大日本帝國召喚   作:もなもろ

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アテノール城は崩落しました。当分は瓦礫のままでしょうが、後に城跡地が整備されて国立公園となります。そこには、あのルミエス王女演説の碑文が建っております。


帝都新聞朝刊 2675(平成27・2015)年11月17日(火)

アテノール城崩壊

アルタラス国王以下宮廷廷臣多数の消息不明

(写真:崩壊前のアテノール城)

 

 アルタラス王国首都ル・ブリアス中心部に位置するアテノール城が、16日午後10時12分頃(現地時間)突如の轟音を響かせて、爆発崩壊した。原因は不明であり、現在王都の衛兵隊が調査に当たっている。アテノール城はアルタラス国王の居城であり、爆発が起きた時間帯には国王陛下は既に就寝中だったとみられている。また、当時は国王の周囲には侍従など数人が宿直として陪従していたと考えられ、その者達の安否も不明となっている。【アルタラス外電:ル・ブリアス特派員 美延孝之】

 

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パーパルディア皇国軍、アルタラス本土へ進駐

ムー・ミリシアル側と行き違い発生か?

邦人にも被害

 

 15日日曜日から始まったパーパルディア皇国によるアルタラス進駐は、昨日16日の昼前にアマンダ港への皇国兵の上陸という次のステージに進むこととなった。情報の行き違いからか、パーパルディア皇国軍とアルタラス軍で数回の小競り合いが生じたとともに、相当数の死傷者と艦船の被害が発生したという情報もあり、外務省が確認を進めている。

 このような現場の混乱は他でも起きており、上陸した皇国兵とアルタラス王国軍兵との間にも衝突が発生している。中でも深刻なのが、パーパルディア皇国兵によるルバイル国際空港周辺施設の誤射事件である。パーパルディア皇国の進駐兵から距離を置こうとしたアルタラス軍がムーとミリシアルの共有区域であるルバイル国際空港周辺地帯への侵入を試みようとした。追撃してきたパーパルディア皇国兵はアルタラス軍を確認すると威嚇のための砲撃を行った。しかし、発射した砲弾が誤って地帯内の建物に着弾したということだ。

 被害を受けた建物は、周辺施設へ立ち入るための管理棟となっている建物であった。誤射当時、この地帯へ避難してきたアルタラス滞在の帝國臣民及び満洲国民への入境手続きが行われていた。この誤射によって、建物に一部が崩れ、瓦礫の下敷きになって、我が同胞にも重軽傷者が発生した。一時重篤状態に陥った者もいたようだが、被害を受けて駆け付けたミリシアル人の魔法医やパーパルディアの従軍魔法医が治療に尽力し、一命をとりとめた。現在は、海軍航空隊の輸送機によって台南まで移送され、台南医科大学医学部附属病院の集中治療室(ICU)にて治療を受けている。

 

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「ムー・ミリシアルを頼ったのは失策」与党内に外相問責の声か?

総理周辺は困惑

 

 帝國臣民に被害がでたということで、与党立憲政友会の国会議員の間で外相の責任を問う声が挙がっている。邦人に対してムー・ミリシアルの共同施設への避難連絡ではなく、もっと早い段階でアルタラスからの退避勧告を出すべきではなかったかと言う意見だ。

 与党内部ではアルタラスとの外交関係に留意したという外相の立場は理解したうえで、それでも邦人への退避勧告を発すべきではなかったかと言う声だ。ムーやミリシアルというこの世界の列強国が後ろ盾になっていたにも関わらず、パーパルディア皇国兵はルバイル国際空港周辺施設付近での戦闘を中止しなかった。彼らは、施設への被害が出ても構わないと判断したということであり、ムーやミリシアルの名前が抑えになっていないという。列強間の外交関係を見誤ったうえでの今回の退避連絡であることから、外交政策上の失政ではないかという声が与党内部にちらほらと浮き出ている。

 これに対して総理周辺では困惑の声が挙がっている。山上内閣に限らず、我が国の内閣は外交政策については大枠を扱うにとどまり、個別具体的な交渉は外務省に一任してきた。勿論、時の総理の意向によって内閣が外交政策について深く介入することもあった。しかし少なくとも在外滞在在住の帝國臣民の退避勧告については、その国との外交関係を左右することにもなりかねないことから、慎重な対応が求められ、外務省による相手国への根回しといった事前準備無しに行うことはしてこなかった。西暦1984年のポーランド分割戦争においても、ドイツ、オーストリア、ロシア三国のポーランドとの国境付近に滞在、在住していた帝國臣民の避難についても三国の外務省との根回しの下に行われた。

 ネット上では、外務省が華族の牙城であるということを受けて、平民出身の帝國議会議員による「一揆」と面白がる声もある。それだけに、今回の立憲政友会の一部議員の動きは政官界で波紋を呼びそうだ。

 

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ヒエルペ駐日トーパ公使、湯川経団連会長、高野北経連会長との間に経済振興協定を締結

 

 麻布狸穴町のロシア大使館の隣に建つ駐日トーパ公使館において、16日、ユリアン・ボリーソヴィチ・ゴルロフ駐日ロシア帝国大使の仲介で、ソイリ・ヒエルペ駐日トーパ王国公使と湯川通伸経団連会長・高野正二郎北経連(北部経済連合会)会長は、トーパ王国アールバラ市の発展を企図した経済振興協定を締結した。協定の内容についてトーパ国王がその実施を保証し、アールバラ市を統治するムルトネン伯爵の代理としてヒエルぺ公使が署名した。

 協定の主要内容は、日本企業の進出に際してトーパ王国の関税を無税又は特別の関税率を導入すること、日本企業はト-パの法令に基づいて現地法人を設立すること、現地法人に対する営業税はトーパ国内の商会に対するそれと同等の税額を適用すること、トーパ国内現地法人にて生産された商品の輸出に関しては特別の関税率にて対応すること、駐アールバラ日本領事には日本人に対する刑事上の領事裁判権を認めないこと、同じく同領事に日本人とトーパ現地人との民事訴訟上の調停権を認めることなどが織り込まれている。

 ヒエルぺ公使は、記者団を前に、「二月ほど前から国王陛下に奏上していたアールバラ開発についてようやく勅許がおりて今回の協定締結となった。アールバラ市を統治するムルトネン伯爵も今回の経済振興について期待しています。アールバラ側の受け入れ準備も整っていますので、積極的な進出を希望いたします。」と述べ、トーパ本国にも我が国の企業が進出することを歓迎している人物がいることを示した。高野北経連会長は、「北海道及び樺太の経済団体はこれまで他国で活動するということを望んでいましたが、法的保護についての不安感からなかなか積極的になれませんでした。この協定によって投資は加速していきましょう。北経連としては現地を混乱させることなく企業の進出ができるように調整に尽力する意向です。」と述べ、帝国北部の経済団体のまとめ役として企業進出を積極的に後押ししていく姿勢を示した。

 北経連のホームページによれば、来週頭にも札幌に本社を置く山本土建がアールバラの港湾開発の第一陣として出発することが明らかとなっている。

 

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白沢勝英、いよいよ始動

 

 東宝及び奉天映画を中心会社とし、白沢勝英、汪清惇を監督陣に迎えての映画の製作が開始された。新作映画は、「2677年公開予定白沢汪両監督制作映画」を仮称として、エキストラの募集を始めることが公開された。撮影開始時期は、来年元日から昭和天皇祭までの大型連休明けを予定しており、撮影地としてフェン王国ニシノミヤコ及び同国ゴトク平野が選ばれた。

 駐日フェン公使のホランド・ヒョウブタイホ・フジタカ閣下は、「日満両国の巨匠とも名高い方々を我が国にお迎えできることはとても名誉なことであり歓迎いたします。」と述べた。

 

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