】を壊滅させる任務のため乙黒を訪れたが、残念ながら既に目標となる混血族は壊滅していた。そのため肩を落として帰ろうとしていたところ、中村という混血族を発見してしまう。以後、独断として中村を壊滅させようとしたが、中村邸の中で、当主の絢世に呆気なく敗北することになる。
偶然が重なってなんとか生き残るが、絢世の能力でトラウマを植え付けられ、中村、及びその分家筋である遠野は人間にとって最強の脅威となる魔だと認識することになる。

こうして時間が経つ中、中村の長男、白邪と遭遇し、これを奇襲で討伐しようとしたところ、同行していた少女に妨害され、失敗。
そのまま大切な人を奪われたことで怒りを抱いた白邪と衝突することになる。

作中では絢世に負けたり、トラウマを植え付けられたりと、負け犬のイメージが強いが、実際のところ、この時点での黄理は最盛期。
もとから暗殺を得意としているが、正面からの戦闘もお手のもの。正面から白邪を圧倒するなど、普通の人間とは思えない攻撃を繰り出す。

武装は太鼓のバチのような鉄棍2本を愛用している。
刃などついていないにも関わらず、その棍で相手を斬ったように解体し、刺したりすることから、名前の如く、「錐」とも呼ばれる。
暗殺を生業としているからか、時に卑怯な手段に出ることも厭わず、凶器を平気で隠し持ったり、肉弾戦の最中に短刀を持ち出してきたり、邪魔する者はターゲットでなくとも殺す、外道レベルでの冷酷さ、残忍さを見せることもある。

眼に宿しているのは七夜一門が継承する、見えざるモノを視る超能力、浄眼。
黄理の場合は、相手の思念を色として視覚化することができる。
これによって相手の思考を呼んで一手先を読み込んだり、気配を遮断した相手を探知したりすることができるが、目の前にいる相手に対しては相性が悪く、暗殺のための能力といえる。

衝撃の存在を知り、それに固執してしまった彼の思いと覚悟は、いずれ一家を壊滅へと導いていくことになる。

月姫零刻屈指の悪人といえば? 中「いや、だから誰も入れないってば!」ヨ「票が50個以上入ったら主人公交代ね!」中「足りなかったらヨエルコーナー終わりだからな!」

  • 口悪すぎ横暴すぎてみんなボコす中村白邪
  • 目的のために街の人々を犠牲にしたヨエル
  • とりあえず悪役のロア
  • その他
  • 誰もお前のアンケートに票なんか入れねぇよ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。