進むアルタラスの植民地化
ポクトアール・シウス両提督、アルタラス島へ上陸
パーパルディア皇国によるアルタラス王国への植民地化の流れが進んでいる。
今週初めの15日(日曜日)に始まった皇国の侵攻は、翌16日(月曜日)の皇国軍によるアルタラス本土上陸、同日深夜22時ごろに起こったアテノール城爆発崩壊と目まぐるしいまでの状況の変化が生じた。皇国軍はこの後2日間ほど動きを見せなかった。皇国軍は月曜日に進出した地点からほとんど動かず、占領地を拡大するような軍を展開させなかった。
突如行動を止めたパーパルディア軍の行動を訝しむ声がある中で唯一動かした部隊があるが、これが侵攻軍の直率部隊であった。16日の深夜、アテノール城の爆発後にこの部隊は急速に行動し、アルタラスの王都ル・ブリアスに急行した。在ル・ブリアスのパーパルディア大使館からアテノール城の方向で急速な魔素反応の上昇が確認され、その後にアテノール城が爆発炎上したという報告が侵攻軍司令部にもたらされたことで、信仰軍司令部は、この爆発が魔導反応の暴発によるものと断定した。
侵攻軍司令部が二次被害を防ぐために、魔導師を中核とした部隊を緊急に派遣し、彼らに魔素の安定を命じたということが発表されたのは翌17日の朝のことであった。魔導師部隊は、濃度の高い魔素を拡散することで一帯の魔素を軽減させる魔法を使用するということで、アテノール城の周りを封鎖した。秘匿性の高い魔法を使用するという理由で、アルタラス政府の介入を排除するという強権的な手段に出たが、二次被害を防ぐという意味では諸外国の外交官も数多く駐在する王都ル・ブリアスの安寧の為、大東洋周辺国家の大使がパーパルディアの行動を支持した。ムーは大使館を通じたコメントを出さなかったが、ミリシアルは魔素の濃度を測定し、それを公開するというコメントを出し、パーパルディア側に掣肘を加えた形となった。
アルタラスの王都ル・ブリアスの中心地をパーパルディア軍が占領するという異常な事態に、ル・ブリアス市民の不安の高まりは徐々に大きくなっている。市内の大通りでは、露天商が道の端で営業をしていたのが、日頃の光景であったが、今はその露天商の多くの数が営業をしていない。市民の生活の中心であった、東門前市場でも半数のスペースしか、人がいないというありさまだ。
アルタラスの北部にあるアマンダ港はアルタラス随一の貿易港である。この港には、軍港区画も存在するが、パーパルディア皇国海軍の戦列艦や商船、輸送船は、この区画に収まりきらず、商用区画にも艦艇が停泊していた。そして、商船や輸送船からパーパルディア陸軍部隊が上陸していった。彼らは、港周辺に橋頭堡を築いていくが、広範囲に展開するそぶりを見せなかった。その彼らが動いたのが、昨19日の木曜日だった。
パーパルディア皇国海軍の中でも名将と謳われている、マクシミリアン・ヨーゼフ・フォン・ポクトアールとウンベルト・ステファン・ツー・シウスの両提督がパーパルディア皇国海軍の戦列艦からアルタラス本土へ上陸した。ポクトアール提督は先だってフェンへの無血上陸を果たし、フェン発展の一助となっている植民都市を警護しておいる。。一方のシウス提督が勇猛果敢と言う評価を受けているため、パーパルディア皇国軍が積極的に展開しないのは、この侵攻軍の指揮官がポクトアール提督ではないかという推測がなされている。勇猛果敢なシウス提督の独断行動をポクトアール提督が抑えきれなかったというのが、先の海戦が発生した経緯ではないかと言うのが、クワ・トイネの海軍関係者を取材した当社取材陣の見解である。
両提督は上陸後にアマンダ港の港湾事務所の一つを占領し、そこに彼らの海軍旗を掲げた。アマンダ港は商用港でもあるため、長期の占領はアルタラス経済の動向を左右する。既に、ミリシアルとムーの大使館から進駐軍の司令部に人が出向き、商用港の使用についての協議を開始しているが、パーパルディア皇国軍による占領は始まったばかりで、どのような交渉となるかは、不透明な状況だ。
―――――
第三師団隷下部隊国境へ移動
緊張関係を誘発するとの懸念の声も
軍政部は、錦州省葫芦島市に設置していた第三師団歩兵第二十三連隊の連隊本部を山海関市に一時移転することを19日公表した。これに伴い、歩兵第二十三連隊の第一大隊も山海関市に移動する。
歩23の連隊本部は、7年前の興信20年に中華民国との融和ムードを醸成する目的で、山海関市の隣の葫芦島市に移転した。以来、当時の連隊本部は満華友好協会の満洲国側協会本部が入居していた。軍政部は、葫芦島市の連隊本部に使用している建物の設備点検の結果、大規模な修繕が必要と判断したと述べている。
これに対して野党の一部では、国境付近への部隊の移動はパーパルディア皇国との間に緊張関係を誘発するのではないかという懸念を表明しており、他の部隊の後方配備を同時に進められないかの検討を政府に求めることとした。同様の声は、歩23の連隊本部と第一大隊の駐屯地があった葫芦島市の駐屯地周辺の住民からも挙がっており、駐屯地付近の商店街の店主の一人は「突然の移転に驚いている。軍を相手に商売していた人もいるから、できれば代わりの部隊が駐屯してほしい。」と述べ、地域経済の景気悪化への懸念を漏らしている。