1話:誕生の時来たれり
───意識が混濁する。黒く暗い闇の中にいる。俺は、僕は、私は、口調が安定しない。
自分を理解できない。慌てて何故か存在する過去の記憶に縋り付く。
情報を確定させよう。自分は現代に生まれ育った。性別は男。広く浅く有名なサブカルを嗜んでいた。二次創作も好きだった気がする。……自分についての理解が深まってきた。
このようなシチュエーションには覚えがある。恐らくは転生、或いはそれに類する物だろう。ならばこの次に起こり得る出来事は…
其処まで思考した時、唐突に視界が光に覆われる。
……
機械的に産声を上げ続けながらも眼を見開き恐らく父母であろう人物達を観察する。
見目麗しい緑髪緑眼の男、そして同じく見目麗しい美女。
彼らが会話をし始めると
そんな事は本来あり得ない筈だ。現状
ひたすらに産声を上げ続けながらも脳を回転させ思考を続ける。同時に現状を把握する為に
『ダビデ様、子供が産まれました。貴方と私の子供です。あぁ、なんて可愛らしい。』
『バト・シェバよ、この子にはなんと名前をつけようか?』
『ダビデ様、私はソロモンという名前にしたいと存じます』
『ソロモンか…よし、愛しき我が娘よ。此れよりお前はソロモンだ。』
ダビデとは旧約聖書に登場する人物であると前世の知識より理解できる。そして母がバト・シェバで名前がソロモンならば
ダビデ王が緑髪なのも驚きだ。旧約聖書には見目麗しいとは記述されていたがまさか緑髪ともなれば通常の旧約聖書の世界ではあるまい。
そもそも
緑髪のダビデ王となれば前世の記憶にはTYPE-MOON世界しか思い浮かばない。勿論それ以外にもあるかもしれないが、知識がないのだからしょうがない。TYPE-MOON世界だと仮定して考察をしよう。
ソロモン王が出てきたのはFate/Grand Orderという作品だがその作品ではソロモン王ははっきりと男性として描かれていた。しかし、TYPE-MOON世界には平行世界が存在している。アルトリアとアーサー然り、
ならば、すべき事はまずゲーティアを人類悪にならないようにしなくては。人類悪の連鎖顕現など世界に……
待て、おかしい。此処まで思考した所で疑問が湧き上がった。
何故
────恐怖が湧き上がる、その筈なのに
理解する。かつて、実感が湧かなかった「感情を抱く自由さえ無かった」という部分。
……だが、まぁ良いだろう。前世の知識も用いて
そうだ、ゲーティアを創造するのは確定として彼らをどうやって人類悪に堕ちないようしなければ……
思考を幾重にも重ねながら