軍令陸乙に挑戦してみました。編成表は、ただ書くだけは無理ですね。エクセル使って表にして、それを画像で保存したものをアップしました。他の部隊の編制について希望があれば挑戦します。
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要塞司令部令(明41軍陸2)
要塞司令部令(明治四十一年軍令陸第二號)
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朕要塞司令部條例ヲ改定シ之カ施行ヲ命ス
軍令陸第二號
要塞司令部令
第一條 要塞司令部ニ左ノ職員ヲ置ク
司令官
參謀
副官
部員
附
准士官、下士官及判任文官
要塞ノ位置ニ依リ參謀以下ノ職員中之ヲ置カサルコトヲ得
第二條 司令官ハ要塞所管ノ師團長ニ隸シ要塞担任地域ノ防衛計画ヲ担任シ要塞担任地域ヲ衛戍セル部隊ノ動員計画ヲ統監シ要塞備附ノ兵器、器具材料及防御營造物ヲ管理シ軍需品ノ整備ニ任ス
第三條 司令官ハ當該要塞担任地域ヲ衛戍セル部隊長ヲシテ防衛計画上必要ナル事項ノ調査ヲ爲サシムルコトヲ得
第四條 司令官ハ平時豫メ地方官ト協議シ臨戰若ハ合囲ノ場合ニ於テ軍隊ノ宿營給養及公共ノ保安ニ關シ必要ナル事項ヲ實行スルノ方法ヲ計画スヘシ
第五條 司令官ハ必要ニ應シ市町村長ニ軍需品ニ關スル調査ヲ請求スルコトヲ得
第六條 司令官ハ演習若ハ試驗ノ爲要塞内ニ於テ備砲ノ使用ヲ許可スルコトヲ得
第七條 參謀ハ司令官ノ命ヲ受ケ要塞防衛計画ニ関スル事項ヲ掌ル
第八條 副官ハ司令官ノ命ヲ受ケ庶務ヲ掌ル
第九條 部員及附ハ司令官ノ命ヲ承ケ各担任ノ業務ヲ掌ル
第十條 削除
第十一條 削除
第十二條 削除
第十三條 准士官、下士官及判任文官ハ上官ノ命ヲ受ケ事務ニ服ス
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師團司令部令(昭15軍陸13)
師團司令部令(昭和十五年軍令陸第十三號)
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朕師團司令部條例ヲ改定シ之ガ施行ヲ命ズ
軍令陸第十三號
師團司令部令
第一條 師團長ハ陸軍中将ヲ以テ之ヲ親補シ 天皇ニ直隸シ部下陸軍諸部隊ヲ統率シ軍司令官ノ指揮ヲ承ケ軍事ニ係ル諸件ヲ統理ス
第二條 師團長ハ其ノ管理ニ係ル各部隊ノ動員計畫ヲ掌ル
第三條 師團長ハ部下軍隊ノ錬成ニ付其ノ責ニ任ズ
第四條 師團長ハ軍司令官ノ定ムル所ニ依リ師管ノ防衛ニ任ズ
近衞師團長ハ前項ノ外禁闕守衞ノ事ニ任ズ
師團長ハ防衛ノ為緊急ノ必要アルトキハ其ノ師管内ノ隷下外部隊ヲ一時區處スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ速ニ軍司令官ニ報告シ且関係所管長官ニ通報スベシ
第五條 師團長ハ防衛ニ関スル演習ノ為其ノ師管内ニ在ル隷下外部隊ヲ使用スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ當該部隊ノ所管長官ト豫メ協議スベシ
第六條 師團長ハ地方長官ヨリ地方ノ静謐ヲ維持スル為兵力ノ請求ヲ受ケタルトキ事急ナレバ直ニ之ニ應ズルコトヲ得
其ノ事地方長官ノ請求ヲ待ツノ遑ナキトキハ兵力ヲ以テ便宜処置スルコトヲ得
第七條 師團長ハ防疫條必要アルトキハ其ノ師管外ニ在ル隷下外部隊ヲ一時區處スルコトヲ得
第八條 前二條ノ場合ニ於テハ速ニ之ヲ軍司令官ニ報告シ且関係所管長官ニ通報スベシ
第九條 疾疫其ノ他非常ノ場合ニ際シ師團長一時其ノ部下軍隊ヲ移動セントスルニ當リ急ヲ要スルトキハ之ヲ實行シタル後前條ニ準ジ報告スベシ
第十條 師團長ハ部下諸部隊ノ軍紀、風紀、内務、兵器、経理、衛生及馬事ニ関スル事項ヲ統監シ軍法會議ヲ管轄ス
師團長ハ其ノ師管内ニ在ル陸軍諸部隊(軍司令官ノ隷下諸部隊ニ在リテハ其ノ指定スルモノ及軍隊以外ノ部隊ニ限ル)ノ軍紀、風紀ヲ監督ス
第十一條 師團長ハ軍政及人事ニ關シテハ兵部大臣、動員計画ニ関シテハ參謀總長、教育ニ關シテハ教育總監ノ區處ヲ受クルモノトス
第十二條 師團長ハ毎年概ネ軍隊教育期ノ終ニ於テ師團ノ状況ヲ奏上シ且軍司令官ニ報告スベシ
第十三條 師團司令部ニ左ノ各部ヲ置ク
一 參謀部
二 副官部
三 総務部
四 兵器部
五 経理部
六 軍醫部
七 法務部
參謀部及副官部ヲ合シ幕僚トス
第一項ニ定ムル部ノ外獸醫部ヲ置クコトヲ得
第十四條 參謀長ハ師團長ヲ補佐シ且師團司令部内ノ事務整理ノ責ニ任ズ
第十五條 幕僚ノ各将校ハ參謀長ノ命ヲ承ケ各担任ノ事務ヲ掌ル
第十六條 司令部附将校ハ師團長ノ命ヲ承ケ各担任ノ事務ヲ掌ル
第十七條 准士官、下士官及判任文官ハ上官ノ命ヲ承ケ事務ニ従事ス
第十八條 総務部、兵器部、経理部、軍醫部、獸醫部及法務部ニ於ケル各官ノ職責ニ関シテハ別ニ定ムル所ニ依ル
第十九條 司令部附将校及各部長ヨリ師團長ニ具申スベキ事項ハ豫メ參謀長ニ開陳シ其ノ承認ヲ承クルモノトス
附則
本令ハ昭和十五年八月一日ヨリ之ヲ施行ス
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陸軍平時編制(昭44軍陸乙27)
陸軍平時編制(昭和四十四年軍令陸乙第二十七號)
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朕陸軍平時編制ヲ改定シ之ガ施行ヲ命ズ
軍令陸第十三號
陸軍平時編制
第一條 平時ノ陸軍ハ現役軍人及軍属ヲ以テ之ヲ編成ス但シ必要ニ応ジ予備役及後備役ノ軍人ヲ編入スルコトヲ得
第二條 平時ノ陸軍ハ左ノ如ク区分ス
一 軍隊
二 官衙
三 学校
四 特務機関
第三條 軍隊ト称スルモノ左ノ如シ
一 統合総軍司令部 一 箇
二 軍司令部 六 箇
三 師團 三十三箇
四 旅團 一 箇
五 独立挺進聯隊 一 箇
六 独立飛行聯隊 一 箇
七 中央通信隊 一 箇
八 中央情報隊 一 箇
九 特殊作戦隊 一 箇
十 中央電子作戦隊 一 箇
十一 独立化学兵聯隊 一 箇
十二 独立混成聯隊 六 箇
十三 独立飛行大隊 六 箇
十二 憲兵司令部 一 箇
十三 機動憲兵隊 六 箇
十四 憲兵隊 三十四箇
第四條 統合総軍司令部ノ編制ハ附表第一號ニ依ル
左ノ部隊ハ附表第二號ノ如ク之ヲ統合総軍ニ編合ス而シテ其ノ編制ハ各其ノ下記附表ニ依ル
一 独立挺進聯隊 附表第三號
二 独立飛行聯隊 附表第四號
三 中央通信隊 附表第五號
四 中央情報隊 附表第六號
五 特殊作戦隊 附表第七號
六 中央電子作戦隊 附表第八號
七 独立化学兵聯隊 附表第九號
第五條 軍司令部ノ編制ハ附表第十號、第十一號ニ依ル
左ノ部隊ハ附表第十二號ノ如ク之ヲ各軍ニ編合ス而シテ其ノ編制ハ各其ノ下記附表ニ依ル
一 独立混成聯隊(六箇) 附表第十三號、第十四號
二 独立飛行大隊(六箇) 附表第十五號、第十六號
第六條 左ノ部隊ハ附表第十七號ノ如ク之ヲ各師團、旅團ニ編合ス而シテ其ノ編制ハ各其ノ下記附表ニ依ル
一 師團司令部(三十三箇) 附表第十八號、第十九號
二 旅團司令部 附表第二十號
三 歩兵聯隊(百箇) 附表第二十一號、第二十二號
四 騎兵聯隊(四十一箇 附表第二十三號、第二十四號
五 砲兵聯隊(三十三箇) 附表第二十五號、第二十六號
六 工兵聯隊(三十三箇) 附表第二十七號、第二十八號
七 輜重兵聯隊(三十三箇) 附表第二十九號、第三十號
八 飛行兵聯隊(三十三箇) 附表第三十一號、第三十二號
九 師團通信隊(三十三箇) 附表第三十三號、第三十四號
十 警備隊(十二箇) 附表第三十五號、第三十六號
第七條 各聯隊内ニ於ケル大隊及中隊ハ聯隊毎ニ各独立大隊ニ於ケル中隊ハ大隊毎ニ第一ヨリ順次一連ノ番號ヲ附ス
第八條 憲兵司令部及憲兵隊ノ編制ハ軍令陸ヲ以テ別ニ之ヲ定ム
第九條 本編制附表第三十七號ノ人員ヲ定員外トシテ軍隊ニ増加シ必要ニ応ジ陸軍所轄外学校等ニ服務セシムルコトヲ得
第十條 官衙ト称スルモノ左ノ各號ノ如シ
一 軍令陸ヲ以テ別ニ編制ヲ定ムルモノ
イ 兵部省(但シ陸軍武官ニ係ハルモノニ限ル)
ロ 陸軍技術本部
ハ 軍馬補充部
ニ 陸軍兵器本部
ホ 陸軍補給本部
ヘ 陸軍運輸部
ト 陸軍造兵廠
チ 陸軍被服廠
リ 陸軍糧秣廠
ヌ 陸軍衛生材料廠
ル 陸地測量部
ヲ 陸軍病院
ワ 聯隊区司令部
カ 軍法会議
ヨ 陸軍監獄
二 各其ノ下記附表ニ依リテ編制ヲ定ムルモノ
イ 参謀本部 附表第三十八號
ロ 教育総監部 附表第三十九號
ハ 要塞司令部(十一箇) 附表第四十號、第四十一號
第十一條 学校ト称スルモノ左ノ各號ノ如シ
一 軍令陸ヲ以テ別ニ編制ヲ定ムルモノ
イ 陸軍士官学校
ロ 陸軍幼年学校
ハ 陸軍外山学校
ニ 陸軍憲兵学校
ホ 陸軍経理学校
ヘ 陸軍軍医学校
ト 陸軍獣医学校
二 各其ノ下記附表ニ依リテ編制ヲ定ムルモノ
イ 陸軍大学校 附表第四十二號
ロ 陸軍歩兵学校 附表第四十三號
ハ 陸軍騎兵学校 附表第四十四號
ニ 陸軍砲兵学校 附表第四十五號
ホ 陸軍防空学校 附表第四十六號
ヘ 陸軍工兵学校 附表第四十七號
ト 陸軍輜重兵学校 附表第四十八號
チ 陸軍通信学校 附表第四十九號
リ 陸軍兵器学校 附表第五十號
ヌ 陸軍科学学校 附表第五十一號
ル 陸軍習志野学校 附表第五十二號
第十二條 特務機関ト称スルモノ左ノ各號ノ如シ
一 特ニ定員ヲ設ケザルモノ
イ 元帥府
ロ 軍事参議官
二 軍令陸ヲ以テ別ニ編制ヲ定ムルモノ
イ 侍従武官府
ロ 皇族附陸軍武官
ハ 王公族附陸軍武官
ニ 陸軍将校生徒試験常置委員
三 下記附表ニ依リテ編制ヲ定ムルモノ
イ 外國駐在員 附表第五十三號
元帥ノ乗馬ハ三頭、軍事参議官ノ乗馬ハ二頭トス
右ノ外元帥副官、軍事参議官副官佐尉官若干名ヲ置クコトヲ得
第十三條 現役将校及同相当官ニシテ他ノ法令ニ定ムル所ニ依リ陸軍所轄外ノ官衙等ニ服務スル者(第九條ノ者ヲ除ク)及外國留学ヲ許容セラレタル者ハ本編制ノ定員外トス
(以下略)
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大日本帝國長崎県対馬市 対馬要塞司令部
― 対馬要塞司令官 陸軍少将 大森義忠
「申告します。クワ・トイネ公国より陸軍軍事実習のため、本日着任いたしましたクワ・トイネ軍務局所属のアルフォンソ・ヤゴウ魔導師であります。」
「同じく申告します。クイラ王国より軍事実習のため、本日着任したしましたクイラ陸軍第二師団魔法第二連隊長のバハル・バイダス陸軍魔法大佐であります。」
要塞司令部司令官室の中に二人の男が直立して敬礼をしている。私は彼らに答礼し、向こうも手を下げてから話し始めた。
「ようこそ、我が国に。対馬要塞司令官の大森だ。貴官達は、本実習中、大日本帝国陸軍大佐の待遇を与えられている。この要塞では私に次ぐ階級だ。要塞司令部の職員を部下思って、気楽に、そして、なんでも聞いてほしい。この実習が諸君らにとって実りあるものになることを願っている。」
私が、そういうと早速ヤゴウ魔導師が質問をしてきた。
「ありがとうございます。司令官閣下、早速ではありますが、お聞きしたいのですが。」
「ん?何かな?」
まあ、予想はつくがな。
「はい、こちら、対馬要塞と伺っておりますが、その、要塞というのはなんだかその。」
まあ、そうだろうな。要塞司令部と聞いていたのに、付いた先は対馬市役所の隣にあるただの建物だ。しかも、司令部と言いつつ、人員も15人程度しかいない小さな所帯だ。バイダス大佐もヤゴウ魔導師と同様に困ったような顔をしている。
「まあ、無理もないことだ。そもそも、貴官等が想像するような強固な城壁などを持つ城のような要塞というものは今はこの国にはないのだ。それは、承知していると思う。」
両名が頷いた。うむ。そのあたりは既に実習済みだろう。
「この要塞と言う意味だが、昔は確かにこの対馬には、要塞という強固な防御陣地を構えた砲台がいくつもあった。今はそれはない。だが、要塞というのは、基本的に戦略的に重要な地に築かれるものであって、この対馬が持つ戦略的な価値は未だに変わっていない。」
両名が頷いた。ほう、そのあたりはわかるか。うむ、やはり、両国も今後の国家の防衛のために優秀な人物を送ってきたということだな。
「つまり、この対馬は対馬海峡と言う我が国防上の重要な水上航路を防衛するために、無くてはならない地なのだ。要塞司令部と言うのは、そういう重要な地を守るための防衛計画を立て、それを遂行するためにはどういう手段を持ってすべきかと検討し、そのために対馬警備隊や対馬市役所などの関係各所と連絡調整するための機関と思っていただければよい。」
ヤゴウ魔導師がなるほどといい、頷いた。今度はバイダス大佐が質問してきた。
「なるほど。では、上級司令部としてこの地にある陸軍部隊を指揮するというわけではないのですか?私たちは、ここに着任する前に対馬警備隊を訪問し、隊長である和田大佐に挨拶をしてきました。大佐と少将では少将のほうが上位者と聞いております。大森閣下は少将であらせられますので、和田大佐に対する指揮権はないのでありますか?」
ふむ。上位者かどうかで指揮命令あるわけではないがー、そこはやはり制度の違いか、あるいは未だに近代的な軍事組織理論が浸透していないというだけだろうか。ふむ、そのあたりはきちんと教えておく必要があるな。
「うむ、バイダス大佐。軍隊における指揮命令系統と言うのは、単に階級が上位者であるというだけでは下級者に対して命令することはできない。軍隊は組織として動く。貴官は、御国では、魔法第二連隊長という役職を拝命していると聞いている。この場合、第二連隊内の大隊長に対して命令することはあるだろう。だが、第一連隊の大隊長には直接命令はしないはずだ。第一連隊の大隊長には第一連隊の連隊長が命令を下すのが手続き上正しい。もっとも、危急の場合はその限りではないだろうが。」
「なるほど。確かにその通りです。私が勘違いをしていました。」
うむ。勘違いしていただけか。ならば、まずはよかろう。
「まあ、戦闘部署ではないので、直接の戦闘行動や戦闘指揮について学ぶことはできないだろうが、貴官達の御国の国土防衛計画の策定について学ぶという意味では、要塞司令部はまたとないところだと思う。それに、貴官達には、またとない機会が存在している。聞いているかな?」
ヤゴウ魔導師が先ほどまでとは変わって、緊張した様子で話し始めた。
「はい、この地において大きな演習が実施されると聞いております。小官達は、その演習についてつぶさに見学して、部隊の動きについて学び、レポートを出すことを求められております。」
なるほど、レポートを出さねばならぬか。まだまだ我々の戦闘について慣れていないだろうから、それは、なかなかきついかもしれんな。
「うむ。その通りだ。一時期は実行が危ぶまれていたが、11月28日から29日にかけて本年度の陸軍特別大演習が対馬において実施される。」
「参加する部隊も多いと聞いておりますが。」
「左様、本年度は東軍がこの対馬のある長崎の連隊も属する西部軍第18師団。対する西軍が朝鮮軍の第29師団となっている。敵に上陸された後にいかに反攻するか、そしてその反抗をいかにして打ち破るかという想定で行われることになっている。」
「二個師団を動かすのですか。かなり、大きな演習なのですね。」
ヤゴウ魔導師が驚いているようだ。
「先ほど、バイダス大佐に言ったことに反するようなことにはなるが、要塞司令部は平時には、確かに対馬警備隊への命令権を持たない。だが、戦時ともなれば違う。要塞戦備の命令が兵部大臣より下達されれば、防衛計画に基づいて、対馬警備隊に対する指揮権を発動することができる。」
「つまり、今回の演習においてもでしょうか?」
「左様。演習時には特等席で演習を見ることができることを約束しよう。」
バイダス大佐とヤゴウ魔導師がよろこんでいる。レポートを書くのにも、ただ俯瞰した立場だけでなく、片方の立場で見ることができることもいい刺激になるだろう。そう思っていると、ヤゴウ魔導師が尋ねてきた。
「ところで、お隣の市役所ですが、ずいぶんあわただしいように思います。本国の内務局や文教部から地方政治や初等教育について話を聞く機会があれば伺ってきてほしいと言われていたのですが、いささか訪問しづらい雰囲気です。何かあるのでしょうか。」
おや、肝心なことを聞いていないのか?いや、軍事実習に来たのだから、大きな演習があるから、そこで学べということしか聞いていないのか?
「おや、陸軍特別大演習について聞いていると思いましたが。」
「ええ。」
「大きな演習があるので、我が国にも取り入れることができるように学んでこいとのことでしたので。」
バイダス大佐も知らなかったか。ふむ。
「陸軍特別大演習は確かにおっしゃる通り、規模の大きな軍事演習です。ですので、出席者も大規模なものになります。市役所では、長崎県庁や釜山道庁、その他にも近隣の自治体から応援を受け容れて、受け入れ準備を進めています。」
「・・・受け入れ準備ですか。」
「はい、大演習には統監。すなわち、両軍の状況をつぶさに観察し、監督する組織が設けられます。大演習では、畏くもっ!」
私がそう言いながら、直立不動の姿勢を取ると、司令官室にいた司令部参謀、副官、部員たち全員も同様に一斉に直立不動の体制を取る。二人が首を振って、私と司令部職員たちを見比べて、不安そうな顔をした。
「大元帥陛下、御自ら御統監あらせられます。」
二人が驚愕した顔をしている。やはり聞いていなかったということか。姿勢を崩して、話しかけた。
「ご存じなかったようですな。」
「ええ、まさか、そんな。そんな畏れ多いことで。」
「お恥ずかしい限りです。私は貴人に対する振る舞いに自身がありません。」
なるほど。話せば、行くのを嫌がるとでも思われたのかな。
「そうかまえることはありません。まあ、なんですか、我々の真似をしておけば問題ありませんよ。」
構えられてもよくない。彼らは実習に来たのだから、少しでも多く学んでもらわないといかん。ふむ、まずは、気持ちを落ち着けるか。
「ところで、私からも宜しいですかな?ヤゴウ魔導師。」
「は、はい。」
「私、以前にヤゴウという名前を報道で見たことがあるのですが、御親戚か何かですか?」
クワ・トイネ使節が訪日したときにヤゴウと言う随員がいた。なんでも彼が訪日中に、交通事故を目撃して、その被害者を魔法で治療したという。新世界には、魔法が使えるものがいるということを理解したのだが、やはり驚きだった。
「え、ええ。確かに訪日使節団に私の兄のツールレイ・ヤゴウがおりましたが。」
「おお、御兄弟でしたか。いや、お兄さんが魔法で、事故に遭った被害者を助けたと知りましてね。いや、すごいものだと思ったものでしてね。」
少し表情が戻ったか。やれやれなことだ。