大日本帝國召喚   作:もなもろ

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ガルパンはいいぞ。ガルパン見ながら執筆しようと思っていましたが、筆が進まない。


ムー国マイカル港 中央暦1639年10月8日(水)

ムー国マイカル港沖 戦艦旅順艦内 貴賓室

 ― ムー統括軍情報通信部情報分析技官 マイラス・ルクレール

 

 数日間、我々情報通信部の数名は、日満派遣艦隊の各艦を視察した。この戦艦旅順を始めに、空母瑞鶴、巡洋艦青龍、駆逐艦白露、海防艦新高、海防艦室見と戦闘用艦と警備用艦に次々と乗艦し、それぞれの艦の性能についていろいろと説明を受けた。

 他国の海軍の艦隊が我が国を訪問する。それも第二文明圏や第一文明圏の国ではなく、第三文明圏よりも東に位置する国々ということでなんの冗談だという声が挙がっていた。何しろ第三文明圏の雄とされるパーパルディア皇国ですら、第二文明圏の我が国まで来ることはない。先進国会議に参加するためにやっとのことでミリシアルまでやってくる。パーパルディア皇国は我が国に大使館を構えているが、彼らはムーの航空機で行き来している。そういう訳でクイラの駐在武官から海軍へ話が来たときは全く海軍の参謀部は相手にしてはいなかった。

 ムー海軍の受け入れ準備が整わず、マイカル港よりも南部に位置するプルマス軍港での日満艦船の受入れが困難となったことで、外務省はマイカル港での受け入れ準備を早急に進めるように働きかけた。商港であるため軍艦の入港は難しかったが、なんとか訪問四か国の使節団が乗船する大型客船の受け入れ準備だけは整えることができた。

 外務省は海軍側との協調を築くことはできなかったが、統括軍の情報通信部に話を持ってきた。政府側としても軍を全く無視して動くことは拙いと思ったのであろう。情報通信部は、一応、駐在武官を各国に派遣している。主に第三文明圏や文明圏外の駐在武官は情報通信部で対応する。陸海空軍の武官はこれらの地域には基本的に寄り付かない。これらの国には参考とすべき兵器などがないからだ。なお、ワイバーンオーバーロードと言う飛竜が存在するため、空軍の駐在武官はパーパルディア皇国に駐在している。

 

「それで、彼らの話だが君はどう思った。」

 

 ムー統括軍情報通信部長アーサー・エルドリッジ中将が私に問いかけた。

 

「さて・・・。時折、海上から正体不明の無線が飛んでいたという話は、統括軍でも確認しております。海難事故の発生を懸念した海上警察からの依頼で海軍の空母艦載機が発信地点とされた現場を捜索しても、事故の形跡は見当たらずということが数回続いたと聞いております。」

「うむ。その話は私も聞いたことがある。無線の確認時刻と航空機が現場海域付近に到着した時刻。この間の時間を考えたときに水面に何らの事故の残骸も確認できなかったということが果たして考えられるか。それも複数回。」

「ええ、ということは。」

「レイフォル国内の残置諜者からの報告に裏付けがなされたというところか。」

 

 エルドリッジ中将がソファーに深く沈み込む。

 

 先月の中旬のことだ。駐レイフォル大使館員、大使館駐在武官、ムー企業のレイフォル駐在勤務者、ムー人旅行者からムー国に凶報が届いた。列強第五位のレイフォル国が謎の武装勢力によって襲撃を受け、首都レイフォリアは、武装勢力が有する超巨大戦艦1隻からの艦砲射撃によって壊滅的被害を出した。レイフォルは艦砲射撃により政府中枢に大きな被害を出した。皇帝の居城と宰相官邸他行政官庁街、レイフォル議会、首都防衛軍司令部、レイフォル中央銀行、レイフォリア証券取引所といった中枢施設は大きく損傷を受けたか全壊させられた。皇帝を始めとする政府中枢に多数の死傷者も出した。人的物的両面からレイフォルは国家としての機能を喪失した。

 超巨大戦艦のレイフォリア襲撃から数日たち、生き残った者が瓦礫の除去や通信網の再構築と応急的な復旧をしていたころまたしても武装勢力は現れた。今度は彼らは艦隊を引き連れてやってきた。海軍司令部も首都防衛司令部も壊滅させられ、組織的な抵抗ができなかったレイフォル軍に対して敵軍は首都上空に艦載機を飛ばして、降伏を呼び掛けるビラを投下した。自分たちはグラ・バルカス帝国と名乗り、皇帝又は政府もしくはそれに類する最高権限者が、自分たちに降伏すれば、これ以上の攻撃は加えない。降伏に同意するのであれば、使者を出すようにと言うことであった。

 レイフォルは皇帝以下政府首脳部に死傷者が多数でたため、組織的な行動をとることができず、軍の残存部隊も徹底抗戦か降伏かでもめていたようだ。組織的な抵抗はできず、散発的な抵抗を行おうとした部隊は、攻勢準備を行っていたところを、航空攻撃で排除された。そうして、グラ・バルカス軍はレイフォル側の士気を挫き、破壊したレイフォリアに対して進駐を開始した。最終的に降伏文書に調印させたのは、三代前の皇帝の弟の家系のゴルシュタイン侯爵家の現当主を地方から引っ張り出したうえで皇帝位を継がせ、その上で臨時政府を作ってからとなった。

 グラ・バルカス軍の攻撃中にはムー人の中にも多数の死傷者が発生した。グラ・バルカス軍は戦時なれば、その被害の責任はレイフォル側にあるとした。さらには、レイフォリアをグラ・バルカス軍が軍政下に置くため、レイフォルと外交関係を結んでいた国々は、レイフォリアから数日中に退去するよう求めてきた。

 新レイフォル皇帝は国家元首としてグラ・バルカス軍の降伏要求を受諾した。今後はグラ・バルカス帝国の保護国となるのか否か。現時点では確かなことは分からないが、外交主権は制限されるとみてよいだろう。

 

 そのレイフォリアには、外交関係が断絶した以上、ムーを含めて外交官は退去することとなった。だが、軍の中には諜報員として残留する者もいる。危険な任務となるだろう。

 その諜報員からの連絡の一つが、軍港から出航した船が航行中に「沈没」したことを知らせてきた。だが、その沈み方が不可解であった。沈んでいく船があるにもかかわらず、それ以外の船には一切の動揺が見られなかった。救助などを行う様子もなかった。不思議に思っていた諜報員だが、その理由はすぐに判明した。今度は先ほどとは逆に海の中から船が浮上していき、入港していった。

 残置諜者はグラ・バルカス軍には水中に潜ることのできる船があると本国に連絡した。その連絡は海軍と我々情報部に回ってきた。潜ったり浮かんだりできる船というものは我々にはない。正直理解の範疇を超えていた。

 

 だが、本日の満洲帝國海軍の馬世光上将閣下や大日本帝国海軍前田大佐との懇談で「潜水艦」という艦が存在することを我々は理解した。

 

「中央戦闘指揮所か。言葉が出なかったな。」

「はい。この巨大戦艦のシステムは100以上の目標を同時に追尾捕捉できるということのようです。そして、自動的に迎撃するということです。」

 

 中央戦闘指揮所の中で聞かされた事実。馬上将は我々に対して、潜水艦と言う艦を知っているのかと問いかけてきた。マクドナルド駐クイラ大使は知らなかったとも付け加えた。

 驚くべきことに、このムー国の周辺海域に潜水艦が出現しているということだ。潜水艦には魚雷と言う水中を自走する爆弾が搭載されているという。つまり、原因不明の事故に見せかけて攻撃を加えられることもある。日満海軍はそれらに対して必要な警戒及び攻撃準備を行っているらしい。だが、万が一にもムー国が潜水艦を持っていた場合には、攻撃準備を継続していることはこれから国交を結ぼうという国際関係から考えるとよろしくない。できれば、退いてほしいということを知らせてきた。

 我々は困惑した。我々には潜水艦という艦種は存在しない。当然、海中の潜水艦を探知する技術もない。ということは、此の海中に潜んでいる潜水艦は、どこの国のものなのか。

 

「グラ・バルカス帝国。彼らの潜水艦が我々を海中から監視している、そのように見て間違いないかと思います。」

「そうよな。どうやら、彼らの技術力は我々よりも上のようだな。だとすると、満日両国がこの事実を我々に知らせてきた意図はどういうことかな。」

「おそらく、マイカル港もしくはプルマス軍港での駐兵権獲得でしょう。我々には潜水艦に対抗する手段がありません。守ってやるから軍を置かせろ、ということが考えられるかと。」

「ふむ・・・。」

「部長?」

「いや、彼らはクワ・トイネやクイラにも軍の駐兵は行っていなかったはずだとおもってな。」

「なるほど・・・。」

 

 彼らの意図が何処にあるのか。まずは、それを調査するのが先だな。この話は国交樹立交渉に影響するだろう。 

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