ありふれたデスゲームの生き残りが世界最強 作:香織雫推し
「本当に着てよかったのかなぁ。」
俺は制服を着てポツリと呟く。この制服は通えないと思っていた高校へ行くための制服だ。
元々身内がいない天涯孤独であり、お金はあるがこの家ですら固定資産税などを払っているのはあの時もらった人狼の賞金だ。
あれから食事は相変わらずのカップ麺ばかり、体重が太ると思われたが反対に少し体重が落ちた。
本当に生きている理由がなく、以前と全く同じ生活を送っているのは確かだ。
準備を終えるとヘッドホンを首からかける。
雑音がとてもうざく感じてしまうから何も音楽をかけずにつけている。
「……。母さん行ってきます。」
ポツリと呟き外に出る。空は晴れわたり、少しだけ肌寒い風が、本来なら入学式にちょうどいい日なんだろうけど。
ざわざわと声が漏れるのは本当にウザったるい。賑やかな雰囲気は苦手になった。
あいつとの、約束を果たせるかは分からないが、死ぬ気はおきない。
最後の言葉だけがリフレインして残るのだ。
学校へ向かい、入学式を終え自分の席に座る。そして先生が来るまでいつも通りのイヤホンをつけようとしていた時だった。
「ねぇ。君、少しいいかな?」
「ちょっと香織!?」
すると後ろ肩を叩かれ、俺は首を傾げる。
そこには綺麗に整った顔をした少女と、ポニーテールの少しだけ目付きが尖っているが、明らかに俺が見た中で一番顔が整っていて、純粋に綺麗だなっと思えるくらいに綺麗な女性がいる。
「……俺?なんかしたか?」
「ううん。君って前に子供を救うために100万円払ってた人だよね?」
「……?」
すると全員から視線が集まる。
100万って単語だろう
「違うでしょ。香織。ごめんなさい。香織が色々と。」
「……もしかして、こいつって結構バカなのか?」
「酷い!!」
「えぇ。今の状況だと否定できないわね。」
「雫ちゃん!?」
そして雫ちゃんと言うやつは保護者って感じだな。
何となく苦労人気質であるような気がする。そしてかなりの常識人でありそう。
「言っとくけど金目当てならどっかいけよ。美人局なら間に合っているしな。」
「……えっ?あの話って本当なの?」
「なんだよ?偶然100万が手元にあったし、騒がしかったしな。」
「スーパーに100万持って来てる方が異常よ。」
……そりゃそうだ。確かに今でも10万は入っているが、使っても月一の買い物は2万くらいしか使わない。
ついでに余談だが、あの後学校から表彰されていて、高校に入れるようになった理由の一つだ。
「まぁな。ただあの時にはちょっと色々あって。つーか美人局じゃないんなら何だよ。」
「えっとその。」
「香織が友達になりたいって言っていたのよ。そしたらなりふり構わず突撃したの。」
どうやら雫ちゃんと呼ばれている人はその付き添いで、フォローしにきたらしい。
「お前大変だな。」
「哀れないで。これでもいい友達なのよ。」
「まぁ、嘘はつけなさそうなのは分かるけど。……正直怪しすぎるからな。どう見たってお金目当てでしか思えないし。」
「そうね。私も最初にあぁ言われたらそう思うわ。」
「……まぁそれもあるけど。……それ以前に俺見たことないし。あそこにいたことくらいしか分からないだろ?名前も知らないし。」
「「あっ。」」
その言葉に二人は忘れてたらしい。こいつら本当に大丈夫か?
「柳原中から来た白崎香織です。」
「八重樫雫よ。」
「あぁ。まぁ一応大崎大牙。とりあえず今年一年は同じクラスだろうし。よろしく。」
少しだけうさんくさげに見てしまう俺。でも、これが一生をかけて大事にしたい最愛の二人との出会いだった。