量産型にしかなれないんだけど   作:クォーターシェル

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今回捏造形態がでるので悪しからず。


3話 ピリオ山~アルゴー船

「「……」」

 

「ステンノ様?エウリュアレ様?」

 

「……」

 

「メドゥーサもどうしたんだジト目で……」

 

「はあ、ここまで来ると呆れて冷静になってくるわね私。」

 

「ええ、本当ねまったくこの男を迎え入れたのは女神生一生の不覚だわ私。」

 

「メン……よくもやってくれましたね」

 

メドゥーサが何時の間にか怪物ゴルゴーンの姿になる。

 

『これがお前のやった結果だ』

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

「……!?ハア、ハア、ゆ、夢か……」

 

目を覚ますと近くの焚き火が薪が無くなり消えかけていた。どうも夜中に目が覚めたらしい。

 

「嫌な夢だったな……」

 

ステンノとエウリュアレに怒られる悪夢を見た後だから余計に怖い。

 

「はあ、こんなことなら形のない島で大人しくしてれば良かったかな……」

 

ミラクルの魔法でゴルゴーン姉妹と世界の裏側で隠居しようと思ったのだが、結果は俺一人が取り残され、メドゥーサ達が今どうしているのか全く分からない。

 

「はあ、せめて連絡手段さえあればな……」

 

そう呟きながら俺は再び眠りについた。翌日、朝早く起きた俺は支度すると、ジャイロアタッカーを呼び出し現在の目的地に向かうことにする。ちなみにライダーマシンの燃料はこれも特典の範疇とでもいうのか特に補給はなく俺の身体の魔力を微量ながら吸収して動くらしい。

 

そして俺はある山のある地域に向かってバイクを走らせていた。その山の名はピリオ山。かの有名なケイローンが住む洞窟があるという。何故ここに用があるのかというと、俺の未熟さのお陰で世界の裏側でのスローライフは失敗してしまった。ならばこの時代一の教育者であるケイローンに師事して俺の力を引き出し、新たな安住の地を探すまでの力を得たい。

 

「この辺りだと思うんだけどな……」

 

山に入ってしばらく進むと、俺の目の前に巨大な穴が現れた。

 

「ここが……噂の……」

 

その穴の中に入ると、地下へ続く階段があった。俺はそこを下っていくと、広い空間に出た。そこには……

 

「そろそろ来るだろうということは分かっていました」

 

と、一人の男が居た。

 

「あなたが……ケイローン」

 

射手座のモデルでもある半人半馬の青年は、弓を構えて俺に言った。

 

「あなたは、何者ですか?」

 

俺は答えた。

 

「ただの通りすがりです」

 

「嘘ですね」

 

即答された。まあそうか。さっきから矢を俺に向けているし。

 

「それでは、あなたの目的を聞きましょう」

 

「えっと、実は……」

 

俺はこれまでの経緯を話した。すると、

 

「なるほど、そういうことでしたか。分かりました。あなたにお教えしましょう」

 

「えっ、そんなあっさりでいいんですか?」

 

「構いませんよ。むしろ、私の方こそお願いしたいぐらいです」

 

「え?」

 

「あなたが私に会って来たのは運命でしょう。ここで会ったのも何かの縁。私の弟子になりなさい」

 

「……はい!よろしくお願いします!」

 

こうして俺はケイローンに弟子入りした。

その後、俺はケイローンの元で修行をした。ケイローン先生との戦闘訓練はメドゥーサとのそれと違って、メドゥーサには悪いが大変勉強になる。なにせ、攻撃の回避の仕方とか間合いの取り方など、戦いに関する技術に関しては俺より遥かに上なのだ。そしてライダーシステムと言う未知の技術相手でもほぼ驚かず。そのライダーにあった姿の身体の動かし方や戦法を教えてくれる。しかもそれだけでなく。並行して汎用的なスキルも教えてくれた。気配遮断や心眼(真偽両方)は役立つことだろう。そして……

 

シュゥゥゥーッ……

 

「くっ……」

 

「なるほど。その姿でいられたのは約2秒ですか」

 

俺がたった今変身していたライダーは仮面ライダーアークゼロだ。本編では大ボスとして登場していたアークゼロだが、ゼロワンのファイナルステージでは複数が生産されていた。つまり、この形態も量産型ライダーの一つなのだ。そこで変身を試みたところ、数秒で身体のエネルギーを消費し、変身解除してしまった。

 

「はい、どうすればもっと長く変身できるかと……」

 

「ふむ。まずはその姿に固執しないことです。例えば、仮面ライダーライオトルーパーのアクセレイガンならエネルギー消費が少ない代わりに性能が低い。また仮面ライダーオルタナティブのアクセルベントは使用時間が限られている。といったように、それぞれのライダーに合わせた能力や特徴を理解し、それを活かすことが大事です」

 

「はい。しかし、この姿でも強い技はあるはずなのですよね?」

 

「それはそうです。しかし、今のあなたはまだその姿の力を使えない状態なのでしょう?だったら別の方法で強くなればよろしい」

 

「他の方法……ですか」

 

「ええ。さあ、今日はもう休みなさい」

 

「はい」

 

俺は部屋に戻り、眠りにつく。

 

そんなこんなで1年が過ぎた。その間、俺の身体にも変化が起きていた。最初は体力があまりなかったが、今では並大抵の事じゃ疲れなくなった。そしてある日、俺はケイローンに呼び出される。

 

「ケイローンさん、どうしましたか?こんな所に呼び出して……」

 

「いえ、実はあなたに伝えなければならないことがありましてね……」

 

「なんですか?」

 

「私のかつての弟子。つまり貴方の兄弟子にあたるイアソンが、今私に師事している貴方に一緒に冒険する気はないかという誘いが来ていまして」

 

イアソン!?まさかアルゴ―船のエピソードがスタートするのか?しかもスカウトされた!?これは嬉しい誤算だ。

 

「はい!是非連れていってください!」

 

「分かりました。では早速行きますよ」

 

「えっ、ちょっと待ってください。準備がまだ……」

 

「大丈夫ですよ。私がいますから」

 

…………という訳で、俺はケイローンとイアソンのいる場所に向かう。そこはエーゲ海に浮かぶとある島だった。

 

「おお!君か。ケイローンから話は聞いている。私はイアソン。よろしく頼むぞ!」

 

と、金髪碧眼のイケメン男が握手を求めてきた。

 

「ああ、俺はメンだ。よろしく」

 

「ところで、お前の事はなんて呼べば良いんだ?」

 

「俺のことは呼び捨てで構わないぜ」

 

「分かった。それでは行こうか。メン!他のアルゴノーツたちも待っているぞ」

 

こうして俺はアルゴー船の繋がれた港に足を運んだ。船の前にはイアソンが集めてきた英雄たちであろう姿があった。あっ元祖バーサーカーこと、ヘラクレスだ!あそこにいるのはカイニスにディオスクロイだし、そっち側にはアタランテにアスクレピオスがいる。大半は顔を知らないんで分からないけどどいつもこいつもギリシャに名を馳せる英雄の筈だし、その一員に加われるとなると年甲斐もなくわくわくするな。そして俺とケイローンが到着した頃には、全員が乗船していた。俺は皆の前で自己紹介をする。

 

「俺はメンだ。これからよろしくな」

 

「……ヘラクレスだ。よろしく頼む」

 

「アタランテだ。同じくよろしく」

 

「カイニスだ!俺を女と言わなけりゃそれでいい!」

 

と言ったように乗組員たちは自己紹介していった。すると、

 

「おい。お前。武器を持っていないようだが戦士なのか?」

 

と、白髪で褐色肌のカイニスに話しかけられる。

 

「ん?武器か、普段は仕舞ってるけどちゃんとあるぞ。確かめてみるか?」

 

「ほう、なら見せてもらおうか」

 

俺が念じると腰に戦極ドライバーが巻かれ、マツボックリロックシードが手の中に入る。

 

マツボックリ!

 

そしてドライバーにセットすると、俺の身体は黒いスーツに包まれ、頭上から大きなマツボックリが降りてくる。カッティングブレードを押すと

 

ソイヤッ!

 

マツボックリアームズ!

 

一撃!イン・ザ・シャドウ!

 

マツボックリの鎧に包まれた俺は仮面ライダー黒影トルーパーになっていた。

 

「なんだよこれ……。見たこともない姿だが……強そうだな」

 

「ああ。まあな」

 

そうしていい反応をもらったが、

 

「おいケイローン!そいつの教育はまだ終わってないって本当か!?」

 

「ええ、聞き逃していたのですかイアソン。洞察力が落ちているのでは?」

 

なにやらケイローンさんとイアソンがもめている。なんだ?

 

「諸君。大変急だがメンを乗組員にするのは無しになった!」

 

乗組員達がざわめく。えっ、どうしてだ?

 

「どうやらメンは、今だ修行中の未熟者らしい。そんな奴がこの船に乗っていては、いざと言うときに邪魔になるだけだ。だからこの船には乗せないことにした!」

 

「ちょっ、待ってくれ!いきなりそんなことを言われても納得できないし、そもそも俺はまだ……」

 

「うるさい!この船に乗る資格がない者は黙っていろ!」

 

うわーお。まさかの追放宣言だよ。仕方ない。

 

「分かったよ。それなら俺は一人ででも……」

 

「まて、イアソン」

 

イアソンの声にまったをかける者が居た。ヘラクレスである。

 

「メンはかつて形のない島の番人をやっていたとも聞いた。その実力は十分なはずだ。不満なら誰かとの試合で改めて実力をみるべきだ」

 

ヘラクレスの意見はもっともだった。

 

「なるほど。それは一理ある。よし!それではメンよ、お前の力を試すためにヘラクレスと戦ってもらう!」

 

「望むところ……えっ?ヘラクレスと?」

 

場所は変わって港近くの開けた場所に俺達は居た。審判はケイローン先生だ。ルールは5分以上ヘラクレスの前でダウンしなければいいらしい。

 

「さあ、どこからでもかかってこい」

 

ヘラクレスが構える。流石はあのヘラクレスだ。迫力が半端じゃない。

 

「それじゃ遠慮なく……変身」

 

俺はマツボックリロックシードを外して、代わりにスイカロックシードをセットする。

 

スイカアームズ!

 

大玉ビッグバン!

 

俺の頭上から巨大なスイカが降りてきてそのまま合体し、更にそこから展開してヨロイモードに変形した。遠巻きに試合を見ていた英雄たちは俺が巨大なヘラクレスよりも大きいアーマーを身にまとったことに驚いた。

 

「ほう……それはオリュンポスの機神の欠片か?」

 

「いや、多分違うと思う」

 

これ一応地球製の技術だからね。別世界のだけど。

 

「では行くぞ」

 

ヘラクレスが動き出した。速い!まるで残像が見えるくらいだ。俺はスイカ双刃刀で攻撃するが、ヘラクレスはそれを簡単に弾き返した。しかもこっちの攻撃に合わせてカウンターを仕掛けてくる。俺はそれをスライディングで回避する。そしてすぐさま起き上がって再び攻撃を仕掛けるが、それもあっさりと防がれてしまった。

 

「やるなメン。だがまだ甘い!」

 

ヘラクレスが強烈なパンチを繰り出してきた。俺はなんとかガードするも衝撃までは殺せず吹き飛ばされる。ヘラクレスは追撃をかけてくるが、俺は転がるように避けてからスイカ双刃刀を投げつけた。しかし、これも簡単に弾かれてしまう。くそ、このままだとじり貧だ。こうなったらあれを使うしかないな。

俺は懐から戦極ドライバーの追加パーツゲネシスコアを取り出し、ドライバーにセット。更に

 

マツボックリエナジー!

 

マツボックリエナジーロックシードをセットし起動する。

 

ロック・オン!

 

ソイヤッ!

 

マツボックリアームズ!一撃!イン・ザ・シャドウ!

 

ジンバーマツボックリ!ハハーッ!

 

黒影トルーパーは陣羽織を羽織ったような形態、ジンバーマツボックリアームズに変身した。これで決める!

 

「はぁああああっ!」

 

俺は全身に力を込めてヘラクレスに向かって走り出す。

 

「ふん、愚かな」

 

そう言うとヘラクレスは拳を握りしめ、こちらに殴りかかってきた。

 

「ぬぉおおおっ!」

 

「はぁあああっ!」

 

ヘラクレスの拳が俺に到達する瞬間。俺の身体は二つに分身した。

 

「なにっ!?」

 

驚くヘラクレスに対して俺は、片方が拳を突き出し、もう片方が蹴りを放つ。二つの攻撃をくらってヘラクレスは大きく後ろに下がった。

 

「ぐぅっ!?」

 

「はぁあああっ!」

 

怯んだ隙に俺は全力の回し蹴りを叩き込んだ。ヘラクレスの身体は数十センチ後退する。それで数十センチってほんと最強クラスだな……その時。

 

「5分経ちました。試合終了です」

 

とケイローン先生の声。どうやら時間切れのようだ。

 

「勝者メン!」

 

「ふぅ……」

 

俺は息を吐いて変身を解く。すると周りから歓声が上がった。

 

「凄いなあいつ!あのヘラクレス相手にあそこまで食い下がるなんて!」

 

「ああ!それにヘラクレスがあんなに苦戦している姿初めて見たぜ!」

 

なんかめっちゃ騒いでる。うーん。ちょっと恥ずかしい。

 

「メンよ、お前は確かに強い。だが私はまだ本気を出していないぞ?この船旅の間も精進することだな」

 

とヘラクレス。あれで手を抜いてたんだ……流石ギリシャ最強の英雄。理性があるとここまでとは。

ケイローン先生はイアソンに

 

「どうでしょう。実力は示せましたよ」

 

「お、おう。だ…だがまだ足りんな。メンよ、お前はこの船に乗っている間はヘラクレスの元で修行に励むのだ」

 

えー……マジですか?

 

「メンさん。あなたには期待していますよ」

 

ケイローン先生は爽やかな笑顔で言った。

 

「はは……頑張ります……」

 

こうなってしまっては仕方ない。こうして俺はアルゴー船に乗り込むことになったのだ。

 




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