ウルクでの生活は割と長く続いた。ウルクの居心地が中々良かった為だ。しかし時は流れるもの、ずるずると続いた生活だったが十年も経った頃ギルガメッシュ王が崩御した。無論今まで世話になったこともあって葬儀にも顔を出した。ギルガメッシュ王の死に顔は特にこれといった悔いは見受けられない安らかな顔だった。そして、その数日後、俺はウルクの街の外に出ていた。
「さて、これからどうするか……」
俺はそう呟く。ギルガメッシュ王が死んでしまったしここらでウルクを去って放浪を再開することにしたが行先を決めかねていた。前世の歴史を参考にすれば、ここから当分の間はfate世界では空白ともいえるくらい特にこれといったことが無いはずだ。
「まぁ、適当に旅をしながら考えるか」
そう結論付けた俺は歩き始めた。東へ西へ旅を続ける内に各地で二輪の車輪の乗り物に乗って旅する様々な仮面を被って戦う者の話を聞くようになった。……もしかして俺の事だろうか?その後も各地を転々と回り続けただろうか、数百年は経った気がするが俺は何度目かのエジプトに足を踏み入れていた。
エジプトも割かしいい所だと思うが、偶に野生のスフィンクスに出くわすのは俺の運が悪いのだろうか。しかし野生のものは戦闘用の訓練を受けてないせいか図体の割にそこまでの脅威は感じなかった。最上位のスフィンクスであるスフィンクス・ウェヘムメスウトは相手なら話は違うのだろうが。
さて今回訪れたエジプトの地で、俺は久々にfateのキャラに出会った。蒼銀のフラグメンツで初登場したライダー、オジマンディアスだ。もっとも俺があったばかりの今の彼はファラオを継ぐ前の少年時代、単にラーメスと呼ばれている少年だった。この頃から尊大な片鱗は見せているが大人時代程尖ってはいなかった。俺は王宮への手土産と共に宮殿に入り、ラーメスに彼の許嫁のネフェルタリ、ラーメスとネフェルタリの親友モーセに会った。俺は彼らに外国の話をして興味を持たれ、以降度々彼らに外国の話を聞かせている。
「メン!早く余達に前の話の続きを聞かせよ!」
とラーメス。
「はいはい」
俺は苦笑しつつ答えた。
「ふむ、やはり遠い異国の地の話は興味深いものですね」
とネフェルタリ。
「ラーメス、急かさなくてもメンには時間はたっぷりあるよ」
とモーセ。
「こちらの時間は有限なのだ!だから早く聞きたいのだモーセ」
とラーメスはモーセに言う。俺は
「じゃあ続きだ。金ぴかの王様とその親友の話だよ」
と俺は直接見た事は無いが知ってはいるギルガメッシュとエルキドゥの話を三人に聞かせた。
「……という訳で二人は怪物退治に行くことになるのさ」
「まあ。二人はどうなってしまうのでしょう?」
とネフェルタリ。
「それはまた今度かな。また少ししたら宮殿に顔を出すからその時にね」
と俺は答える。
「うぬぅ、メンの話は面白いからもっと聞きたかったのだが仕方がない。ではその時を楽しみにしているぞ」
とラーメス。
「それじゃあ俺は行くから」
俺は宮殿を後にするのだった。
◇ ◇ ◇
それから数年後、俺はラーメスやモーセと模擬戦闘をもするようになっていた。今日もネフェルタリや他の人々が観る中、俺はラーメスとモーセと1対2での練習試合を始めようとしていた。俺は相手は子供とはいえ将来の大英雄なので1対2のハンデもあるし変身することにする。俺は仮面ライダークロニクルガシャットを取り出し起動する。
「Enter The GAME!Riding The END!」
俺の姿はライドプレイヤーになった。
「では、始め!」
審判役の神官が合図をすると同時にラーメスが突っ込んできた。
「ハァッ!」
ラーメスの蹴りが飛んでくるが俺は難なく受け止める。
「まだまだ!」
続けてラーメスの連続攻撃が続く。それを捌きながら、隙を見て反撃を試みる。が、今回は1対2、横合いからモーセが鋭いパンチを繰り出してくる。俺は体を捻り、何とか避ける。更にラーメスの攻撃が俺に迫る。俺は一旦距離を取り、今度はこっちから仕掛けることにした。まずは2人のうちどちらかを戦闘不能にしてしまおう。俺はラーメスに攻撃を集中することにする。
「フゥン!!」
気合の声を上げ、ラーメスのキックを腕で受け流す。そして、そのまま懐に入り込み腹部に掌底を打ち込む。
「グッ!?」
衝撃によろめくラーメスに追撃をかけるべく拳を振り上げるが、間一髪でモーセが救援に入る。モーセはこちらに掌底を打ち込んできた。
「くっ」
俺もよろめきその隙にラーメスが体勢を立て直す。
「これで終わりだ!」
ラーメスが回し蹴りを放つ。俺はラーメスの蹴りを両腕でガードした。俺は
「おりゃああぁぁぁ!」
雄叫びを上げてラーメスを吹き飛ばす。
「ぐわぁぁぁぁぁぁ!?」
「ラーメス!」
モーセが叫ぶ。俺はラーメスに向かって走り出す。
「ハッ!」
ラーメスは俺に正拳突きを放った。俺はラーメスの拳を掴み、そのまま背負い投げを決めた。
「グアッ!」
ラーメスは地面に叩きつけられた。
「そこまで!ラーメス様は戦闘不能です!」
と神官が判定を下す。これで試合は俺とモーセの1対1になった。しかし油断はできない。モーセは後に天使を撲殺する程の使い手、格闘戦ならラーメスより数段上なのだ。俺はモーセに構えを取る。モーセも俺に対して構えを取った。
「では、改めて……試合再開!」
審判が宣言するとモーセは動き出した。素早いジャブからのストレート、俺はそれらを避ける。モーセは続けて右のハイキックを放ってきた。俺はその脚を左腕でブロックする。だがモーセの右足はそのまま振り抜かれ、俺は後ろに吹っ飛ばされた。
「うおっ」
俺は思わず声を上げる。モーセの蹴りはかなり強力だ。まともに喰らえばダメージは免れない。俺は立ち上がりモーセに攻撃を仕掛ける。モーセは俺の拳を避け、カウンター気味に左フックを打ってきた。俺は右手の甲でそれを受ける。そして左手を伸ばしモーセの襟元を掴むと、そのまま持ち上げて地面に思い切り叩きつけた。
「ガハッ」
モーセは口から血反吐を吐き出す。俺はとどめとして軽くモーセの胸を踏みつけようとするが、モーセは跳ね起き俺の胸に正拳を命中させた。
「ウッ」
俺は痛みに顔をしかめる。その時だ。
「そこまで!これ以上の戦いは練習の範疇を越えます!試合終了です!」
と審判のストップが入った。俺はモーセに
「やり過ぎたか!?手当をするぞ!」
と駆け寄った。モーセは
「大丈夫です。このくらい平気ですよ」
と笑顔を見せた。
それからしばらく経ったある日のこと、俺はラーメスとネフェルタリとモーセと共に宮殿の庭を散歩していた。
「メンよ、先日の試合は実に見事であったぞ。余とモーセをあのように打ち倒すとはな」
とラーメス。
「ありがとう、でも2人とももっと強くなるよ」
と俺は言った。2人の将来を考えれば嘘ではない。
「でもラーメスとモーセが強くなる頃にはメンさまはもっと強くなっているでしょうか?」
とネフェルタリが質問してくる。俺は
「まあ俺も一応修行中の身だからね。まあ今より劇的に強くなるってことはそう無いかな」
と答えた。どうもここ最近はライダーへの変身時間の向上などは伸び悩んでいる感じだ。出来れば今より強くなるのに越したことはないのだが……
「僕もメンのようにいつかは素手でスフィンクスを殺せるようになるのでしょうか」
とモーセ。
「言っとくけど俺は素手でやったことはないからな?」
と俺は訂正を入れる。まあモーセの将来を考えると素手でスフィンクスを殺るくらいはできちゃうかもしれん。
「殺せること自体は否定せんのか……それはそうとメン。余がファラオになった暁には正式に余の部下とならぬか?お前程の勇者を遊ばせておくのは惜しい」
とラーメス。俺は
「悪いけどまたぞろ他の地域を見に行ってみたいし、お断りさせてもらいますよ。旅人をやっている方が性に合っているんです」
と答えた。
「ふむ……残念だが仕方あるまい。気が向いたらいつでも来てくれ。余もネフェルタリもモーセもお前を歓迎しよう」
「えぇ勿論」
それから少しして俺は一旦エジプトを離れた。そして2年程してまたエジプトに来ると、ラーメスはファラオになっていて以前の言葉通りネフェルタリとモーセと共に俺を歓迎してくれた。その頃にはラーメスは自分の事とオジマンディアスと呼べと言ったのでここからは彼をオジマンディアスと呼ぶことにする。宴は楽しかったが、エジプトでの歓迎ムードは長くは続かなかった。俺が来てから少し経った後、モーセがナルナ人を引き連れてエジプトから脱出する事件が起きた。モーセ出奔の報せを受けたオジマンディアスは悲痛な表情をしていた。
俺もモーセ達の後を追うエジプト軍について行って、紅海に追い詰めた場面を見たのだが凄かった。遠目だったので細部が分からなかったのだが、モーセの居る辺りから光が走ったかと思うと海が割れて道が出来ていた。モーセはその道を歩いて行き、ナルナ人達はモーセに祈りを捧げるとそのまま逃げていった。エジプト軍は余りの事態に唖然としていた。そして海が元に戻るまでを見届けた俺はオジマンディアスにその話を聞かせた。オジマンディアスは一瞬寂しげな表情を見せるが
「流石は我が親友モーセだ!奴ならそれくらいの奇跡も起こせよう!」
と笑っていた。その後、俺は数年に一度のペースでエジプトを訪問していた。オジマンディアスはいつ来ても元気でファラオらしく尊大だった。ネフェルタリが逝ってしまった時は流石にへこんでいたが。あ、そうそう。俺はこの期間に古代イラン方面でアーラシュと知り合っていた。彼は気さくでさっぱりとした人でとある酒場で初対面した。
「あんた、もしかして爺さんの昔話の仮面ライダーってやつか?」
とアーラシュは話しかけて来た。過去にこの地域に足を踏み入れていたこともあったのでその話が残っていたのだろう。
「そうだな、一応仮面ライダーをやっているメンだ」
と俺は答えた。するとアーラシュは
「そうか!じゃあ強いんだろうな!」
と言ってきた。
「それなりにはな」
と答えるとアーラシュは
「それなりか!俺は結構自信があるんだけどなぁ」
と言っていた。それから俺達は意気投合し、酒を飲みながら色々と話をした。
「ところでメンの旦那はどんな能力を持ってるんだ?」
とアーラシュは聞いてくる。
「俺は基本色々できるな。でもやっぱり一番好きなのは徒手空拳かな。あとは変身したり必殺技使ったりするのも好きだな」
と俺は答える。
「へえ、俺もまあ英雄と呼ばれている者として色々できるが、一番得意だと言えるのは弓だな」
「弓か。俺も一応ケイローン先生に習ったこともあるけど、どちらかというと銃の方を使うな」
「銃?」
「ああ、銃というのはだな――」
そんな感じでアーラシュと仲良くなっていったのだが、その少し後に別れが来てしまった。アーラシュは数十年に及ぶペルシャとトゥランの戦争を終わらせるためにダマーヴァンド山に登ったのだ、登山する前の彼とも会話した。
「一応聞くけど本当に行くのか?命の保証は無いんだろう?」
「ああ、これが俺のやるべき最後の仕事だ。悪いが止めるつもりはない。俺の命一つでこの先失われるかもしれない命が助かれば上等さ」
「死ぬ覚悟はあるってわけか」
「まあそういうことだ。心配してくれてありがとうよ」
「いや別に……どういたしまして」
そう言って俺は彼を見送った。そして数日後ダマーヴァンド山の頂上から一筋の光が地平線に向かって飛んでいった。おそらくあれがアーラシュが最後に放った矢だったのだろう。
その矢の一撃は遥か遠くのペルシャとトゥランの境に地割れを生み出し、物理的な国境を作った。そうしてペルシャ・トゥラン戦争も終結を見たのだった。そして国を挙げてのアーラシュの葬儀を見届けた俺はこの事もオジマンディアスに語った。そろそろ老境に差し掛かる彼は珍しく神妙な面持ちで話を聞いていた。
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