大日本帝國召喚   作:もなもろ

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久しぶりの朝田氏登場です。


外務省欧州局 2675(平成27・2015)年5月28日(木)午前10時

 外務省欧州局は外務省にある1官房9局の中でもダントツの分課を持つ。欧州局は局長のもとに、

 英国課(英王冠領カナダ・オーストラリア・ニュージーランド・南アフリカ連邦、英自治領マライ連邦、インド帝国など高等自治権を持つ海外領土は除く)

 仏国課(モナコ公国も含む)

 伊国課

 露国課

 独国課

 墺国課

の国際連盟常任理事国をそれぞれ単独で扱う6課と、

 西欧課(スペイン王国・ポルトガル王国)

 中欧課(オランダ王国、ベルギー王国、ルクセンブルク大公国、スイス連邦共和国)

 東欧課(モンテネグロ王国、アルバニア王国、セルビア王国、ルーマニア王国、ブルガリア王国、ギリシャ王国、オスマン帝国)

 北欧課(ノルウェー王国、スウェーデン王国、デンマーク王国、アイスランド王国)

の地域ごとの国々を担当する4課の10課。そして、これに加えて欧州全域の統合調整の役割を持つ総合政策課の併せて11課の大所帯となっている。この11課長と局長には、爵位を持つ者が数多く就任してきた歴史がある。

 外務省の庁舎の中では欧州局は一番広いフロア面積を持つ。それは、分課の数が多いだけという理由からだけではなく、局員に華族が多く在籍しており、彼ら自身が身銭を切って、応接室を豪華なものにしてきたり、調度品を取りそろえるなどした結果、専有面積が広くなっていったという経緯もある。例えば、外務省北米局は米国課と北米課の2課体制のために他の局と同じフロアを共有しているにもかかわらず、欧州局は2フロアを使用していることからもその大きさがわかると思われる。ちなみに上のフロアが常任理事国の6課と局長室、下のフロアがそれ以外の5課となっている。

 

 外務省で出世するには、欧州局に配属されることが必須とされている。もしくは大東亜局か北米局だ。それ以外の局からは局長より上のポストである外務審議官に上ったものは数少ない。外務次官に上ったものに至ってはほぼ皆無だ。欧州局は外務省の花形ポスト。その中でもG8と呼ばれる国際連盟常任理事国をそれぞれ担当する課に配属されるのは相当な狭き門である。

 その外務省欧州局のなかでもひときわ上澄みが集まる英国課。その課長代理の職に在る朝田泰司は、自分の席でコーヒーを飲みながら、官用のタブレット端末に表示された報告書を読んでいた。

 

「やはり接触はできないか。」

 

 メールの送信者は、田中一久、駐クワ・トイネ公国日本公使。外務省欧州局は、在クワ・トイネ公使館員に依頼して(クワ・トイネ公使館は大東亜局の管轄)、クワ・トイネ駐箚のパーパルディア大使と接触を図ろうとしていた。アルタラス、シオス、マオ、トーパの四ヶ国とはこの方式を通じて国交を樹立することに成功した。

 しかし、パーパルディアとは大使との接触が全く図れないでいた。大使館を訪ねてみれば、文明圏外の国の人間が直接大使にアポを取ろうとは僭越に過ぎると追い返され、クワ・トイネ外務局からの紹介状を持って訪ねてみれば、大使は忙しいので日を開けて来いと言われ、数日たって訪問すれば、大使は狩猟に出かけたと言われて追い返され、また尋ねてみれば大使は休暇を取っていると言われて追い返された。クワ・トイネの外務局員にこれはどういうことかと尋ねてみれば、パーパルディアのような大国は滅多に文明圏外の人間とは会わないし、何度も足を運ぶことで優越的な地位に在ることを誇示しているのだと説明された。

 そして、あまり性急に事を運ぼうとしてはいけないとも言われた。これは、休暇地にパーパルディア大使を訪ねていったことを示している。その場では、文明圏外の国の人間が休暇中の大使を訪ねてくるとは身の程知らずであり、誠に無礼であると追い返された。ただし、先の外務局員の話によれば、こうした行為は日本側が会談を熱望しているという姿勢を表すものであるという列強に対する態度としてはそれほど間違いではないのかもしれないという、誠に評価に困る話も同時に受けた。

 欧州局の意図は、クワ・トイネにおいてパーパルディアと接触を行うことにある。初接触に失敗した時点では、パーパルディアと国交を有しているのは、クワ・トイネ以外にはなかった。しかしその後、アルタラスやシオスなど、パーパルディアと国交を有している国と国交を樹立したが、外務省はクワ・トイネでの接触にこだわった。これは左記のクワ・トイネ外務局員からのアドバイスを基にしている。クワトイネに赴任しているパーパルディア大使にしてみれば、自分と会えないからと言って他の国で自国の同僚に接触しようとすることは、自分を用済みだと言っていることと同じことであり、メンツをつぶされたと感じるのである。そのような状況にあっては、その人物が妨害工作を行っている可能性があり、危険であった。

 

 外務省は、初接触に失敗した時点で、対パーパルディア国交樹立の遂行のために特別チームを作ることを決めた。そして、朝田泰司を対策室長に任じ、英国課課員には対策室兼務を命じた。以来、朝田は、外務省欧州局英国課長代理として英国関係者と会談連絡交渉する本務に加えて、国際連盟理事国連絡懇談会の国際情報諜報協力事務局の局員としての事務(機密指定事項が大幅に絡むため上級職員が雑務を含めた事務を担当する必要がある)、対パ国交樹立のための対策室長としての事務と忙しい日々を送っていた。

 

「今度はどういう断られ方だったのですか?」

 

 コーヒーカップを片手に英国課係長職にある九條道宏が近づいてくる。九條道宏は、九條道信公爵の推定家督相続人であり、帝国屈指の名門校である学習院に小中高と通い、高等科卒業後は学習院大学科に進んだ。

 この学習院大学科という課程は、一般の大学と同様のカリキュラムではない。明治26年に設置された大学科は、その当時の学習院院長であった近衛篤麿によって、主として外交官の養成を目的に創設された課程であり、院長自身が教鞭をとり、経費も多くが彼によって支弁されるなど近衛院長の私塾に近い存在であった。史実では近衛院長の死後廃止されたが、この世界線では生き残った。その後、外務省の外交官研修所とも提携を行い、主として欧州赴任の外交官を早期から育成に当たる課程として学習院に置かれている。大学令によって設置された大学ではないが、東京帝國大学法学部又は経済学部の単位認定試験を受けることで大学修了程度の認定を得ることができる。

 

「ああ、今度は、大使病気の為ドタキャンだそうだ。ヤゴウ氏の尽力もあり、ようやく会談にこぎつけそうだったという所だったんだがな。」

「ええ、確かに惜しいところでした。しかし、その大使の病気が本当かウソかで話の内容が変わってきますね。」

「そのとおりだ。だが、ヤゴウ氏によれば、大使の病気が本当なのかウソなのか、いずれにしてもパ皇大使との接触は近いのではないかと判断している。」

「なるほど。確かにこれまでのような有無を言わせぬ門前払いとは違い、パ皇大使側は我々の外交官と会う予定を伝えてきた。我々と会談するつもりはあったのだ我々に言っていると判断できますね。」

「ああ、ようやくこれで、次のステップに進めそうだ。」

 

 朝田はコーヒーに口をつけて、ほっとした顔をする。

 

「しかし、喜ぶのはまだ早いかと。」

 

 国際情報局分析第一課から英国課に出向している篠原成久が会話に加わる。朝田と九條は彼に顔を向けると、篠原は続きを話し出す。

 

「これから、大使との接触が行われるでしょうが、これまでの経過を見る限り、すんなりとは話は進まないかと思われます。我々の所作や服装、会話などに特に理由のない嫌がらせのような言葉を投げつけたり、貢物を要求されたり、といろいろな侮りを受けるはずです。そして、こうも勿体つけたような待たせ方をする国です。一つの返答にも長い時間をかけて、我々を待たせることを優越感の表れとして良しとする可能性はあります。まだまだ油断はできません。」

 

 朝田と九條はお互いに顔を見合わせ、長い息を吐く。

 

「篠原君の言う通りかもしれませんね。先輩。国交樹立には年単位の交渉が必要かもしれません。」

「そうだな。だが、相手はようやく土俵に上りかけている。ともかく確実に土俵に上るように仕向けることが必要だ。土俵に上らせて、我々の科学技術をいくつか披露すれば、少なくとも無力な国ではないことは分かるだろう。そういう思考回路を持っていることに期待するしかない。」

「しかしまあ、相手がまともであることを期待するってのもおかしな話ですよね。」

 

 朝亜と九條がお互い苦笑しあっていると、英国課の雇員である高崎美紀女史が朝田に声を掛けてきた。池田欧州局長が朝田を呼んでいるとの内容だった。朝田は椅子から立ち上がり、同じフロアに在る欧州局長室に歩いて行った。

 

 局長室に入るには二つの扉を通り抜ける必要がある。廊下から局長室に入ると局長前室と呼ばれている局長直属の部下が執務を行う20畳程度の広さの控室がある。通常、省庁において、控室が設置されているのは大臣室くらいのものであり、次官室であっても設置されていないのが実情である。これだけでも欧州局長の権勢をはかり知ることができる。

 朝田が局長室の扉をノックするとややあって、一人の女性職員が扉を開けた。室内は、奏任官1名、判任官1名、雇員3名の5名が執務を行っており、朝田が入ると判任官が立ち上がり、朝田に声を掛けてきた。

 

「お疲れ様です。朝田課長。」

「お疲れ様です。橋本さん。池田局長がお呼びだということで伺いました。」

「話は伺っております。奥にお進みください。」

 

 判任官の案内に従い、部屋の奥へと歩みを進めた朝田は、ドアの前で立ち止まった。橋本局員が局長室のドアをノックし、朝田課長が到着したことを告げると入るようにとの声が聞こえ、橋本がドアを開けた。

 

「朝田課長。朝の忙しい時間に済まない。まずは掛けてくれたまえ。」

 

 池田局長は執務椅子から立ち上がり、応接椅子に座るように朝田に促した。応接椅子に目をやった朝田が見たのは、応接机の上に置かれている日本社会党の機関紙「社会新報」であった。なぜこれがここにあるのか、朝田は不安な心を押し殺しながらソファーに座った。

 外務省欧州局長、池田幸政侯爵は、左近衛権少将池田光政を祖とする岡山藩池田少将家の当代の当主である。侯爵位にあるが、現役の官僚でもあるため帝國議会には登院しないことが慣例となっている。彼はソファーに座ると、朝田にコイーバのシガリロを差し出した。

 

「まあ、まずは一服やってくれたまえ。」

「はっ、恐縮です。いただきます。」

 

 社会新報がなぜここにあるのか、問いかけたくとも問いかけられない状況に朝田の頭は混乱していた。そんな彼の心の内を知ってか知らずか池田局長は口を開く。

 

「パーパルディア国交樹立についてのクワ・トイネ公使からの報告書は私も読ませてもらった。まあ、ようやくワンステージ階段を上ったというところだが、まだまだ先は長い。君も同じ認識だと思うが、どうかね?」

 

 朝田は先ほど英国課室内で話していた内容を話す。現状からいえば先は長いが、一度交渉という土俵に上げてしまえば、強行突破できる可能性がないわけではないということを話した。しかし、池田局長は首を横に振った。

 

「可能性が無いというわけではないと思うが、まず成就しないな、それは。」

「局長の心内をお聞かせ願えますか。」

「ふむ。駐クワ・トイネのパ皇大使の度肝を抜いたとしても、本国の連中を説得するのは難しいだろう。なにせ、クワ・トイネ公国の話によれば、クワ・トイネを含む文明圏外に派遣されている外交官は、左遷された人間で、二流三流の人間だという話らしいじゃないか。そんな連中の話を本国がまともに取り合うと思うかね。」

 

 朝田は、本国がどうとらえるかという点を見落としていた。なるほど、腐っても列強、大国と呼ばれる本国には優秀な人間がいると漠然と思っていたが、そうでない可能性が大いにある。

 

「なるほど・・・。確かにこれは長期戦を覚悟せざるを得ないですね。」

 

 疲れた目をしてそういう朝田を見ながら、池田局長は、次の言葉を話し出す。

 

「やはり、疲れているようだねえ。まあ、無理もない。ああいう頑固な連中を相手にしようというのだからね。徒労感が激しいだろうとは思っていた。ちょうどよい時期だから君には少しの間休暇を与えたいと思う。」

 

 休暇を与えられると聞いた朝田はその真意をうがった見方で見てしまった。ようやっと出口が見え始めたこの仕事から降ろされるということに動揺し、社会新報の記事が影響しているのかというやるせない思いにとらわれだした。だが、池田局長は彼が動揺した目をしていることを悟り、話を続けだす。

 

「休暇と言っても仕事をしないという事ではない。現地出張だ。もう知っていると思うが、クワ・トイネでこの戦争の同盟国が集まって戦後問題を協議する会議が行われる。この会議で話し合われる内容は3つだ。一つは対ロウリア講和会議における同盟国側の講和条件について同盟国側の意見を取りまとめること。二つ目は、ロウリアに対する降伏勧告案を協議すること。そして最後に戦後の新秩序建設に関する文書を取りまとめることだ。最終的には同盟国首脳会談を行って内容が確定することになるが、その前に同盟国外相会談が開かれることとなっている。この外相会談で決定された文書がまあ事実上の最終案になるのだが、これらの調整を行ってもらいたい。」

 

 朝田は、異世界初の対外戦争における講和条約の最終調整、そして戦後秩序の構築という大事業を自分が任されることになったことに驚いていた。池田局長は、首脳会談で話し合われる事項は、外相会談で話し合われた事項がほぼそのままスライドされると話したが、これは外相会談の場合にも同様に扱われる。事務方が作成した内容が外相会談に持ち込まれ、外相会談の結果は、事務方が作成した書類がほぼそのままスライドされる。これは、事務方が作成する書類は、そもそも前もって本国の意向を確認したうえで作成されるからである。絶対に譲れない事項、ある程度の譲歩はやむを得ないとした事項、単なる希望事項など、事前に方針を決定したうえで、その方針の通りに動く。万が一絶対的に必要な事項がはねられることとなったとしても、自国の希望を議事録に載せたうえで、後日の外相会談や首脳会談での復活折衝につなげることも可能である。そして、それがもし復活すれば「政治家」としての手柄になる為、有権者受けも期待できるとあっては、無理に話を通す必要もない。 

 

「身に余る光栄です。しかし、当局には他にも有能な先輩方がいらっしゃいます。その方々を差し置いて、私がその任に当たるというのはいささか気おくれしてしまいます。やはり他の方々の方がよろしいのではないでしょうか?」

 

 これだけの大事業を担うには自分には貫目が足りないと判断した朝田は、局長からの話を断ろうとした。しかし、池田局長は首を横にふり乍ら話をつづけた。

 

「朝田君で問題ないと私は思っているし、少なくとも他のG6の面々からは同意は取り付けてある。心配はいらない。むしろこの仕事は君に必要なものだと思う。どうしても外務省の仕事というか欧州局の仕事には爵位が付きまとう。爵位がない君が英国課長として「代理」を外すためには、やはり実績が必要だろう。その実績を作るチャンスだよこれは。なあに、何も心配はいらない。この戦争を指導したのは日満両国だ。当然会議での発言権も大きくなる。我が国の提案は基本的にフリーパスの形となるからあとは、鍬杭両国の意見を調整してもらえればいいだけだよ。それにあまり苛烈な講和条件にならぬようにと前もって総理や外相が鍬杭両国に伝えてある。簡単な仕事だよ。だから初めに「休暇」と言ったわけだよ。ハハハ。」

 

 池田局長はシガリロを灰皿に置いて、もう一度朝田に話しかけた。

 

「そういうことだからね。少し羽を伸ばしてくるといい。」

「局長のご高配、誠に感謝します。それで、我が国として気をつけることは、差し当たって何があるでしょうか。」

 

 朝田は一礼して、頭を挙げた後に局長に質問した。

 

「そうだね。勿論後で省議決定の事項は届けるけど、パリ講和条約を模範とすることだ。もしも欧州大戦での講和条約がドイツにとって苛烈なものであったとしたらという、if物語は聞いたことがあるだろう。復讐心を増幅させたドイツはひそかに牙を磨き、再度欧州で大戦を引き起こしたことになっただろうという内容だ。外交の失敗がいかに重大な結果を惹起するのかという内容だよ。我々の目的はロウリアを手なずけて、ロデニウス大陸を平和にすること、そして、大東洋に永久平和の礎を築くための新たな国際組織、大東洋共栄圏を確立することを主眼に置く。大東洋共栄圏はまず、日満鍬杭四か国が加盟して、その後に他国の参加を促していく。ロウリアもすぐにとはいかないだろうから、時期を置いて参加させることになるだろう。この枠組みを主導することで、他国に対するイニシアチブをとる。そう、会議を主導することを念頭に置いてもらいたい。賠償金の問題では、特に注意が必要だね。我々の素案では国際賠償委員会をつくってロウリア国内の資源調査を実施することから始めるつもりだ。おそらくその調査の過程で我々にとっては有効な資源であるが、残念ながらロウリアにはその価値がわからないものが出てくるはずだ。それを賠償物とする。だが、クワ・トイネとクイラは、彼らの国内向けの理由として早期の現物賠償を要求してくるだろう。それをなるべく低く抑えてもらいたい。」

「低くですか?」

「そうだ。0にしろまでは言わない。それに後日現代的なインフラが整いだしたら、クワ・トイネとクイラが欲しがるものが出てくるかもしれない。そういう方向に持っていけば、話は可能だろうと私は踏んでいる。幸いにしてクワ・トイネの死者は少ない遺族に給付する見舞金も少なくて済むだろうから、現物賠償の品数は抑えてくれれば、それでいい。」

「わかりました。他に注意すべきことは。」

 

 池田局長は少し考えると特にないかなと言った。そして、事務レベル会議が6月頭に開かれることを伝えた。

 

「6月の頭ですか。もう1週間もありませんが。」

「そうなんだよ。大臣の話によると、首相が海軍を警戒していてね、これ以上海軍が余計なことをしないうちに早期の休戦を望んでいるらしい。そういうことだから午後から有休をとっていいから、出張の準備を進めておいてほしい。」

「わかりました。あ、事務レベル会議はどこで行われるのでしょうか。」

「うん。事務レベル会議、外相会談、首脳会談全て、クワ・トイネ公国の東部にある港湾都市スピアウオータで行われることとなっている。スピアウオータにあるマルメディア宮殿が会議の場所で、今数々の電化製品が非常用発電機とともに運びこまれている。君は高雄市まで飛行機で向かってもらい、そこからは船で向かってもらう。まだ、飛行場の整備が済んでいないらしいんでね。まあ、帰るころにはなんとか整備はおわるはずだ。ちなみに、帰国は首脳会談後となる。事務レベル会議で1週間。外相会談に2、3日。首脳会談がそこから2、3日くらい開けてからということになるだろう。」

「ええと、そうなりますと東京からの出発は、」

「ああ、急で済まないが、明日には出発だ。勿論会議資料は今日の夜までには届けるし、君が官用の卓上電算機を持っていけば、電子メールで追加資料も送ることができる。机上電算機は向こうの部屋に官用を設置させる。印刷機も同様だ。」

 

 なかなかのハードスケジュールに目が点になる朝田であったが、池田局長は苦笑すると、「それに君は東京から少し避難した方がいいと思うんだよね。ちょっと騒がしいことになりそうだしね。」と言って、応接テーブルに置いてあった「新聞」に目線を向けた。

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