大日本帝國召喚   作:もなもろ

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ショーンレミールの人口がどんどん増加しています。さあ、この状況どう判断されますか?


島田駐阜公使:海外情勢臨時報告書 / 軍機保護法・抄(昭和十二年法律第七十二號)

在外公館臨時報告

パーパルディア海軍提督式典来訪に関する報告書

駐フェン公使 島田大吾

 

 フェン王国を巡る動静については、ここ数日、大東亜局報告書を提出したるも、25日発生の事実については更に臨時報告書を送付せざるべからざるため、本省幹部速やかに回覧の上、外交政策の検討と在外公館への指示を願いたし。

 

【パーパルディア皇国植民地ショーンレミールについて】

 ショーンレミールと言う町は、フェン王国首都アマノキとフェン西部の中核都市ニシノミヤコとの中間地点に創設されたパーパルディア皇国の「植民地」である。邦人がニシノミヤコを直接訪れるときには、ショーンレミールから西方5キロほどの地点にある、港町コミナトから上陸するのが通例となっており、其の位置から非常に近い場所にあると言える。

 ショーンレミールは今年の7月8日のフェン王国とパーパルディア皇国との会談で設置が決まった植民地である。入植者の第一弾がフェン王国に上陸したのは7月15日と合意から入植者の上陸までの期間が極めて短いことからパーパルディア皇国は事前に準備を進めており、合意が形成されたという連絡が入るとすぐに船団を出向させたようだ。この点からもこの街の建設に並々ならぬ意欲を持っていたことがうかがえる。

 入植者たちは魔法を使用して、数日のうちに開拓の拠点を設置することに成功した。7月の後半にはショーンレミール周辺の森林から木材の伐採を開始した。この材木は、帆船でパーパルディア本国に輸出され、なかなかの高値で取引されたとのこと。おそらくは、ショーンレミールの価値を高めるための市場価格操作がはいったものと考えられているが、ニシノミヤコ周辺のフェン国民の反応は上々であったと聞いている。

 一方で、フェン王国上層部の反応は懐疑的である。これには、ショーンレミールの管理範囲が徐々にではあるが、拡大していることに対する警戒感がある。当初60名の規模で始まった入植は徐々に人数を増している。木材の輸送船が来るたびに、10人から20人程度の規模で新規の入植者が増え、ついには先日の魔導兵歩兵混成中隊150人、東洋艦隊の帆船3隻(50門級の軍船と聞いており、最大定員は1隻300人くらいになる模様。ただし、最大定員乗り組んでいるのかは不明。)を合わせると1000人を超えるようになったと思われる。

 急激な植民地の人口増加はショーンレミールの規模の拡大を行った。兵舎、港湾施設、軍港機能施設の新築に加えて、兵員に対してのレクリエーション施設の増設はこれまでのショーンレミールの規模を3倍にした。この街の規模の拡大がフェン上層部の警戒心を増幅させている。

 パーパルディア皇国との事前の取り決めでは、パーパルディア皇国は建設した町の土地所有権を要求してこなかった。ただ、パーパルディア人にはフェン人と同様の法的な保護を与えることを要求したのみであった。領土の一部を切り取らないという領土割譲の要求ではなかったことからフェン王国上層部はパーパルディア皇国の申し出を受諾した。

 しかし、町の規模が大きくなるにつれ、自警団の規模が大きくなるにつれ、町の中心部にフェンの官憲が入ることは難しくなってきている。初回と2回目の取引では、町の中心部(木材加工団体本部という名称らしい)で売り上げに対する税の受渡が行われたらしいが、3回目の取引からは中心部を外れた場所に受け渡し場所が変更となった。本部にはパーパルディア本国と魔信を行う機材が納入されたため、機密事項などを含むようになったため、その建物に対する足り入りは「遠慮」してもらいたいとの申し出がなされた。そして、このほどの進駐により、その3回目と4回目の税の受渡に使われた建物は兵舎となった。税の受け渡し場所はさらに外側の建物に移動した。

 このような経緯から、ショーンレミールの町の土地に対する主権はフェン王国が有しているといっても、フェン官憲が介入することが難しくなっている。フェン上層部の懸念は、この状況が永続し、事実上の「割譲」とならぬかということにある。

 この懸念は次のステージに到達したと言っても過言ではない。パーパルディア艦隊の艦船が常駐することになったため、港湾施設に軍港としての機能が備わったことから、パーパルディア皇国は、フェン王国に対して、港湾施設に対する立入を「強く遠慮」するよう通知した。フェン王国側はフェンの国土である以上、フェン官憲が立ち入る可能性そのものが一切認められないような状況は問題であるという主張を行ったが、パーパルディア皇国側は、フェン王国には軍事機密という概念はないのかということで一蹴した。それに、パーパルディア皇国側は、港湾施設へのフェン王国官憲の立ち入りを一切認めないというものではなく、当該軍港を所管するパーパルディア皇国東方根拠地隊司令部側と事前協議を経ることで立ち入りは可能という見解を表明するなど、配慮を行っている。

 軍船が機密の塊であるというパーパルディア皇国側の主張をフェン側も肯定せざるを得ず、この問題はフェン側が折れることとはなった。なお、パーパルディア皇国側は軍港周辺地域で東方根拠地隊司令部の指定する範囲に入境することも「遠慮」することを希望したため、注意が必要である。

 

 

―――――

軍機保護法・抄(昭和十二年法律第七十二號)

 最終改正 平成六年法律第二十五號

 

朕帝國議會ノ協賛ヲ経タル軍機保護法改正法律ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム

法律第七十二號

   軍機保護法

 

第一條 本法ニ於テ軍事上ノ祕密ト稱スルハ作戰、用兵、動員、出師其ノ他軍事上祕密ヲ要スル事項又ハ圖書物件ヲ謂フ

 前項ノ事項又ハ圖書物件ノ種類範圍ハ兵部大臣命令ヲ以テ之ヲ定ム

第二條 軍事上ノ祕密ヲ探知シ又ハ收集シタル者ハ六月以上十年以下ノ懲役ニ處ス

 軍事上ノ祕密ヲ公ニスル目的ヲ以テ又ハ之ヲ外國若ハ外國ノ爲ニ行動スル者ニ漏泄スル目的ヲ以テ前項ニ規定スル行爲ヲ爲シタル者ハ二年以上ノ有期懲役ニ處ス

第三條 業務ニ因リ軍事上ノ祕密ヲ知得シ又ハ領有シタル者之ヲ他人ニ漏泄シタルトキハ無期又ハ三年以上ノ懲役ニ處ス

 業務ニ因リ軍事上ノ祕密ヲ知得シ又ハ領有シタル者之ヲ公ニシ又ハ外國若ハ外國ノ爲ニ行動スル者ニ漏泄シタルトキハ死刑又ハ無期若ハ四年以上ノ懲役ニ處ス

第四條 軍事上ノ祕密ヲ探知シ又ハ收集シタル者之ヲ他人ニ漏泄シタルトキハ無期又ハ二年以上ノ懲役ニ處ス

 軍事上ノ祕密ヲ探知シ又ハ收集シタル者之ヲ公ニシ又ハ外國若ハ外國ノ爲ニ行動スル者ニ漏泄シタルトキハ死刑又ハ無期若ハ三年以上ノ懲役ニ處ス

第五條 偶然ノ原由ニ因リ軍事上ノ祕密ヲ知得シ又ハ領有シタル者之ヲ他人ニ漏泄シタルトキハ六月以上十年以下ノ懲役ニ處ス

 偶然ノ原由ニ因リ軍事上ノ祕密ヲ知得シ又ハ領有シタル者之ヲ公ニシ又ハ外國若ハ外國ノ爲ニ行動スル者ニ漏泄シタルトキハ無期又ハ二年以上ノ懲役ニ處ス

第六條 軍事上ノ祕密ヲ探知シ、收集シ又ハ漏泄スルコトヲ目的トシテ團體ヲ組織シタル者又ハ其ノ團體ノ指導者タル任務ニ從事シタル者ハ無期又ハ三年以上ノ懲役ニ處ス

 情ヲ知リテ前項ノ團體ニ加入シタル者ハ六月以上七年以下ノ懲役ニ處ス

第七條 業務ニ因リ軍事上ノ祕密ヲ知得シ又ハ領有シタル者過失ニ因リ之ヲ他人ニ漏泄シ又ハ公ニシタルトキハ千圓以下ノ罰金ニ處ス

第八條 兵部大臣ハ軍事上ノ秘密保護ノ為必要アルトキハ命令ヲ以テ左ニ掲グルモノニ付測量、撮影、模写、模造若ハ録取又ハ其ノ複写若ハ複製ヲ禁止シ又ハ制限スルコトヲ得

  一 軍港、要港又ハ防禦港

  二 堡塁、砲台、防備衛所其ノ他ノ国防ノ為建設シタル防禦営造物

  三 軍用艦船、軍用航空機若ハ兵器又ハ兵部大臣所管ノ飛行場、電気通信所、軍需品工場、軍需品貯蔵所其ノ他ノ軍事施設

 前項ノ規定ニ依ル禁止又ハ制限ニ違反シタル者ハ七年以下ノ懲役又ハ三千円以下ノ罰金ニ処ス

第九條 兵部大臣ハ軍事上ノ秘密保護ノ為必要アルトキハ命令ヲ以テ前条第一項ノ防禦営造物又ハ軍事施設ノ周囲ノ地域ニシテ兵部大臣所管ノモノニ付区域ヲ定メ其ノ区域ニ付測量、撮影、模写、模造若ハ録取又ハ其ノ複写若ハ複製ヲ禁止シ又ハ制限スルコトヲ得

 前項ノ規定ニ依ル禁止又ハ制限ニ違反シタル者亦前条第二項ニ同ジ

第十條 許可ヲ得ズ若ハ許可ニ附シタル条件ニ違反シ又ハ詐偽ノ方法ヲ以テ許可ヲ得テ第八条第一項第二号若ハ第三号ニ掲グルモノニテ同条ノ禁止若ハ制限ニ係ルモノ又ハ前条第一項ノ区域ニ侵入シタル者ハ五年以下ノ懲役又ハ二千円以下ノ罰金ニ処ス

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