ロウリア王国政府、スピアウオータ宣言を受諾
昨21日、駐或公使に宣言受諾を通告す
(写真:宣言受諾についての緊急記者会見を行う山上首相)
ロウリア王国政府は、駐アルタラスロウリア大使を通じて、昨21日午後5時23分、アルタラス王国駐箚大日本帝国特命全権公使に対して、同盟四か国政府による宣言(スピアウオータ宣言)受諾の通告を口頭にて行った。政府名義の宣言受諾文書は、後日駐アルタラス大使を通じて日本公使館に届けられる予定となっている。
21日午後3時過ぎ、アルタラス王国外務局から日満両国公使館に、ロウリア王国政府から日満鍬杭四か国政府に対して講和の申し入れがあったことが伝えられた。アルタラス王国外務局は、四か国を代表して日満両国公使に対して、ロウリア政府からの申し入れについての口頭了解を行うように依頼があり、日満両公使はアルタラス王国外務局に出向いて、ロウリア大使と面会した。この席上ロウリア大使は、スピアウオータ宣言に基づく講和申し入れを行い、日満両公使はその申し出を受諾した。近く、カルーネスのクワ・トイネ海兵隊司令部(旧・ロウリア王国海軍本部)にて停戦協定の締結が行われる予定となっている。
マインゲンに駐屯する四箇国聯合軍司令部とカルーネスに駐屯するクワ・トイネ海兵隊司令部は、ロウリア王国宰相フランチェスコ・マオス氏及びロウリア王国防衛騎士団長アレロック・パタジン氏の名義で前線のロウリア軍隊に対して戦闘の停止と武装解除準備の命令を発したことを魔信傍受で確認したと同盟四か国に対して報告したことが明らかになった。
カルーネス方面の前線では、現ロウリア国王の王族の一人であるタレーラン公の公爵領軍が中核となり、歩兵と重装歩兵を中心にした6000ほどの軍勢が横帯陣形をくんでいた。カルーネスを含むサンデル伯領の領外で野営を行いつつ、防御陣地を構築していた。戦闘停止の命令発出後は、武装解除の手順を確認する魔信が往復が行われたのを現地クワ・トイネ海兵隊司令部が確認している。
一方マインゲン方面には、マース河の西約10kmの地点に在るアールヌルポ城塞に近隣の諸侯軍が集い、歩兵、重装歩兵、弓兵、騎兵の混成軍10000ほどの軍勢が集結していた。彼らに対しては、別に国王の命令書を携えたアレクセイ・スマーク将軍が軍使として赴くので、それまでは現状維持を厳命する指示が別途発出されている。ただし、アールヌルポ城塞からは契約を一方的に打ち切ったのか傭兵が退去していく様子が確認されている。
ロウリア王国政府は、今月11日の同盟国共同宣言の発出以降もこれに対する受諾の可否を同盟国に対して返答してこなかったが、実際のところ政府内部では降伏に向けた動きが加速していたようである。王国内部の降伏反対派をマオス宰相を始めとする降伏賛成派が説得し、国論を降伏にまとめていたようである。ロウリアの現国王もマオス宰相の背後にいて国論の統一に大きな役割を払われたとのことである。この侵攻戦争を主導したとみられている現国王であるが、一方でこの戦争を終結に導くために国内を纏める動きも見せている。
政府関係者筋の語った所によれば、「戦争終結後のロデニウス大陸西部の安定のためにはやはり王権が揺らぐことがない状態であることが望ましい。国王の和平に向けた動きは、ロデニウス大陸の平和と安定を志向する我々に向けたメッセージとしてとらえることも可能である。」として、現国王の行動を歓迎する意向を示している。
同盟各国の反応は、まず友邦満洲国外交筋のコメントとして、「国王もまた人であるのだから間違いを犯すこともあるだろう。今後はこれまでの行いを反省し、国政を一新させることが彼が取り組むべき課題であるだろう。進退については我々が干渉すべき問題ではない。」と述べた。
クイラ王国外務省筋によれば、「大陸西部が安定するということそれ自体は極めて望ましいことであると認識している。」と述べるにとどまった。
一方で、クワ・トイネ公国政府関係筋によれば、「ロウリア王国内部の混乱は、ロウリア政府の責任で解決すべき事項であり、公国政府としては今後の講和に向けてロウリア政府を率いる存在としての国王の存在は重要と考えている。しかし、それがハーク・ロウリア34世陛下によって行われるべきことかどうかについてはコメントすることは差し控えたい。」と述べ、やや踏み込んだ形のコメントとなった。
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駐杭公使、駐杭鵡大使と会見
早期国交樹立に向けて調整を開始することで意見一致
21日夕刻、クイラ王国首都バルラート郊外の日本公使館に於て、日本公使宇野泰治、満洲公使平譲治、ムー国大使カイサ・レクセルの三か国の外交官による会見が行われ、日満両国とムー国は、早期に国交を樹立するように各々の本国と調整を図っていくことで意見一致したことが、会談終了後に行われた記者会見によって発表された。
日本政府はクイラ王国と国交を樹立した直後から、ムー国の存在を認識し、国交樹立についての調整を重ねていたが、ムー国側は日満両国とムー国側の間では意思疎通の点で問題があるとして、早期の国交樹立は困難であるという見解を出していた。これはムー国側が第三文明圏公用語で日満側と会話しているために意思疎通が可能であるのであって、日本側はムー語での会話ができず、両国間の交渉に難がある事があげられる。更には、会話はできても、文字については、全くといっていいほど翻訳ができておらず、条約を締結するにあたって、両国で作られた条約文書が正しい内容を記述することが非常に困難であることが挙げられていた。
これに対して日本側は、第三文明圏公用語を用いた条約締結を打診し、クイラ王国政府に仲介を依頼する形を取りたいと依頼していたが、ムー国側はお互いの文字の翻訳ができ、日ムー両国の言語で条約文書を作成したいと回答してきており、それ以来、日満ムー国三カ国間で文書の翻訳が可能となる様に第三文明圏対訳表を作成しつつ、事前協議を積み重ねてきた。
今般、三カ国の間で最低限の条約を締結するに足るだけの文字の対訳が完成したため、ムー国側も国交樹立に関して前向きになったとみられており、国交樹立に向けての交渉が開始される見通しとなっている。国交樹立が実現すれば、この世界に於ける「列強国」と初めて締結する国交となることから外務省側も緊急対策チームを組んでの対応となることが予想されている。
また、国交樹立後の派遣外交官についても調整が行われており、前駐米大使の大谷寛治外務審議官がムー国大使として赴任することで調整が進められている。
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東京帝大官制等二勅令枢密院通過
東京帝大医学部付属病院に9月1日から魔法内科を設立
診療は保険適用外、自由診療
枢密院は19日の会議で東京帝國大学官制及び東京帝國大学講座令の二勅令を可決したことを公表した。東京帝國大学官制改正勅令は、教授が2人、助教授2人、助手4人、書記1人が増置されるとし、東京帝國大学講座令においては、「魔法内科学 一講座」、「魔法外科学 一講座」が追加される形となった。二勅令の施行は7月1日となっている。
これらの追加された新分野の講義を行う教授、助教授、助手にはクワ・トイネ人、クイラ人から「御雇外国人」として招聘された外国人を充てることとなっている。
人選については調整中とのことであるが、文部省消息筋への取材によれば、魔法内科教授には、クワ・トイネ人のハイエルフ族であるサンプサ・オヤンペラ氏が、魔法外科教授にはクイラ人のダークエルフ族であるユルキ・ポポヤラ氏が濃厚となっている。いずれも、エルフ族という長命種族であり、200歳を超えているが、若手の研究者であるという。
魔法内科は、内科的疾患を魔法の力を利用して治療し、これを現代医学で再現することが可能かを考究する学問分野として、薬学科や製薬メーカーと連携して研究することとなっている。魔法外科は、外科的傷病を魔法の力を利用して治癒力を高めること、外科治療機械に魔法の力を応用することができないかを考究する学問分野として、医療機器メーカーと連携して研究することとなっている。
新設の医学部講座の開設を受けて、東京帝國大学付属病院は内科系の診療科として魔法内科を開設する。魔法内科の治療は、健康保険の適用外となることが、厚生省の見解となっており、東京帝國大学附属病院事務局は魔法内科の診療について、厚生省側と詰めの協議を行っている。