大日本帝國召喚   作:もなもろ

282 / 362
あの二人が帰ってきた。
フェンでの小さな動きが始まります。


警察官の階級 / 巡査部長昇進試験問題及び模範解答 /フェン王国西部都市ニシノミヤコ 中央歴1639年11月21日(土)

警察官の階級

(警保院総裁)

 ― 親任官任国務大臣

 警察官の階級ではないが、官吏の系統としては上位に位置づけ

(警保院副総裁)

 ― 高等官一等

 上に同じく、警察官の階級ではない。

警視総監

 ― 高等官一等乃至二等

 警視庁の長官。

警視監

 ― 高等官二等

 警保院官房主事・局長・審議官・部長。

 中央警察学校校長。

 管区警察總局長。

 警視庁副総監・警視庁主要部長。

 枢要地の道府県警察局長。

警視正

 ― 高等官三等乃至五等

 警保院部長(三等)。

 警保院課長・参事官(三等乃至四等)。

 中央警察学校部長(三等)。

 中央警察学校教官(四等乃至五等)

 管区警察總局部長(三等)。

 管区警察總局主要課長(四等乃至五等)。

 管区警察学校長(四等)。

 管区警察学校教官(五等)。

 警視庁部長(三等)。

 警視庁主要課長・参事官(四等乃至五等)。

 警視庁警察学校長(四等乃至五等)。

 枢要地の道府県警察局部長(三等乃至四等)。

 枢要地の道府県警察局主要課長・参事官(五等)

 枢要地の道府県警察学校長(四等乃至五等)。

 道県警察局長(三等)。

 道府県警察局部長(四等乃至五等)。

 道府県警察学校長(五等)。

 市警察部長(五等)

 大規模警察署長(五等)

警視

 ― 高等官六等乃至八等

 警保院課長補佐・課附。

 管区警察總局課長(六等)。

 警視庁課長・係長。

 道府県警察局課長・管理官。

 警察署長・副所長・課長

警部

 ― 高等官七等及判任官一等乃至二等

 警保院課員。

 管区警察局課長補佐・課附・係長。

 警視庁係長

 主要警察局係長。

 警察局課長補佐。

 警察署副所長・課長・係長。

警部補

 ― 判任官二等乃至四等

 警察局係長。

 警察署課長代理・係長、班長。

巡査部長

 ― 判任官三等又は四等

 警察署主任、班長。

(巡査長)

 ― 判任待遇

 指導係員。

巡査

 ― 判任待遇

 係員。

 

 ―――――

平成20年度長崎県警察局巡査部長昇進試験問題及び模範解答

(問題)

第7問 捜査の結果、事件の被疑者が帝國陸海軍軍人と判明した場合の司法手続について説明せよ

(解答例)

 捜査事件が、警察犯処罰令違反事件や道路交通法反則事例といった拘留や科料といった法定刑が軽微な罪については、違警罪即决例に基づき警察署長による即決手続を科すことができる。この手続は被疑者が陸海軍軍人であったとしても同様であり、手続の流れは一般国民の場合におけるそれと同様の手続きであるが、即決手続は陸海軍軍人が非番や休暇中の場合に犯した罪に限られる。但し、科する刑が拘留刑の場合においては、当該部隊内部の懲戒施設において即決対象者を拘置することになる為、当該管轄の憲兵分隊への権限移譲が必要となる。当該即決処分に対して被疑者が不服を申し立てるときは、正式裁判の請求先が区裁判所ではなく、管轄の軍法会議である。このため即決手続の言渡の際には、その点を特に即決処分者に通告する必要がある。

 陸海軍軍人が公務中に犯した事件及び罰金刑以上の罪にあたる犯罪が対象となるときは、憲兵による軍内部の秩序維持活動の対象案件となるため、被疑者たる当該陸海軍軍人の所属部隊長を通じて、当該管轄の憲兵分隊に通報する。この際は、検事を通じて、当該憲兵分隊に捜査記録を移譲する手続きを同時に行う。現行犯の場合における被疑者の身柄は、司法警察官又は司法警察吏が一時拘束したときは、これを直ちに憲兵分隊に引き渡す必要がある。

 

 ―――――

平成22年度三重県警察局巡査部長昇進試験問題及び模範解答

(問題)

第9問 警察局及び憲兵隊本部捜査協力協定について説明せよ

(解答例)

 捜査対象が、通常の警察力では鎮圧困難な武装を保有しているという疑義が強く、これに対して適切に警察力を行使することが困難であると思慮される場合に於いて、検事の請求により、憲兵隊本部に応援を求めることができる制度。応援を求められた憲兵隊本部は、管轄の憲兵分隊に対して、当該応援の期間、捜査本部の区処を受けるように指示することができる。

 

 ―――――

フェン王国西部都市ニシノミヤコ

 ― 警視庁刑事部特命係 鶴川巡査部長

 

「左京さん、どうやら、ここみたいですよ。」

「そのようですねえ・・・。」

 

~~~回想~~~

「では、俺たちにフェン王国へ行けと?」

 

 小和田官房主事に呼ばれた俺たちは、警保院の官房主事室で出張を命じられた。

 

「そう。表向きはフェン王国のニシノミヤコ奉行所が検討している組織改編作業について意見を述べてくること。今、ニシノミヤコ奉行所は、もともとひと固まりだった、警察機構と軍事機構と裁判機構も分割して独立させるってことを検討してるみたい。だから、それについて日本の警察組織として、組織をどうつくっていくかの意見を述べてきて頂戴。」

「で、でも、左京さんはともかく、俺なんかがそんな難しいことなんて、分かりませんよ。」

「そんなに心配しないでいいよ。鶴川君は、派出授勤務の経験があるからね、そのあたりを、自分の経験を交えて話してもらえればいいから。」

 

 うわー。これはまた難しいことを命令されたなあ。そんなことを思っていると、左京さんが口を開いた。

 

「檜上。お前は、高等試験合格組なんだから、システム的なところも踏まえて、喋ってきて頂戴。お前、得意でしょ、そういうの。」

「人前で話すのは別に得意ではないですが、それはおいておいて、官房主事。今、官房主事は表向きと言われましたが、本当の任務は何でしょう?」

 

 お、そうだ。確かに、主事は表向きと言った。この仕事とは、別になにかあるということだけど・・・

 

「それがね、ちょっと、困ったタレコミがニシノミヤコ領事館にあったみたいでね。」

 

~~~回想終了~~~

コンコンッ

 

 ニシノミヤコにある帝國領事館からほど近い、道路を挟んで3,40メートルほど離れたところにある一軒家の玄関の扉を叩いた。ここで、この地での協力者が待っているということらしい。扉が開いて、一人の男が現れた。

 

「お待ちしておりました。自分は、久留米憲兵隊長崎憲兵分隊所属の横川陸軍憲兵兵長であります。」

「警視庁特命係の檜上と申します。」

「同じく鶴川です。」

 

 横川と名乗る憲兵は俺たちに挨拶し、俺達も彼に自己紹介し、互いに挨拶を交わした。カーキ色の軍服を着用し、腰に軍刀を吊り下げた憲兵分署によくいる憲兵さんの格好だ。横川兵長は、我々を室内に招き入れて、執務室の中へ案内する。

 

「わざわざ、東京からありがとうございます。」

 

 俺たちに椅子に薦めながら、横川兵長が語りかけた。

 

「いえ、お気になさらずに。警保院の小和田官房主事からの指示でもありますので。」

「いやはや、わたしはてっきり、長崎県警から応援が来るものと思っておりましたが、なんというか大物を送っていただいたものだと。」

 

 女性が入ってきて、俺たちの前にお茶を差し出して、また部屋を出ていった。長崎憲兵分隊で雇っている雇員さんで、こちらに出向してきているのだそうだ。20年以上働いている大ベテランさんで、庶務・経理なんでもござれの優秀な人だとのことだった。

 

「さて、フェンまでお越しいただいたわけがこれなんですよ。」

 

 横川兵長が、裏胸のポケットにしまっていた書類をいれたビニール袋を差し出してきた。警察でもよく使う証拠品袋で、書類の大きさは、美濃紙6判(筆者注:B6サイズ。128×182mm)、いや葉書判(筆者注:A6サイズ。148×105mm。現実世界の官製はがきのサイズは148×100mmですが、はがきは5ミリ大きいです。)よりもやや小さいくらいか。それにしても、しわが寄っているな。一度くしゃくしゃに丸められたってとこかな。

 

「・・・『うんどうせんせころされた。ころしたのはあぱるてあきそくです。』ですか・・・。」

 

 左京さんが、書類を手に取りながら、書類に書かれた内容を地に出して読んだ。

 

「ニシノミヤコ領事館の職員の話では、1月半ほど前の夜中から朝方にかけてどうも丸めた状態で領事館の敷地に投げ込まれていたということということなのです。朝方、敷地内を清掃していた現地採用していた庸人が発見して、職員に届け出たということです。」

「一か月前の書類が今になって上に報告がいったということですか?」

「ええ、どうも質の悪い悪戯の類と思い込んでいたようですな。フェンには、領事館警察の職員はおりませんから、犯罪の類だとは思わなかったようです。」

 

 移動中に左京さんに聞いた話では、この世界のクワ・トイネ公国のマイハーク領事館とクイラ王国のバッスラー領事館には、領事館に警察からの出向者が勤務していて、領事裁判権を補佐しているという。フェンには、そのような職員がいないということで、なぜいないかと言えば、フェン王国とは領事裁判に関する条約を結んでいないからだそうだ。

 

「それが今になって・・・」

「ええ。パーパルディアの軍事行動を知った領事館職員が、この『はあぱるてあ』というのが、「パーパルディア」ということを指しているのではないかと思うようになったと言っておりましたな。当初は、「ころしたのは、あぱるてあきそく」と読んでいたのを、「殺したのパーパルディア貴族」と読めたことで意味がつながったと。」

「なるほど。というとこの文章の前半は、「うんどうせんせ」ではなく人の名前ということになりますが・・・」

「ええ、このフェン王国で亡くなった日本人は、今のところ遠藤喜重郎氏とその御夫人ですから、「遠藤先生」ということになるかと思います。」

 

 なるほど、といって左京さんが目を閉じた。こいつは考え事をしているときの所作だ。

 

「事前に小和田閣下から聞かされたとき、俺なんて驚いちゃいましたよ。まさか、あの遠藤先生が殺されただなんて。」

「鶴川さんもですか。いや、私も長崎の憲兵分署で話を聞いた時には驚きましたよ。まさか海外で日本人が殺されていただなんて。でも、フェンでの出来事だから、日本国の官憲には捜査権なんてないし、そう思っていたら、東京の警視庁から捜査員がくるってんだから、また驚きですよ。」

「えっ、俺達がですか?」

「だって、ここは外国ですからね。日本国の官憲には捜査権なんてありませんから、私のような判任待遇の憲兵兵が派遣されたのも、形式的なことだったわけです。そもそも、憲兵といっても私は兵長ですから、警察でいえば、巡査か巡査長といったところです。ところが、東京から高等官の警部と判任官の巡査部長が来られるってんだから驚きですよ。上は捜査するつもりなんてないと思っていたのに、高等官を送り込んでこられるってんだから。でも、捜査権がないのは確かなのに、いったいどういうことなんだろうと。」

 

 なるほど。巡査部長昇進試験で勉強した記憶を辿ったら、確かに、刑事訴訟法上、憲兵兵は巡査と同様に司法警察吏として捜査の補助を行うに過ぎなかったな。警部である左京さんや巡査部長の俺のような司法警察官として捜査を行う訳じゃないから、横川兵長がいうように上は捜査するつもりはなかったというのは確かだろう。だが、小和田閣下が俺らを送り込んだってのが、捜査をしろということかってことかなあというとちょっと違うような気がする。

 

「左京さんはどう思います。」

「流石の僕も国外で捜査をするということはできません。ですが、鶴川君。警察の捜査の原則はなんですか?」

 

 えっ!ええと、それは。

 

「刑事訴訟法第254条、捜査については、其の目的を達する為必要なる取調を為すことを得。但し、強制の処分は別段の規定ある場合にあらざれば之を為すことを得ず。つまり、捜査の原則は任意捜査です。ニシノミヤコの市民にちょっとお話を聞くだけですよ、僕たちは。」

「それは、「聞き込み」と言うのでは?」

 

 横川兵長は訝しんだ。だが、左京さんはそんな横川兵長をいなした。

 

「そう固く考える必要はありません。地図を片手に、眼鏡橋はどう行けばいいのですか?グラバー園に行くにはどの路面電車に乗ればいいのですか?と尋ねるのとそう変わりはないということですよ、横川兵長。」

 

 横川兵長が目を丸くして驚いている。いいのか、それは?と小声でつぶやいたのが聞こえた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。