大日本帝國召喚   作:もなもろ

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満洲国の休日についての法令です。元ネタはもちろんありますが、自作です。


休日に関する件(興信元年勅令第十二號) / 満洲帝國浜江省東寧県綏芬河市 2675(興信27・2015)年4月29日(水・祭)

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朕参議府の諮詢を経て昭徳元年勅令第九號休日に関する件改正の件を裁可し茲に之を公布せしむ

 

 御名御璽

 

  執政名官印

 

   興信元年一月九日

 

     国務総理大臣  白洪林

 

勅令第十二號

 休日に関する件

左の日を休日とす

一 慶祝日

 元旦        一月一日

 康徳節       二月六日

 建国節       三月一日

 昭徳節       四月二十九日

 憲法記念日     五月十五日

 万寿節       十二月二十三日

二 左の祭日

 昭徳皇帝祭     一月七日

 祈穀祭       穀雨日

 建国忠霊廟春季例祭 五月三十一日

 建国忠霊廟秋季例祭 九月十九日

 嘗新祭       十月十七日

三 左の節祀日

 春節        陰暦正月一日に相当する陽暦の日

 元宵節       陰暦正月十五日に相当する陽暦の日

 春丁祀孔      陰暦二月上丁日に相当する陽暦の日

 端午節       陰暦五月五日に相当する陽暦の日

 中秋節       陰暦八月十五日に相当する陽暦の日

 秋丁祀孔      陰暦八月上丁日に相当する陽暦の日

四 一月二日、三日及十二月二十九日、三十日、三十一日

五 日曜日

 

 附則

本令は公布の日より之を施行す

 

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<解説>

昭德

 第二代皇帝在位時の元号。昭徳元(2627・1967)年10月18日から昭徳23(2649・1989)年即ち興信元年1月7日まで。康徳帝の崩御は前日の17日であるが、この当時は、日本の「登極令(第二條 天皇踐祚ノ後ハ直ニ元號ヲ改ム/元号ハ樞密顧問ニ諮詢シタル後之ヲ勅定ス )」に規定されるような改元に関する規定がなかった。康徳帝の崩御が確認され、新元号を発布する段階になって後にこのことが発覚した。即日改元を意図していた満洲国政府であったが、やむを得ず、康徳34年10月17日に緊急勅令「元号令」を発布し、皇帝践祚後には直ちに元号を改めることを規定した。そして、康徳帝の公式の崩御時刻を10月18日正子として、18日改元とした。

 出典は『尚書』堯典で、昭和の元号の出典と同じであり、「克明俊德,以親九族。九族既睦,平章百姓。百姓昭明,協和萬邦。」の「德」と「昭」から採用された。

 

興信

 今上皇帝の元号。昭德23(2649・1989)年即ち興信元年1月7日から。先帝昭德帝即ち昭和天皇は昭德23年1月7日午前6時33分に崩御あそばされたが、これを以て直ちに今上皇帝が践祚された。これにより、昭德23年1月7日は、興信元年1月7日に改まったが、昭德皇帝の治世について言及するときは、昭徳元年10月18日から昭徳23年1月7日までと称し、興信元年1月7日までとは称さない。その意味では限定的な使用に限られるが、誤りではない。

 出典は『史記』五帝本紀帝舜であり、平成の元号の出典と同じである。「信飭百官,衆功皆興。」から採用された。

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満洲帝國浜江省東寧県綏芬河市

 ―  在満アルタラス公使館二等書記官 ジャスティン・ブラナー(在マオロウリア大使館二等書記官)

 

 必死になって覚えたパソコンを駆使して、元同僚にロデニウス沖海戦の様子を見せることになった。

 26日の午後に行われた、我が祖国の艦隊と日満連合艦隊による開戦は、一方的も一方的な日満海軍の攻撃によって、祖国の海軍は半壊した。あれだけの被害は、到底立ち直れるものではない。報道によれば、シャークン提督以下艦隊の主だった司令官が捕虜になったとのことだ。

 27日昼の日本海軍の発表に於て、艦船のマストに翻った将旗を判別し、ある程度の数の艦隊司令官級の武官を捕虜とすることを事前に決めていたらしい。攻撃を加える際は、艦隊司令官座乗の旗艦級には直接的に攻撃を加えずに、僚艦への攻撃に注力することで、旗艦を丸裸にし、艦隊司令官の心を折るという戦闘意図があったと日本海軍高官からの解説が行われた。恐るべき攻撃だ。

 

「ブラナー。これは本当に作り物の映像ではないのだな。」

 

 元の職場の同僚が問いかけてきた。我等は満洲帝國とマオ王国の国境にある綏芬河市にあるホテルの一室で密会を行っている。

 マオ王国の商人は満洲国へ便利な様々なものを買い付けにしばしば訪れる。しかも、我々にとっては夢の中で見たような物資がここでは日用品として取り扱われているのだから、驚きだ。ただし、国境線を超えて物を運ぶのには、貿易業者として満洲国側に登録される必要がある。今回、輸入業者として来ていたマオ人の商人(我々の息がかかっている)の人足として、元同僚は潜入してきている。

 本日は、満洲国では先帝の誕生を祝う祝日として各種の記念行事が挙行されており、商人は話のタネを仕入れるために様々な場所を視察しており、それがために人足には休暇が与えられている。これを利用して、我々は密会を行っているのだ。

 

「何度も言わせるな。時間がもったいない。それよりも、今見たこの事実を何とか本国に知らせてほしい。日本と満洲は大国だ。少なくともパーパルディア皇国よりも強大な軍事力を保有している。この映像機器を見てもわかるだろう。パーパルディアにも魔導通信機という映像を送受信することができる機械があると聞いている。しかし、それには色がついていない。このような総天然色の映像などその辺の国では準備できないだろう。それに、」

 

「わかった。わかっているよ。すまない。頭が現実を拒否したがっているんだ。ここに来る途中。そう、国境線の監視所を通過した時からわかってたんだ。この国は尋常ではないことは。だが、わかるだろう。どう説明しろというのだ。この映像記録を持っていくことなどできまい。」

 

「それを何とかするのが貴様の仕事だろう。」

 

 私は大声を上げるととともに座っていたソファーから席をたった。しかし、席を立つと同時に急に冷静になり、同僚に頭を下げる。

 

「すまん。つい、興奮してしまった。」

 

 気まずくなってしまい元同僚から顔を背け、謝ると同僚もいや、問題ないと苦笑していう。気を取り直して、再度話しかける。

 

「だが、実際問題、本国はどうなっているのだ。このままでは、亡国の途をひた走るのみだぞ。」

 

「開戦の数日後にマオス外務卿から日満両国に関する情報を片っ端から集めよという指令が届いているのは知っていると思う。アンデルス大使がお主を満洲国に送り込んだのもそれがためのことだ。時折、こうして情報を受け取ることができるが、いかんせん情報を本国におくるのに時間がかかっている。ギム西方陣地をめぐる戦いの様子が詳細にわかってくると、外交行李に文書を忍ばせる協力を約束してくれたアルタラスの大使が、外交行李を使うことに難色を示し始めた。外交特権を不法に行使することは、外交特権の剥奪に繋がりかねないというのだ。民間のやり取りを使用して、対応してほしいということだ。だが、日満が航空便を繋いでいるのは、クワ・トイネ公国とクイラ王国だ。我々、在マオ王国のロウリア大使館の公用文書を日満の航空便を使って送るというのは不可能だ。ブラナー、お前が、アルタラスの文書としていろいろな文書をシオスに送ることは可能か?」

 

 元同僚の指摘に対して、俺は首を横に振った。

 

「無理だ。満洲国とシオス王国にある航空定期便はまだ存在しない。シオスに空港を建設する動きは満洲国政府には確かにあるらしいが、それよりも、アルタラスにあるムー国の空港使用権を購入する動きが盛んらしい。だが、空港の強度が問題となっているし、未だにムー国側と国交樹立の交渉も進んではいないらしい。日満両国では、クワ・トイネ公国とクイラ王国の「近代化」を急ぐ声が支配的であって、周辺国までそれを広げようとする動きはない。」

 

 日満両国にとっての喫緊の課題は、鍬杭両国の資源地帯化だ。日満両国は強大な力を持っているが、その力を維持するためには、資源を必要としている。満洲国はその資源を持っているらしいが、一国の力だけでは非力らしい。その力の穴埋めを鍬杭両国に求めており、そのための「近代化」だ。これをある程度成し遂げない限り周辺国の開発も容易には進まない。だが、その力を貯めている現在であっても、我が祖国は圧倒されている。

 

「やはりか。魔信の報告だけでは、重要性が伝わらんのだよな・・・。だが、マオス宰相が日満両国に深い懸念を示していると聞いている。開戦前にも、マオス宰相は開戦決定を保留し、日満両国のことを念入りに調べてから、再度軍議を開くべきだとおっしゃったそうだ。その時は、軍部に開戦を押し切られたらしいが、マオス宰相は、日満両国について詳しく調べるようにと外務卿に命じたらしい。本国に、我々の情報を知らせることができれば、最悪な事態を避けることもできるかもしれん。ブラナー、民間便を使って、写真などの資料を本国に届くように手配を頼めないか。」

 

「満洲国から民間便を使うとなると、クワ・トイネ公国までなら航空便で最速で送ることが可能だろうが、そこからがなあ。クワ・トイネからシオスかアルタラスに渡るまでが時間がかかりすぎる・・・。」

 

 お互い無言になり、溜息を吐く。冷めてしまった紅茶を飲む。うまくはないが、本国で飲んでいるお茶に比べれば、格段のうまさだ。飲み物一つとっても、我々の国との違いを否応なく見せつけられた。

 

「そういえば、マオ王国大使館から送った公用便がそろそろ、本国に届くころではないか。」

 

「そうか・・・。あー。なんという時間のかかりかただ。二週間前の情報が今更なんになるというのだ。」

 

 顔を伏して頭を抱えた。日満両国ならば、航空便を使えば荷物の移動は一日もあれば届く。このパソコンを利用して動画を送るのであれば、一瞬で相手に伝わる。我々はとんでもない敵を相手にしている。

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