ロウリア王国の統治体制に関するレポート
日本国外務大臣
満洲国外交部大臣
駐日英国大使
駐満英国大使
駐日独国大使
駐満独国大使
駐日仏国大使
駐満仏国大使
駐日伊国大使
駐満伊国大使
駐日墺国大使
駐満墺国大使
駐日露国大使
駐満露国大使
駐日米国大使
駐満米国大使 殿
2015(平成27)年4月30日
【報告者】
英国秘密情報部日本駐在員:在日英国大使館職員兼ロデニウス大陸派遣調査隊長 ○○○○
独国帝國情報庁極東駐在員:在日独国大使館職員兼ロデニウス大陸派遣調査隊副隊長 ○○○○
仏国対外治安総局日本駐在員:在日仏国大使館職員兼ロデニウス大陸派遣調査隊員 ○○○○
伊国国防情報庁極東駐在員:在日伊国大使館職員兼ロデニウス大陸派遣調査隊員 ○○○○
墺国帝國中央情報院極東駐在員:在日墺国大使館職員兼ロデニウス大陸派遣調査隊員 ○○○○
露国対外情報庁日本駐在員:在日露国大使館職員兼ロデニウス大陸派遣調査隊員 ○○○○
米国中央情報局日本駐在員:在日米国大使館職員兼ロデニウス大陸派遣調査隊員 ○○○○
【協力】
大日本帝國大本営情報部
大日本帝國陸軍参謀本部第二部
大日本帝國内務省警保院特別高等局
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1.ロウリア王国の歴史
ロウリア王国は専制君主と封建諸侯が存在する王政国家である。ロウリア王家は、テールマエ家を名乗り、当代の君主は、ハーク・ロウリア・カルダリウム・フォン・テールマエであり、対外的にはハーク・ロウリア34世と公称している。歴代の国王・王太子・王太孫はハーク・ロウリアを名乗ることとなっている。
ロウリア王家は、もともとロデニウス大陸の西部地域にあるジン・ハークを中心として、いくつかの所領を有する土着の部族であったと言われている。それが歴史とともに成長し、初代国王とされている、ハーク・ロウリア・ホルシュタイン・フォン・テールマエが、ジン・ハーク周辺の三部族、パンドール家、ミミネル家、スマーク家の三家を服属させたときに、王を名乗り始めたのがその起源であるとされている。王国は、その後も領土を拡大し、今現在の版図に至ったのは、3年前の南方戦役に於て、ロデニウス大陸南西部の諸侯がロウリア王に服属した結果である。
ロウリア王国の国土は三種類の区分に分かれる。一つは、王領であり、ロウリア王家が単独で保有する土地である。その管理は、宰相が行っている。代々のロウリア王家が統治してきた土地であるとともに、版図外を征服した際には、征服地の諸侯ごとに10分の1程度の土地が接収され、王領とされる。これを王領再編と呼んでいる。
二つ目が、貴族領・将軍領と呼ばれる土地である。名目的には、王領となっているが、王国政府の要人などが保有する土地で、自己の権限で代官を派遣することができる。税収に関しては国庫に納める必要があるが、「手数料」を徴収することができる。
最後が、諸侯領である。基本的に、征服した土地の旧主をあてがい、内政は諸侯の任意に決定されるが、軍役が賦課される。この費用は自己で賄わなければならない。地球世界の貴族領に相当する。
王国初期、部族が服属する際には、部族領を王領に編入する代わりに部族を中央貴族として遇し、王領顧問官と呼ばれる内政高官や王軍将軍に取り立てたりすることで、王国全体を強化することで王国が発展してきた。王国の興隆は中央貴族の興隆にもつながっていたため、諸侯として地方官になるよりも中央貴族になることが利益になり、かつ名誉とされてきた。中央と周辺の距離も狭く、中央の勢威が届きやすかったため、王国初期は、王室領が拡大していった。しかし、王国の版図が広くなるにつれ、中央の威信が辺境には届きにくくなったため、地方官たる諸侯が自己の才覚で領地運営を行う諸侯が配置されていった。更に中央貴族も代数を重ねる毎に固定化されていき、中央貴族は辺境の諸侯に対して「辺境の田舎者」という格差感情が生まれるに至った。
2.ロウリア王権について
ロウリア国王の王権は、地球世界の専制君主のそれと同様の権力である。王は、行政権、立法権、司法権、軍事警察権を掌握している。行政権は強大なものであり、立法権と司法権と分離されていない。
ロウリア王権は原則として王領にのみ及び、諸侯領には限定的に及ぶ。王の命令は諸侯に及び、諸侯は、その命令の内容及び王からの指示に応じて、これを諸侯領に発布するかどうかを決める。したがって、諸侯領の領民にとっては王国の法であっても諸侯領の法である。王領のみに発布する法は、王璽尚書によって発布される。王の書いた命令が正式なものであることを証明する王璽を保管し、王璽を捺印する役目を負っている王璽尚書は、宰相の兼任するところとなっている。
地球世界の君主は、国の公的な印璽である国璽と王の私的な印璽である王璽の二種類を保有することがあるが、ロウリア王国は王璽のみ保有する。つまり、ロウリア王国に王の私的な命令は存在しないということになる。
あるいは、私的な命令というのは、国内における命令とも言い換えることができる。国璽と王璽の違いに対外的な文書には国璽を押し、国内法には王璽を押すということもある。この世界では、国際法における国家主権と国内法における王の主権が未分化となっている可能性もある。
3.ロウリア中央政府について
王国中央政府を統括するのは、宰相と呼ばれる貴族である。現宰相であるフランチェスコ・マオス卿は、王国初期に服属した部族の末裔であるとされており、マオス家は、代々宰相や中央政府高官に就任していた。
中央政府を統括する宰相は、正式には王領総監と王璽尚書、そして王領顧問官会議議長を兼任する職を有している者をいうとされている。
王領総監は、王領、貴族領、将軍領を統括する職である。貴族や将軍も地方名を差して、「○○監」という役職についている。総監はこれらを取りまとめる職責を差している。
王領顧問官会議は、王領顧問官が集合して王国の政治を行う機関をさすが、顧問官の数は数多く、彼らが一堂に会することは無い。ゆえに、名誉職ともいうべき職ではあるが、顧問会会議の下部部局が外務局や司法局といういわゆる内閣組織である。ただし、官制は整理されておらず、機能が重複していると思しき局が存在している。顧問官会議議長は、この下部部局から必要な人員を抽出して顧問官会議小会議を主宰する。ゆえに宰相と呼ばれている。
4.ロウリア軍について
王国中央政府にも軍に関係する部局は存在するがほぼ機能していない。王国軍を統括するのは、将軍府という王の直属機関であるが、パンドール家、ミミネル家、スマーク家の三家が取り仕切っている。王領全土から抽出される兵士を王都に集め、教練する権限を与えられているのが、三大将軍を始めとする多数の軍事貴族である。彼らが領有する将軍領からは、他の領よりも多い数の兵士を集める代わりに、税が安く、各種の労役が軽減されている。
中央政府にも兵部局という顧問官会議の下部部局があり、軍人の人事を担当しているとされているが、活動実態はなく、将軍府が人事権を握っている。
さらに、将軍府所属の軍人には遠征を行った際の占領先に軍政を敷く権限を与えられている。ロウリア王国内では、軍政を早期に終了させ、王領再編を早期に行うことが、良将軍の条件とされているが、軍政が長引くことで不利益を負うのは、占領された地域の旧領主である。ロウリア王の王権にまつろわぬ者とされることで、かえって、奪われる土地の接収量が増えるため、彼らは、征服者の将軍に賄賂を渡し、早期に王領再編の報告を上げてもらうように依頼するようになっている。