大日本帝國召喚   作:もなもろ

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これまでの世界情勢をまとめる意味も兼ねて、新聞記事でお届けします。作中世界における公開情報(これまでの投稿ないようではないという点に注意)を基にして作成したため、ひっかけやあれ?という部分があると思います。探してみて下さい。


中央暦1639年10月
帝都新聞朝刊 2675(平成27・2015)年10月1日(木)


フェン王国軍祭、大盛況のうちに閉幕

 大会成功の裏に我が民間事業者の支え有り

 

 先月25日に開会式が行われたフェン王国軍祭は全ての日程を終了し、昨30日に閉会式が行われた。我が日本からにも多数の選手の参加があったが、大会そのものの知名度があまり高くないという点やあまり上等とはいえない競技環境などの理由によりプロ選手の参加は少なく、日本・満洲からの参加はアマチュア出身者にとどまった。

 それでも、フェン王国は我が国から最も近い隣国の一つとして、国民の旅行先として人気があったことも相まって、我が国からの観戦者数は、フェン王国講武所の推計によれば、10万人を超過したとの発表があった。これまでフェン王国はこのような数の観光客を一度に受け入れたことは無く、大会実施前には宿泊施設が絶対的に不足するという予測が大きな問題となっていた。これに対応したのが我が国の旅行業界である。

 第一に、旅行関係企業は、個人旅行者に対して、国内から車を持ち込んで、車中泊を奨励したことがあげられる。大手旅行代理店のウェブサイトでは、軍祭開催以前の1月半ほど前にはフェン国内の旅館は既に予約でいっぱいであるという情報を掲載しており、車中泊を奨励していた。旅行業界大手三社(日本旅行、帝国ツーリスト、葵観光)は、石油関連企業である大日本石油と出光興産と提携して、アマノキ港にガソリンを満載したタンカーを停泊させた。埠頭から近いところに車中泊専用の駐車場を整備とアマノキ市奉行所に対して駐車場周辺への警備依頼を行った。

 第二に、旅行関係企業は、露天商を抱える大名系企業に対して露天商の出店を促した。大名系企業は、その歴史的経緯から、神社仏閣などの縁日に屋台を使用して出店する個人事業主を傘下に置いている。今回旅行関係企業は、この屋台を軍祭開催地点周囲に出店させることで、宿泊先と同じく不足することが予想された同地での食事の安定供給にめどが立った。

 第三に、旅行関係企業は、陸軍に協力を求めた。宿泊施設が不足し、車中泊が行われる以上、トイレと入浴設備もまた不足するということとなる。そこで旅行業界大手三社は、共同で陸軍参謀本部と外務省に対して、陸軍の災害派遣部隊を親善派遣してもらうことを申し入れた。外務省は、フェン王国外国奉行所と交渉の末に、派遣部隊にフェン王国の法令順守と軍の派遣は軍事行動によるものではなく、派遣部隊は派遣期間を終えたら直ちに撤収するとの覚書を交わした。外務省から交渉を終えたことを知らされた参謀本部は、久留米第十八師団第十八輜重兵連隊に部分動員令を発出した。

 平時における軍隊は金食い虫であるとされている。このため、陸軍は平時には師団人員を絞っている。動員令を発出するということは、定員充足率を引き上げ、軍事行動を可能ならしめるために行われるが、今回は輜重兵連隊にのみ動員令が発出され、予備役の召集が行われた。輜重兵連隊の予備役兵の多くは運輸業界に就職する。召集令状が発出された予備役で就業中の者は、その期間中は陸軍御用という名の就業停止期間となる。その為、就業停止期間中は給与は出ない。この期間は、雇用調整助成金という名の金銭補填を受けることとなる。なお、有給休暇を使用しての陸軍御用への召集は、企業側の利益にならないだけでなく、軍務の参加が私的行動ととらえられることにもつながりかねず、忌避されている。

 以上のような企業努力や帝國陸軍の協力の下に、今回の日本人の軍祭観戦は成功を収めたと言っても過言ではない。また、旅行者の駐車場使用料という金銭負担によっても支えられていた。フェン王国政府関係者は、「今回我が国の軍祭にあれだけ多くの観戦数が足を運んでいただいたことはうれしいと思う反面、日本側の協力が無ければどうなっていたかと思うと素直に喜んではいられない。我々は、アマノキの都市規模拡張と近代化を強く進めていきたいと考えている。」と述べ、我が国や満洲国に近代化への協力を求めたいと述べている。・・・・・

 

 

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日満駐在武官、派国武官と接触か?

 

 フェン王国にて軍祭が行われているさなか、首都アマノキにてフェン王国駐在の日満両国の武官が極秘裏にパーパルディア皇国の武官と接触したと言われている。駐フェン公使館は、この話を否定しているが、駐在武官の動静記録に空白があることは確からしい。・・・・・

 

 

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日満フランス大使、お互いを非難

 支援物資第一陣は、ロウリアへ到着

 ジン・ハークに響く「ラ・マルセイエーズ」

 

 仏紙ル・フィガロ新京支局が発行したロウリア王国首都の独占取材記事について、日満それぞれのフランス大使がお互いを非難しあっている。報道の課程で、駐満フランス大使が、ル・フィガロ特派員のロウリア入国への便宜を図るよう駐満アルタラス公使との間で交渉を行っていたことが公表されている。

 オーバン・ベルモン駐日仏大使は、会見を開き、「日満両国の政治的行動に掣肘をかけるようなことはすべきではなかった。満洲国側の了解を取らずにアルタラス側と交渉した駐満大使の行動は不適切。」と非難をおこなった。これに対して、アルベール・ルパープ駐満仏大使は、「フランスとは何か。世界に冠たる人権先進国である。それは異世界に来ても、いや異世界だからこそフランス的であるべきなのだ。駐日大使は、フランス的ではない。」と論難した。・・・・・

 

 

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クワ・トイネ公国公王庁議論紛糾

 

 クワ・トイネ公国の議会であるとされている公王庁では、各地方の貴族が参集して、公国元首の新たなあり様についての意見を交わしている。公国の元首であるとされている、現モリトヤマ公爵は自身の嫡男にその地位を譲ろうと考えているらしい。この際、嫡男に地位を譲るに際して、新たな国家体制を構築しようと考えているのが、現公爵とクワ・トイネ政府関係者であるとのことだ。

 通常、国家元首はその国の首都に居住し、何らかの政治的な権力あるいは儀礼的な行動を行使する。クワ・トイネ公国においては、政府機関や議会のような首都機能は、公都クワ・トイネにあるが、国家元首であるとされているモリトヤマ公爵は「リーン・ノウの森」と呼ばれているモリトヤマ公爵領に居住している。これは、武家政権下の我が国のそれに相当する国家体制であると言えるだろう。このような体制では、君主の政治権限が弱く、強力なリーダーシップをとることができないことは、室町期から戦国期に至る我が国の歴史を踏まえると容易に理解し得る。クワ・トイネ公国政府は、まさに室町期の幕府政治の如く、地方有力貴族が中央政府に参画して、政治を行っている。しかも、足利将軍のように主従関係を結んでいるわけではなく、カナタ首相と地方貴族は原則的に対等な関係であるというから、強力な政治は行うことが難しいと言えるだろう。

 それがためか、公王庁における議論は紛糾している。公国内部では、モリトヤマ公爵は一定の敬意を払われている家ではあるが、だからと言って、公爵と各諸侯は主従関係を結んでいるわけではない。クワ・トイネ公国政府関係者が模索している国家体制と言うのが、モリトヤマ公爵を最上位の地位に押し上げて、各諸侯との間に主従関係を結び、「王国化」しようとする動きである。・・・・・

 

 

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クイラ王国の混乱収まる

 諸侯会議再開へ

 

 今月中旬ごろよりにわかに起こったクイラ王国の混乱は終息しつつある。発端は、クイラ王国でも最大級の個人戦闘力を有するとされている大魔導師のサーリム・ハルビー閣下が、我が国を親善訪問したことであろう。ハルビー氏がクイラを離れるや否や、王都バルラートに参集していた地方諸侯が次々と帰国した。すわ諸侯による反乱かと言われたが、地方諸侯たちはこぞって、反乱ではない、ただ領地の状況が心配なのだと伝えてきた。

 クイラ王国は、近代化を施行するに際して、我が旧幕時代末期の2523(文久3)年に置かれた参預会議を参考にした諸侯会議を設置した。地方貴族を王都バルラートに集め、クイラ王国全土に関係する法令の策定に際して、法令案の説明と法令案に対する審議、議決を経て、法令を成立させるという、議会政治の基礎を固めようとしていた。クイラ王国政府は、急速な近代化を推し進めるにあたり、王都に軍制改革を果たした陸軍師団を設置し、王室魔法顧問の大魔導師ハルビー氏の圧倒的な魔法攻撃を演習で見せつけることで参預会議参加諸侯に、近代化への協力を取り付けようとしていた。そこには、当然ながら力の誇示による強制的な意思の抑圧があり、諸侯の中にも不満を持つ者がいたのは確かである。それが、ハルビー氏がクイラを一時離れたことによるサボタージュに繋がったといえるだろう。

 クイラ政府が、近代化を推し進めるにあたって、我が国を始めとした地球国家の政治制度を参考にする以上、「議会」とした参預会議の議決無くして、新たな国家事業を展開することはできない。一時近代化への歩みは停滞した。しかし、その動きもハルビー氏が王国に帰国すると止まり、地方貴族は再招集に応じるようになった。・・・・・

 

 

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駐日クイラ公使、「噂の裏情報」社を提訴

 

 ターミル・バフール駐日クイラ公使は、昨日の記者会見で、雑誌社噂の裏情報を名誉棄損を理由とした民事訴訟を実施したことを発表した。訴状は東京地方裁判所に提出済みとのことである。

 噂の裏情報はゴシップ記事を主体とする月間誌で8月号の記事にてクイラ宮廷に関する記事を掲載した。これに対して、クイラ本国は事実無根の虚偽であるとして、駐日公使に訂正記事の掲載を求めるよう指示したが、噂の裏情報社はこの掲載を拒否したようだ。噂の裏情報社は、訴状が届いていないのでコメントは差し控えると・・・・・

 

 

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ロウリア王国、摂政を設置へ

 

 外務省は、ロウリア王国政府が、アルタラス外務局を通じて日満鍬杭四箇国に対して、国王の従弟である、ウィンチェスター・テルエ・フォン・タレーラン公爵を摂政に就任するべく調整を完了したことを報告してきたことを、記者会見で明らかにした。ロウリアの国内情勢が国王の退位を容認できない状況にあるとして、国王の退位でなく摂政就任による国王大権の縮小で、国王の責任を問おうとする動きであると解されている。・・・・・

 

 

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クワ・トイネ公国スーシュウェイにおいて戦没者慰霊式典開催へ

 

 アルタラス王都ル・ブリアスのアルタラス外務局で週一の間隔で開かれている日満鍬杭朗五か国の大公使級外交官による終戦連絡国交樹立調整会議は、先のロデニウス戦争における陸戦最大の激戦地、ギム西方に位置するスーシュウェイにおいて戦没者慰霊式典を実施する方向で調整が進んでいることを明かした。・・・・・

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