大日本帝國召喚   作:もなもろ

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日本国内の権力争いにより、海軍の作戦大綱が変化しました。戦前風の法令文書では、第〇条は書かれますが、第〇項ってのは書かれません。読みづらいですねえ。
そして、ハンメルさんのその後についてです。


大海令・大海指抜粋 / 間諜処罰令違反被告事件判決(マインゲン裁判所中央暦1639年5月22日判決)

 ――――――

大海令第九號

 

平成二十七年五月十八日

 

奉勅 軍令部総長 柳沢隆俊

 吉田魯弟臼方面艦隊司令長官ニ命令

 

  魯弟臼方面艦隊司令長官ハ満洲帝國海軍ト共同シ、鍬途稲公国海軍ト連絡ノ上大海令第四號第四項ニ依リ武力ヲ発動スベシ

  細項ニ関シテハ軍令部総長ヲシテ之ヲ指示セシム

 ――――――

 

 ――――――

大海指第六號

 

平成二十七年五月十八日

 

 軍令部総長 柳沢隆俊

 吉田魯弟臼方面艦隊司令長官ニ指示

 

  魯弟臼方面艦隊司令長官ハ朗国最大規模ノ軍港タル「カルーネス」ニ対シテ艦隊現有戦力ヲ以テ攻撃ヲ為セ

  「カルーネス」ニ存在スル軍事施設ノ内、海軍本部ニツイテハ占領統治ヲ為スタメノ司令部トシテ之ヲ接収スルコト

  民間区域ニ関スル攻撃ハ之ヲ厳禁トス軍事施設ニツイテハ極力之ヲ保全セシメ占領スルコト

  艦艇ニヨル艦砲射撃中戦艦ニヨル主砲弾ハ広範囲ニ被害ヲモタラシ誤爆ノ虞之無キニモアラザルタメ極力避クルコト但シ上陸部隊ノ支援ノタメノ海岸線ニ対スルモノハ其ノ限ニ在ラズ

  聯合艦隊司令長官直率海軍特別陸戦隊ニヨル上陸作戦実施ニ際シテハ、鍬國新編部隊ノ安全ニ特ニ留意セラルベシ

  「カルーネス」制圧ニ当リ戦場ヨリ逃走セムトスル朗国軍船ハ之ヲ徹底的ニ破壊スベシ逃走セザル軍船ハ之ヲ制圧確保スベシ

  「カルーネス」制圧後、海軍陸戦隊部隊ハ速ニ「カルーネス」ヲ統治スル「サンデル」伯ニ対シテ降伏要求ヲ為セ

  魯弟臼方面艦隊司令長官ハ、以上ノ指示完了セラレタルト認メタルトキハ、遅滞ナク軍令部総長及聯合艦隊司令長官ニ報告スベシ

  

 ――――――

大海指第七號

 

平成二十七年五月二十日

 

 軍令部総長 柳沢隆俊

 吉田魯弟臼方面艦隊司令長官ニ指示

 

  大海指第六號ニヨル指示中左ノ如ク修正ス

  「カルーネス」ニ存在スル軍事施設ノ内、海軍本部ニツイテハ占領統治ヲ為スタメノ司令部トシテ之ヲ無傷デ接収スルコト海軍本部周辺ニ対スル攻撃ハ極力之ヲ避クルベシ

  民間区域ニ関スル攻撃ハ之ヲ厳禁トス軍事施設ニツイテモ之ニ準ジ極力之ヲ保全セシメ占領スルコト

  艦艇ニヨル艦砲射撃ハ極力小口径砲ニ依ル精密射撃ニ依ルモノトス戦艦主砲弾ハ上陸部隊ノ支援ノタメノ海岸線ニ対スルモノニ限ル

  聯合艦隊司令長官直率海軍特別陸戦隊ニヨル上陸作戦実施ニ際シテハ、鍬國新編部隊ノ安全ノタメ之ニ先ンジテ行ウベシ

  「カルーネス」制圧ニ当リ戦場ヨリ逃走セムトスル朗国軍船ニ対シテハ極力降伏ヲ呼ビ掛ケ已ムヲ得ザル場合ノミ破壊スベシ逃走セザル軍船ハ之ヲ制圧確保スベシ

 

  本作戦参加艦艇ハ吉田魯弟臼方面艦隊司令長官既ニ作戦命令ヲ発動セシトキハ之ヲ修正セズ

 

 ――――――

――――――

中央暦1639年5月22日宣告 裁判所書記 ケインズ

中央暦1639年第21号

 

判決

 

住所 ロウリア王国マインゲン市中央通り33番地

氏名 アウゲスト・ハンメル

 

上記の者に対する、中央歴1438年ロウリア国王布告、間諜処罰令違反被告事件について、マインゲン市裁判所は、マインゲン市衛兵隊訴追官ハンドラー、弁護人大場一郎各出席の上審理し、次の如く判決する。

 

主文

 

被告人を無罪とす。

 

理由

(訴追事実)

 被告人は中央暦1639年2月28日から3月25日までの期間、数回に渡って、クワ・トイネ公国西部都市ギムを訪問し、同地に駐在していた大日本帝國外交官大場一郎氏と会談した。これに関連して、

第一 当時、軍事機密であったロウリア王国による東方出兵の秘密を同氏に漏らしたるものである。

第二 ギムを訪問する際に通過したギム西方陣地の防備状況が極めて頑強であるにもかかわらず、これについての報告を行わず、東方出兵軍を危難に遭わせた。

 

(適用法令)

 中央歴1438年ロウリア国王ハーク・ロウリア27世陛下布告、間諜処罰令

  第一条項(間諜を為した者は死刑に処す)

  第三条項(敵国軍の重要施設の情報を隠匿した者は間諜に準じて処罰す)

 訴追官求刑 死刑

 

(証拠の標目)

全事実について

・被告人の本法廷における供述

・マインゲン衛兵隊報告書

判示第一の事実について

・マインゲン衛兵隊取調調書

・証人大場一郎氏宣誓文書及び法廷供述

・三越百貨店・高島屋百貨店・銀座松屋「カタログ」(弁護人提出)

・証人シュワルコフ氏法廷供述

判示第二の事実について

・マインゲン衛兵隊取調調書

・四箇国聯合軍総司令部戦闘記録文書(弁護人提出)

 

(事実の検討)

判示第一の事実

 訴追官は、被告人が王国陸軍に依る東方出兵の事実を他国の外交官である大場一郎氏に漏らしたと主張する。しかし、被告人はそのような事実はないと主張しており、また、当該秘密の漏洩先である大場一郎氏も宣誓した当裁判所法廷において、そのような事実はないと証言している。マインゲン衛兵隊報告書は、東方出兵軍取調調書において、被告人が罪を自白したとした箇所を引用しているが、被告人は軍より拷問され、やむを得ずそのような証言をしたと当法廷において供述しており、証拠の信用性には疑問が生じる。

 また、訴追官は、被告人が大場氏から極めて高価な贈答品を大量に贈られており、接待を受けたことを理由として、秘密を洩らしたに至ったとその動機を述べている。被告人の住居からは、確かに我が国では生産することのできないような美しく透明なガラス瓶に入っている茶類の葉が押収されており、被告人が買収されたとする事実は認定し得る。

 しかし、大場氏の証言によれば、大日本帝國国内においては、高価なものではなく、また贈答用の品でもなく普段使いの品であると供述し、実際に日本国内で売られている贈答用の品物と普段使いの品物の値段がわかる「カタログ」を証拠として提示した。この証拠によれば、確かに被告人が所持している品物は、普段使いの品であり、贈答品の類とは値段が違うことが理解できる。

 普段使いの品が大量に贈られていることについても、大場氏は自身が外交官であることから、大日本帝国と国交を樹立すれば、このような素晴らしい品が手に入るのだとする、セールスの一環であって、スパイ行為の手引きのためではないと主張する。実際に、弁護人請求の証人である、被告人がマインゲン出入国審査所長であったころの部下であるシュワルコフ氏の法廷宣誓証言によれば、所長は自分を含めた部下達に、大場氏から送られたコーヒーや紅茶などの飲料を配っており、被告人がこれを秘密裏に隠匿しようとした形跡は見られない。

 もし、被告人が間諜として振る舞うのであれば、自己の部下に対して、自身が買収されたとする証拠の品々を見せびらかし、さらにこれを他者に提供するというのは、自己の行動の意味を理解していない甚だ理解しえない行為であり、訴追官の主張には重大な疑問が残る。

 

判示第二の事実

 訴追官は、被告人がギムを訪問する際に通過したギム西方陣地の防備状況が極めて頑強であることを知りながら、これについての報告を行わず、東方出兵軍を危難に遭わせたと主張する。これに対して被告人は、自分がギム西方陣地を通過した際には、同地の防備はずっと以前から変わらぬ状況であり、特段強化された状況はなかったと主張した。

 これに対して弁護人は、ギム西方陣地の防御を担当した四箇国聯合軍司令部より、公表されている戦闘記録を提出し、同地の状況を時系列に沿って説明し、ギム西方陣地の防御計画は全くの偶然ではあるが、3月25日の被告人のギム訪問以後に行われたものであり、大日本帝国の驚異的な土木技術によって、同地の異常なまでに強力な防御陣地は形成されたのであって、被告人がこれを知らなかったのは顕著な事実であり、訴追官の訴追事実となる前提のギム西方陣地の尋常ならざる強化という事実は存在しない。

 

(当裁判所の判断)

 以上検討した事実によれば、被告人が中央歴1438年ロウリア国王ハーク・ロウリア27世陛下布告による間諜処罰令に違反したとする訴追官の訴追事実については、第一の事実については証拠に乏しく、第二の事実については明確に事実に反する。訴追官の本裁判所に対する被告人への訴追については、犯罪の証明を為したとはいえない。よって、本裁判所は、被告人に対し無罪の言渡しをする。

 

中央暦1639年5月22日

マインゲン市裁判所

裁判官 アーネスト・ハンズマン

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