私の音が聞こえない   作:深山瀬怜/浅谷てるる

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18.占い(占い)

 実はあまり占いの類は信じていない。けれど梨恵がよく当たるんだよ、と教えてくれた占いでは、自分よりも遥希の結果を見ていた。

「近いうちに身近な人とぶつかることがあるかもしれない……か」

 誰なのだろう。いや、占いはあまり信じていないけれど、気になった。本当は全国大会に向けてのラッキーアイテムなんかがわかればよかったのに、逆にモヤモヤする結果になってしまった。

 

《占いとか信じる?》

《そんなに信じてはいないけど。コンクールの当日に星占い最下位とかだったら最悪じゃない?》

《確かに》

 遥希は全国大会に向けて練習の日々だが、LINEには返信してくれるようになった。夜、寝る前のわずかな時間だけだけれど、その文字でのやり取りで私は満たされていく。

《ホラー映画だと占い師っていうのはめちゃくちゃ活躍するか調子乗って殺されるかなんだよな……》

《やっぱり寺生まれみたいな感じで、幽霊とかにも対抗できるの?》

《そうそう。主人公に助言したりとかもする。まあファンタジーだけどね。あ、でもこの前見た映画では自称王子様の占い師が出てきた》

《字面だけで既に強烈なキャラだね……活躍するの?》

《これがびっくりするくらい役に立たない》

 現実の占い師も、きっと幽霊の類の前では役に立たないだろうと思いながらも、私は遥希に占いのことを教えた。

《身近な人とぶつかる、ねぇ……まあ心当たりがないわけではないけど、そういうのはだいたい多くの人に当てはまりそうなこと言ってるだけだよ。大多数の人は占いの結果をそこまで気にはしないしさ》

《まあそうだよね。ちなみにラッキーアイテムは水色のハンカチだって》

《あったかな、水色のハンカチ……》

 ラッキーアイテムは気にするあたりが可愛いと思う。それから私たちは、明日テレビで放送されるホラー特番の話でひとしきり盛り上がった。私はホラーは基本的に苦手だが、遥希と一緒なら見てみてもいいかもしれない。

《本当にあった話とかだとそうはいかないけど、ホラー映画のほとんどはフィクションだからね。びっくりさせようとしてくるやつは私もあまり得意ではないし》

《たまに死角からいきなりバーンって出てくることあるじゃん。あれ心臓止まりそうになるんだけど》

《何本も見てるとパターン読めてきちゃうからなぁ……。それでも恐怖を感じるような構成になってるから、研究されてるんだなぁって。B級はなんか面白くなっちゃうけど》

《未知の世界だなぁ……。遥希、ピアノもそういうホラーな曲の方がいいんじゃない?》

《現代曲とか確かに不気味なのはあるけど、課題曲にそういうのがあんまり入ってこないしなぁ》

《合唱だと結構現代曲やるから不協和音マシマシの怖いやつあるよ。今度楽譜貸そうか? 鈴木輝昭とか》

《その人が三善晃の弟子ってことだけは知ってるんだよな。三善晃の弟子ってあたりで察せる部分はある》

 現代曲で難解であること以上にピアノが難しすぎるとも言われる曲もあるが、遥希だったらきっと弾けるのだろうなと思った。けれど、来年の定演はきっと違う人が弾くことになるだろうし、私がこの先合唱を続けるかも決まってはいない。

 よく当たる占いでわかる未来も、予言のように細かく正確なわけではない。でもきっと、そのくらいがいいのだろうと思った。

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