初恋の相手を探してポケモントレーナーになった男のはなし 作:姉醤油
遅れた原因はリアルの忙しさもありますが、何よりゲームのやり過ぎが一番の原因です。
今後はもっとハイペースで!とはお約束できませんが、今のところエタるつもりはないので、気長に待っていただけるとありがたいです。
それと、投稿を開始してから初めて感想をいただきました。こういったものは励みになります。ありがとうございます。
「それじゃあイチカちゃん、本当にお願いしていいのかい?」
港に着いてすぐ、現地の警察にロケット団の身柄を引き渡した俺たちは、忙しいであろうウツギ博士と別れることになった。
「だいじょーぶだいじょーぶ! 博士忙しいんですからバッチリ任しちゃってくださいよ!」
「そうかい? じゃあ、お言葉に甘えて……ユウイチくんの付き添い、よろしくね」
「よろしくお願いします」
「はーい!」
「あっ、そうだ。最後に一つ。これをユウイチくんに渡すようにって、お母さんから預かり物だよ」
ママから? なんだろう。
博士が差し出したのは薄いタブレット端末。
「これ……ポケモン図鑑ですか?」
「そう、流石よく知ってるね。ポケモンを捕まえるとこいつに自動で情報が登録されるんだ。きっと君の旅に役立つはずだ」
「ありがとうございます、使わせてもらいます!」
「うん、それじゃまた。ヒノアラシも元気でね」
「キュッピ!」
スケジュールを確認しながらすぐさま去っていく後ろ姿を見送りながら、俺とイチカさんも歩き出した。
「ほんで、こっからどうする? なんか予定とか決まってるの?」
「いえ、特には……あっでも!」
「ん?」
「ちょっと野生のポケモンを探しに行ってみたいです」
「だよね〜! わかる!」
そういう訳で、俺たちは早速アサギシティを抜けて北にある39番道路に来た。
「何でもいい、とにかくポケモンを探すぞヒノアラシ!」
「ピッキュ!」
木陰や草むらなど、とにかくポケモンが隠れていそうな場所を漁りまくると、すぐに相手は見つかった。
「あの特徴的なネジと磁石……間違いない、コイルだ! えーっと図鑑図鑑」
『コイル じしゃくポケモン 電線にくっついて電気を食べている。停電になったらブレーカーを調べよう。コイルがびっしりくっついているかも』
「確かに電線と何かビリビリやってるけど、アレって電気を食べてるんですね」
「うん、最近の電線はでんきタイプに電気を食べられる前提で作られてるとこもあるからね。ここら辺は恰好のエサ場なのかも」
「…………うーん、電線に張り付いたまま下りてこないですね」
電線からどいてくれないかと考えていると、コイルがこちらに目を向けた。
「6! iy:@yt@e.! vxd2@linqu」
なんだか楽しそうに笑っている。……ような気がする。
「いっそボール投げちゃえば? なんか敵意なさそうだし、案外いいけるかもよ」
「えぇっ、それで捕まるものなんですか?」
「いけるいける。もしダメでも町が近いんだし逃げればオッケー!」
トレーナーの先輩がそう言うなら……!
「おりゃっ!」
俺は貴重なお小遣い二百円分のモンスターボールをコイル目掛けて投げつけた。
コイルにぶつかったボールは、コイルの身体を吸収するように収納した。
あとはボールが捕獲完了のサインを出すまで待つだけだ。
「投げんの上手いねぇ。さては旅に出る前にめっちゃ練習したか〜?」
ギクッ。
「ははは、まぁいいや。それよりアレ、ちゃんと捕まるか見てなね」
「わかってます。三回ぐらい揺れて光ればゲットですよね」
コイルが入ったボールを凝視する。まず一度目の揺れ。二度目。次の三度目は、なんだか数分ぐらい時が止まったような気がした。
揺れが収まると、そうボールに付いた白い円形のボタンが光った。
「捕まった……!」
「やったね少年! 初ゲットだ!」
ボールを拾おうとすると、自分の手が少し震えているのに気が付いた。
もう一度ボールを空中に投げると、さっきのコイルが再び姿を見せた。
「よし、コイル。今日からお前はうちの仲間だぞ!」
「キュピー!」
「6ー! uyt6md\c4!」
おっ、よかった。嫌がってはいないみたいだ。目もなんか笑ってる感じがするし、二つの磁石を嬉しそうにグルグル回している。
「あら? ここのコイル、もう捕まっちゃったんですね。残念」
俺たちの背後からそう声をかけたのは俺とそんなに歳が変わらなそうな少女だった。
「うん、お先に失礼しちゃいました。君は?」
「あたしはミカンといいます。ここから近くのアサギシティから来ました」
「へー、実はアタシたちもそうなのよ。さっきよその地方から着いたばっかりなんだ」
「そうなんですね、ではおふたりともジョウトの旅は初めてで?」
「うんにゃ、アタシはジョウトの生まれだよ。他の地方の旅から帰ってきたわけ」
「俺も小さい時にエンジュシティに住んでたんだ。そこを目指そうかなと」
「エンジュならここから近いですね。よろしかったら案内しましょうか?」
ありがたい申し出だ。土地勘がある人の案内は頼りになる。
けど–––––。
「いや、大丈夫。とりあえずアサギシティに戻ることにするよ。まだやりたい事があるし」
「あら、そうですか? それじゃあたし、この辺で失礼しますね」
そう言うと、少女は軽やかな足取りで去っていった。
「あの子もトレーナーなのかな、どんなポケモン使うんだろ」
「うーん……彼女どっかで見たような……」
–––––一時間後。すっかり辺りは暗くなり、アサギシティに戻ったアタシたちはポケモンセンターに泊まることにした。
ポケモンの治療はタダ、トレーナーも格安で滞在できるありがた〜い施設だ。
施設の一角にある部屋で、ユウイチくんにせがまれたアタシは自分のポケモンを紹介していた。
「うぉおおおお!!! すげぇええええーー!!!」
「まずコイツがライチュウ。アタシのちっちゃい時からの相棒ね」
「ライラーイ!」
「船で俺たちを助けてくれたよね、ありがとう!」
「ラーイ!」
「ご褒美に顎とか撫でてやると喜ぶよ」
おぉ、本当だ……ふっくらしてて触り心地がいい。
「ラーイ……」
「次はコイツ、チルタリス! ホウエンで捕まえたんだ」
その後も続々とアタシの手持ちを紹介した後、これからどうするか、という話になった。
「アタシは今やりたい事とか特に無いからさ、ユウイチくんがなんかやりたいんだったら付き合うよ」
「ホントですか? じゃあ俺、ポケモンバトルがやりたいです!」
「うんうん、ヒノアラシが仲間になって、コイルも捕まえたし、アリだと思う。そんじゃ明日は君と同じ初心者トレーナーとか探そうか」
「はい、何から何までありがとうございます」
「いーのいーの、アタシも駆け出しの頃思い出してちょっと懐かしくなっちゃったんだ。……それはそうとユウイチくん、さっきエンジュシティに行きたいって言ってたけど、なんかあるの?」
「あぁ、それですか。エンジュに住んでたって話はしましたよね。その時、俺がトレーナーを志したきっかけの人と会ったんです。その人にまた会いたくて」
へぇ、トレーナーとしてのルーツってやつなのね。
「でも今はまずバトルです。経験を積んだらこの街のジムにも挑戦しようと思ってます!」
ポケモンジムと言ったら、バトルをするトレーナーの誰もがその門を叩く場だ。
「ジム? この街にジムってあったっけ?」
「はい、ジムリーダーははがねタイプの使い手らしいです」
うーん。はがねタイプのジムリーダー……ジョウトで戦った覚えはないけどなー。
……あっ。
「あーーーーーーーーーーー!!!!!!」
「えっ、どうしたんですか?」
「思い出した! さっきの女の子! ミカンちゃん!」
あの子は
「この街のジムリーダーだよ!」
「ええええええええええ!?」
これからは登場したポケモンを一話につき一匹ずつ紹介していきます。
⚫︎ユウイチのヒノアラシ
技:えんまく、かえんぐるま、ずつき、ひのこ
とくせい:もうか