俺達アルゴノーツはコルキスにたどり着いた。ここでイアソンがさわり心地の良い金羊毛を持ち帰ることが旅の目的なのだ。俺達はコルキスの王、アイエテスに謁見した。イアソンが
「アイエテス王。かつてプリクソスがこの地に置いてきた黄金の羊毛を持ち帰りたいのです。我が故郷の王の枕元にプリクソスが立って金羊毛を要求してきたのです」
とアイエテスに言う。するとアイエテスは
「プリクソス様の御意思ならそうしよう。しかし、その代わりに野に居る暴れ牛をなだめて欲しい。そしてその牛に鋤をつけ、畑を耕し、種を蒔いてもらいたい。しかる後に金羊毛の在りかを教えよう」
と答えた。神話の通りならアイエテスは金羊毛を渡す気はない。無理難題を押し付けて我々を諦めさせる気である。しかし、今のイアソンには文字通り神が味方している。神は中々強引な方法でイアソンを助けるのだ。
謁見の後、俺達は宴会場に通され歓待を受けることになった。出された料理を口にしたカイニスは
「やっぱ異国とはいえ王宮の料理となりゃ美味いな!」
と言った。他のアルゴノーツ達も料理に舌鼓を打つ。だがイアソンはワインを飲み干すと、急に気分が悪くなったと言い出した。そして席を立つとそのまま外に出ていった。
「大丈夫かな?」
と心配する俺にアタランテは
「放っておけ。あれでも一応英雄だ。何があっても自分でなんとかできるだろう」
「まぁ、そうだろうけど……」
と俺は返す。アタランテは
「最悪アスクレピオスが居るしな」
と締めた。食事を進めていると、イアソンの行った方向に見覚えのある少女が向かって行った。あ、元祖キャスターことメディアさんだ。もっとも今はFGOでメディアリリィと呼ばれるコルキスの王女である少女時代だが、恐らく彼女は神によって既にイアソンに惚れていて、イアソンに助言しに言ったのだろう。
次の日、俺達は暴れ牛の居る野原に来ていた。そこに居た牛は
『ヴモオオオオオオオオオオオオオオッ!!』
「メカだこれーーっ!!」
牛っつーか牛型のロボットだった。しかも口の部分に火炎放射器でも搭載しているのか時折火を吹いている。こんなもん現代兵器で武装した軍隊でも相手にできないぞ!?
「おいイアソン!こいつなだめられるのか!?」
とカイニスが叫ぶとイアソンは
「落ち着け、お前たち。この牛は俺一人で相手できるさ。俺の勇姿を見物していろ」
と柄にでもなく冷静に構えていた。
「大丈夫なのですかイアソン?流石に私達も加勢した方がいいのでは……」
「ポルクスに心配をさせるなイアソン!本当にお前一人でできるのか?」
とディオスクロイ。他のアルゴノーツも流石に心配しているようだがイアソンはメカ牛に向かって行った。メカ牛はイアソンに火炎を吐くが恐らく事前にメディアが秘薬を塗るなどしているのだろう。イアソンは全く平気だった。更にイアソンがメカ牛の角を掴むと角の部分がコントローラーにでもなっているのか、メカ牛は大人しくなった。
「何っ!ヘパイストスが作った牛が……信じられん」
と俺達と同様に事の次第を見ていたアイエテスは驚いていた。俺はというと神話を知って居るのでイアソンの事は心配していなかったが、牛がヘパイストスが作った物と聞いて納得していた。なるほど機神が作ったのならまあメカだよね。
そんなこんなでイアソンはメカ牛に鋤を装着させると、畑を耕させ種を蒔いた。すると畑からfateの雑魚敵としてお馴染みの竜牙兵が出現し、イアソンに襲い掛かろうとした。アルゴノーツはイアソンに加勢しようと武器を構えるが、イアソンは手でそれを制止して石を竜牙兵達の中心に投げ込んだ。すると魔術的な効果でも発揮したのか竜牙兵達は同士討ちを始め、しばらくすると1体のみになった。
「馬鹿などういうことだ!?」
と再びアイエテスは驚く。アイエテスは知らないのだろうがこれもメディアが仕込んだのだろう。そして、
「我が剣の錆になれ!」
と残った1体の竜牙兵をイアソンが倒した。イアソンは俺達に勝利宣言とばかりにポーズを送る。そしてアイエテスの前に来ると
「それでは金羊毛の場所をお教え頂けますでしょうか?」
と言った。
◇ ◇ ◇
その日の夜。俺達は出航の準備に追われていた。イアソンが
「アイエテスは俺が金羊毛を入手したら取返しに来るはずだ。用が済んだら速やかにこの地を去るぞ!」
と指示し、彼はメディアと共に金羊毛を取りに行ったからだ。神話どおりならまあイアソンの言った通りになるだろう。支度が終わってしばらくすると、イアソンがメディアと小さな男の子を連れて戻ってきた。
「其方達は?」
とアタランテが尋ねる。メディアは
「私はコルキスの王女メディア。こちらは弟のアプシュルトスです。私達もあなた方の旅に加わりたいのです」
と言った。
「ふむ、貴女は魔女か?確かに戦力としては申し分ないのだが……」
とアタランテは悩む。そしてカイニスは
「おいおい、良いじゃねえか。どうせこの先、あの王と揉める事になる。今のうちに仲間にしておいた方が良いんじゃね?」
と言う。しかし、アタランテは
「しかし、彼女達は子供だ。過酷な旅路に連れていくのは……」
と渋る。イアソンは
「メディアは俺の妻になると言っているし、船長権限で二人とも連れていく。分かったかアタランテ」
と断じた。アタランテは何か言いたそうだったが了承し、俺達はアルゴー船に乗り込みコルキスを出発した。船出してしばらくすると、カストロが
「イアソン!船団が近づいてくるぞ!旗からしてコルキスの追手だ!」
と言った。こちらが出航したのに気づいたアイエテスが追い付いてきたらしい。
「よし!このまま逃げ切ってやるぜ!この船は無敵なんだろ!?」
とカイニスが言う。
「無論だ。だが油断するなよ」
とイアソンは警戒を促す。やがて、アルゴノーツは船の速度を上げようとした。
「待て!!止まれ!!」
とアイエテスの声が聞こえた。そして、俺達が乗った船が近づくとイアソンは
「ふんっ!やはり来たか。メディア、頼む」
と言ってメディアに魔術を使わせた。すると暴風がコルキスの船団を襲った。しかし、相手の船にもメディア程の腕では無いにしろ魔術師がいるのか、船団の周りに空気のバリアーみたいなものが張られ、直ぐに復帰して来た。そしてどんどん距離を詰めてくる。
「くっ!このままでは追いつかれるぞ!」
とイアソンは焦る。その時メディアがアプシュルトスを連れてきて
「私にいい考えがあります」
と言った。その時だ俺は
「メディア。君が考えていることよりは穏便に済ませる方法がある。先ずはそちらを試してみないか?」
と言った。メディアが考えた作戦とはこうだ。まず、メディアがアプシュルトスを洗脳し、敵側につくように仕向けるというものだ。アプシュルトスを船の舳先で八つ裂きにして海に捨て、コルキスの船団が死体の回収のしている所を逃げ切る作戦だった。しかしこの方法ではアプシュルトスがあんまりなので俺は代わりの作戦を思いついた。
―――コルキス陣営視点―――
「イアソンめ、金羊毛どころか我が王女と王子を連れ去っていくとは……」
アイエテスは竜に護らせるほどのコルキスの秘宝金羊毛を取られた上にメディアがイアソンについて行ったことにカンカンだった。そして、アイエテスは部下に命じてどんどんアルゴー船を追った。そしてとうとうアルゴー船が目の前にという距離にたどり着いた。そのときだ部下の1人が
「あれはアプシュルトス様では!?」
といった。アイエテスはアルゴー船の方を見てみる。すると確かに王子アプシュルトスが立っていた……それも目視できるだけで10人。
「どっ、どういうことだ!?」
と混乱するアイエテスだった。
―――メン視点―――
アプシュルトスをコルキスに返す方向で俺とメディアは樽を元に10人のアプシュルトスの偽物を作った。カモフラージュの魔法はアプシュルトスが浮きに縛られた姿だし良いだろう。イアソンは言う
「アイエテス王よ、アプシュルトスは返そう。偽物と一緒にな!!」
そして俺達アルゴノーツはアプシュルトスと偽物達をそれぞれの方向に海に落とした。
「何ッ!?」
「姉上!?」
と2人は驚いていた。そして、イアソンは
「これで良いだろう?お前達も諦めるんだな!」
と言った。コルキスの船団はアプシュルトスの救助に掛かり切りになりこうして俺達はコルキスの追手を撒いて逃げることに成功したのであった。
やあメンだ。あれからゼウスの怒りには触れなかったようでアルゴー船は特に大きな嵐等には見舞われず航海は順調だ。船内もメディアが残酷な作戦を展開しなかったお陰で大きな溝は生まれず船内は祝勝ムードで小さな宴会を度々開くようになった。そんな時だ。メディアが俺の船室を尋ねてきた。メディアは
「あの……メンさま。脱出の時はありがとうございます!もし貴方の入れ知恵が無ければ私は実の弟を殺し、魔女だと恐れられたでしょう」
と礼を言ってきた。俺は
「気にしないでくれ。それに穏便にとは言えアプシュルトスは災難にあってしまったのだし、称賛される程じゃないって」
と言うと「それでもです。本当に感謝しています」
と言われた。良かれとおもって他人の運命にちょっかいだした。始めは失敗と言っても良かったがどうやら今回は良い方向へと言ってくれたようだ。そうする内に我々アルゴノーツはイアソンの故郷の近く、クレタ島に来た。ここにはかのエウロペを守護していたとされる青銅巨人タロスが居て、なぜか通る船通る船を沈没させているらしい。アルゴー船がここを無事に通るならそのタロスをどうにかしなければならないだろう。
そこでイアソンの妻となったメディアはある案をだす。青銅巨人の踵には栓と言うべきものが付いていてそこを外せば体内の神血が流れ出てタロスは機能を停止するらしい。
「じゃあそこさえ攻撃すりゃそのタロスは木偶も同然ってことか」
とカイニス。
「しかしタロスもそこは分かっているだろうし複数でかかる必要があるね」
とテセウス。
「じゃあ、アルゴノーツの総力戦になるか。ここまで来たらやるしかないか……」
とイアソン。そしてメディアが
「では皆さんよろしくお願いします!」
と言った。かくして、この世界に来て初の対巨人戦闘が始まるのだった。
「よし、では作戦を伝えるぞ」
とイアソンは皆を集めて言った。まず、テセウスやディオスクロイ達がタロスの注意を引き、アタランテ達弓使いが牽制。そこメディア班が突撃して蓋をこじ開けるというものだった。俺はメディアの班での行動だ。
――夜明けが合図だった。タロスの眼の部分目掛けて矢が放たれる。
「ガァン!!」
と音が鳴り響くが、タロスはびくともしていない。
「くそっ!なんて硬さだ!!」
とテセウスが叫ぶ。
「怯むな!続けて撃て!!」
とイアソンが檄を飛ばす。
「ウオォオオオ!!!」
雄叫びと共に一斉に矢が撃ち込まれる。しかしほぼ全ての矢がタロスの装甲に弾かれた。
外敵を発見したタロスは指に搭載されたバルカン砲を発砲する。
「ぐぁああ!!」
「きゃああ!!」
と悲鳴が上がる。幸いにも直撃した者はおらず、死者はいなかった。しかし、このままではじり貧である。
「メディアさん!今のうちに!」
と俺はメディアに指示を出す。
「はい!分かりました!はあっ!!」
メディアは魔力の籠った一撃を放つ。
「ギィイイン!!」
と音を立てて、タロスの足首に傷が入る。しかし、やはり効果は薄いようだった。
「うわああ!!」
テセウスの声が聞こえる。タロスは両腕を振り回し、それを必死に避けていた。ディオスクロイが加勢に入る。
「行くぞポルクス!」
「はい兄様!」
半神の兄妹はタロスの剛腕を捌く。そうこうしているうちにメディアが
「あれです!あの箇所がタロスの供給弁です!」
とタロスの踵にある突起を指さした。イアソンが
「やれメン!一撃で蓋を外せ!」
と叫ぶ。俺は念じて腰にベルト『タイフーン』を出現させそのままショッカーライダーに変身する。そして
「ライダー……キック!!」
ライダーキックをタロスの弱点に食らわせた。すると蓋の部分が弾け飛び、タロスはまるで悲鳴の様な音をだした。イアソンが指示を出す。
「よし!退避。全員退避だ!」
と俺達は青銅巨人タロスから離れる。タロスは少しの間、妙な動作をしていたが地響きと共に倒れ込み動かなくなった。
「やったのか?」
とイアソンが言う。俺は変身を解きながら
「恐らくね」
と答えた。メディアは
「ありがとう……ございます!メンさま!貴方のおかげで私達は救われたのです」
と言ってきた。
「気にしないでくれ。皆の力あってこそだ。少なくとも1対1で戦いたくない相手だったよ」
と俺は返す。メディアは
「それでも、私はあなたに感謝します!」
と言ってきた。俺は照れ臭くなり頬を掻いた。そしてイアソンが
「これでアルゴー船は安泰だな。メン、お前には感謝してもしきれん恩ができた。何かあったら俺に言ってくれ。出来る限り力になろう」
と言ってくれた。こうして俺達の戦いが終わったのだった。
その後、俺達はアルゴー船へと帰還した。その後アルゴー船はイアソンの故郷へ帰り俺達アルゴノーツは一応の役目を終え解散と言うことになった。また解散の際には盛大な宴会が行われた。さて、その後イアソンにはまだ続きの話があるがそれはまた別の話だ。俺はアルゴノーツ解散時にピリオ山に帰ることにした。
短い間だったが苦楽を共にしたアルゴノーツに別れを告げ、俺は一旦ケイローン先生に報告や修行の続きをすることになる。しかし、アルゴー船の冒険を切っ掛けとして安住の地探しも兼ねて俺はもっと世界を見て回りたいという思いもできたのだった。
駄文閲覧ありがとうございます。感想等お待ちしております。
今回で神代ギリシャ編はほぼ終了で主人公を別の舞台に向かわせようと思ってます。どこ行くかはfate世界の年表とにらめっこしながら考えてます。
もっともっと量産型ライダーの活躍を書きたいけど中々むずい…。