オラリオにバグスターがいるのは間違っているだろうか 作:ゥ!
マイティアクションXはかなり好評だった。
正直なところこの世界でも売れるか不安だったが、数値上は大成功と言っても差し支えないだろう。
まあただのマイティアクションXではないのだから売れてもらわないと困るが。
ここまでの伸びを見せたのはおそらく好奇心旺盛な神々に購入していただけたことが起爆剤となったからだろう。こっそり売り場を覗いたら殆どの購入者か神様らしき人物だった。
…で、神様からファミリアに広まり、自分専用のものを持ちたいとあらためて購入に来た事で冒険者に人気の商品という触れ込みを出せるようになり、冒険者に憧れる少年少女が買いたがる…等の流れがあったらしい。
まあ私が1番舞い上がったのはロキ・ファミリアの団員も買いに来てたことだが。あれば超嬉しかった。
確かアマゾネス姉妹の妹の方、つまりティオナさんと人形のような美しさと凄まじい強さから《剣姫》との二つ名がついたアイズさんが購入していったはず。あまりの嬉しさに思わずニヤついてしまいソルティに気味悪がられた。少し凹む。
…さて、オラリオの人口は凄まじいし、かなりの儲けになったようである。主人も大喜びで万々歳といったところか……ただ問題があるとすれば。
「いいですか。今日だけでもゲームが原因で運び込まれた方が5名もいるんです。ゲームが素晴らしい発明であることは私もよく理解していますが、公式の立場から控えるように声明を…」
「いやしかしだな!ここまで上手くやってきたというのに自ら勢いを断つような行いなど…!」
ゲームのやりすぎで医療機関に運び込まれる人が出できてしまったことか。原因は水分を取らずに熱中した結果の熱中症や、歩きゲームによるタクシー衝突事故等々…。
ゲーム自体か悪いわけではないが、そこそこ重大な問題である。そして今も主神室てディアンケヒト様とファミリアの団長であるアミッドさんが物議を醸しているのがみえた。
……本来ならあの立場は私だったのだが、ディアンケヒト様に自分の事はファミリア内でも公表しないでくれと頼み込んで正解だった。
これからもゲームを作り続ける限りバグスターは生まれる。そして生まれるバグスターはみんな敵キャラで体を乗っとろうとしてくるわけだ。
正直言って、ゲームの責任者やりつつ今後生まれてくる彼らを御するのはかなり厳しいだろう。なので運営は完全にあちらに任せて私はゲーム基礎作り上げとバグスター制御を担当することとさせてもらった。
無責任だが、私が運営をやったところで対して売上が出ないのは間違いない。何せ素人なのだから。
神様も最初は渋っていたが、目に見えて売り上げが出てくるにつれて承諾をくれたのだ。実にありがたい…。これで私は割と自由に動ける。起業すると言ってこの結果なのだから中々情けない限りだが、しかたない。
まあその代わりに売上の9割9分はファミリア行きとなり、私には月に一度残りの1分を給与として渡される採決となったが。
それでも働かずに生活できるくらいには給料が手元に残るのだから凄まじい。神の才能に感謝。
さて、巻き込まれないように私は話し合いを続ける二人に悟られないようその場を後にしてソルティを回収してから外に出よう。
今日はソルティとそこそこ大切な約束があるのだ。
○○○
ガシャコンバクバイザー
中々に活気がある。道に人は絶えないしあちらこちらで話し声が聞こえてくる。中には私の開発したゲームの話をしている人もいた。
ふむふむ…『面白かった』『私も今度買ってみようかな?』か。……ふふ、中々受けているようだ。
そう、今日ここに来た理由は私はソルティと共に実際にゲームを遊んでみた人物の生の感想をこっそり聞くためである。やはり私も人間。承認欲求は出てくるものだし何よりソルティが『実際に町の声を聞きたい』と常日頃言っていたので試しに来てみたのだ。
これは中々にいい経験ができたのではなかろうか。
もっと歩き回ってみよう。
○○○
……そうして周囲の人々の話を盗み聞きしながら移動すること1時間。
見事に迷った。
建物と建物の間のひとまず日陰に入って休憩しているが、どうやって帰ろうか。
「どこだろう、ここ」
『私は知らぬぞ!何せここに閉じ込められているからな!』
腕に取り付けたバクバイザーからソルティが訴えかけてきた。微妙に振動するのがなんだか気持ち悪い。
「仕方ないじゃない。だってマイティアクションXの敵キャラクターが現実にいたら騒ぎになるし」
人目につかないところで休憩しているのもソルティと話しているのを聞かれないためである。側から見たら武器に話しかける不審者だし。
『……なら今は出しても良かろうが!』
「あ、たしかに」
そもそも人がいないなら出しても問題ないか。
長時間窮屈な場所に閉じ込めちゃったし、休憩中くらいは解放してあげよう。
「休憩の間だけね」
バグバイザーを銃モードに嵌め込み直し、中身を放出。オレンジ色の粒子が人の形を成していく。
「フハハハハ!外の空気は実に甘いものであるな!」
外に飛び出たソルティはぐぐっ、と背を逸らす。そして何やらストレッチをし始めた。よほど箱詰めが応えたのだろう。…今後は普通に外歩けるようちょっと方針考えるか。
「そりぁ。飲食店が近いからね」
詳しく言えば酒場。おそらく甘いものも扱っているだろう。……そういえばお腹すいたな。軽く何か食べたい。そろそろ夕食の時間だ。
「ちょうどいいや、ここの酒場で——」
「酒場で、何をするつもりですか」
「エッ」
「ぬっ!?」
背後から強大な敵意のような視線。いや、のようなじゃなくてガチのやつだこれ。怖くて振り向けないからとりあえず手だけ上げておこうか…。
「貴様!ロールに何を!」
「…!?……動くな!」
はいすみません。
ソルティも電撃放つ姿勢に入ったが後ろの人の圧を受けて動きを止めた。
ここからじゃ見えないが何か武器でも突きつけられてるんだろうか。
「えっ、えっと私は普通にお店で食事を…」
「普通の人間はその飲食店の裏でモンスターを産み出したりはしない…もう一度聴きましょう。その…言葉を話すモンスターで何をする気だ」
「………」
ど、どうしようソルティ!
わたしたち完全に誤解されてる!
アッ冷や汗が目に入っためっちゃ痛い!
あーもう!とっ、とりあえずソルティにさせてあげようとしたことを正直に述べよう!
「別に何かしようってんじゃないですよ。ただ、狭いところに閉じ込めちゃってたんで、多少
瞬間。私の体に凄まじい衝撃が迸ったと思ったら壁にめり込んでいた。一瞬何が起きたかわからなかったが、脇腹に感じる痛みから蹴りを入れられたという事はわかった。
「貴様ァ!」
「……」
この人、明らかに一般人じゃない。
というか絶対冒険者だろう!
痛みで朦朧とする中、わたしは何とかソルティと対峙する人物を見据えた。緑色の髪、蒼色の瞳、ツンと尖った耳。頭にはメイドさんがよくつけている頭飾り(たしかホワイトブリムと言ったものだったはず)に同じくエプロン。手元には買い出しでもしていたのか食材の入った袋が納められている。
この人、どっかで見たような………あっ。
思い出した!
流石に10年以上前の記憶だから声だけではわからなかったが…!彼女こそは、原作で幾度もベルくんを助けた人物である『リュー・リオン』その人だ!
そして今、彼女の表示は無表情…しかし怒りが透けて見える…それと同時に戸惑いも。
確かに私の言い分は…まあ焦ってたとはいえどかなり怪しいどころかもうグレー通り越して黒。側から見たら多分新種のモンスターを地上に放った人物になるのではないだろうか。
正義の眷属であった彼女からからしたもう制裁対象であろう。非常に不味い。
それでも初撃で殺さなかったのは自制が効いているからなのか、私がそこまで強くないということを見抜いていたからなのかはわからない。もしくは情報を聞き出そうとしている?
ともかく、彼女は今冷静ではない。
どうにか話を聞いてもらうか、この場から完璧に逃げ切るか、それ以外の手段を見つけなければ。
………どうする?
どう行動する?
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穏便に話し合いに持ち込む
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強引に逃げ出す
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戦う