しかし、また評価の色が橙になってしまった。やはり小説を書くというのは奥が深い……
「しかし、見つかりませんね。緑の礼拝堂」
とガウェイン。
「あの緑の騎士、場所とか何も言ってなかったからな」
と俺。緑の騎士が現れてからそろそろ1年が経ちそうになりガウェインと俺は緑の礼拝堂を捜索していた。しかし、緑の礼拝堂所か緑の騎士の目撃情報すらろくに集まらなかった。俺は
「あいつ、俺達が緑の礼拝堂にたどり着けなかったらどうするつもりかな?」
と言った。するとガウェインは
「恐らく、緑の礼拝堂で待っていると思いますよ。しかし、私の身から出た事とは言えあのような不愉快な男のために王都を離れるとは……」
と苦虫を噛み潰したような表情で言った。確かにあんな奴のせいで円卓の騎士が旅立つのは不本意だろうな。まあ、俺はガウェインと緑の騎士のエピソードを知っているので大体の事情は分かっているのだが、まあ逆に言えば下手に物語を外れて妙なことになったら責任は負えないので真相については黙ってる。
俺達が捜索のついでに宿を探していると、眼前に見事な城館が現れる。俺達が城主に事情を話して止まる許可を得ると、来たのは円卓の騎士に仮面ライダーということで、俺達は歓迎された。俺達は一応緑の礼拝堂のことを城主に尋ねてみる。すると、
「知っていますよ」
と城主。ガウェインは
「知っているのですか!?そこは何処に?」
と言う。すると城主は
「まあまあ、約束の日までにはまだ時間があるでしょう。此処から遠い場所ではありませんそれまで此処で旅の疲れを癒して行っては?」
と言ってきた。俺も
「ここはこの人の言葉に甘えさせてもらおう。確かにきっかり1年までまだ日があるしな」
と言った。ガウェインは
「そうですね……ではお言葉に甘えて」
と言い、その晩は宴が開かれた。この時、ガウェインと城主はある取り決めをした。その取り決めとは、主人が毎朝、狩猟で得る獲物とガウェインが城の中で過ごす際に「得たもの」を交換し合おう、という契約であった。ガウェインは快く、これに同意した。翌日、城主は家来を引き連れて鹿を狩りに行くことになった。俺達はその間城で待つことになった。俺は城の使用人達に仮面ライダーに変身する所を見せて欲しいと言われた。ガウェインはというと、ガウェインの部屋に奥方が入っていて話をしているようだ。確か奥方はガウェインを誘惑する気だが、正直言ってあの奥方の容姿は美人な方だがガウェインの好みではないの放っておくことにした。俺はスマートバックルを使って、ライオトルーパーに変身した。
「お見事です!」
「ブラボー!」
と拍手喝采する城内の者達。しばらくポーズをとったりした後、俺が変身を解くと部屋の扉が開き、ガウェインが入ってきた。
「メン!貴方は一体何をしていられるのか?」
と俺に詰め寄ってくる。
「何だよ?俺だって求められたんだからいいだろう?他にやること無くて暇だし」
と俺は答えるが、ガウェインは
「貴方がそうしていた時、私はどんな目にあっていたか!奥方に接吻したのですよ!ということは……」
と言った。
「ということは?」
と俺。ガウェインは
「城主との取り決めにより今夜私は城主と接吻せねばなりません!」
と言った。俺は思わず笑ってしまった。
「はははっ、お前も大変だな」
「笑いごとじゃありませんよ」
「すまん、つい。まあ、奥さんが居るのに口づけしたガウェインが悪いってことで……」
と俺。
「私も不本意だったのですがね」
とガウェイン。と言う訳でその夜俺達は城主が狩って来た鹿の肉をいただいたのだが、ガウェインは城主に口づけすることになってしまった。流石にそういう趣味は俺は無いのでその光景には目を背けさせてもらったが。次の日も同じようなことになった。ガウェインは城主が狩った猪の肉と引き換えに城主に口づけすることになった。その後ガウェインはちょっと顔を青くしていた。俺は心の中で合掌するのだった。
その次の日、奥方の誘惑に耐えたガウェインは緑色の帯を貰った。その帯はどうもダメージを軽減するらしい魔法の道具なのだとか、ガウェインは
「耐えた甲斐がありましたよ」
と言っていた。結局口づけはしていたのでその夜も狐と引き換えに城主に口づけしていたが。そんなこんなで約束の日になり、俺達は城を出発した。城主から教えられた場所にあったのは、草むした岩窟だった。俺達は岩窟を進んで行く。途中で俺はガウェインに
「本当に首を切られるって約束を果たしに行くのか?普通に死ぬだろ」
と言った。ガウェインは
「約束なら仕方がありません。メン、貴方は私の最期を見届けて王達にそのことを伝えてください」
と答えた。しばらく進むと俺達はあの緑の騎士に再会した。緑の騎士は
「来たなガウェインよ。約束の時だ、首を差し出すがいい」
と言った。ガウェインは
「受けて立ちます!」
と言い、髪をかき上げ首をあらわにする。まず緑の騎士は2回大斧を振るった。その大斧は首の寸前で止まった。そして三度目、振るわれた大斧は果たして、ガウェインの首の辺りの皮を少し切るだけに留まった。意外な顔をしたガウェインは気を取り直し、
「これで約束は果たしましたよ」
と緑の騎士に言った。すると緑の騎士は
「ははは、ガウェイン卿、よくぞ試練を乗り越えられましたな。見届け人になってくれたメン殿もご苦労です」
と言い兜を脱いだ。
「貴方は!」
とガウェイン。その顔は少し前に別れた城主のものだった。彼が話した所によると、彼の名前はベルシラックと言い、城での一件は彼が仕組んだものだった。そして三度の首切りは、ガウェインの宮廷での行いに関係したものだという。二度の寸止めは、ガウェインが約束通り屋内で得たものを交換したためであり、三度目に傷を負わせたのは妻の腰帯を交換しなかったから……全てはお見通しだったのである。事情を聞いたガウェインは顔を赤くして、
「なるほど、そういう訳だったのですね。それではこれはお返しいたします」
とベルシラックに緑の帯を渡そうとするが、ベルシラックは
「いいのです、試練の流れとは言えそれは一度私の妻が貴殿に送った物。ブリテンを守る為にその帯が今より必要になるでしょう」
と断った。
「ありがたく頂戴いたしましょう!」
とガウェインは言い、ベルトを締め直すのだった。その後俺達はキャメロットに戻り、ガウェインと俺は事の次第をアルトリアに報告したのだった。そして俺はこの事を他の円卓の騎士、まずはベディヴィエールとトリスタンに話した。ベディヴィエールは
「なるほど、緑の礼拝堂でそのようなことがあったのですね」
と言い、トリスタンは竪琴をポロン……と鳴らすと、
「私は嬉しい。友ガウェイン卿の人間らしい一面を垣間見れたことが」
と言った。俺はそんな二人の反応に
「まあ、そういうわけで俺達が遭遇したのは、アーサー王が信頼している騎士の一人でもあるベルシラックという男なんだ。あの緑の騎士の姿はなんでも呪いのせいらしいけど、一年も掛けてよくも大層な仕掛けをしたもんだよな」
と言った。ベディヴィエールは
「私達の……今回はガウェイン卿でしたが……勇気や誠実さを確かめたかったのでしょう」
と言った。トリスタンは
「ふむ、趣向は少し悪趣味でしたが、今回は笑い話ということになって良かったですね。このトリスタン、久々に心が暖かくなった気がします」
と言う。俺も
「まあ、確かに後味の悪いことにならなくて良かったよ」
と言うのだった。
◇ ◇ ◇
「せいっ!やあっ!」
と槍の修行をしている彼女は若き円卓の騎士の1人、ガレスだ。その修行には同じく円卓の騎士の1人で槍使いであるパーシヴァルが付き合っていた。
「その意気ですガレス」
とパーシヴァル。そんな所を俺は通りかかった。俺は
「やあ、パーシヴァルにガレス」
と二人に挨拶する。パーシヴァルは
「メン、貴方も稽古ですか?」
と言った。俺は
「ああ、ちょっと体を動かそうと思ってね」
と答えた。ガレスは俺に
「メンさん、最近色んな所で戦っているみたいだけど大丈夫なんですか?無理しない方がいいですよ」
と言った。俺は
「心配してくれてありがとうガレス。しかし、どうにも弱い俺はせめて雑魚を散らして皆の負担を軽くするのが精一杯さ」
と自虐気味に答えた。するとパーシヴァルが
「弱いとは、そんなことはないですよメン。貴方は我々円卓の騎士と共に幾多の戦場に立ち、多くの敵を打ち破ってきたではありませんか」
と言ってくれた。
「いやぁ、あれだって時の運だよ。それに……」
と俺は言いかける。するとガレスがそれを遮るように
「もう、それ以上自分を責めないでください。貴方は立派に戦いました。貴方がいなければきっとあの時もっと多くの味方が死んでいたでしょう」
と言った。そして続けて
「だから自信を持って下さい。貴方は強いんです」
と励ましてくれる。
「ガレス……ありがとう」
と俺は礼を言う。すると今度はパーシヴァルも
「ええ、メンは間違いなく我々の仲間の中でも屈指の実力者ですよ」
と言った。その言葉を聞き俺は少し元気が出るのであった。俺はパーシヴァルに
「ガレスの鍛錬が終わったら俺と練習試合に付き合ってくれないか?」
と言った。パーシヴァルは
「分かった。ではガレス、そろそろ食事にしよう。食べるのも騎士の務めの様なものです」
と言った。ガレスも
「はい!でもパーシヴァル卿、食事は自分でよそいますので大丈夫です」
と言った。俺は
「パーシヴァルは食事を盛り過ぎる傾向にあるからな」
と言う。パーシヴァルは
「お恥ずかしながらそうなんですよね、私は盛るに越したことはないと思うのだが……」
と言った。俺はそんな彼に
「まあ、たまにはいいんじゃないか。いつも気を張ってばかりじゃ疲れるだろうし」
と言うのだった。その後俺達は食堂に行き、一緒に食事をした。そして食べ終わって席を立ったところで俺とパーシヴァルは練習試合をした。俺は黒影トルーパーに変身し、パーシヴァルと槍対決を行った。パーシヴァルの槍捌きも非凡なものだったが、流石に今際の際のクー・フーリンの槍に比べればという物だったので、数度の打ち合いの後、俺はパーシヴァルの槍を叩きおとすのだった。
「先ほどふと思ったのですが、メンさんの変身能力って何時から身に着けたものなのですか?」
試合後、ガレスが尋ねてくる。流石に転生関連の事を話す訳にはいかないので、
「まあ生まれつきだよ。無論使いこなす為に鍛錬を重ねてるけどな」
と答えた。ガレスは
「そうですか……私も何か凄い特技を身につけたいものですね」
と言うので俺は
「別に身につけなくてもいいんだぞ。ガレスの長所は素直なところだ。お前は人の言うことをよく聞いてくれる。それで十分じゃないか」
と言った。ガレスは少し照れたように
「そんな、私なんてまだまだ未熟者ですよ」
と言うのだった。するとパーシヴァルが
「いえ、メンの言葉も正しいと思いますよ。ガレス、あなたは自分に自信を持つべきだ」
と言うのだった。そしてパーシヴァルは続けて
「それに、メンは君を立派な騎士だと思っている筈です。それは私が保証しますよ」
と言うのだった。するとガレスは
「そんな、買い被り過ぎですよパーシヴァル卿」
と言う。しかしパーシヴァルは首を横に振った後、
「そうではないですよガレス。メンは貴女を心の底から信頼している。だからこそ、彼の言葉は信じて良いですよ」
と言った。俺はそんな二人のやりとりを見て微笑ましい気分になるのだった。
◇ ◇ ◇
そして翌日、俺はケイ、アグラヴェインと共に政務事務をしていた。円卓の騎士の面々は決して頭が悪い訳では無いが、こういう仕事が得意な者は限られている。頭脳労働ができるケイやアグラヴェインは目立たないが確かにキャメロットに必要な存在だった。かくいう俺も偶に二人の仕事を手伝っているが、この二人の有能さには助かっているのだ。しかし、
「………」
「……‥」
「………」
この二人との仕事場の空気はあまり良くなかった。アグラヴェインは真面目な頑固者でしかも人嫌いの気がある。俺達と仕事をしている時も、事務的なこと以外はほとんど話さない。
ケイの方は弁が立つ皮肉屋でおしゃべりな方ではあるのだが、アグラヴェインを嫌っていて結果こういう時はほどんど話さない。俺も自然とこの二人の空気に気圧されて口数が少なくなっていった。だが、流石にこのままだといずれ仕事自体に支障が出るんじゃないかと思った俺は、
「なあ二人とも、この仕事がひと段落着いたら三人で飲みに行かないか?」
と言ってみた。すると二人は意外そうな顔をしながらこちらを見る。俺は続けて
「ほら、俺達が出会ってから結構経つだろう?だからたまには親交を深めようと思ってね」
と言った。するとアグラヴェインは
「いや、私は遠慮しておく。酒の席で話すこともない」
と言い、ケイも
「俺もいいわ。この面子で飲んでたら女も寄って来なさそうだしな」
と言う。その言葉にアグラヴェインは顔をしかめる。彼は母親があのモルガンと言うこともあって特に女性が嫌いなのだ。俺はそんな彼に
「まあまあ、たまには付き合ってくれよ。おごるからさ」
という。そして更に俺は
「ケイだっていつも男ばっかりで飽きてるんじゃないか?」
と言う。するとケイは苦笑いしながら
「まあな。でもあんたはどうなんだ?女のいる店に行くのは好きじゃないのか?」
と言う。すると俺は
「ああ、実は俺はあんまりそういう店の経験は無いんだ。操を立ててる訳じゃないけど昔の女の顔が忘れられなくてね」
と言った。ケイは
「昔って、あんたかなり昔から生きてんだろ、どんだけ引きずってんだよ……」
と言った。俺はそんなケイに
「まあ、それだけ魅力的な女だったってことだ」
と返すのだった。そして俺は
「とにかく!たまには一緒に飲もうぜ。別に嫌なら無理強いはしないが、俺が奢るのは本当だぞ?」
と言う。アグラヴェインはしばらく黙っていたが、
「どうせ、卿らはこのままだと仕事が手につかないだろう。待っていろ、支度をしていく……」
と答えた。ケイは意外そうな顔をした。俺は
「ローマのワインに劣るだろうがブリテンの地酒も悪くないよ」
と言うのだった。
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