ありふれたデスゲームの生き残りが世界最強 作:香織雫推し
「大崎くん。おはよ〜。」
「大崎くん。お弁当それだけ?」
「大崎くん。何聞いてるの?」
そんな声が日常を埋め尽くす。いつも音が耳に入ってくる。
だけど、うざったるいとかは思わない。声が聞こえてくるのは、少しずつ慣れてきた。
「あっ。大崎くんおはよう。」
「おはよう。白崎。」
今日も一度肩を叩き、同じように挨拶をする。月曜日ということもあるのだが、クラスからの視線を集める。
白崎は男子から人気があることもあり、嫉妬や殺気が向けられている。しかしこれは慣れていることもあり、平気な方だ。
「大崎くん。おはよう。毎日大変ね。」
「香織、また彼の世話を焼いているのか? 全く、本当に香織は優しいな。」
「全くだぜ、そんなやる気ないヤツにゃあ何を言っても無駄と思うけどなぁ。」
すると八重樫といつもの煩い奴がやってくる。どうやら二人の幼馴染らしいが、正直苦手だ。
「八重樫おはよう。そっちのほうが大変だろ?」
「当然のように二人は無視なのね。」
「人扱いしない奴になんで構う必要あるんだよ。挨拶だってされてないしな。」
「まぁそうだけど。」
ため息を吐く八重樫。俺含め八重樫の周りには負担がかかる人ばかり集まるのだろうか。
「……邪魔だからさっさと退いてくれ。」
「いつまでも香織の優しさに甘えるのはどうかと思うよ。香織だって君に構ってばかりはいられないんだから。」
「知るか。それをいうならお前の方だろ。白崎や八重樫だっていつかは離れるんだぞ。幼馴染って関係は変わるかもしれないけど学生のようにいつも側にいるってわけではないんだからな。」
別れは急にやってくる。それがいつなのか分からない。
「それってどういう。」
八重樫が聞こうとしてきたところで学校の始業のチャイムが鳴り教師が教室に入ってきた。教室の空気のおかしさには慣れてしまったのか何事もないように朝の連絡事項を伝える。
これは分からなくてもいい。
俺はどうせ、高校の友達なんてすぐに忘れるのだから。
食事の時間になるとみんなは楽しそうに食事を摂ることが多いが俺はただカロリーを摂取してるだけ。
高カロリーの栄養食とサプリメントで構成されているものを食べる。
食事は生きるために食べるものであり、いつのまにか美味しいとも不味いとも思わなくなった。
「……雫ちゃん?あれ?」
「生きるための食事ってところかしら?……健康によさそうとは思えないけど。」
さすがに二人もこの食生活には言いたいことがあるらしいけど。
それでも生きるためには例え無味でも食べなければならない。
「健康に悪いのか?必要なエネルギーは取れているはずだけど?」
「野菜や食物繊維が全くないのだけど。あなたって何か病気かアレルギー持ちなのかしら?」
「野菜とかは無糖性の野菜ジュースや青汁飲んでいるけど。アレルギーはないと思うけど。」
「それ美味しい?」
「……分からん。最近本当に何飲んでも食べても何とも思わないようになったし。」
「それは一つの末期症状だわ。あなた一人暮らしでももう少し食生活気をつけないとまた痩せるわよ?」
「さぁな。まぁ、学校じゃあ何食っても変わらんしな。……こうも殺気がこっち側に向いているとな。」
白崎がじゃあ弁当作ってこようかと言う直前で俺は言葉を遮る。最近二人の動き方も分かってきたのもある。
家ではカップラーメンが普通だし、こっちは絶対にバレたら先生も飛んでくる。
「…でも、ちゃんと食べた方がいいよ。夜ご飯も外食ばっかりなんでしょ?」
「まぁな。」
「それなら夜ご飯一緒にどうかな?」
そうきたか。俺はため息を吐く。
「流石にそこまでお世話になるわけにはいかないだろ。それにうるさい奴が1人付いてくるだろうし。」
「あら?私のことかしら?」
「八重樫なら喜んでいくんだけどな。ぶっちゃけこのクラスで彼女にするのだったら俺は八重樫選ぶだろうしな。」
「えっ?私?」
驚いたようにしているが八重樫は自己評価低すぎるんだよなぁ。
「白崎が可愛いってことは学年中で誰もが知ってることだろうけど、八重樫って実際結構女の子ぽいことは白崎からよく聞いてるしな。差別もないし、それでいて面倒見が良く、空気だってよめる。見た目なんて文句の付け所だってないだろ?」
「そんなに誉めても何も出ないわよ?」
「事実だろ。お前は少しは自分の人気を理解しろ。」
そんな話をしている時だった。
すると少し離れた天之河の足元から純白に光り輝く円環と幾何学模様が現れる。
「は?」
見たこともない模様が下に現れ俺は固まってしまう。そしてそれはこのクラス全員に言えることだった。誰も一歩も動けない。
そして俺はとあることを思い出す。……人狼ゲームに巻き込まれる時も白い光に包まれていたことを。
そしてその瞬間声に出した。
「早く教室から出ろ!!」
その言葉に全員が驚きをあげる。しかしその一瞬がもう遅かった。
白い光が循環し天之河どころか全員を包み込み俺たちは光に紛れていった。