あれから1時間も潜っていた
下り階段を降りて直ぐの所にコボルトと呼ばれる奴と遭遇した。
「これ倒したら帰るか。」
などと油断しているとコボルトは最初から気付いていたのかいきなり攻撃してくるのを転がって回避し急いで武器と盾を構えた
「クソが!」
自然と口からこぼれ出てきた
ゴブリンが弱すぎて忘れていた、これは殺し合いだ、アイツはオレを殺したい、オレもおまえを殺す。それだけだただそれだけなんだ、そうこれが冒険者
手が震える
死にたくない
もう油断はしない
だからお前を倒す‼︎
「うおあぁぁぁ‼︎」
恐怖をかき消す為に叫んだ、震えは消えた前に走るコボルトに目掛けて、奴も近づいている、
剣を振ったが躱される、爪で弾かれ体毛を削ぎ落としただけ、
相手の攻撃は思ったよりも強く盾を使っても反動で身体がずれる、爪を使ってこちらの命を取りに来る、攻撃を防ぎきれなくて頬に爪が掠った
「だけど大人に殴られる方がよっぽど痛ぇ」
勢いよく前に出る、相手も爪を振るうのを爪を盾で弾いた隙に剣を突き立てた。
パキリと音を鳴らしてコボルトは消滅した。地面にはドロップアイテム『コボルトの爪』が落ちてありそれを拾うと元に来た道を少しふらつきながら帰った。
ホームに帰ると何故か寝巻き姿のアミッドが外に出て立っていた。オレは嫌な予感がして来た道を戻ろうとした途端パキッと足下の小枝を踏んでしまった。
夜中に音を立てたこともありアミッドはこちらに気付いた様で全力で走って来た。オレは怖くなって逃げた、20Mはあった距離もわずか数秒で首根っこを掴まれてしまった。そしてアミッドの部屋の床に正座されられている。
「ではアルガさん何故この時間に外に出ているんです?」
その声は怒気を含んでいた
「え、いや、あの、夜中の散歩に…」
動揺して咄嗟に言い訳をしてしまった。
「では何故帯刀しているんでしょうか?」
「夜中の外は危険だから…さ」
誤魔化しきれる自信がない
「へぇーじゃあ何で顔に傷が付いているんですかね?」
「えっと…それは…その…ごめんなさい。ダンジョンに潜りました。」
もう誤魔化せないと思い自白した。
「私がどれだけ心配したと思ってるんですか!気付いたら隣に居なくてホームにも居なくてディアンケヒト様を無理矢理起こしてまで生きているか確認して、貴方はもう私たちの家族なんです、心配する人もいると言う事を忘れないで下さい。」
抱きつかれた、凄く暖かかった全てを包み込んでくれるかの様な優しさに何故か涙が溢れる
「ほんとうに、ごべんなざい…」
涙が止まらなかった、ここまで心配されるとは思ってなかった、今まで心配なんてされた事が無かった、オレはここに居て良いんだ。
気付いたら昼になっていた、ずっと眠っていたらしい、頬の傷も手当てしてくれていた。
そしてオレは二週間のダンジョン禁止令を出されたのだった。
アルガ・ゼニファ
『Lv1』
力: I0→I21
耐久I0→I24
器用I0→I8
敏捷I0→14
魔力I0
《魔法》
《スキル》
所持金
300ヴァリス(アミッドから貰ったお小遣い)