もしもG・IのNPCになったなら   作:Σ18

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短いです


プロローグ
第1話


「きゃん!」

 

 コテッという擬音語をそえ、また自動的に(・・・・・・)転ぶ。

 

「メガネメガネ」

 

 これもオレの意思とは関係なく、いつも通りの(・・・・・・)セリフを紡ぐ。いかにもアタフタしてます、と全身で訴える。

 

 もう何回目だったのか記憶にない。

 

 

 

 

 

 

 大学には二つの人種が存在する。

 

 将来を見据え、勉学やスポーツに励み自分を磨き、ついでに学生生活を謳歌したいやつ。

 将来への展望もなく、ただただ怠惰に学生生活を延長し、ついでに大卒資格という名の社会への通行手形を手に入れたいだけのやつ。

 

 オレは明らかに後者。

 

 特にやりたいこともなく、だらだらと過ごせればそれでいい。だからこそ漫画研究同好会、略して漫研に所属しているわけで。

 

 ……なのに、なんでだろうな。なんでオレは自宅に帰ってからも執筆作業をしているんだろうな。くじ引きで、ハズレを引いたからか。いや、そもそも部長の唐突な提案のせいだろう。

 

「そうだ、グリードアイランドを作ろう‼」

 

 全てはそこから始まった。

 そうだ 京都、行こう。みたいなノリで推し進めるな。内心めんどくさいとは思いつつも、反抗するのもめんどくさいわけで。所詮、流されやすい日本人だよ。

 ……ただ、まぁ、そこまではいい。どうせ暇なんだ。問題はくじ引きで恋愛都市アイアイの担当になってしまったことだろう。この街の設定上、とにかく求められるテキスト量が多い。しかも痛々しいイベントを作成しなければいけない羞恥プレイつき。正真正銘1番のハズレくじ。

 

 最後にスマホで確認した時は、深夜1時を過ぎていた。テキストが難産で、徹夜続きときたもんだ。いつの間にか眠ってしまっていたらしい。……だってそうだろ?

 

「ちょっとドコ見て歩いてんのよ!」

 

「あのーー今オレカットモデル探してるんだけど」

 

「放して‼ 大声出すわよ‼」

 

 そこかしこで発生するベタな出会い。街の中央には巨大なハート型のモニュメント。空気の色すらピンク色に感じるここは、どう考えても恋愛都市アイアイだ。

 そう、あのグリードアイランドに登場する恋愛都市アイアイである。

 

 気が付いたら、そこにいた。

 

 根を詰めすぎてとうとう夢にまで現れたのか。相当頭がヤバいらしい。

 とはいえ、せっかく明晰夢を見れたのなら楽しむしかないな。これは不可抗力だろう。1人で言い訳しながらうっきうきで歩き出そうとすると、

 

 突如として身体が引っ張られ、その勢いのままにすっ転ぶ。

 

「きゃん!」

 

 ……CAN? なんだ、この声。やたら可愛らしいが、自分の口から出たと思うと気持ち悪いな。もしやこの身体、女キャラか。

 おまけに目が悪いらしい。転んだ弾みでメガネを落としたようだ。視界がぼやけている。いわゆるメガネっ娘か。原作にもそんなキャラいたな。

 

「メガネメガネ」

 

 また声が勝手に……身体もそれに合わせてメガネを探す動作をとるし。どうやらこの明晰夢、意識はあるものの、自分の意思では動かせないタイプか。つまんな――

 

「だ、大丈夫かい……‼」

 

 見上げる先には幸薄そうな冴えないおっさんが。メガネを探してくれるらしい。……ん? あれ、このおっさんどこかで……、

 

「よし‼ これで第一印象はバッチリ……‼ この調子で漢を見せろモタリケ‼」

 

 ……やっぱりモタリケ君じゃないか! 心の声がバッチリ聞こえてるぞ。バッチリなのは第一印象じゃないんだが?

 まぁ何はともあれ、こいつに会ったら言うしかないだろうこのセリフ。

 

「モタリケ君のちょっといいトコ見てみたいーー♪」

 

 せいぜい頑張ってメガネを見つけてくれよ? モタリケ君。

 

 

 

 ……そういえば、声、出たな。自分の意思で。




1週間に1話くらい出せたらいいな
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