大日本帝國召喚   作:もなもろ

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今回は日本国政府と軍との間での今後の方針をめぐっての動きです。


大日本帝國東京都首相官邸 軍事参議院会議 2675(平成27・2015)年5月4日(月)午前11時

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軍事参議院会議議事録 第28回 平成27年5月4日 午前11時

 

議事録作成

 内閣官房総務課 書記官 矢澤蝶子

 

出席者

征夷大将軍 公爵 徳川慶幸

(国務側)

内閣総理大臣 山上誠一

内務大臣 岡孝則

外務大臣 侯爵徳川義輝

大蔵大臣 李俊太郎

兵部大臣 大田原信頼

通商産業大臣 田山宏茂

運輸大臣 泉惣太郎

内閣書記官長 荒池正十郎

国務大臣兼警保院総裁 大出幸司

国務大臣兼情報局総裁 殿山真二郎

(統帥側) 

大本営総監 元帥陸軍大将 真柴孝則

大本営副総監 元帥海軍大将 澤義信

参謀総長 陸軍大将 李修文

軍令部総長 海軍大将 柳沢隆俊

作戦総長 陸軍大将 大河内之綱

(元帥府)

元帥海軍大将 崇仁親王

元帥陸軍大将 仲仁親王

元帥陸軍大将 師仁親王

元帥海軍大将 柳瀬泰三

 

(注)敬称略。官職表記は内閣議事録作成規程に準拠。皇族表記も同規程より宮号にて記載。

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定刻、山上議長開議の宣告。

司会進行を荒池翰長へ命令。

荒池翰長現状把握せる陸海軍の作戦達成の状況につき真柴大本営総監に報告を依頼。

 

真柴総監、会議資料1「四箇国聯合軍総司令部戦闘要報」より報告。現在ロデニウス大陸に戦闘要員として派遣せる日本陸軍部隊は近衛師団のみ。平時編制より戦時編成への切り替えは完了。近衛師団は現在マインゲン市占領及び警備の任に従事す。マース川の反対側にロウリア側の防御陣地の構築する姿見らるるも凡そ師団歩兵部隊携行の迫撃砲にて陣地の突破は容易のものと推察せらる情勢。無論、今回も作戦遂行に当たっては、十分な準備砲撃の実施により、作戦開始と同時に敵を殲滅し、歩兵部隊の被害は極限にまで減らすつもりであると。詳細は参謀総長より報告。

 

李参謀総長、会議資料2「近衛師団司令部戦闘要報」より報告。近衛師団長以下一兵卒に至るまで全軍の士気旺盛。ひとたび奉勅命令下れば、敵を一撃にて粉砕せしむること確実也。師団の補給状況良好。作戦開始前に使用した砲弾弾薬燃料糧秣については、昨日午後5時時点の報告にて補充上限対比で戦車砲弾92%、自走砲榴弾84%、小火器銃弾88%の比率までに回復。本日正午までには100%の充足完了見込みなれば、補給に不安なし。

近衛師団はマース川にかかる橋梁守備の任務に従事し、橋梁守備の為一個大隊を橋梁の対岸にまで進出せり。但し、当該派遣大隊は、橋梁の荷重強度が戦車の運用に耐えかねぬものと判断。速やかに師団工兵連隊に対して戦車橋による渡河設備の構築を進言。ただし、橋梁の川幅が予想よりも大きく、満洲陸軍第三機甲師団に機動支援橋の提供を依頼し、事なきを得たとの報告なり。師団長より戦訓所見として、近衛師団は帝國陸軍の尖兵也。近衛工兵連隊に機動支援橋の編成をとの報告。

(質疑応答)

田山通産相「我が軍に機動支援橋の配備はないのか?」

李参謀総長「否。機動支援橋は通常師団の工兵連隊に装備されているが、これは災害支援を目的としたものにして、地震などにより橋梁が倒壊した場合にいち早く災害支援物資を届けんとして配備したる次第。勿論、戦闘支援の目的があって軍に配備されたるものなれども、恥入ることにその本来の用途を忘れて災害支援の用途としてのみ運用せり。近年の例でいえば、東日本大震災の例がそれ也。全国の各師団には配備され、あの折は近隣の師団からも応援ありたるにその際に機動支援車は活躍す。このことばかり着目し、近衛師団は戦闘の尖兵なれば、ついに配備に至るという思考にならず。政府には、近衛師団に機動支援車の配備についての予算措置を検討願い度し。」

大田原兵相「戦闘詳報の提出在りたる後、参謀本部、大本営にて今一度協議の上、兵部省に報告されたい。遅くとも次年度の概算要求に盛り込む所存也。」

李蔵相「通常師団の工兵部隊に配備せらる機動支援車を必要に応じて近衛師団に戦時編成するわけにはいかないのか。」

大田原兵相「それも含めて参謀本部には戦訓研究を願いたい。今の時点で結論を出す必要はない。」

山上議長、一度議論の中止を命じる。

李参謀総長、他に、留守近衛師団長よりの派遣師団人員補充についての口頭報告在り。ギム防衛線おける戦死者の人員補充を今回攻勢の前に完了したり。

 

柳沢軍令部総長、会議資料3「ロデニウス方面艦隊司令部戦闘詳報」より報告。方面艦隊は、一度マイハーク西部租界にて補給を受けるため寄港中なり同地の守備を。揚陸艦に分散して待機中の聯合艦隊直率特別陸戦隊も敵前上陸作戦の実施に向けての最終調整を実施中。上陸戦の後、占領地の安全が確保されたと判断された際は、特別陸戦隊は撤収し、代わりに一個師団を駐留せしむる方針。編成については、参謀総長に依頼中であります。

 加えてクワ・トイネ公国からも占領地治安維持のため騎士団を派遣する用意ありとの連絡が届いております。この件につきましても、参謀総長にご対応依頼済みです。

(質疑応答)

泉運相「クワ・トイネの騎士団の戦力としての評価は?」

李総長「騎士団は団員200名の中隊規模の戦力にして、その武装については、我が軍から武器弾薬を供給した新編成の部隊也。我が軍と共通規格の歩兵銃と携行迫撃砲を所持しおり、1月程度の錬成期間なれども、治安維持の任務に従事するだけの練度はあると教導団より報告あり。クワ・トイネ公国及びクイラ王国は、現在軍制改革を実施中にして、これら現代装備を保有した部隊を暫時拡張する予定也。」

三笠元帥宮「艦隊出動の時期は何時なりや?」

柳沢総長「現下の情勢を考慮し、検討中であります。ただし、ロウリア政府が抗戦の意思を諦め、講和を希望する意思を示さば、艦隊の出撃は中止とあいなります。」

葛城元帥宮「外務省はロウリアからの講和の希望意思を聞きたるか?」

徳川外相「本省には未だロウリア政府からの講和希望の意思は到達せず。但し、在外公館にはロウリアからの意思を聴取するよう特に命じてはおらず。未だ交戦国の間なれば、直接交渉の機会はなく、こちらから申し入れするところにもあらず。在外公館の接受国外交部に対しては、ロウリアから我が国に何らかの申し入れありたる時は、暫時公使館に連絡いれられたしとのみ申し入れしたるのみなり。」

 

統帥部より議題提出

大河内作戦総長より、議題1「ロウリア王国首都上空に対し低高度飛行演習実施の件」について説明。本作戦案の目的は示威行動である。敵国中央政府に対し首都上空の制空権を我が方が奪取したことを知らしめ、首都が空襲にさらされる危険性を惹起せしめたるを手段とし、以て敵国政府を降伏に至らしめるのを目的とす。台南の第九航空師團を作戦担当部隊とし、北東よりロウリア王国首都上空に侵入。低高度で旋回を数回行い、降伏を要求するビラをばら撒く。作戦機には、戦略爆撃機を用いて、道中の警護には海軍の空母艦載機にお願いしたい。本作戦案の審議をお願いする。

(質疑応答)

岡内相「自分は問題ないと思う。敵に心理的ダメージを与えるためには効果的であり、敵の人民に与える被害がないというのもよい。戦後の民心の安定にも資するところ大なりと思う。」

徳川外相「私も同意する。戦争による両国国民感情の悪化が少しなりとも減殺されるのであれば、推進したい。」

李蔵相「一つ伺いたいが、先ほど海軍主導の作戦計画についての報告があった。あの作戦計画は2回前の軍事参議院会議で検討され、可決されたものだが、この作戦が承認される場合、海軍は作戦計画を撤回するのか?」

柳沢総長「現時点では、作戦計画を撤回するつもりはない。仮にロウリア側が講和の申し入れをしたるとて、少なくとも休戦協定を締結する前には敵本土の一部を保障占領し、敵の動向を監視すべきであると考える。敵前上陸となるかある程度の平和的な進駐となるのかのちがいでしかないと海軍は考えている。」

李蔵相「平和的な進駐によるのであれば、現在の作戦計画は、戦艦空母を率いた過剰なものであると財務としては判断するが?」

柳沢総長「否。不測の事態が起きぬとは限らぬ。現有兵力にて作戦発動するべきであると海軍は考える。大蔵大臣の判断は時期尚早なり。」

田山通産相「しばし、お待ちを。今回の空軍の作戦案が承認されれば、空軍の作戦案を先に発動するのではないのですか?空軍の作戦が成功すれば、終戦に向けてロウリア政府も舵を切る可能性がある。休戦協定の際に保障占領を行うことを条件とすればよいのでは?」

柳沢総長「既に海軍の作戦計画は発動しております。敵の本土を一部占領する。そして空軍が追い打ちをかける。軍事力を行使することで、我々はこの世界での存在感を示す必要があるのです。我々は敵前上陸作戦を遂行する能力があるのだということをこの世界の人々に見せつける必要があります。」

山上首相「暫く、しばらく。柳沢総長の発言は、空軍の作戦計画に対する討議とは論点が外れております。しかし、その論点も十分に検討する余地があると思います。統帥部としては、両方の作戦を発動する予定であったようですが、内閣側としては、この作戦案を両方採用するのであれば、しばし時間を頂きたい。海軍は発動中の作戦を一度停止し、来週の軍事参議院会議で再検討したいのですがいかがでしょうか。」

柳沢総長「総理、お待ちください。既に一度上奏裁可を得た作戦です。我等も統帥の輔翼者として軽々に作戦の中止に至るような真似はできません。」

山上首相「作戦中止ではなく、停止です。それに作戦決行の時期を検討中のはずです。少しばかり時間を頂きたい。」

柳沢総長「わかりました。しかし、本作戦は既に遂行中のものです。統帥については統帥部が責任者でもあります。その点だけは、議事録にしかと留めさせていただきます。」

山上首相「もちろんです。悪いようには致しませんので。それでは、今回の作戦部提出の作戦案に対する賛否は後日の軍事参議院会議で決するということでいかがでしょうか。」

反対者無し。

荒池翰長「暫時休憩とします。次の議題は内閣側より提出のマインゲン後方司令部司令官職を親輔職の待遇とする案につきまして討議したく思います。」

 

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