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興信二十七年二月六日
午後一時開議
出席委員
委員長 スタンリー・ベック君
理事 山下亮一郎君 理事 須田 正延君(以下略)
大森 九郎君 鎮 孝君
アウレリアーナ・メコーニ君 友田大二郎君
安 正眼君 清 蘭玲君(以下略)
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国務総理大臣 李 陽詢君
民政部大臣 遠山 重治君
外交部大臣 森山 直次君
財政部大臣 劉 浩仙君
軍政部大臣 ローベルト・コチェルキン君
文教部大臣 山本 猛君
司法部大臣 古田 正武君
実業部大臣 高橋 康順君
交通部大臣 平井出貞三君
農務部大臣 王 康望君
政府委員
軍政部軍務局長 陸軍少将 エリオット・イートン君
農務部国際局長 遠藤 博君 (以下略)
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本日の会議に付した案件
国政調査承認要求に関する件
予算の実施状況に関する件
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〇ベック委員長 これより会議を開きます。
国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。
予算の実施状況に関する事項について、議長に対し、国政調査の承認を求めることとし、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○ベック委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○ベック委員長 予算の実施状況に関する件について調査を進めます。質疑の申出がありますので、順次これを許します。大森九郎君。
○大森委員 協和会の大森九郎であります。
この度は、質問の時間をいただきまして、委員長それから理事の皆様、大変ありがとうございます。
早速ではございますが、満華国境紛争についてお伺いいたします。
今、便宜上満華国境紛争と呼ばせていただいておりますが、もともとの我が国の国境線の向こう側、大日本帝國、ロシア帝國、モンゴル連邦、中華民国と四か国に囲まれていた国境ですが、今もなお接続しておりますのは、大日本帝國のみであります。他の三国と接していた箇所この向こう側について、お聞きしたいと思います。
先だって、政府は、旧ロシア国境の向こう側には、マオ王国なる国家が存在するということを確認したとする声明を発しました。このマオ王国とは国交樹立に向けた交渉を開始するともおっしゃっておられました。この国家の確認に際しては、大森大臣が出向かれましたクワ・トイネ公国において行われた会談が根拠になっているとのことでありますが、クワ・トイネでは、それ以外の国々モンゴル連邦にあたる国家と中華民国に該当する国家については、情報は得られなかったのでしょうか。外交部大臣の見解をお聞きしたくあります。
○ベック委員長 森山外交部大臣。
○森山外交部大臣 私がクワ・トイネ公国に派遣された経緯につきましては、先だって日本国から平和的にこの世界の国と接触を果たしたという情報がもたらされ、日本国がクワ・トイネ公国と国交の樹立に向けた話し合いを行うというので、満洲国側もどうかという提案があったからであります。我々は、この世界のことをまだよく知らない、いや全くと言ってよいほどわからないといった方が正確です。我々はいろいろな課題・問題を決定するためには、そのための準備を進めます。情報を仕入れる、情報を纏める、情報を分析するといった順序が必要です。これは、当然国家の方針を決定するうえでも当然の手法であります。
今回、私がクワ・トイネ公国を訪問するに至った理由としましては、この情報収集が第一の目的でありました。現地国との折衝を行い、この世界のことをこの世界の人たちの口から私が直接見聞きする。この結果、この世界のことを多少なりとも知ることができました。この仕入れた情報につきましては、未だ分析が済んでいない状況でございますので、軽々に話すことは難しいです。
マオ王国につきましては、クワ・トイネ公国側から多くの情報を仕入れることができ、その結果として分析も非常に速く進めることができました。このため、政府としましては、国際社会の情報を国民の皆様にお知らせすることができたというわけであります。これ以外の情報については、仕入れた情報量が少なくまだお話しできるような分析が進んでいないというわけでありますから、まだ国民の皆様にお伝えできる状況ではない、ということであります。
○ベック委員長 大森九郎君。
○大森委員 ありがとうございました。続けまして、新世界転移後、日本を除くすべての国境線において、散発的な武力衝突が発生しているという情報があります。このうち、マオ王国と国境線を接している部分については、転移から一週間程度は散発的な衝突があったものの、その後は小康状態を継続していると聞いております。しかしながら、それ以外の国境線については、まだまだ小康状態には至っていないとも聞いております。この辺りの展望につきまして、軍政部大臣の見解を伺いたいと思います。
○ベック委員長 コチェルキン軍政部大臣。
〇コチェルキン軍政部大臣 えー、お答えいたします。大森委員もご承知の通り、我が陸軍は四個の方面軍を置いて、国土防衛の任についております。東部から北部にかけてを担当とする黒竜江軍、興安四省を担当する興安軍、西部を担当とする西部軍、そして新京以南の満日国境までを担当とする中央軍でありますが、これらから統帥本部に報告された戦闘詳報が、統帥本部内部におきまして分析されまして、その分析結果が統合幕僚部及び軍政部にもたらされております結果として、委員ご指摘にもありますように、マオ王国と国境線を接しております、黒竜江軍の戦闘回数は低下しております。具体的な数字については、政府委員より説明させます。
〇ベック委員長 政府委員エリオット・イートン君。
〇イートン政府委員 政府委員を拝命しております、軍政部軍務局長エリオット・イートンと申します。よろしくお願いいたします。大臣の説明を引き継ぎまして、詳しい説明を申し上げます。ええ、まず、先生のご指摘にもありますように、黒竜江軍所属の各師団からの戦闘詳報の内容の分析結果ですが、新世界転移時、1月16日午前0時から一日の間で使用された弾薬の総量は黒竜江軍全体で0.2トンとの集計結果が出ております。主に小銃での正当防衛射撃によるものでありまして、野戦砲や戦車砲などを使用したものではありません。しかし、17日からは、空を飛ぶトカゲ、ええ、先ごろワイバーンという呼称が判明しましたが、これのことでありますが、これによる上空からの攻撃に対処するため、こちらも戦闘ヘリなどを出して追い払うなどの処置を取りました結果、17日から21日までは、平均して0,3トンという消費量を記録しております。22日以降は、相手側も攻撃を控えるような行動に出ているらしく、一日の使用量は抑えられております。ここ一週間でも使用例自体が0の日もあります。
次に興安軍の戦闘につきましては、全体としてみると黒竜江軍に近いような弾薬消費量を記録しておりますが、転移当日が、0.5トンほど、17日から22日が0.8トンであります。しかし、ここ以降も、1トンを超える日が発生しており、全体としてみると減少傾向といえますが、0を記録した日はありません。
最後に西部軍の消費量ですが、ここはやはり違いまして、転移当日はほとんど、動きがなかったのでありますが、17日以降は、激しい動きがあったり、逆にあまり動きがない日があったりと変化が激しいのが特徴です。また、攻撃も他の特に黒竜江軍のそれと比較しても激しいものがあったようで、これは弾薬の消費量にも表れております。19日の攻撃はワイバーンによる上空からの攻撃で、兵士の負傷者が記録されております。戦闘ヘリによる追い払いも難しく、ワイバーンを止む無く撃墜したとの報告も上がっております。19日だけで弾薬の消費量が1.5トンに及んだとの報告です。こういった日が時折あるようで、詳しい部分の分析についてはまだおわっておりません。
以上の点から鑑みまして、西部軍担当地域における戦闘は継続していると考えても差し支えないかと思われます。
○ベック委員長 大森九郎君。
○大森委員 ありがとうございました。それでは、以上の点から鑑みまして戦闘の終結については、どのように考えますでしょうか。総理のお考えをお聞きしたいと思います。
〇ベック委員長 李国務総理大臣。
〇李国務総理大臣 まず、相手のことを知ることが先決かと思います。少なくともマオ王国側とは、現在停戦状態にあるとの認識を私は持っております。マオ王国と正式に関わり合いを持つことができれば、そこから、話を持っていくことができるのではないか。そのように考えております。それまでの間、前線兵士の負担を軽くすることが何かできないか、政府として早急に研究を進めていきたいとこのように考えております。
○大森委員 総理ありがとうございました。大変心強い御答弁をいただきましたものと思います。今後の政府の外交努力に期待して、私の質疑を終わります。
○ベック委員長 これにて大森君の質疑は終了いたしました。
次に、アウレリアーナ・メコーニ君。
〇メコーニ委員 自由党のアウレリアーナ・メコーニです。本日は、質問の機会をいただき、心から感謝を申し上げます。
大森委員の質問にも関連しますが、国境紛争の解決に向けての外交努力、先ほど総理は、マオ王国から話を持っていってもらうことを考えておられるようですが、西部の方面も勢力と直接交渉の機会はないのでしょうか。外交部大臣お答えください。
○ベック委員長 森山外交部大臣。
〇森山外交部大臣 メコーニ委員の質問については、もちろん、外交部としても取り組む課題だと認識しております。私がクワ・トイネ公国に赴いたのも西部方面の勢力に対して、何らかの交渉の糸口はないかとそれを探るためでもありました。クワ・トイネ公国においてもあのあたりの国家についての情報について、交渉を行うための有意義な情報をあまり持っておられず、少ない情報でありますが、これを精査し、交渉の糸口を探る努力を鋭意実施している所存でございます。
○ベック委員長 アウレリアーナ・メコーニ君。
〇メコーニ委員 森山大臣。私はこう思うのです。情報を誰かから与えられるのを待つのではなく、自分から手に入れる努力をするべきではないかと。外交官が情報収集を行うこともあるでしょう。もちろん、紛争地帯において、外交官が活動をするというのは危険を伴いますので、難しいことは承知しておりますが、外交部の外交官は何もなされていないのでしょうか。
○ベック委員長 森山外交部大臣。
〇森山外交部大臣 まずもって申し上げたいのは、外交官の行う情報収集活動は、国交樹立したあとに派遣国の国内において、相手国の法律を尊重したうえで行うものであるというのが、前提でありますので、紛争地帯において情報収集するというのは外交官の一義的な任務に含まれておるとは考えておりません。そのうえで、外交部として何かできないことはないのかにつきましては、現在平和的に接触を続けているクワ・トイネ公国及びクイラ王国から何か有益な情報を得ることができないか、そのことについては、今現在も我が国の外交官が二国に出張して現地で調査に当たっております。情報を得られ次第、本国に報告し、それを分析するそのような活動を現在も継続しております。
○ベック委員長 アウレリアーナ・メコーニ君。
〇メコーニ委員 大臣。それでは、迂遠なのではないかと申し上げているのです。(発言する者あり)
○ベック委員長 御静粛にお願いします。
〇メコーニ委員 外交官に戦地での活動を行えとは申しておりません。西部方面地域では紛争が多発しているという報告は確かに上がっているのでしょうが、全部が全部そうではないでしょう。平和的に接触が果たせそうな地域はないのですか。外交部としては、そういう地域で活動を行うことは難しいのでしょうか。
○ベック委員長 森山外交部大臣。
〇森山外交部大臣 まず、訂正いただきたいのは、現在国境紛争は発生していますが、我が国は戦時下ではありません。(「詭弁か」「言葉遊びするんじゃない」発言するものあり)
ちょっと、ちょっと委員長、答弁させてください。
○ベック委員長 答弁を継続してください。
〇森山外交部大臣 答弁を継続します。これは、言葉遊びでもなんでもありません。法的な状況を申し上げております。戦時下であれば、外交関係は遮断され、外交使節は本国に戻ります。したがって、外交官が戦地に赴くことはできません。しかし、現在は戦時下ではありませんので、メコーニ委員ご指摘の平和的な接触については、外交部は現在機会をうかがっている最中であります。しかしながら、まだそういう状態を見つけることは難しい状況です。このような活動については、現行法上可能でありますので、外交部としては機会を探っていきたいと考えております。
○ベック委員長 アウレリアーナ・メコーニ君。
〇メコーニ委員 答弁ありがとうございます。私の認識に一部誤りがあるということで発言を訂正いたします。最後になりますが、ここに私の選挙区の有権者の方からいただいた手紙があります。予備役招集されたご子息を持つお母さまからです。これにはこう書かれてあります。
○ベック委員長 できるだけ質問は簡潔にお願いします。
〇メコーニ委員 はい。趣旨としては、陸軍に招集され、戦闘に従事することは国民としての義務とは思うが、もしかしたらと思うと不安です。いち早い解決を望みます。とのことです。政府には、速やかな国境紛争の解決を図るよう努力を願いたく、私の質問を終わります。
○ベック委員長 これにてメコーニ君の質疑は終了いたしました。
次に、清蘭玲君。
〇清委員 満洲社会党の清蘭玲でございます。今日は、満日関係について、質問を進めさせていただきます。
先だって、日本国会に対して請願文書が出されました。「国内農業団体の保護を求める請願」というもので、提出者は、日本の農業労働者の生活向上、所得確保を図る団体の長の名義となっております。新世界転移後、日本国内では、これまでいろいろな他国から輸入していた食料品の入手が不可能となり、現状我が国からの輸入を図るより他に手がない状態が発生しているはずです。にもかかわらず、我が国からの輸入を狭めるようなこの請願が提出されております。このような請願は満洲国農業生産者の感情を逆なでし、満日の国民感情を悪化させるものではないでしょうか。農務部大臣、いかがでしょう。
○ベック委員長 王農務部大臣。
〇王農務部大臣 委員のご質問にお答えします。件の請願につきましてですが、請願は我が国でも同様に国民の政治参加の一つの手段でありまして、これに対しては、我が国としては、日本国内の団体の請願に対してコミットすべきとは考えておりません。詳細な理由につきましては、政府委員に応えさせます。
〇ベック委員長 政府委員遠藤博君。
〇遠藤政府委員 農務部国際局長遠藤博です。大臣答弁につきまして、補足して説明いたしますと、日本国会では、ほぼ毎年国会会期中に同様の請願が出されております。これは、我が国でも同様に行っていると考えられている政治活動の一環ですが、主として選挙民に対するアピール目的でなされているものと解するのが妥当と思われます。先生もご承知の通り、請願には紹介議員が必要でありまして、我が国では元老院議員衆議院議員、日本では貴族院議員衆議院議員という形での、国会議員の紹介を必須要件として提出されるものであります。そのため、請願に名前を乗せるということは、自分がこの請願に書かれている問題に取り組んでいるということを、選挙民にアピールする目的があるものと解されているわけであります。このような政治活動に対しては、他国の政府が掣肘をかけるというのは、内政干渉にもあたりかねないため、政府としては、特に何もコメントしないという方針を取った次第であります。
○ベック委員長 清蘭玲君。
〇清委員 大臣。私の質問に正面から答えてくださいよ。私は満洲国民農業生産者の声を代弁して、満洲国民の感情を逆なでするような請願に対して、我が国政府はなんの抗議も唱えないというのは、政府の目は国民を向いていないんじゃないかと言わざるを得ないと思いますよ。(発言する者あり)
○ベック委員長 王農務部大臣。
〇王農務部大臣 すでに答弁した通り、内政干渉に当りかねない行為を国としておこなうことはできません。
○ベック委員長 清蘭玲君。
〇清委員 大臣。そんなことでいいんですか。政府の目は国民に向いていない。国民感情などどうでもいいといっているのと同じではありませんか。(「感情的になるな」「国際法を考えろ」発言するものあり)
ちょっと、静かにしてください。まだ、私の質問時間です。ちょっと、今発言したの誰。これだから女はって。予算委員会でこれって、重大な問題ですよ。帝国憲法違反。委員長。緊急動議。緊急動議。発言者の懲罰請求を求めます。
〇ベック委員長 理事は集まってください。理事は委員長席に集合です。速記官は速記を止めてください。
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〇ベック委員長 速記官は速記を再開してください。会議を再開します。
清蘭玲委員より、緊急動議の申し出がありました。緊急動議であるため、日程に追加して、本件について審議します。
動議は、議員懲罰請求となります。
この際、本件についてお諮りいたします。動議内容調査のため、本日はこれにて散会とし、次回期日は、公報をもってお知らせすることとしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○ベック委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。本日はこれにて散会と致します。
午後三時四分散会
「大日本帝國召喚」ですが、日本の国会描写よりも満洲の国会描写を先にしました。
満洲帝國陸軍の方面軍体制を再確認しました。
弾薬の消費数ですが、ネットを探してみましたが、こんな感じの量でよいか自信ないです。わかる方よかったら、教えてください。
満洲帝國の主要政党。与党:協和会、野党:自由党、満洲社会党。野党はけんか腰で質問するのは、現実世界の国会答弁を参考にしました。
ヤジで答弁や質問が中断する。ここら辺、ニヤリとしてもらえると嬉しいです。
「国内農業団体の保護を求める請願」。拾いました。でも、議論が明後日の方向に向かいました。ここら辺もニヤリとしてもらえると嬉しいです。
7月26日
読者様の指摘により、満洲国陸軍のつかった弾薬量を修正しました。