大日本帝國召喚   作:もなもろ

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パーパルディア皇国艦隊司令部編制
司令官
  副官(現実世界に同じ。)
 参謀長(現実世界の参謀長に同じ。)
  参謀(現実世界の参謀に同じ。状況に応じて主任の参謀が置かれる。)
 帆走長(現実世界でいうところの機関長。艦隊所属全艦船の速力を均一化し、帆走船員の練度維持を任務とする。各艦船の帆走長とは別。)
 通信長(現実世界に同じ。各艦船の通信長とは別。)
 主計長(現実世界に同じ。全艦船から送られてくる経理書類をさばいて、中央に上げるのが任務。各艦船の主計長とは別。)
 測距長(測距を目的とし、艦船に所属する測距長が兼任する。)



フィルアデス大陸・アルタラス島間アルタラス水道海上 中央暦1639年11月16日(月)午前10時15分

この話に出てくる人物

アレクシ・ピエール・クジネ(アルタラス海軍北洋艦隊司令官)

 アルタラス海軍は北洋艦隊と南洋艦隊の2つの艦隊を持つ。アルタラス島には北東部と南西部に軍港があり、戦時の際には両洋艦隊が可及的速やかに合流できるように配置されていた。ロウリアの敗戦により、南洋艦隊の艦船を一部北洋艦隊に合流させることとなり、規模としてはロデニウス戦争以前から比較して1.3倍程度の規模となった。

 アルタラスの名門貴族のクジネ伯爵家の次男として、中央歴1590年生を受ける。49歳。嫡男ではないため、家を継ぐことができなかった彼は、パーパルディア皇国の前身であるパールネウス王国海軍士官学校へ留学し、海軍戦術を学んだ。この頃のパールネウス王国は現在のような絶対的優位の地位にはなく、比較的優位の国であり、他国からの評判を得るため、対外姿勢もそれほど尊大ではなかった。そのため、パールネウス海軍士官学校時代の知己が、現在パーパルディア皇国海軍の上層部にいる。帰国後は、アルタラス王立海軍に奉職し、現在の地位に着く。

 

マクシミリアン・ヨーゼフ・フォン・ポクトアール(パーパルディア皇国監察軍東洋艦隊司令官兼監察軍東方根拠地隊司令官兼監察軍特務艦隊司令官)

 ご存じ原作登場人物。原作だとこの時期には更迭されているが、この世界線では第一線で活躍中。中央歴1584年生まれ。55歳。パールネウス共和国時代から続く伝統ある貴族、ポクトアール子爵家当主。中立派。パールネウス市から北へ20キロメートルほど離れたポクトアール男爵領とパーパルディア皇帝の属領であるフライス伯爵領に隣接するポクトアール子爵領を所有する。

 領民の統治はパーパルディア貴族としては極めて良心的(つまりはまっとうな貴族ということ)で、臣民統治機構が支配するフライス伯爵領からの流民が流れて来るのが、頭痛の種となっている。

 海軍士官学校は、門閥係累の上級貴族が無試験で入校する特別入学枠、下級貴族や上流平民が試験を受けて入学する一般入学枠、平民が入学する編入枠と分かれている。ポクトアール提督は一般入学枠で入校し、海軍士官学校卒業時の成績は120人中13位。ただし、特別入学枠の貴族が無条件で上位を占めるという慣例になっていたため、実質的には4位の上位成績者。ミリシアルの駐在武官なども務めるなどエリートコースを進み、第三外務局長カイオスの懇願により、監察軍東洋艦隊司令官として出向する。

※ポクトアール子爵領は、フライス伯爵領と隣接するいくつかの貴族領を併せてかつてのフライス王国を構成していた。フライス王国は拡大政策を続けるパーパルディア皇国の動きを止めるべく開戦に及んだが、返り討ちに遭う。無謀な戦争を仕掛けたとして家臣が離反し、王族は処刑された。家臣はその首を手土産に降伏しようとしたが、ルディアス皇帝は謀反を起こして自分だけが助かろうとした家臣の動きを嫌悪し、これを拒否して、謀反を起こしたフライス王国貴族を処刑した。統治者がいなくなった領地を再編して、国内の貴族に分け与えた。ポクトアール男爵は、これまでの歴代の軍功及びフライス戦役において、海軍艦隊を率いて海上交通網を遮断するなどフライス王国軍の弱体化に特に功ありと認められ、子爵に陞爵した。

 

ウンベルト・ステファン・ツー・シウス(パーパルディア皇国南洋艦隊司令官兼アルタラス侵攻軍司令官)

 ご存じ原作登場人物。中央歴1593年生まれ。46歳。新興貴族、シウス男爵家当主。

 リッテンハイム侯爵領内に所領を持つシウス騎士爵の三男として生まれる。海軍士官学校へ入校し、在学中に騎士爵という低い身分でありながら、成績が良かったため、特別入学枠の貴族の取り巻きの貴族から妬まれて、諍いを起こすことが数回あった。しかし、卒業時の成績は19位(この年の特別入学枠は6人であり、110人中実質13位)と優等であったが、身分の低さから地方勤務を主とすることになる。転機を得たのは、30代後半で、ルディアス王太子(当時)が海軍武官の資質調査を行っていた時に、当時の成績考課資料を再調査していた時にその資質を見出されたことによる。

 ルディアスが皇帝に即位した後の海戦にはほぼすべて参加しており、軍功により、男爵に授された。海上勤務が長く、領地経営には自信がないとして領地の下賜は辞退したが、これはリッテンハイム侯爵家に取り込まれることを危惧したものである。実家のツテを頼ろうにも、実家にも外に出せるほどの規模の家臣は抱えていないため、必然的にリッテンハイム侯爵家の紐付きの人間が仕官してくることになるからである。

 

クレメント・ツー・オンデイズ(パーパルディア皇国監察軍東洋艦隊副官)

 パーパルディア皇国軍提督のポクトアールは現在、東洋艦隊の司令官と東方根拠地隊の司令官の二つの司令官を兼任しており、そのそれぞれの司令官に直属する副官がつけられている。オンデイズは、そのうち東洋艦隊司令官に直属する副官である。

 中央歴1607年生まれ、32歳。ポクトアール男爵領領都ポクトアール市からパールネウス市へと向かう街道の途中にあるオンデイズ村の4代続く宿屋の次男。読み書き計算は問題なかったため、村長を通じてポクトアール子爵に仕官の斡旋を依頼。パーパルディア皇国海軍へ奉職し、砲兵となる。計算の基礎があったことが功を奏し、弾道計算に優れたところを見せる。ポクトアール提督直々の視察を受けてその才を認められ、提督から将校課程への推薦を受け、海軍士官学校へ編入生として入校。

 この場所で彼は、気位だけが高く、学業成績も実技成績もパッとしない門閥貴族の存在を知る。成績が優秀な下級貴族の中にも平民を蔑む目で見る者もおり、温厚篤実なポクトアール提督しか貴族をしらなかった彼は、貴族の存在を疑問視する視点を持つようになった。普通の(120人中76番目、内特別入学枠は8人)成績で卒業する。海軍士官学校卒業時に、皇国騎士(貴族に準じる称号で、一代のもの。通常は、数代続けて任ぜられるか、所領を賜ると、騎士爵として相続が可能となる。)に任ぜられ、出身地の名称を附して、「ツー・オンデイズ」と名乗るようになる。

 卒業後は、皇国海軍フィシャヌス級戦列艦パースの右舷第六番砲群長に補任。その後、当時皇国海軍第三艦隊司令官であったポクトアール提督の副官へと抜擢。ポクトアール提督の東洋艦隊司令官への転任に際して東洋艦隊の副官へ転任。

 情勢の変化により、フェン王国に赴任することとなるが、当初は蛮族の統治地域に赴任するということに対する不満を抱えていた。しかし、フェンにおける軍祭を通じて日満両国との接触を開始すると意識に急速な変化が起きる。以前から赴任していた根拠地隊の副官(国家戦略局出身)を通じての日満両国の情報収集により、皇国のこのままの拡大政策を継続すれば、近い将来に皇国と日満両国との武力衝突が発生し、それは現状の皇国優位の地域秩序を危うくするという「皇国の危機」を認識するとともに、気位だけが高い皇国貴族の存在はこの情報を信じないし、反って反発するということでこの情報は容易に表に出せないことを悟る。

 現在、友好的なフェン人を通じて日満両国の民間人への接触を図り、パーパルディア皇国製の魔道具取引により、日満両国の武器弾薬を購入中。

 

 ―――――

フィルアデス大陸・アルタラス島間アルタラス水道海上

 ― マクシミリアン・ヨーゼフ・フォン・ポクトアール

 

 我が海軍の誇る最新鋭の軍艦「潜水艦」が海中を行く。敵艦隊の端をすり抜けるために、我が国の艦隊の端に向かい、そして今はアルタラス島へ向けて直進している。潜水艦の存在は偽装しており、海上に出ている部分は、板切れが浮いているようにしか見えないようにはなっている。だが、進路を誤らないために、海上に突起物が出ているような状況になってしまっているがため、何かが海上を漂っているということを知られては面倒だ。ふむ・・・。

 

「帆走長、右翼のライドネル戦隊指揮官に命令。右翼の戦隊が全体的に前に出過ぎている。艦隊全体と歩調を合わせて徐々に進めと徹底してくれ。」

「通信長、戦列艦マグドラに命令。減速せよ。貴艦は前に出過ぎている。同じく戦列艦ミスドラに命令。増速せよ。旗艦と歩調を合わせよ。」

「測距長、敵艦隊との距離は・・・。ふむ、潜水艦の存在を気取られても困る。ここは、すこし距離を詰めるか・・・。帆走長、全艦に命令。旗艦の速力に合わせて、漸進を継続せよ。」

 

 そろそろ、指揮権を交代すべき時かもしれぬな。皆、じれている。艦隊運動が散漫になりつつある。 

 

「副官。シウス提督に上甲板を依頼してくれ。」

「指揮権移譲のお話ですか?作戦計画では、潜水艦が敵艦隊をすり抜けてからと言うお話でしたが。」

「計画は、現場の状況によって臨機応変に変更せねばならぬ。予想通りと言うか、想定外と言うべきか、潜望鏡の存在がやはり目立つ。敵に視認されたときに、敵がどういう行動を起こすかわからん。敵の意識を我々海上艦隊にひきつけるようにしなければならない。そのためには、少し早いが攻勢に出ることを考える必要がある。」

「なるほど。直ちにお呼びしてまいります。」

 

 オンデイズ副官がこの場を離れて、艦尾に向かっていった。さて、もう少しだな。

 

「帆走長、前に出過ぎている艦がちらほらあるぞ。旗艦の速力に合わせて、漸進だ。まだまだ。まだまだ、微速のまま。」

 

 ―――――

 ― ウンベルト・ステファン・ツー・シウス

 

 ポクトアール提督の副官から呼び出しがかかり、司令室を出て、甲板にあがっていった。うむ、予定よりは少し早いが、引継ぎと状況把握のためにも甲板に出ておいた方がよかろうな。

 

「提督。シウス提督をお連れしました。」

 

 ポクトアール提督の副官が、艦隊全艦艇の操艦の指揮を執っていた提督に話しかけると、ポクトアール提督がこちらに振り返り、首をわずかに下げた。

 

「シウス提督。少し早いが、艦隊の指揮権を移譲しようと思うのだが。」

「ふうむ・・・。この作戦は、緻密な時間管理の下に作られております。予定では、もう一時間は粘って、潜水艦が更にアルタラス島本土に近づいてからのはずです。」

 

 私がそういうと、ポクトアール提督は双眼鏡で潜水艦を見てほしいという。副官から双眼鏡を受け取り、潜水艦の姿を確認する。ううむ。これは。

 

「なるほど。ポクトアール提督の懸念がわかりました。あの状況では、板切れが潮の流れに漂っているようには見えません。自らの意思を以て動いているようにしか見えません。アルタラス艦隊の横を横切る際に、不審なものとして発見されては、この作戦全体が破綻しかねないとおっしゃるのですな。」

「左様です。もとより、事前の作戦計画というものには、想定できなかった事情というものが存在する。作戦目的を達成するために、その手段を変更するということはよくある話で、それは我々指揮官が柔軟に対応すべき所です。それに、艦隊の所属艦船も焦れ始めております。艦隊運動が散漫になりつつある。下手に隊列を維持させようとするとぼろが出そうです。そうなっては・・・。」

「そうですな、反って危ういですな。アルタラスの反撃を招きそうです。それよりも、主導権を握り続けねば。わかりました。お疲れ様でしたポクトアール提督。指揮権を承継いたします。」

「かたじけない。副官。私の将旗を降ろすように命令を。」

「はい。」

 

 さて、これからどうすべきか。本来の作戦計画に基づいたものとして考えれば、ここで、ポクトアール提督の将旗を降ろしたことで敵艦隊の動揺を誘うことができるだろう。その動揺をあくまでも時間稼ぎに使うか、動揺に付け込んで、猛攻を加えるか。彼我の距離が近づきすぎていると言ってもアルタラス海軍の旧式艦ではこの80門級戦列艦カスパールの一斉射撃でその大半を薙ぎ払えるだろう。問題は、こちらの被害だ。想定では、ワイバーンの空中攻撃で敵艦隊の隊列を乱してから、一斉射撃を考えていたが、やむを得ない。初手から厳しくいくか。

 

「通信長、後方の竜母部隊に連絡。ワイバーンを全機発進。敵艦隊及び敵地上部隊に攻撃を加えよ。同じく後方の上陸部隊に増速を指示。但し、風神の涙の使用は許可せず。」

 

 ポクトアール提督の将旗が降ろされた。ふふふ。敵も困惑するだろう。海上で司令官の旗がいきなり降ろされたのだ。

 

「通信長、参謀長、砲術参謀、全艦船へ通達。これより、魔導砲による敵艦隊一斉射撃を敢行する。左舷砲撃準備をはじめよ。10分以内に攻撃を開始する。」

「了解。操舵長、面舵準備。砲術長、左舷砲戦準備。左舷砲兵員は、砲撃準備かかれ。右舷砲兵員は砲弾搬出作業にかかれ。」

 

 カスパールの艦長が自艦の幹部に指示を出した。伝令の士官が走り回り始めた。

 

「通信長、左翼のパニョーラ戦隊指揮官に連絡。敵艦隊の右翼に例のあれが通る。万が一がある。右舷の端の艦船には照準をさけよ。」

「提督、変針後の御指示もお願いします。」

 

 司令部帆走長が問うてきた。そうだな。それもあったな。

 

「艦隊は単横陣から単縦陣に隊列変更となる。右翼のライドネル戦隊指揮官を先頭に「我に続け」でよい。半円を描く形で敵の左翼を包囲だ。艦隊速力は戦列艦マグドラに第一戦速まで増速後はそれを維持せよ。」

「了解。」

「提督!!」

 

 カスパールの艦長が大声を挙げた。何事だ!?カスパールの艦長が双眼鏡から目を離して叫んできた。

 

「両脇の貴族連合軍の船団が敵の艦隊に向けて突撃を始めました!!」

「なんだと!!」

 

 慌てて、私も双眼鏡で睨みつけた。あのクズ共が!!ろくでなしの豚どもめ!!

 

「あの糞袋共がっ!!」

 

 双眼鏡を叩きつけた。ガラスレンズが割れ、使い物にならなくなった。物に当たるとは情けない。

 

「通信長。命令は撤回だ。旗艦の統制射撃は破棄。各艦砲撃準備が出来次第、自由砲撃で敵艦隊に向けて突撃せよ。」

「りょ、了解しました。」

「操舵長、面舵だ。左舷正対する必要はない。砲術長、左舷各砲群長に正面の敵を砲撃せよと命令。帆走長、速力上げろ。敵艦隊に向けて突撃だ。」

 

 忌々しい屑どもめ。だが、ここで見殺しにしては、我々の完全勝利に傷がつく。それに、国内の門閥貴族共にも海軍は貴族を見殺しにしたと付け込まれかねない。

 

「通信長、パニョーラ戦隊指揮官に命令。敵右翼の砲撃は控えよとの命令は維持だ。」

 

 ―――――

 ― アレクシ・ピエール・クジネ

 

 敵のマストからポクトアール提督の将旗が降ろされたかと思ったら、敵の両翼から船団が突撃してきた。なんだ。何をしようと言うのか。我々の両翼をすり抜けようというのか。一体何を考えているのだ敵は。

 

「うろたえるな。左右の船団を牽制しつつ、正面の艦隊を」

「敵艦隊、増速!!」

 

 っ!!うろたえるな。パーパルディア艦隊はこれまで我々に威圧を掛けてきただけだ。本国からもこちらから戦端を開くなと言われている。パーパルディアの行動は、ミリシアルからもムーからもよく思われていない。時間を稼げば、ミリシアルが確かに仲介に入ることになっていると、本国の海軍本部は伝えてきている。パーパルディアとてミリシアルの動向は無視できない。ミリシアルは既に動いている。だから、こちらから戦端を開いてはいけないと。

 

「全艦隊このままの進路を維持!!」

「提督!!もはや猶予はありません。舵を切って横対して砲撃戦を!!今ならまだ我々が機先を制することができます!!」

「敵は艦を斜めに向けています。照準が難しいはず。一方我々は、ほぼ横対しています。照準の精度では優位に立てます!!」

 

 分かっている。敵は我々から見て斜め方向に前進してきている。艦隊が正対して突撃してきているのであれば、問題はない。艦の正面には砲はないからだ。だが、斜めを向けているということは、砲は我々を狙うことができる。だが、

 

「うろたえるな。もし、敵が砲撃戦を仕掛けるとすれば、単縦陣で我々に舷側を見せるはずだ。このような海軍戦術はあり得ない。こけおどしなのだ。」

 

 何を言っているのだ私は。そんなことは、そんなことは。

 

「敵旗艦発砲!!」

 

 っ!!馬鹿なっ!!

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