兵部省局長会議配布資料
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クワ・トイネ公国使節団の帝國海軍視察について
平成27年2月9日
資料作成委員
兵部省整備局長 局長 村田大作(主席責任者)
兵部省経理局長 陸軍主計少将 下田渉
軍令部第一部長 海軍少将 汪淳子
件名については、局長会議配布資料に当たる内容が、平成27年2月6日付で軍令部総長海軍大将柳沢隆俊より第一艦隊司令長官海軍大将吉井渉に、平成27年軍令海第6号、第7号、第8号として奉勅伝宣となった。以下は、下達された命令を報告資料として整理したものである。
1.視察対象
第一艦隊所属
第一戦隊所属
軍艦「駿河」(第一艦隊・第一戦隊旗艦)
第一航空戦隊所属
軍艦「鳳鶴」(第一航空戦隊旗艦)
第七戦隊所属
軍艦「赤石」(第七戦隊旗艦)
第一水雷戦隊所属
軍艦「那珂」(第一水雷戦隊旗艦)
駆逐艦「暁」(第六駆逐隊旗艦)
横須賀鎮守府警備戦隊及び警備隊所属
海防艦「箱根」(鎮守府警備戦隊旗艦)
海防艦「伊豆」(鎮守府警備隊旗艦)
2.説明担当官
第一艦隊司令部
参謀長 海軍少将 新井修一
参謀 海軍大尉 大野紗季(補給担当)
第一戦隊司令部
参謀 海軍大尉 大野紗季(艦隊司令部参謀兼務)
第一航空戦隊司令部
参謀 海軍少佐 生野慎太郎(航空担当)
第七戦隊司令部
参謀 海軍中佐 秋山歩美(内務担当)
第一水雷戦隊司令部
参謀 海軍少佐 李翔太(砲雷担当)
第六駆逐隊司令兼駆逐艦長 海軍大佐 宇野省吾(駆逐艦「暁」)
横須賀鎮守府警備戦隊司令部
参謀 海軍少佐 井野牧夫(戦務情報担当)
横須賀鎮守府警備司令兼海防艦長 海軍中佐 石崎ひとみ(海防艦「伊豆」)
3.視察日程
第一艦隊旗艦軍艦駿河から順番に乗艦。各艦一時間程度を予定。
軍艦駿河による主砲発射演習。但し、資材入手困難のため、第一砲塔の一斉射のみとする。
軍艦鳳鶴航空隊による発着艦演習。但し、航空燃料の備蓄を考慮し、戦闘機攻撃機各一機のみとする。資材入手困難のため、誘導弾による攻撃演習は実施せず。
軍艦赤石による主砲発射演習。但し、資材入手困難のため、主砲弾10発のみの発射とする。
以上各艦は、海上にて対応。その後は母港にて、各艦への乗艦と説明。
昨年の観艦式大演習を上映とする。
4.諸注意
(以下略)
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平成27年度第45回兵部省局長会議
出席者
兵部大臣官房長 陸軍中将 孫隆久
兵部省軍務局長 局長 柴崎健介
兵部省人事局長 海軍少将 武田典久
兵部省教育局長 海軍少将 金重良
兵部省整備局長 局長 村田大作
兵部省経理局長 陸軍主計少将 下田渉
兵部省医務局長 陸軍軍医少将 吉野啓
兵部省法務局長 海軍法務少将 石俊介
開始時刻:午後1時
開催場所:兵部省第二会議室
議事録作成者 大臣官房文書課長 陸軍大佐 末次基久
本日の会議に付した案件
各局定例報告
大臣官房
1、外務省との折衝状況報告
軍務局
1、兵部省官制改正についての局内会議稟議事項
人事局
1、各軍定例人事考査
2、平成27年度陸軍士官学校、海軍兵学校、陸軍航空士官学校三校の入学試験問題確定前最終報告
教育局
1、陸軍予備役の即応召集体制構築についての局内会議稟議事項
整備局
1、クワ・トイネ公国使節団の帝國海軍視察についての報告
経理局
1、平成27年度陸海軍経理学校の入学試験問題確定前最終報告
医務局
1、平成27年度陸海軍軍医学校の入学試験問題確定前最終報告
法務局
1、軍人軍属、軍刑法及び一般刑法等非違行為等報告
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孫「定刻になりましたので会議を始めます。まずは、大臣官房から定期報告事案を説明いたします。
(中略)
最後に、外務省より、クワ・トイネ公国に対して、陸軍各師団より工兵隊を抽出して、野戦軽便鉄道を敷設してもらいたいという要請がありました。局議の結果、軍務局、整備局、経理局にて対応願いたいとの結果です。また、参謀本部にも協力を願いたいと思いますので、省部折衝をお願いいたします。なお、ご承知のことと思いますが、本件は喫緊の課題です。くれぐれも縄張り争いとなるようなことがないように部下の監督をお願いします。」
(中略)
孫「次は整備局からの報告です。お願いします。」
「村田局長配布資料について説明」
孫「今の報告について何かありますか。」
柴崎「本件、演習を計画する軍務局や教育局に事前連絡がなかったと思いますが、この経緯は。」
村田「使節団のスケジュールでは、本日から地方視察に出ることとなっております。その後は東京に戻ってからは実務者会談の準備があります。昨日一日の使節団の休暇を潰して行うより他に手がなかったのです。そこで、現在の燃料備蓄の状況などを考慮して、艦艇の行動可能な部分について把握している整備局が主体になって対応いたしました。事前連絡を行わなかったことについては、謝罪いたします。ただ、外務省側から連絡をもらったのが、2月4日午後5時で、そこから翌日までかけて、燃料の備蓄状態などを調べて、横須賀鎮守府と折衝を重ね、戦艦、空母、重巡を洋上まで送る油を確保することができました。5日も朝から局員を内閣官房、外務省、横須賀鎮守府、大本営事務総局、軍令部、第一艦隊司令部旗艦に赴かせて、概要を検討し、翌朝までに軍令部の部員より軍令案を確定させて、上奏裁可、奉勅命令下達の流れです。とても、省内他局と連絡を取り合っている時間はありませんでした。」
吉野「ということは、二徹ですか。この年で一日でも徹夜は堪えるもの。柴崎さん。ここは、官制上の越権行為は不問としましょう。」
柴咲「いや、言い方が少しきつかったかもしれない。越権行為を咎めるつもりはない。吉野局長以下局員の奮戦の労を多とする。」
石「同じく。もちろん非難するという意味ではないが、戦艦空母重巡を出す必要はあったのですか?クワ・トイネ公国には、そんな大きなフネはないでしょう。燃料問題を考慮に入れれば、軽巡だけを洋上に出して走らせてもよかったのでは。第一、クワ・トイネ側には、駆逐艦ほどのフネもないでしょう。見せたとして、何も参考にならないのでは。」
武田「そうだ。澤副総監の調査報告書にもあるように、クワ・トイネの軍備は弓矢、槍の装備が中心だ。いわば、源平合戦か、よくて戦国時代の装備じゃないか。そんな時代の人たちに現代兵器を見せたとして、いったい何になるというのだ。欲しがられたとしても、扱えっこないぞ。特に今クワ・トイネでは、隣国との関係が悪化していると聞く。強力な兵器を欲しいという気持ちはわかるが、初めて見る兵器だから訓練にも多大な時間を必要とするだろう。それに整備局長。我が軍から弾薬を供与することはできるのか?」
村田「小銃だけなら何とかなりますが、弾薬はおいそれと渡すわけにも参りません。生産を強化しようにも原料がありませんから、節約です。」
下田「右に同じですね。この世界情勢を鑑みますに、満洲国における国境紛争を考えると、軍拡の時代となるやもしれません。軍が必要とする経費は増えるでしょう。相手方に売るということができるのであればまだしも、まだそのような段階ではないでしょう。」
石「となるとだ、やはり紀伊型戦艦を見せる必要はなかったんじゃないか?」
下田「私も外務省の方にそのように申し入れたのですが、高雄入港時の戦艦の祝砲にいたく興味を持ったらしく、隣にあった空母にも関心があり、その二隻を見てみたいとのことでして。」
金「外務省の奴ら、ちと国内の燃料備蓄を甘く見すぎておらぬか。戦艦を動かすと結構な燃料を食うぞ。」
武田「金さん、発言際どいですよ。」
孫「金局長。発言は議事録に記載されますから、言葉は選んでください。それはそうとして、外務省側の使節団への厚遇はちと気にかかりますな。少しばかり、サービス過剰の趣がありますね。一度次官会議あたりで少しくぎを刺してもらう方がよいやも知れませんが、いかがでしょう。」
「異議なし。と言う者あり。」
孫「では、局長会議の意見として次官に挙げます。整備局長の報告に対して、他の意見はありますか。ないようですね。では次の報告に。」
「会議室ドアよりノック音あり。住之江良亮兵部次官入室。」
住之江「局長会議中にすまない。文部省より連絡が入った。帝大理学部工学部教授を中心とする、クイラ王国の調査チームからの報告だ。クイラ王国の油田は、精製すれば十分我が国の実用に耐えられるとのことだ。しかもその一つは、精製せずとも利用可能だとのことだ。相良油田がもう一つ現れたようなものだ。この油田を中核基地として、石油施設建設を進めていきたいと外務省はすでにクイラ王国に申し入れた。
クイラ王国からは、クワ・トイネの中間調査結果を聞いたところ、クイラ王国として国交樹立のための使節を派遣するとのことだ。しかも、その使節団の長に王弟を充てるとのことだ。王弟を送り込んでくるということは、おそらくクイラ王国の上層部の見解は固まっているはずだ。特に支障もなく、国交樹立の会議に入る。ひょっとしたら、クワ・トイネのよりはやく国交樹立となるやもしれん。
このような重要なニュースが飛び込んできた。局長会議は速やかに終了させて、各局で今後の対応を検討してもらいたい。話は以上だ。会議を再開してほしい。」
「住之江次官退室。」
孫「では、会議を再開します。まことにすみませんが、各局説明は簡潔にお願いします。では、経理局長より報告お願いします。」
(以下略)
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さらに物語を動かします。クイラ王国の投入です。
>>澤副総監の調査報告書
なかなか拾えませんでしたが、ここで回収しました。