量産型にしかなれないんだけど   作:クォーターシェル

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15話 ブリテン2

ヴォーティガーンを倒した後、ブリテンは一応の平穏を得た。いや、偶に怪人みたいなピクト人が襲ってくるし、危険な魔獣や妖精も闊歩しているのでよくよく考えればあまり平和ではないのだが。まあ、鍛錬したり宴したりで終わる日も出てくるようになったのでまあ平和としよう。そしてアルトリアはギネヴィアと婚姻し、正式にブリテンを守る騎士達、円卓の騎士が結成された。そうして他にもガウェインやアグラヴェインの兄妹であるガヘリスとガレスや常に兜を被った謎の騎士(笑)モードレッドが加入した。俺はと言うと、正式な騎士ではないが、協力者としてキャメロットに留まっていた。

 

さて、ブリテンの統治だが、これには皆悩まされた。なにせこの土地は基本的に痩せていて、作物があまり育たず本格的に国を運営するとなると、野菜などを外国から輸入するのは不可欠だった。取りあえず交易はフランス出身であるランスロットの伝手を使っていた。しかしそれだけでは心もとないので、俺は畑を作り、栽培を試みた。結果は散々だったが。ジャガイモがあればいいのだが、新大陸から持ってくるには遠すぎるしなあ……俺達はブリテンの産業について話し合った。

 

「よし、ブリテンの牛や豚をなんか珍しい価値を付けて輸出しよう。円卓の騎士が監修してるとか売れるんじゃないのか?」

 

と俺。

 

「我々は農業に関して素人なのですが?漁業に力を入れるのはどうでしょうか?陸より海です」

 

とトリスタン。

 

「うーむ。海賊は居ますがこの痩せた土地で多くの恵みを望むよりはいいんでしょうか……?」

 

とパーシヴァル。

 

「妖精の力を借りるのはどうですか?彼らの力なら痩せた土地でも恵みを増やすことができるのでは?」

 

とランスロット。

 

「冗談でしょうランスロット郷?妖精たちが人間にまともに力を貸すはずがない。少なくとも大規模な事業の協力は難しいでしょう」

 

とガウェイン。

 

「こうなったら他国を侵略すればいいじゃねえか。どうせ他の国もやっているんだ。俺達がやって責められる謂れはないぜ」

 

とモードレッド。

 

「それは余りにも短絡的すぎるのではモードレッド卿……」

 

とガレス。

 

「じゃあ観光業に力を入れるってのはどうかな?キャメロットとか見どころはあるでしょ?」

 

と俺。

 

「観光業?客と称した密偵に我らの手の内を晒されるのが落ちだな」

 

とアグラヴェイン。

 

会議は踊り、されど進まずといった感じだった。モードレッドが

 

「おい、メン!お前の魔術擬きやマーリンの魔術でどうにかなんねーのか?」

 

と聞いてくる。俺は

 

「流石に俺の魔法じゃガス欠になる。マーリンの魔術も精々花畑を作るくらいが限界じゃないかな……」

 

と答えた。

 

「そもそも観光ってのはどういう風にやるんだよ。観光客なんて殆どいないぞ。このブリテンに」

 

とケイ。

 

「来る者といえば大体侵略者ですしね……」

 

とベディヴィエール。ランスロットは

 

「王よ、そういえばマーリンは何処に?」

 

とアルトリアに聞く。アルトリアは

 

「マーリンはちょっと街で遊んでくるといっていました」

 

と答えた。俺達が一応真面目に会議してるって時にあの野郎……。会議は取りあえず畜産業と漁業に力を入れてみるということでまとまり終わった。会議が終わった後、俺はアルトリアと話す。

 

「メン……貴方や円卓の騎士達には迷惑を掛けますね……私がもっと優秀な王ならば」

 

と言うアルトリアに俺は

 

「気にすることありませんよ。俺達は仲間でしょ?それにアルトリアさんは立派な王様ですよ。だから自信を持ってください」

 

と言った。

 

「ありがとうございます。ところで話は変わりますが、先のローマとの戦での傷はどうですか?」

 

とアルトリアは言ってくる。そう、少し前にブリテンには今代のローマ皇帝ルキウスが率いるローマ連合軍が攻め込んできたのだ。俺はその時のことを回想する。ルキウス・ヒベリウスは大連合軍を率いり、大陸に覇を唱えた人物で魔剣フロレントを武器とし、巨人などの人外すら従えているとんでもない奴だ。

 

そんなルキウスを迎え撃った俺達だが、俺がルキウスと対峙した時、既にガウェインやベディヴィエールが戦闘不能にされてしまい。アルトリアの到着を待たなければならなかった。仮面ライダーアバドンに変身していた俺は

 

「くそっ!お前らローマはブリタニアに手を出すなって言ったろーが!」

 

とルキウスに言うがルキウスは

 

「一体何時の時代の話をしている仮面ライダーよ。その時のネロ帝は既にこの世を去っている。俺には関係のない話だ」

 

と答えた。くっ、これに関しては正論か……しかしむざむざこのままブリテンを侵略される訳には行かない。俺はスラッシュアバドライザーを構えてルキウスに切りかかった。しかし、

 

「無駄だ。お前程度では俺に勝てるわけがない」

 

とあっさり避けられ、腹に蹴りを入れられてしまう。俺は吹っ飛びながらも何とか立ち上がり。再びルキウスに向かって行った。ルキウスは魔剣フロレントを抜き、俺のスラッシュアバドライザーと鍔迫り合う。

 

「貴様、本当に人間か?ライダーに変身する力といい、その異常なまでの戦闘力。どう考えても普通ではない」

 

とルキウス。俺は

 

「うるせぇ。俺はただの人間だよ。だが、今の俺はブリテンを守りたい。それだけだ」

 

と答え、力を込めて押し返した。だがルキウスは涼しい顔で

 

「確かに強いがかつてローマに見せた程の力ではないと見た」

 

と言い、フロレントから赤い雷撃を放つ。俺に直撃し、思わず膝をつく。そしてさらに追い打ちをかけるように俺を蹴飛ばし、

 

「弱いな。所詮は蛮族か」

 

と言ってきた。

 

「まだだ……俺は……負けられねえんだよ……!」

 

と俺が立ち上がると

 

「ふん。往生際が悪いな。さっさと死ね」

 

とルキウスは再び俺を斬りつける。

 

「ぐわぁあああ!!!」

 

と叫び声を上げる俺。俺の変身は解除されてしまった。

 

「お前の負けだ。とどめを刺してやろう」

 

と言うルキウスだが、俺は

 

「そ、それはどうかな……」

 

と言った。その時俺の後方から怒号が上がる。アルトリア率いる援軍が来たのだ。敢えて変身時間の長い方のアバドンになっていた甲斐があった……

 

「何?」

 

とルキウス。その視線の先にはアルトリアが居た。

 

「よくやったメン、ガウェイン、ベディヴィエール」

 

とアルトリアは言った。その後はアルトリアとルキウスの戦いが始まり、壮絶な死闘の末にアルトリアのエクスカリバーがルキウスを消し飛ばして決着した。ルキウスは聖剣の効果で歴史の表舞台から消え去り、残された敵連合軍も退却していった。あの時はまた死ぬかと思ったな。ルキウスは強かった。サーヴァントとなるなら上位の実力になるだろう。回想を終えた俺は

 

「ああ、回復していってますよ」

 

と答えた。アルトリアは安心した表情を浮かべていた。

 

「そうですか……。では私も少し街を見て回りましょうかね」

 

と言ったので俺は

 

「護衛として俺を連れて行ってくださいよ。一人だと危ないですし」

 

と言う。するとアルトリアは

 

「ふふ、メンは心配性ですね。分かりました。一緒に行きましょう」

 

と微笑んだ。街に出た俺とアルトリア。勿論アルトリアは顔を隠している。

 

「おーい!そこの兄ちゃん!今日はいい魚が入ったよ!買っていきな!」

 

「そこのお嬢さん!うちの野菜を買っていかないかい!?」

 

「メン、何か食べたいものはありますか?」

 

とアルトリアは聞いてくる。俺は

 

「そうですね……。じゃあ魚料理とかどうですか?」

 

と言った。ブリテンはメシマズとも言われているが汚染も少ない今の時代なら楽しみだ。

 

「成る程。良いかもしれませんね。ではそちらの方に行ってみますか」

 

とアルトリアは言ったので俺達は市場に向かった。

 

「メン、これなんかどうでしょう?」

 

とアルトリアは言う。彼女の手に握られている魚の串焼きは中々美味そうだ。

 

「じゃあそれにします」

 

と俺は答える。値段は銅貨5枚だ。俺達は屋台で買った串焼きを食べながら散策を続けた。ブリテンの市場は活気に満ち溢れていて、様々な商品が並んでいる。そんな中で俺達はとある店を見つける。その店の店主は妙齢の女性だった。どうやら占いをやっているらしい。

 

「へえ、面白そうじゃないですか。やってみましょうよ」

 

と俺が提案すると

 

「そうですね。折角だしやってみましょうか」

 

とアルトリアは答えた。

 

「はい。それでは始めさせていただきます。貴方の未来をお教えいたしましょう」

 

と占い師は言い、アルトリアを占った。

 

「貴方は未来に大きな試練が待ち構えるでしょう」

 

と言う結果が出た。アルトリアは

 

「大きな試練ですか……」

 

と顔を曇らせる。俺は

 

「気にしすぎることはないですよ」

 

と言った。次に占い師は俺を見て、

 

「貴方は……詳しく占いたいので奥の部屋に来てくれませんか?」

 

と言った。俺はアルトリアに

 

「じゃあ、後は帰るだけだろうし先に行っててください。後から行きますから」

 

と言った。アルトリアは不安げな表情をしていたが

 

「分かった。待っています」

 

と言い、先に城の方に戻って行った。そして、俺は奥の部屋に入った。そこには水晶玉があり、俺を映し出していた。

 

「えーと、じゃあ俺の生年月日とか言うのかな?俺覚えてないんだけど……」

 

と俺は言うが占い師が、

 

「まだ気づかないのですか?」

 

と言ってきた。すると占い師がアルトリアに似た顔の若い女性になった。

 

「貴女は……モルガン!?」

 

そう、占い師に化けていたのはアルトリアの姉である魔女モルガンだった。彼女は不敵に笑い、俺を見る。

 

「そうです。このくらいの変装如き見破ると思っていましたが、貴方を少し買い被ってましたか……」

 

とモルガン。俺は

 

「一体何のためにこんなことをするんですか……?」

 

と聞いた。するとモルガンは

 

「簡単なことですよ。メン。貴方は私の味方になりませんか?見返りは、そう……私の身体と言うのはどうです?」

 

と俺に枝垂れかかってくる。俺は

 

「いや、断るよ。少なくともアルトリアが生きている間は彼女の味方でいるって決めたからな。モルガン、貴女こそアルトリアといがみ合うのは止めたらどうですか?ブリテンを守りたいという思いは同じはず」

 

と言った。しかしモルガンは不敵な笑みを浮かべたまま

 

「ふん。古の英雄よ。だからといって、はいそうですか、と諦められるわけがないでしょう?」

 

と答えた。この人は……正直言って苦手だ。多重人格を患っている節があるし、異聞帯に登場したモルガンに比べて全体的に露悪的な人物なのだ。でも俺は

 

「俺は、貴女を嫌いにはなれない。貴女は根は真面目だと思うし、たぶんブリテンを思っているのは本当だ」

 

「私を口説いているつもりですか?ならば私の男になりなさい。さすればブリテンは救われましょう」

 

「いや、それはできない。俺は今のアルトリアが好きだからな」

 

と言うとモルガンは俺を押し倒した。

 

「強情な人ですね……。まぁいいでしょう。貴方を手に入れたところで大した問題ではないのです。いずれ私が王となります。今回は温情を掛けますが、念のため記憶を消しておきましょう」

 

とモルガンは言い、俺の目の前は真っ暗になった。

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

……はて、俺は確かアルトリアと共に街の散策に来ていたはずだが。

 

「あっ、アルトリアは先に戻ってるんだっけ」

 

どうして途中でアルトリアと別れたのか思い出せないが、まあいいか。俺は城に戻ることにしたのだった。

 

その少し後、新年が近くなりキャメロットでも忘年会が行われていた。俺達は新年を祝っていたが、その途中で奇妙な訪問者が来た。その男は騎士らしいのだが、鎧の色から、肌の色まで緑色だった。俺や円卓の騎士達は動じていなかったが、その他の者達は流石に気味悪がっていた。その男は俺達に首を斬り合うゲームをしないかと誘ってきた。首切り先攻権が与えられたのはこちら側。ただ先攻側には条件がある。一年後、「緑の礼拝堂」と呼ばれる場所にて、同じ目に遭わなければならないというものだ。その挑戦を受けたのは円卓の騎士の中でもランスロットに並ぶ実力を持つガウェインだった。

 

「卿よ。後悔しませんね?」

 

と言ったガウェインはガラティーンを抜き、一撃で緑の騎士の首を切り落とした。それを見ていたもの達は歓声を上げた。しかし、その歓声は直ぐに困惑のどよめきに変わった。首を切り落とされた緑の騎士が首を拾い上げこう言ったのだった。

 

「1年後、緑の礼拝堂で待っている。そこでお前に仕返しの一撃をくれてやる」

 

そう言い残した緑の騎士は首を抱えたままその場を去っていった。俺はガウェインに

 

「厄介なことに巻き込まれたみたいだな」

 

と言った。ガウェインは

 

「そのようですね。ですがこの挑戦逃げる訳には行きません。王よ、私に緑の礼拝堂に行く許可を」

 

とアルトリアに旅に行く許可を求めた。アルトリアは

 

「分かりましたガウェイン卿。緑の礼拝堂に行くことを認めます。しかし、誰か同行者を連れていきなさい」

 

と言った。ガウェインはこちらを向き、

 

「ではメン。貴方に同行してもらいたい」

 

と言った。えっ?俺?

 




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