大日本帝國召喚   作:もなもろ

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マルメディア宮殿の外観は、ヤルタ会談が行われたリヴァディア宮殿がイメージです。


帝都新聞朝刊 2675(平成27・2015)年6月8日(月)

同盟国外相会議明日開催

 大東洋新体制確立に向けて、積極外交を展開

(写真:スピアウオータ市マルメディア宮殿外観)

 

 帝國外相徳川侯爵は、明日正午より開催される外相会議参加のため、本日夕方クワ・トイネ公国スピアウオータ市の郊外に急遽造設された空港に向かい、現地入りを果たす予定となっている。当日の夜は、満洲国森山外相、クワ・トイネ公国リンスイ外務卿、クイラ王国メッサル外相の外相会議参加国の外相とともに夕食会が行われる予定である。

 今回の外相会議で決せられる議題は、大きく分けて、対ロウリア講和条約においてロウリアに要求する具体的内容、対ロウリア降伏要求、大東洋の平和安定のために必要な共同宣言の3項目に分けられる。

 対ロウリア講和問題は、帝國の基本方針たる名誉ある講和を達成できるかにつき各国と調整が行われている。その内容は、賠償は無賠償か軽い賠償、クワ・トイネ固有領土の返還を内容とする無併合、ロウリア君主権の尊重による未来に向けての友好関係の構築、当面の間の軍備制限を柱とする。いずれもロウリアの政情不安を防ぐことでロデニウス西部地域、特に鍬杭両国に国境地帯に難民が押し寄せてくるような、あるいは盗賊が出現するようなロウリアの不安定化を防ぐことが狙いとみられている。

 帝國外務省が意図するところは同盟各国にも伝えられているが、外務省消息筋の話によれば、こういった姿勢の講和要求では、戦勝国の権利を主張していないとみられかねず、国内に動揺が生じる虞があるとして修正を求める声もあると聞き、未だ詳細な内容は決定されていない。

 現地では既に事務レベル協議が行われているが、その会議の様子は公開されていない。外務省報道官によれば、会議の詳細は非公開であり、情報公開は外相会談後に行われる予定であるという。

 

 

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対朗戦争貫徹国民総決起集会開催

 東京他勅令市など全国22都市で「暴朗膺懲」の声挙がる

 

 昨7日の日曜日、東京の日比谷公会堂他全国22都市で、対朗戦争貫徹国民決起集会委員会主催の政治集会が開催された。

 対朗戦争貫徹国民決起集会委員会(以下、対朗委員会と呼称す)は、本年4月12日のロウリア軍のクワ・トイネ及びクイラに対する侵攻に憤慨する国民の声を受けて、立憲民政党総裁として帝国宰相の地位にあった男爵中曽根康弘枢密顧問官を総裁に頂き、立憲民政党総務会長王征治代議士を委員長とした与野党横断の委員会である。委員には、民政党代議士を中心に、与党政友会の代議士や野党日本社会党の代議士、退役陸海軍大将格の武官も参加し、4月25日に日比谷公会堂で設立集会を行った。全国から会員を募り、その会員数は5月31日現在の委員会事務局発表で600万人に登っている。

 対朗委員会は、国会の内外で戦争終結の機運が高まり出したこの時期、ロウリア王国に対する徹底的な懲罰無くして戦争終結はありえないと主張している。クワ・トイネとクイラ両国国民が今後ロウリアの脅威におびえることなく安心して生活できるように、ロウリアの対外侵攻能力を徹底的に破砕すべしと政府与党に訴えるため、「総決起集会」を企画した。

 6月7日日曜日、豊原、札幌、函館、青森、仙台、新潟、高崎、東京、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸、広島、高松、福岡、沖縄、台北、高雄、平壌、京城、大邱の全国22都市で午後1時より始まった、対朗戦争貫徹国民総決起集会は、東京の日比谷公会堂の本会場と各地会場が中継を繋ぎ、全国各地で行われているという一体感を演出していた。

 集会は、まず中曽根総裁の開会宣言の後、王委員長による対朗戦争貫徹の主張理由の説明が行われ、これに続いて、民政党広瀬渉代議士、同吉崎重五郎代議士、政友会玉原和夫代議士、社会党書記長在原渉代議士、大島平八郎退役陸軍大将、李三郎退役海軍大将、金詩文退役陸軍航空大将による賛成演説が行われた。この後、再度王委員長による、対朗戦争の遂行に際し、帝國政府に対してロウリア軍隊の徹底的破壊を望むという決議文書が読み上げられ、これに賛成するかの問い掛けに、日比谷公会堂に集まった会員や全国各地の集会場から賛成の声があがった。

 式次第は、続いてゲストの紹介に移った。駐日クワ・トイネ公使のライムライト・オランゲ閣下とクイラ公使館の一等書記官ハスハイト・バルビール氏が演台に立った。オランゲ公使は、「日本国民によるクワ・トイネとクイラに対する熱い思いを実感できてうれしく思う。祖国防衛に挺身していただいている日本軍兵士に感謝の意を表したい。」とあいさつを行った。バルビール一等書記官は、「バフール公使が当日になり体調不良のため欠席させていただくことになった無礼を詫び、クイラ王国も日本軍から頂いた数々の支援について丁重な謝意をおこないたい。引き続き日本国と日本国民の暖かい援助を賜りたい。」とあいさつを行った。

 式は最後に、王委員長他委員各位が壇上にて、対朗戦争貫徹についてのシュプレヒコールを叫び、会場他地方会場でも同様のコールが行われ、大きな熱気に包まれて終わった。

 この動きに対して山上内閣は、荒池書記官長が官邸で当日夕方に、「戦争の遂行についての一つの意見として拝聴した。」と述べるに留まった。

 

 

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徳川将軍、貴衆両院議長と御引見

 詳細は非公開

 

 征夷大将軍徳川慶幸公爵は、昨7日午後3時から一時間ほどの間、宮城東御苑に設置された幕府庁舎にて、貴族院議長公爵近衛信通閣下と衆議院議長山崎繁代議士に御引見された。詳細は非公開とされているが、今後の講和条約に対する議院建議に関する件だと言われている。

 最近の帝國議会の動向を鑑みると衆議院においては対朗講和条約に関する建議の審議が長期化する虞があるとみた徳川将軍は、貴衆両院議長に対して、迅速な審議を行うように要請したものと考えられている。

 記者の取材に対して、近衛議長は、現在の議会運営に関する一般的情勢についての下問であったと回答し、山崎議長は、各会派の動向と審議未了になりそうな法案についての状況についての下問であったと回答があった。

 

 

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クワ・トイネ公国軽便鉄道完成

(写真:竣工記念式典において演説するカナタ首相)

 

 クワ・トイネ公国における対日輸出農産物を運ぶ、軽便鉄道が昨7日完成し、その竣工式が行われた。

 軽便鉄道は、マイハーク租界から公都、エジェイを経てギムに至る一号線とマイハーク租界からスーイデンを経てトースイに至る二号線の2種類があり、この程竣工したのはこの2号線である。

 この軽便鉄道の運営は、日満両国の間で締結された「ロデニウス大陸軽便鉄道株式会社設立条約」により設置された、日満鍬合弁の特殊法人「クワ・トイネ軽便鉄道株式会社」によるものであり、日本:満洲:クワ・トイネで、40:30:30の比率での株式保有となっている。

 竣工記念式典には、カナタ首相を始めとする政府関係者、日満両国の公使を招いて、マイハーク租界において行われた。

 軽便鉄道の建設は日本国鉄が主導し、車両は満洲国鉄が使用している車両20両が格安で売却された。満洲国鉄が売却した軽便鉄道用の車両は、現在興安省や黒河省などの主に地方で運用されている車両で、無人運転技術を使用している。駅周辺の一部の区間のみ複線化され、それぞれ10両の車両が往復運転が可能なダイヤが組まれている。

 なお、二号線はスピアウオータに延長される計画があり、その際には同市に日本貨物船が接舷できる埠頭の建設が予定されている。

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