げんまいちゃーはん様、Dレイ様、kubiwatuki様、たかの様、誤差報告ありがとうございます
また作者の間違いを指摘してくれた皆様、誠にありがとうございます。
同時に皆様を不快にさせた事、深くお詫び申し上げます。
僕は目の前の人物達を見て私の勘違いを確信し、同時に現在の僕の推測が正しかったことを悟った。
魔神柱達がブリシサンの使い魔を突破するなら二十八柱融合か戦略級魔法師で来るものだと思っていたが、予想が的中したようだ。
時計塔諸共吹き飛ばして『鍵』を強奪するつもりか。後でブリシサンに連絡しておこう。
自己紹介をしよう。僕の名前はロマニ・アーキマンであり、私の名前はソロモンである。
現在は国立魔法大学附属第一高校の医療部門のトップとして働く、魔法師でもない平凡な人間だ。
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結論から言ってしまおう。私は私の弟子であるブリシサンによって召喚され、そして受肉を果たして人間となった。
ブリシサンはエルサレムの神杯を開帳した際に、その記録から遠い昔に見た事がある魔神柱達が人理定礎を破壊していた事を認識した。
幸いにもエルサレムの神杯によって、その企みは阻止されたがこれ程までの執念で人類史を破壊しようとした魔神柱達が諦める筈もない。次はエルサレムの神杯が狙われると確信したブリシサンは『鍵』を守護できる英霊を召喚して『鍵』を託そうとした。
その召喚された英霊こそが私である。
魔神柱の事ならば魔神柱を創った張本人であるお師匠様が最も詳しいだろう。ついでに今までの恩返しにお師匠様に現世を謳歌して貰おう。
そんな考えの元、特殊魔法師部隊を壊滅させる為のサーヴァント召喚を行った後に、指環を触媒として
私はブリシサンから詳しい話を聞き一瞬思考を停止した。人理焼却が防がれた事自体は喜ばしい。だがそこが問題ではなく、ブリシサンが敵対しているという現代魔法師が問題であったのだ。
1999年から超能力の開発が始まったという歴史。2015年から魔法の開発が魔法技能の開発から魔法師の開発へと転換した。
……いずれも私が想定していた未来には存在していなかった歴史であったのだ。
しかしそれよりも『鍵』を奪取されない為の方策を考えなければと思って、
ブリシサンの傍に控える4体の幻想種を見てその考えを改めた。
ヤバい面子だった。一体だけでも魔神柱一柱くらいなら普通に殺せそうな面子だったし、多分人類悪であろう魔神柱に反応して英霊が召喚される事も考えれば瞬殺可能と言っても差し支えない戦力だった。
私はそんな使い魔がいるなら別にエルサレムの神杯を使わなくても現代魔法師くらいなら簡単に皆殺しにできるのでは?と思ったし口に出した。
ブリシサンは私の功績を以て私の功績を軽視する愚者を滅ぼすのだと熱弁してくれたが、私は理解できなかったし放置する事にした。
魔神柱対策は英霊召喚もあって問題無し。魔神柱達が使役する可能性のあるサーヴァントもブリシサンの使い魔で十分に迎撃可能。
トップサーヴァントならばブリシサンの使い魔も突破できるだろうが、彼らはそもそも魔神柱には協力しない。
早くも目的を失った私は、結局ブリシサンの食客として医学の勉強をする事にした。
そしてサーヴァントとしての能力を封印する事を代償に受肉する魔術を用いて一人の人間としての僕を確立した。
名前は記憶に残っていた名前をそのまま拝借させて貰った。正直、僕ではレメゲトンだのゴエティアだのネーミングセンスの欠片も無い名前しか思い付かなかったのだから仕方がない。
僕はブリシサンにお世話になる中でその使い魔である『狼』と仲良くなった。
何でも先代からブリシサンに仕えていたようで、彼自身は先代が亡くなった後から仕え始めた為、他の使い魔から末っ子のように可愛がられるのが悩みらしかった。
……千年級の幻想種からそんな悩み相談を受けて僕は弟子が僕よりも遥かに長い人生を積んできた事を実感したし、威厳を出せるような服をプレゼントしてあげた。
今でもあの時の彼の喜びような深く印象に残っている。鼓膜が破れるくらいの咆哮を真正面から受けたのだから無理はないだろう。
直ぐに謝られたが、何というか末っ子扱いされる理由を垣間見た気がした。
医学の勉強自体はかなり捗った。覚える事は多かったけれども分割思考や高速思考を用いれば特に苦戦する事もなかった。
勿論、僕も医学に励むだけではなく現代を大いに満喫した。映画も沢山見たし本だって沢山読んだ。
それでも僕の娘が男として伝わっていると知った時はかなり困惑したけれども。
裁縫も学んだ。一応売れる程度には上達したし、『狼』君にプレゼントした服も僕自らが作った服だった。尤もデザインセンスはなかったからデザインはブリシサンの提案による物だったが。
一応素材は霊墓アルビオンで採れた幻想種の毛皮を使ったから品質には自信がある。
一時期はアイドルにも嵌った。すぐに心を破壊されてしまった。それからはバーチャルアイドルに入れ込むようになった。
大いに人生を楽しみ、生命を謳歌する傍らで医師としての仕事も熟した。
何度か難手術を成功させて、ある程度の知名度を持つようになった頃には大抵の国には歓迎されるようになった。
そして2079年にライノール家の娘が日本に亡命したと聞いて、僕は日本で仕事に就く事にした。
それなりに有名な医者で、魔法師でもない僕を日本政府は快く歓迎してくれた。
赴任先は僕自らが国立魔法大学附属第一高校を志望し、政府もまたそれを受け入れて僕は晴れて保険医となった。
僕はある程度の地位をあらかじめ築いておく事によって、この学校に入学するであろう魔神柱の端末を気付かれぬまま監視しようとしたのだ。
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そして今、僕はこの学校の医療部門のトップとして在籍しているが、おかげで余計な負担ができてしまった。
そんな回想と思考をしながら僕は目の前の生徒会長と向き合っていた。
場所は医務室、入学式が終わった後に僕は無理矢理七草会長に連れられて尋問を受けていた。
「どういうつもりなの、ロマニ。」
「Dr.ロマンと呼んで下さいっていつも言ってるじゃないですか。七草会長。」
「はぐらかさないで。随分と猫を被ってたわね。何が目的であの二人に接触したの?」
「まさか。新入生に少しいい所を見せたかっただけですよ会長。」
「そもそも貴女が魔法師ではないというのも疑わしい所よ。」
「一般人だよ。今も昔も変わらない。」
「嘘でしょう。私が幼い頃に見た時とまったく姿形が変わらない。貴女は一体どんな外法を使っているの?」
「外法だなんて、君にそう思われるのは不本意なんだがね。ただの若作りさ。」
彼女に見えないように僕は
そんな他愛もない事を考えながら話を聞き流す。
「一時期"時計塔"に在籍。老齢の女王の手術まで成功させた名医が十五年前に突然…」
「御託は良い。ソレは君には知る必要もない話だよ、七草真由美。」
光を完全に遮断するサングラスを眼に掛ける。目の前の少女が何かするよりも早く光が部屋を包み込んだ。
"ソレ"は「忘却」と「改竄」の概念が刻まれたブリシサン謹製の腕時計。
機械すらも誤魔化す魔術礼装であり、ここ数年の間ロマニが手放せなくなってしまった便利道具である。
『お前は何も疑問に思わなかった』
正直面倒くさいというのが本音だ。記憶を改竄しているせいで何度も尋問してくる。一々記憶を消すのもいい加減飽きてきた。
というか、私が後始末をしないといけないのか。
思わず溜息が出てしまう。おやつでも食べようと医務室に備え付けられている冷蔵庫から苺のショートケーキを取り出す。
まぁ適当に外に出しておけば意識を取り戻した後に何とかするでしょ。
僕はケーキを頬張りながらそう考えた。
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時計塔にて
「くっしゅん」
思わずくしゃみが出てしまう。妖精である私が何故くしゃみをするのか考えて、日本に行った友人の事を思い出した。
あの常に微笑みを浮かべていた友人と直接会わなくなってからもう十五年近くも過ぎている。
今日も今日とて奴が贈ってくれた紳士服を着こなしながら私はブリシサン様から授業を受けていた。
今日のカリキュラムはテーブルマナーと軍略、そして料理だ。料理とロマニが結び付いてしまう。
瞬間、私は授業中にも関わらず眩暈を起こしてしまった。アレはまさに最悪だった。作られるべきではなかった哀しい生命であった。
二十年以上前のバレンタインに起きた惨劇を記憶から消去する為に頭痛を我慢しながら私は更に授業に集中した。
魔神柱達がソロモンの召喚に気付かなかった理由
「過去に死んだ自分と今を生きている自分が会う事はない。」
そんな理屈を用いたブリシサンの魔術によって魔神柱達はソロモンの肉体に巣喰い続ける限りソロモンを認識できない。
ロマニが医者になった理由:妃と娘が病死していた。