あれからしばらくして、俺はアフリカはエチオピアに足を踏み入れていた。ここは神秘がまだ根強いせいか、結構魔獣に出くわす。
「ライダーチョップ!!」
「ガアアッ!!?」
つい先ほども襲い掛かって来たキメラをショッカーライダーによる手刀でぶっ殺した後、俺は川へ水浴びをしに行っていた。そんな時だ、
「あれれ?メンじゃないか!?奇遇だねー」
と水浴びをした俺に声を掛けて来たのはヨーロッパ辺りで別れた筈のアストルフォだった。
「お前、なんでここに?」
と俺が聞くと、
「ボクも色々あってね。旅に旅を重ねていてこの辺りでハルピュイアを退治してきた所なんだ」
と答えるアストルフォ。
「ハルピュイアか……懐かしいな」
と俺はギリシャでのアルゴー船の航海を思い出す。アタランテ達と共にハルピュイアを撃ち落としてたっけ……
「ところでメン。君は何でこんな所に?まさか、ボクを探してここまで来てくれたのかい!?」
とアストルフォが聞いてくる。俺は
「違う。ただの旅だよ」
と答えると、アストルフォは
「そっかぁ~残念」
と少し落ち込む。しかしすぐに元気を取り戻して
「まあいいか!そういえばさあ、さっきこの近くで綺麗な宮殿を見かけたんだ。一緒に探検しに行かない?」
と言ってきた。宮殿ね……初めてアストルフォに出会った時にも似たような会話をしたような……?まあいいや、とりあえず行ってみよう。
「そうだな、行こうか。案内してくれよ」
「うん!」
こうして俺達はその宮殿へと向かった。宮殿の前までいくと1人の老人が出迎えに来た。俺は老人に尋ねる
「俺はメンでこっちのピンクはアストルフォと言います。貴方は?」
すると老人は
「わしはヨハネ。僭越ながら、聖人の1人に数えられる者じゃ」
と自己紹介してきた。ヨハネって基督教の聖ヨハネか!?なぜエチオピアに……?俺は
「よろしくお願いします。それで、ここには何があるんですか?」
と質問した。ヨハネは
「それは中に入ってみれば分かる事。ささ、こちらへどうぞ……」
と言って中に通された。中に入ると、そこには一台の馬車があった。
「これは……?」
「アストルフォ殿にメン殿。折り入って頼みがあるのです。ローランのことですじゃ」
「ローランがどうしたの?」
と尋ねるアストルフォ。ヨハネは
「ローランは、神の祝福により力を授けられ、いずれはサムソンのような勇者になるはずだったのに、異教徒のおなごなど追いかけまわしおって、その罰で、今、理性を取り上げられておるのだ。だが、罪の期間は3ヶ月と決まっておる。そこで、おぬしに、もうじき罪のつぐないを終えるローランの理性を返してやってほしい」
と答えた。
「へー。でもどうやってローランの理性を元に戻すのさ?」
とアストルフォ。これは確か……
「それなのじゃが、この馬車で月へ行ってほしいのだ」
と言うヨハネ。俺達は
「「月!?」」
と声を合わせて驚く。そして俺は
「どうして月に行けばいいのですか?」
と尋ねた。ヨハネは
「月には、地上から忘れ去られた、ありとあらゆるものが秘められた場所がある。そこにはローランの理性も保管されているという訳じゃ」
と答えた。なるほど、そういうことなら話は早い。
「分かりました。では早速向かいましょう」
と俺は答えた。アストルフォは
「お月様に行けるなんて夢みたいだね!早く出発しよう!」
とテンションが上がっていた。こうして俺達は馬車に乗り込み、月へと出発したのだった。
俺達が馬車に乗り込んでから数時間が経過した頃だ。俺はアストルフォにこう聞いた。
「そういえばさ、お前ってなんで女装しているんだ?」
「んー?強いて言うなら趣味かな?可愛い女の子の姿の方が色々と得だしね」
とアストルフォは答える。まあ確かにこいつは女顔だけど……そんな話をしていたら、ヨハネが
「そろそろ到着ですじゃ」
と言う。馬車が動きを止めると、俺達は外に出た。そこは前世の21世紀で知られる砂漠の様な月面では無く、花が咲き、あちこちから綺麗な水が湧き出る楽園の様な光景だった。
「これが……月から見る景色なのか」
と俺が呟くと、
「凄い!まるで天国だね!!」
とアストルフォも感動していた。すると、ヨハネが
「ここから先に人の失われた思慮分別が保管されている場所があるはずじゃ」
と言い、俺達を案内した。しばらく進むと倉庫の様な建物があり、中に入ると数え切れないほどの中に液体の様な物が入った瓶が並べてあった。
「ここじゃよ。この中のどれかにローランの理性がある」
とヨハネ。俺は
「こんなにあるのか……一体どこから探せば……」
と困惑する。しかし次の瞬間、隣にいたアストルフォが
「メン。ボクに任せて。こんなのボクには簡単すぎるよ。このパーフェクトアストルフォに掛かればね……」
と言った。その顔はなぜかいつものアストルフォよりキリっとした表情になっている。
「アストルフォ……?」
困惑する俺。ヨハネは
「アストルフォ殿はどうやらここに保管されてあった自分の分の理性を取り戻した様じゃな」
と言った。そういえばアストルフォには月で理性を取り戻したという伝承があった……それが今の場面か。アストルフォは
「今のローランは理性が無い。つまり一番中身が溜まっている瓶があるはず……」
と言って、1つの瓶を手に取った。
「これだよ!この瓶の中の液体が一番中身が詰まってる!」
とアストルフォが言った。
「よく分かったな」
「そりゃあ、ボクだって理知的な部分があるからね!」
とアストルフォはドヤ顔をする。取った瓶のラベルには確かにローランと綴られていた。これで後は地上へ戻ればいい。俺達は月面を後にするのだった。
◇ ◇ ◇
月から帰って来た俺達は今後のことを話す。
「そういえばローランはどう見つけるんだ」
と言う俺にヨハネは
「全ては神の御心のままに……近いうちに必ず会えるじゃろう。それとアストルフォ殿、エチオピア王にこの薬草を持っていくのじゃ」
と言い、俺達に薬草を渡す。
「これは?」
「エチオピア王は重い病に罹っておるが、これを煎じれば治る。そしてエチオピア王から兵を借り、シャルルマーニュ王に加勢しに行くのじゃ」
とヨハネは言った。俺は
「シャルルマーニュ王……もといカール王はそんなに兵がいるのか?」
と言うと、アストルフォが
「今王様はアグラマンって奴と戦っているんだ。ボクもすっかり忘れてたけど」
と言った。なるほど。だからフランスが危機な訳だ。するとヨハネは
「そこで、おぬしにも頼みがある。メン殿は本来外様の者じゃが、ローラン達と縁が出来ておる。ローランが理性を取り戻すまでアストルフォ殿の護衛についてもらいたいのじゃ」
と言った。俺は
「まあローランやアストルフォとは浅からぬ縁があるし、本格的に戦争に介入とかじゃなければいいか」
とその頼みを承諾することにした。そして、俺達はエチオピア王の元に行き、彼の病気を治した後、10万の兵を借り受けて、地中海からヨーロッパへと渡る海岸までやって来た。そこにはアストルフォの仲間であるフランスの騎士達を捕虜として乗せたアグラマンの仲間の船が停泊していた。ちょうど捕虜をアフリカへ連行する所だったらしい。俺達は船を拿捕し捕えられていたフランス騎士達を解放した。
「助けてもらってかたじけない……」
と騎士の1人。アストルフォは
「困った時はお互い様さ。それよりキミたち、これからボクたちはカール王の味方をしにいくんだ!一緒に来るかい?」
というと、彼らは
「もちろんです!我らも是非ご同行させて下さい!」
と答えた。こうして、アストルフォ一行に新たにフランス騎士が加わった。
「よし、それじゃあ行こう!」
と言ったときである。うおー……と言う声がした。
「なんだ今の声?」
と海の方を見ると。
「うおおおーーー! うおおおおーーーー!!」
なんと素っ裸の偉丈夫が上陸して来た!薄汚れているが、よくよく見るとローランだ。岸に着くなり、いきなり目の前に居た兵士たちをぶん殴り、キングコングのごとく陣営に攻め寄せてきた!いきなり裸のローランが襲撃してきて軍は動揺していた。騎士の1人が、
「まさか!地中海を泳いでここまで来たのか!?なんて奴だ……」
と言う。するとアストルフォが
「ローラン、久しぶりじゃないか!ボクの事覚えてる?ボクだよ、アストルフォだよ!」
と呼びかけると、ローランは立ち止まり、こちらを振り向く。
「ん?うおおーー!食い物よこせええーー!」
とアストルフォに殴り掛かった。ギリギリで拳を躱したアストルフォは
「味方も分からないの!?メン!ちょっとローランの理性を取りに行ってくるから時間を稼いで!」
と言い、その場から離脱する。荷物の中にあるローランの理性を探しに行ったのだろう。俺はデザイアドライバーを装着し、コアIDとジャマトバックルを装填した。
「変身!」
『JYAMATO』
俺の身体は茨に包まれ、ジャマトライダーに変身した。そして暴れるローランに飛び蹴りを見舞した。しかし、その攻撃は受け止められてしまう。理性は無いみたいだから本能で防御したらしい。棍棒でドラゴンを圧倒できるローランだ。武器は持っていないとはいえ油断はできない……。俺はキックやパンチを次々と繰り出すが半分は防がれる。やはりローランは強いなと思いながら戦い続ける。しばらくすると、
「メン!ローランの理性を持って来たよ!」
アストルフォがローランの理性の瓶を持って現れた。俺は
「よし!俺が押さえつけるからその隙にやってくれ!」
と言い、ジャマトライダーの身体に巻き付いている茨、ブロイアームズを伸ばしてローランを拘束した。
「うがあっ!」
ローランは力任せにブロイアームズを引きちぎろうとするが、俺は次々と追加のブロイアームズを展開してローランを雁字搦めにした。更にその上からフランスの騎士達がローランに殺到して押さえつける。
「今だアストルフォ!」
そしてアストルフォがローランの顔の前で理性の瓶の蓋を外した。すると……
「フガッ、ガフガフッ」
ローランが瓶からでた蒸気の様なものを吸い込んだ。そして
「フガッ…、ゴフッ?! …え?」
「おお! 何か正気に返ったっぽいですぞ!」
正気に返ったローランは、すっぱだかのドロまみれで砂浜に転がっている自分の姿に、しばし呆然としていた。それから、周りにいるのがよく知った顔ばかりなのにも驚いていた。
「お前ら何やってんだ?」
と聞くローランにアストルフォが
「いや~ローランってば理性が無くなったままボクたちの事を忘れて暴れちゃってさ」
と言うと、
「いや、そんな記憶ねえけど……」
「でもさっきまでボクのこと食い物にしようと襲ってきたじゃん」
「マジか……それは悪いことしたな」
「まあいいんだけどね」
「そうか」
「うん」
「……」
「……」
「……なんで俺理性失ってたんだ?」
と言うローランにアストルフォは
「それは確か……」
と言いかけ、フランスの騎士達に口を塞がれた。またローランが暴走したりしたら困るからだ。
「とにかく!カール王を助けに行くんでしょ?早く行かないと!」
とアストルフォが話を逸らす。
「ああそうだ。カール王の元に急ごう!」
こうして、なんとか理性を取り戻したローランを加え、俺達はカール王のいる地へと向かうのだった。
駄文閲覧ありがとうございました。感想お待ちしております。