大日本帝國召喚   作:もなもろ

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海拉爾市はハイラル市と読みます。


興安経済新報朝刊 2675(興信27・2015)年7月13日(月)

海拉爾市、バッスラー市との間に姉妹都市協定を締結

 協定締結祝賀式典にて、海拉爾市より馬車10台を寄贈

 

(写真(大):協定書に署名後互いに握手するアルハイラル・ドルゴムギル海拉爾市長とオーバル・バルキニー子爵)

(写真(小):協定書の署名欄を広げて、記者団に見せるタグリード・バルキニー子爵令嬢とにこやかにそれを囲む満杭両国関係者)

 

 7月12日11時30分より、海拉爾市の海拉爾ヤマトホテル大広間において、満洲国興安北省海拉爾市とクイラ王国の港湾都市バッスラー市の姉妹都市協定署名式並びに協定締結祝賀式典が挙行された。新世界において満洲国内の都市と他の国の都市との姉妹都市協定が締結されたのはこれが初の試みとなる。新世界の各国との友好関係増進にまた一歩近づいたと言えよう。

 姉妹都市協定署名式は、アルハイラル・ドルゴムギル海拉爾市長とバッスラー市を含む周辺地域の領主であるオーバル・バルキニー子爵がそれぞれ協定書への調印を行った。姉妹都市協定では、海拉爾市とバッスラー市は、市職員同士の相互交流、市民交流や相互留学、企業の相互進出などが盛り込まれ、早くも来月にはバッスラー市で海拉爾市民劇団による公演が行われる予定であるとのことだ。

 両首長の署名終了後に記者団に向けて記念写真を撮った際には、今年7歳になるバルキニー子爵の御令嬢が、にこやかに微笑みながら協定署名書の署名欄を広げて両首長の前に立つというサプライズも演出された。

 協定締結祝賀式典では、アルハイラル海拉爾市長からバルキニー子爵に対して、両市と両国の永遠の平和を願って、馬車10台の寄贈の申し出がなされた。一台は王室への献上用にクイラ王室の紋章を側面にあしらい、もう一台にはバルキニー子爵家の紋章を同様にあつらえた特注品であり、その他は公用や民用の車両となる。バルキニー子爵側からも同様に、クイラ国内のドワーフ族が作った、満洲皇帝の紋章である蘭花紋章と海拉爾市章をかたどった銀製品が贈答された。

 記念式典には、ドブドク・ウランフ興安北省長官を始めとした興安北省関係者や陳俊北海拉爾市会議長を始めとした市会議員、海拉爾市幹部、アブダーラ・バルビール駐満クイラ公使、海拉爾市内の駐屯軍司令官、学校関係者、企業関係者など200名余りが出席した。その中には、馬車を作成した海拉爾市の企業、フルンボイル自動車(株)の姿もあり、早速商談を行っていたようだ。

 寄贈された馬車10台は当日夕方海拉爾国際空港から新設のバッスラー空港に空輸された。

 

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コラム:時機を視る・聴く・感じる

 今回の姉妹都市定締結の立役者とされているのが、駐満フランス大使のアルベール・ルパープ閣下である。氏は、新世界各国が技術的な分野で満日両国に大きく差がある現状は好ましくなく、またその状況が満日両国の今後の経済活動にも支障があるだろうという考えから、新世界各国に技術的支援の必要性を説いていた。現代技術の数々は、新世界各国の人間が見ても理解できるものではなく、模倣されることはなく、彼らがその品々を使用するにとどまり、彼らの技術レベルを向上するのには役に立たない。これに対して、新世界各国の人間が使用している技術の中でもこの延長線上にある改良品などは、新世界各国の人間も理解でき、それを彼らが使用していくことが将来的な技術向上につながり、それは満日両国にとっても経済活動に繋がっていくというのが氏の考察するところであった。

 しかし、既に世に頒布されている技術であれば問題はないが、その技術に関しての特許等が有効に機能している場合には、特許権者等の権利の保護が問題となる。この問題について、受益者の側から明確な答えを出したのがクイラ王国政府だ。クイラ王国政府は日本国および我が国との国交樹立以後、急速な近代化政策を押し進めており、駐満・駐日の外交官を通じて満日両国の政治経済文化の制度を急速に入手し、中央官庁官制の整備、地方貴族と中央政府の関係の整備、国民の近代的教育体制の構築、法制度の近代化とわずか半年にも満たない間に矢継ぎ早に新体制導入の施政を打ち出した。そして、7月1日には、日本国民法のほぼ直訳に近い形ではあるが民事通則大典・財産法通則大典なる二法令を布告した。そして同時に我が国の知的財産通則法・会社法をほぼ直訳した形であるが、知的財産権通則大典・商会通則大典を布告した。これらの法令は即日施行され、クイラ王国は現代的な法体系を有する国としての一歩を踏み出したと言える。

 クイラ王国はこの動きに合わせて、駐日公使を通じて、知的財産権を国際的に保護するパリ条約への加入を日本国政府に通告してきた。もはやパリ条約に加入している国は我が国と日本国しかないが、国務院外交部は、転移前世界において加入していた条約は、転移後であってもなお失効した条約ではないとしている。クイラ政府としては、知財法の枠組における権利者の保護を条約上の義務としてクイラ王国政府が引き受けるので、満日両国とその国民に更なる技術移転を行ってほしいという狙いがあることは想像に難くない。

 このように我々に合わせた対応を行ってきている以上、可能な範囲で支援を行っていきたい、善導していきたいというのが、人情というものだ。だが、そうなるとますます発展していくクイラと技術革新が停滞しているクワ・トイネの関係が重要となってくる。何と言っても隣国であり、人の行き来は相当にある。かつては、クイラ人がクワ・トイネに出稼ぎに出かけ、その利益で食料を買い付けていた。クワ・トイネの側もロウリアの脅威を前にしてクイラ人の傭兵を頼みとして、相互の協力関係が出来上がっていた。ロウリアの脅威が既に過去のものとなりつつある今、この枠組みが崩れつつある。四か国の同盟関係にも影響が出ないということは無いだろう。

 祝賀式典にはルパープ公使も出席していたが、彼はこの点をどのように考えているのだろうか。

 

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