何年か経った。
私は動けるようになってから直ぐに目一杯運動した。
将来の家臣に裏切られないように親交を深める目的もあったが、何よりも身体を鍛える必要があったのだ。
子供の頃の生活が将来を決定付けるという、ならば今の内に身体を鍛えた方が良いだろうと判断し父ダビデ王の家臣達の子供と共に朝から晩まで遊ぶ。
王となれば前線に出て戦う事など無いだろうが執務等は当然あるのだから体力を付けておいて損はないだろう。
勿論、運動だけではなく勉学にも励む必要がある。夜になれば国の蔵書を読み漁る日々。
……この身体は極めて高性能だ。前世の私の肉体と比べて何段どころか十数段は上だろう。
その為に帝王学のような王としての教育も問題なく記憶できるし前世で学んだ知識も簡単に思い出せる。
数学は記憶している限りの定理を書き出し、理科の分野も記憶している限りの全てを書き記した。
国の賢者達は此れらの書を与えるだけでさらなる智慧を生み出してゆくことだろう。まったく頼もしい限りである。
そして私は今、父や母と共に晩餐を食べている。
『ソロモンよ、もうすぐお前の誕生日だろう。何か欲しい物はないか?我に用意できる物ならば何でも用意しよう。』
不意に父が私に告げる。未来の王として要求すべき物は何かと思案して、結局私は魔導書と告げた。未だに魔術について教えて貰っていないが、私としては一刻も早く私の護衛となる使い魔が欲しかったからそう告げたのだ。
『ソロモン、そんな物で良いのですか?遠慮せずに櫛だとか服だとかを強請ってもいいのですよ。』
母が私に告げる。親しみやすさをアピールするのならそれも良いだろうが、私が装飾品が好きだと誤解されても困る。この時代では女というだけで舐められる可能性があるのだから女らしさよりもアピールを演出したい。故に私は母に櫛や服も好きだが今は魔導書が欲しいと告げた。
晩餐を食べ終え私は自室へと戻った。書が山と積まれた部屋だ。部屋の中で私は一人思案する。内容はゲーティアについてだ。
TYPE-MOON世界において本来の人理補正式はソロモン曰く「七十二の用途を持った使い魔」らしいが私が知っているのは魔神柱だけだ。
用途の幅広さや利便性等を考えれば普通の使い魔を創造するべきだろうが私の意識は前世の私と同一であるからして知識ばかりが豊富なだけで本来のソロモンのような発想力は無い。
故に私は本来の後にソロモン七十二柱とされる使い魔を作成するのではなくまずは魔神柱達を創造しようと決断したのだ。
伝承通りの能力を創造するのは時間が掛かるのだから基礎部分だけ創造して後から手を加えて行こう。
勿論、魔神柱を創るのは魔導書を父から受け取ってからの話だが。
千里眼で未来を見ようとも思ったが、私の千里眼は見る範囲が広すぎて余計な物まで見通してしまうから脳に負担が掛かってしまう。魔神柱達が出来たら千里眼の負担も分散させよう、そう思いながら私は眠りに堕ちた。
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とうとう誕生日になった。父の家臣達が私の誕生日を祝福し、王宮で盛大なパーティーが開かれる。
絢爛豪華なパーティーの中で私は椅子に座りながら魔神柱を創ったら千里眼で過去と未来の王達を見ようと決めた。彼らの生涯は私にとって良い影響を与えるだろう。
魔導書を贈られた後に思いを馳せながら私は無感情に父の家臣達と談笑した。