ベオウルフが王になったのを見届けた後、俺は日本に向かうことにした。なぜかというと、そろそろ日本は平安時代になっている頃なので京に観光にでも行こうと思ったのだ。そういう訳で俺は久方ぶりに日本に来たのだが……
「やべえ道間違えたかも……」
俺は山の中で迷子になっていた。上陸した場所は本州で合っていた筈で、そこから京への道を聞きながら来たのだが……どうも道を間違ってしまったらしい。
「参ったな……」
と呟く。しかもさっきから複数の視線や殺気を感じる。盗賊か、はたまた知能のある魔獣か?油断せずに山の中を進んで行くと、角の生えた人間が複数現れた。こいつらは……鬼種か。型月世界の現代では血を引く者こそ居れど、ほぼ絶滅状態だがこの時代では健在だった筈だ。鬼の1人が、ニヤニヤしながら俺に話しかける。
「おい、持ってるもん全部置いていきな。命だけは助けてやるぜ」
と言ってきた。俺は
「ちょっと疲れてるしお前らの相手するのは面倒だから、そちらこそ帰れ」
と言い、いつ相手が来てもいいようにデザイアドライバーとコアID、ジャマトバックルを装着する。そして、
「俺達の縄張りに踏み込んでおいていい度胸だ!」
と、鬼達が一斉に襲いかかって来た。俺はジャマトライダーに変身し、どこからともなく取り出した大鎌や拳や蹴りで鬼達の迎撃に入った。まず最初に殴りかかってきた奴にカウンターパンチを叩き込み、次に斬りかかろうとした奴には回し蹴りを喰らわせ、蹴り飛ばした。次に襲ってきた鬼は、掌底打ちと肘鉄を喰らわせた後、蹴り飛ばし、その後背後から迫ってきたもう1体の鬼を振り向きざまに大鎌で切り裂いた。
鬼達は俺が予想以上の実力を持っていたことに、驚きを隠せない様子だった。
「何だこいつ!?」
「つ、強ええぞ!?」
俺はその後も、向かってくる敵をちぎっては投げちぎっては投げを繰り返していった。すると、鬼の1人が、
「クソッ!酒吞童子様と茨木童子様を呼んで来い!俺達じゃあ駄目だ……!」
と言った。ちょっと待て。酒吞童子に茨木童子?そいつらが居るってことは此処は大江山の近くか?そうこうしているうちに、鬼達が引いて行った。俺は
「早く此処から離れた方が良さそうだな」
と呟き、移動しようとした。その時である。岩が飛んできた。俺はそれを避けるそして岩が飛んできた方向を見ると、金髪の鬼の少女と黒髪の鬼の少女が居た。あの姿は間違いない、 Fate/Grand Orderに登場した茨木童子と酒吞童子だ。茨木童子が
「汝が吾等の領域に踏み込んで来た人間……人間?か?吾の名は茨木童子。大江山の鬼の首魁よ」
と言った。茨木童子の隣に居た酒吞童子も
「うちは酒吞童子。まあ、覚えても覚えなくともどっちでもいいけどなあ」
と言う。俺は自己紹介仕返すことにする。
「俺はメン。仮面ライダーをやっている者だ」
返した俺に茨木童子は、
「汝の名などどうでも良いと言いたいが、吾のしもべ達を追い払ったということは少なくとも源氏の武者並の力を持っている筈……汝は人か?魔か?どちらにせよ吾等の領域に来た以上ただでは済まさんが……」
と言い、殺気を放ってくる。それに対して俺も答える。
「そうだな。この姿はどちらかというと魔に近い。心はまだ人よりだと思っているが」
他のライダーは兎も角、ジャマトライダーは原典では完全に人外専用のライダーだ。俺は特典のお陰で特に影響はないが、仮面ライダーギーツにてジャマトバックルを使用した吾妻道長は身体がジャマト化していた。人か魔かと言ったらまあ魔だろう。茨木童子は、
「減らず口を……。酒吞、汝はそこで見ていておれ。こんな奴など吾1人で十分だ」
と言い。戦闘態勢をとる。酒吞童子は
「それなら茨木の好きにさせたるわあ。うちは酒でも煽りながら見物しましょか」
と言って、少し後ろに下がり何処からか瓢箪を取り出す。俺はというと、フィーバースロットレイズバックルを取り出し、デザイアドライバーの右側に装填した。
『セット、フィーバー!』
そして、「ゴールデンレバー」を倒すことでスロットリール「レイズジャックポット」が回転し、
『モンスター。ヒット、フィーバー!モンスター!』
モンスターが当たって、俺の上半身に青と黄色のツートンカラーで、金色の星の意匠が各所にちりばめられている鎧が装着され、モンスタージャマトフォームへと強化変身した。茨木童子は
「むっ!?」
と俺の姿が変わったことに警戒したようだ。酒呑童子は、 興味深そうな目でこちらを見てくる。俺はファイティングポーズを取り、茨木童子と対峙する。茨木童子は 俺に向かって走り出しながら、 炎を纏った拳を突き出した。俺もパンチで迎撃する。俺と茨木童子の拳がぶつかり合い、周囲に衝撃が走った。
「ッ!!」
茨木童子は続けて蹴りを繰り出す。俺もそれを受け流し、カウンターキックを放つ。茨木童子はそれを受け止める。
そして、お互い一旦距離を取る。今度は俺の方から仕掛ける。まずは拳によるラッシュを仕掛けるが、茨木童子は骨刀を取り出しそれを後退しながらも防ぎ続ける。俺はラッシュを止め、左ストレートを繰り出した。茨木童子はそれを避けきれずモロに喰らう。茨木童子は吹き飛ばされながらも体勢を立て直す。
俺は追撃として、脚の部分から茨を伸ばし、茨木童子を絡めとろうとする。茨木童子は骨刀を振り回し、茨を迎撃する。俺は茨を引っ込め、そのまま体当たりを仕掛ける。茨木童子は避け切れず直撃し吹っ飛ぶ。俺は追い討ちをかけるべく接近し、パンチやキックを次々に叩き込む。茨木童子はそれらを全て受け流したりガードしたりするが、ダメージはあるようで苦しげな表情を浮かべている。反撃として茨木童子は骨刀を横に薙ぐが俺はそれを後退して躱し、次の攻勢に出るべくレイズジャックポットを回転させた。すると、
『プロペラ!』
「むっ」
俺のモンスターの装甲が解除され、代わりに右手に4枚羽の巨大ローター、レイズプロペラが装着された。アームドか……、これは変えない方が良かったか?いや、プロペラなら……。俺はおもむろに
「そういえば、此処は大江山の近くなんだろ。京はどっちの方角にあるんだ?」
と茨木童子に尋ねた。茨木童子は
「ははは!これから死ぬ汝に無駄だと思うが、此処まで吾と渡り合ったのは源氏の憎きあ奴らを除けば、汝が初めてよ!故に特別に教えよう!京はあちらぞ!」
と、とある方向を指さした。それを聞いた俺は
「そうかありがとう。いい事を聞いた」
と言いレイズプロペラを上に構えて回転させ、空に浮かんだ。
「なぬっ!?」
と驚く茨木童子。俺はそのまま京の方角へ飛行していく。
「まっ待てーっ!!」
と地上で茨木童子が叫ぶが、俺はこれ以上の戦闘は面倒だと思ったので、
「ばいばいきーん」
と言って山から脱出したのだった。
◇ ◇ ◇
「おのれおのれおのれーっ!吾を愚弄しおってー!」
「あらあ、完全に逃げられたわあ。茨木、綱の時くらい怒ってるやないの」
「いや!綱の時ほどではないわ!しかし、気にくわぬ……!」
「仮面……らいだあとか言い張ってたなあ。もしまた会えたら、楽しみやわぁ……」
◇ ◇ ◇
山を抜け、京の都が見えて来たのを確認した俺は都の近くに着陸し、変身を解除した。そして、近くにあった木の下に座り込み、 茨木童子達について考えていた。茨木童子はFGOでは星4のサーヴァントだ。そして、その宝具は強力な鬼火だ。しかし、酒吞童子と同時に戦わなかったのはラッキーだろう。俺も負ける気はしないが、強力な鬼種の2人を同時に相手していたらかなり厄介なことになっていただろう。酒呑童子は茨木童子とはまた違った意味で恐ろしい存在だ。酒呑童子は鬼らしい性格の鬼で、まだ人間味のある茨木童子に比べればその出自もあり、敵としてはまったく油断できない相手である。こいつらを相手取っていた頼光達の苦労がしのばれる。
そんなことを考えていた時だ。悲鳴が聞こえた。俺はライオトルーパーに変身して、ジャイロアタッカーを駆って悲鳴の聞こえた方へ向かった。現場は京の都の端の方で、そこで黒い巨大な蜘蛛の妖怪である複数の土蜘蛛が人々を襲っていた。俺はジャイロアタッカーで逃げ遅れた人に襲い掛かろうとしていた土蜘蛛の1体に体当たりした。
「早く逃げてくれ!」
と言うと、人々は慌ててその場から離れていく。俺が体当たりした土蜘蛛は俺に標的を変え、爪で攻撃してきた。俺もそれに対抗して、 右拳で殴りつけると、土蜘蛛の顔面にヒットし怯ませる。続けて左拳でのボディブローをお見舞いし、さらにアクセレイガンで切りつける。そして、土蜘蛛はよろめいたところを俺のライダーキックを受けて爆散した。他の土蜘蛛達は一斉に俺に飛びかかってきたが、俺はそれらを全て回避する。
そして、空中で一回転すると勢いよく地面に着地し、その衝撃で周りの土蜘蛛達が吹き飛んだ。更に俺はアクセレイガンをもう1つ取り出して、二丁拳銃のガンモードにして次々と土蜘蛛達を銃撃していく。そして、撃ち漏らしたものを蹴散らしていき、最後の一体には銃口を向け、引き金を引いた。
すると、銃弾に込められていたエネルギー弾が発射されて、それは土蜘蛛に命中した。すると、命中したところから亀裂が入り、爆発して消滅した。土蜘蛛の襲撃から数分後、俺が変身を解除して一息ついていると。
「おいっ土蜘蛛は何処だ?退治に来たんだがよ」
とこの場に筋骨隆々の金髪碧眼の青年が鉞を担いで現れた。彼の姿には見覚えがある。彼は坂田金時。後にサーヴァントになってからは現代に染まり、ゴールデンが口癖になる英雄だ。先ほど酒吞童子達と遭遇したことで薄々分かっていたが、やはりこの時代は源頼光と四天王が活躍していた時期だったらしい。俺は
「自慢じゃないが俺が退治した。その金髪に鉞って、お前は噂の足柄山の金太郎だよな?」
と一応あまり知らないふりをして言っておく。金時は
「金太郎は幼名だな。俺っちは坂田金時。頼光の大将に仕えてる武士だ。アンタの名前は?」
と言った。俺が名乗ると、 金時は驚いたような顔をする。その後、 彼は少し考えた様子を見せた。
「なあアンタ。昔話でおろちを退治した男が居たって聞いたが、それと関係あるのか?」
と金時は聞いてきた。それは昔邪馬台国でおろちを退治した時の話だろうか。まさかその話が残っているとは。俺は どう答えるべきか迷ったが、とりあえず嘘をつくことにした。
俺が関係しているというと面倒なことになりそうだからだ。俺は 関係ないと否定したが、 金時は信じていないようだ。
その後もしつこく尋ねてくるので、仕方なく俺は自分が仮面ライダーであること、おろちを退治したことがある事を告げた。すると、金時の顔つきが変わった。何やら興味深そうな表情をしている。やがて、 金時は俺にこう言った。
「アンタが昔話の英雄か半信半疑だが、土蜘蛛を退治したことも含めて嘘を言ってる様に見えねえし、多分本当なんだろうな」
俺は、
「まあそうだ。後すまないが、ちょっと休める所は無いか?何せ少し前に鬼と遭遇して疲れてるもんでな」
と言うと、金時は
「鬼?まさか酒吞達に出くわしたんじゃないだろうな!?」
と驚く。俺は素直に
「まさかと思うがその酒吞童子に出くわしたんだ」
と答えた。すると、 金時は信じられないという顔になり、
「酒吞に遭遇しただと!?」
と叫ぶ。
「ああ。実は……」
俺は酒呑童子と茨木童子との戦いについて語った。
「そうか……!あの2人が戦ったのか……。それで、勝ったのはどっちだ?アンタが生きてるってことは……」
と神妙な顔で尋ねる金時に俺は
「決着がつく前に戦いから離脱したんだ。だから連中は健在だよ」
と答える。すると、金時は
「……そうか。まあとりあえず俺の屋敷に来てくれ。そこで民を助けた礼に馳走するからよ」
と俺に言う。俺はそれに了承した。
それからしばらく経ってから、俺は金時と共に彼の屋敷に向かった。
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