オラリオにバグスターがいるのは間違っているだろうか 作:ゥ!
『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』の世界に転生した。生まれた場所は片田舎ではあったものの、オラリオの名声は届いてきた。中でも【ロキ・ファミリア】の武勇は強く伝えられた。
特に、世界最高峰の団長が自分達と同じ種族の
自分はそれこそ本編のみ読了していたため外伝のソード・オラトリアでどのような活躍をしていたかは把握していなかったためそこまで思い入れがあったわけではない。それだからこそ新鮮な気持ちで魅入られ、そして憧れを抱いた。
しかし待ってきたのは厳しい現実。
多くの同胞に見送られオラリオに着いたはいいものの、ロキファミリアには入ることが出来なかった。
それはまだいい。
憧れのファミリアに入らなかったのは非常に残念だが、いつか対等な関係を築けるように別のファミリアで強くなればいいのだから。
そう思いいくつかのファミリアの面接を受け、結果的に【ディアンケヒトファミリア】に入団することとなった。
医療に関する知識を学びつつ意気揚々とダンジョンに潜りモンスターと戦いに勤しんでいたが…どうあがいても、どう戦おうとも、そもそもの戦闘センスが自分には足りていなかった。更に言えば肉体も。鍛錬が足りないという指摘は尤もだが、
育たない筋肉、足りないリーチ、回転の遅い頭。鈍い足。いかに【
自分にあるものといえば少し変わったスキルと人より機械いじりが得意だということである。
だからいっそのこと諦めることにした。
オラリアに来る際夢見た冒険者家業を廃業し、ちょっとした起業をすることにした。別の方面からオラリオの英雄と肩を並べられるように。
1番の問題である資金面は、我らが主神は金儲けになることならある程度は許容するし、結果を出せば予算も増えるだろう。
さて肝心の起業内容だが、この世界にもあるチェスや将棋、ポーカーなどを一つの携帯機器にまとめ、一人でも手軽に遊べるように普及する———要するに、『ゲーム』企業の立ち上げである。
世知辛いこの世の中で、少しでも逃避できるものが増えるように。私はこの事業を打ち出す。
○○○
最初に販売するゲームは『マイティアクションX』
そう、仮面ライダーエグゼイドで登場したあのゲームである。
本来ならチェスをゲーム化させようとしたが、よくよく考えてみると、既存する遊びをゲーム化したところで『これ必要か?』『すごいけど普通に遊べば良くない?』となる可能性があると思い至ったためボツとなった。それ以外に理由もあるが…。
ならばどうすればゲーム機の存在を主張できるか、というところに重点を置くことになる。
ゲームとは何か?
それは普段体験することのない事柄を疑似体験できることである。面白おかしい物語に触れられることである。感動を得ることである。快感を得ることである。夢中になれるものである。笑顔を与えられることである。
そのための初弾は明るくなれるポップなゲームでないといけない。
それらを総合して考えた結果アクションゲームでキャラクターも可愛く、お菓子の国が舞台というゆるふわ世界観である『マイティアクションX』が選ばれたわけだ。
…この時点でおそらく『何故現実に存在する実績のあるゲームにしなかったのか』という疑問が出てくると思う。
無論、自分も最初は『星のカービィ』や『スーパーマリオブラザーズ』などの前世におけるビッグネームを再現しようと考えていたが、自分に発現した【スキル】が問屋をおろしてくれなかった。
【マイ・ロール】 Lv.1
力 :H 124
耐久:I 53
器用:D 500
敏捷:H 156
魔力:I 0
《魔法》
【】
《スキル》
【
・器用アビリティの成長促進。
・幻夢コーポレーション社製のゲーム・ガシャット・ドライバー・ガシャコンウエポン作成時、器用アビリティにレベル無視の極大補正。
・幻夢コーポレーション社製以外のゲーム・ガシャット・ドライバー・ガシャコンウエポン作製時、器用アビリティの一時的消失。
【
・バクスターウイルスに対する抗体
・仮面ライダーに変身可能
【
・作成したゲームに対応するバクスターウイルスを生み出す。
・ゲームに対応するバクスターの存在しないガシャット作製時、器用アビリティの一時的消失
・
スキル『
このスキルのせいで仮面ライダーエグゼイドにて登場する会社が作ったゲーム以外を作ろうとすると身体がそれを拒むかのように手が動かなくなってしまうのだ。
というか企画段階で手が止まる。なんならマリオやカービィの絵を描こうとしても一切筆が動かない。逆にマイティやポッピーピポパポは超滑らかに描ける。
おそらく前世で仮面ライダーエグゼイドを視聴していた影響だろうが、
○○○
ここまで語った通り私は『マイティアクションX』を開発したわけだが…主神にプレイさせたところ。
「ほぉ…中々完成度は高いじゃあないか。これなら稼げそうだし、いいぞ。ある程度生産ラインを立ててやる……が、その隣の者はなんだ」
とのお褒めの言葉をいただいた。
私が元ネタから0から作ったというわけではないがそれでも嬉しい気持ちが込み上げてくる。
「ハッハッハッ!やるじゃないかロールよ!私の配下にしてやってもいいぞ」
「いやだよソルティ。私は塩まみれにはなりたくない」
「なんとしょっぱい返事!」
「ええい答えろっ。そいつは何者だ!」
……が、それと同時に問題も発生した。
主神の部屋で私と横並びに立っているこいつの名前は『ソルティはくしゃく』。マイティアクションXに登場するボスキャラで、『バグスター』だ。
「神様も私のスキルをご存知でしょう?どうやら私の手で自らゲームを作るとソルティのようなボスキャラクターが現実世界に出てきてしまうんようなんです」
「……確かバクスターと言ったな。それは覚えているが…問題はないのか?」
おそらく主神様が仰りたいのは人間に危害を加えないのか、ということ。
だが問題ない。
既に抑制する手段は作ってある。
「ええ、こいつ一体なら今のところは問題ないかと。コレがあるので」
手の中で転がすはプロトマイティアクションXオリジンガシャット。
レベル0という異例の数値を持つこのガシャットならばバグスターのレベルを低下させ無力化させることができるのだ。
まあ、
しかし能力は健在。
既にソルティのレベルは1を割っている。
何かをすることはできない。
あ、でも美味しい塩菓子なら作れる。
「本来なら人間に感染し、その体を乗っ取ることで完璧な存在になる腹づもりであったが…ロールとの生活も悪くない。暫くは大人しくしてやろうではないか」
「多少乗っ取り願望はありますけど抑え込めてるんで大丈夫です。最悪血みどろの喧嘩してでもぶっ飛ばします」
「…いいだろう。バグスターの処置はお前に一任する。自分で生み出した生命なら責任を取れ。決して儂のファミリアに泥を塗るでないぞ」
ふぅ、よかった。ひとまずこれで一安心。
今日はもう帰って寝よう。
「わかりました!それではよろしくお願いしますね。帰るよソルティ」
「フハハハハ!また来るのである」
「儲け話を持ってくるなら歓迎するかもなァ」
「しょっぱい対応である!」
「ほら行くよ。失礼しましたー」
「あっこらっ!帽子を取るな!」
ソルティの帽子をヒョイと奪って主神室を後にした。無論部屋から出たら返したが。
「さあて、マイティアクションXはこの世界でも一世を風靡することができるだろうか。どう思う?ソルティ」
「愚問であるな。私の登場するゲームだ。売れないはずがない!」
「だといいねー」
二人で並び、今後の未来を思いを馳せつつも私たちは与えられた私室へと戻っていくのだった。
see you next game