海軍の雇員傭人規則と樺太町の逓信雇員規則を参考にしました。
内閣官房雇員傭人採用規則(昭和15年閣達第7号)
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内閣官房雇員傭人採用規則左ノ通之ヲ定ム
内閣官房雇員傭人規則
第一條 内閣官房各部局ハ其ノ予算定額内ニ於テ雇員及傭人ヲ雇用スルコトヲ得
第二條 内閣官房各部局ニ於テ採用スルコトヲ得ル雇員左ノ如シ
一 事務員
二 技工員
三 守衛
事務員ハ内閣官房各部局ニ於テ事務、渉外接遇及庶務ニ従事ス
技工員ハ内閣官房各部局ニ於テ技術ニ従事ス
守衛ハ内閣官房各部局ニ於テ警衛並ニ防犯及門番ニ従事ス
第二條 内閣官房各部局ニ於テ採用スルコトヲ得ル傭人左ノ如シ
一 記録手
二 伝送手
三 用務手
四 運転手
五 調理手
六 清掃手
記録手ハ内閣官房各部局ニ於テ記録入力、電話交換及渉外応対ニ従事ス
伝送手ハ内閣官房各部局間内及渉外ニ於ル文書受取及配送ニ従事ス
用務手ハ内閣官房各部局ニ於ル官用一般物品及建築物ノ保全ニ従事ス
運転手ハ内閣官房各部局所有ノ官用車両ノ運転及保全ニ従事ス
調理手ハ内閣官房各部局食堂ニ於テ調理ニ従事ス
清掃手ハ内閣官房各部局ニ於テ清掃ニ従事ス
第三條 内閣官房各部局雇員及傭人ニ採用スヘキ者ハ青年学校卒業以上又ハ之ト同等以上ノ学力アリト認メタル帝國臣民タルコトヲ要ス
前項ノ外雇員又ハ傭人ノ職種ニ依リ左記各号ノ資格ヲ具備スルコトヲ要ス
一 技工員ノ職ニアリテハ内閣官房各部局ニ於テ定ムル電算機ニ関スル技能認定資格ヲ有スル者
二 守衛ノ職ニアリテハ武器取扱者資格又ハ武器取扱補助者資格ヲ有スル者
三 伝送手ノ職ニアリテハ原動機付自転車免許ヲ有スル者
四 運転手ノ職ニアリテハ普通自動車免許ヲ有スル者
五 調理手ノ職ニアリテハ調理士免許ヲ有スル者
第一項ニ定ムル資格ニ関ラス帝國ト協定ヲ経タル永住資格ヲ有スル外国人ハ雇員及傭人ニ採用スルコトヲ得但シ日本語運用ノ能力ニ付青年学校卒業程度ノ能力アリト認メタル者タルコトヲ要ス
第四條 内閣官房各部局ハ青年学校第四学年修了程度ノ者ヲ雇員又ハ傭人ノ見習トシテ採用スルコトヲ得
第五條 左記各号ノ一ニ該当スル者ハ雇員又ハ傭人ニ採用スルコトヲ得ス
一 禁固以上ノ刑ニ処セラレタル者
二 破産ノ宣告ヲ受ケ復権セサル者
三 懲罰又ハ懲罰ニ依リ若ハ懲戒ニ準シ免官又ハ免職トナリ満二年ヲ経過セサル者
四 健康又ハ官能ノ不良ニ因リ執務上支障アル者
五 操行不良ノ者
六 確実ナル身元保証人ヲ有セサル者
七 家事ニ繁累アル者
第六條 雇員又ハ傭人ニ採用セムトスルトキハ履歴書(別表第一又は帝國工業規格美濃紙五版)、身元保証書(別表第二)及医師ノ身体検査書(別表第三)ヲ徴ス
前項医師ノ身体検査書ハ学校医ノ所見ヲ有スル健康診断票ノ謄本ヲ以テ之ヲ兼ヌルコトヲ得
身元保証人ヲ変更シタルトキ又ハ第七條第二項ノ場合ニ於テハ更ニ第一項ニ依リ身元保証書ヲ徴ス
第七條 左記各号ニ該当スル者ハ雇員又ハ傭人ノ身元保証人ト為サシムルコトヲ得ス
一 第五條第一号乃至第三号ニ該当スル者
二 独立ノ生計ヲ営マサル者
三 当該内閣官房各部局ニ於テ不適当ト認ムル者
身元保証人前項ニ抵触スル事項ヲ生シタルトキハ更改ヲ命スヘシ
第八條 他官庁並ニ部内各局ニ奉職セシコトアル者ヲ雇員又ハ傭人ニ採用セムトスルトキハ前官庁又ハ部内各局ヘ本人性行並ニ奉職中不都合ノ有無ヲ照会スヘシ
第九條 新ニ雇員傭人トシテ採用セラレタル者ハ雇員ハ雇員二等、傭人ハ傭人三等ノ等級ヲ以テ補職ス
他官庁並ニ部内各局ニ奉職セシコトアル者ヲ雇員又ハ傭人ニ採用シタルトキハ其ノ勤続年数及人物技量ニ応シテ雇員一等又は傭人一等若ハ二等ヲ以テ補職スルコトヲ得
第十條 採用希望者其ノ募集定員ニ超過シタルトキハ選抜試験ヲ為スヘシ
前項ノ試験ハ募集セル職種ニ応シテ内閣官房各部局ニ於テ之ヲ実施ス
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臨時内閣官房各部局ニ鍬途稲人杭羅人ヲ見習雇員傭人トシテ採用ノ件(平成二十七年四月三日内閣書記官長通達第三十一號)
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臨時内閣官房各部局ニ鍬途稲人及杭羅人ヲ特定ノ職種ノ見習雇員及見習傭人トシテ採用スルノ件
平成二十七年四月三日
内閣書記官長通達第三十一號
各省大臣
環境保護院総裁
東京都長官
道府県知事
各帝國大学総長
各官立大学長
各区市町村長
各公立学校長
貴族院議長
衆議院議長
大審院長
各控訴院長
各地方裁判所長
各区裁判所長 殿
内閣書記官長(公印)
今般、当分ノ内、内閣官房各部局ニ於テ鍬途稲人及杭羅人ヲ左記ニ定ムル職種ノ見習雇員及見習傭人トシテ採用スルコトヲ得ト決定シタリ。各庁長官ニ於テモ本局ノ如ク鍬途稲人及杭羅人ヲ採用スルコトハ別段苦シカラザルコト特ニ通知致申候。
記
採用スル雇員
見習守衛(但シ殺傷能力ヲ有スル武器ノ携帯ハ禁ズ)
採用スル傭人
見習伝送手(但シ部内及徒歩圏内ノ書類配送ニ従事)
見習清掃手
待遇給与
年次雇用
週休二日制(土曜日・日曜日ハ休日)
休日ニ関スル件(平成元年勅令第十三號)ニテ定ムル休日
雇用開始日ヨリ起算シテ半年後ニ有給四日付与
月給制
住居手当・通勤手当支給
帝國官吏共済健康保険加入
日本語学校授業料半額支給
月給百五十円・職種手当月額三十円(見習守衛)
月給百二十円・職種手当月額二十円・調整手当月額十円(見習伝送手・見習清掃手)
賞与一月相当分
勤務時間
見習守衛
午前九時乃至午後五時
基本配置:週一乃至三回
門番。外部入庁者ノ確認。
午前七時乃至午後三時
早番配置:週一、二回
門番。正門開錠。外部入庁者ノ確認。
午前十一時乃至午後七時
遅番配置:週一、二回
門番。正門閉錠。外部入庁者ノ確認。通用門使用。
見習伝送手
午前九時乃至午後五時
基本配置
各部局ヨリ配送物集荷。
到着郵便物ヲ各部局ヘ配送。
当庁カラノ郵便物ヲ郵便局ヘ持込。
機密性ノ低キ書類ヲ他官庁ヘ配送。
見習清掃手
午前七時乃至午後三時
早番配置:週二、三回
始業前清掃。就業中随時清掃。
午前十一時乃至午後七時
遅番配置:週二、三回
就業中随時清掃。終業後清掃。
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大日本帝國東京都 内閣官房庁舎 新世界担当第三係室
「誰だこんなところに掃除機を置いたのは!!」
室内に怒号が響き渡る。内閣官房新世界担当第三係長補佐の悪野忠吉の怒鳴り声である。
「す、すみません。」
雑巾で窓拭きをしていた内閣官房新世界担当官室に雇用されている清掃員のミランダは、すぐさま掃除機のところへ駆け寄った。部屋の隅に掃除機を置いていたが、少しでも彼から遠いところへ掃除機を移動させようとしたのである。彼はミランダの姿を見るや、顔を背けて舌を鳴らした。
「ちっ、掃除婦か。わしの席の側に掃除機なぞ置くな。目障りだ。」
「申し訳ありません。」
ミランダは頭を下げながら、業務用の掃除機を移動させた。室内の職員が彼女を憐みの目で見ている。
「悪野補佐。日本電電からの報告書ですが、まだ他係に回ってないようですが・・・」
遠い異国の地で一人頑張っている彼女から矛先をそらそうというのであろうか、係員の一人が発言した。
「それがどうした。どうせまたフェン王国の通信障害についての報告書であろうが。そんなものお前たちで勝手にチェックして廻しておけ。何のために机の引き出しの中ではなく、机の上にわしのシャチハタを置いていると思っているのだ。それにしてもだ、おい。クワ・トイネ人の掃除婦。窓ガラスが汚れているじゃないか。まったく、掃除もきちんとできないのか。こんな簡単な・・・」
ガミガミとそしてネチネチした説教が10分ほど続いた。ミランダはうつむいたまま直立して、じっと我慢していた。
「全く、こんなことでは来年度の契約更新どころか、冬の賞与も厳しいぞ。」
そういって悪野は席からたって部屋の外に出ていった。部屋の扉が閉まったタイミングで女性職員がミランダの側に駆け寄っていった。ごめんなさいね、助けられなくて。そう言いながら、女性職員はミランダの手を引き、給湯室へと連れ込んでいった。
女性職員たちはミランダを慰めながら、お茶を注ぎ、悪野への不満を次々と口にする。やれ仕事しないだの、字が汚いだの、太っているだの、はげかかっているだのと。夏に女性事務員の一人が退職したのは、悪野に身体を迫られたからという話まで飛び出す。
「それにしても、今日アイツが声を荒げてられるのも、曽野係長がいないからなのよね。係長がいれば、アイツ静かだからね。」
「まあ、高等官の人は会議が仕事のようなものだからね。あたしらみたいなデータ入力や情報整理だけしてればいいって話じゃないからね。」
「でも今日曽野係長の日程に会議は入ってなかったような気がするんだけどな。」
外務省をはじめとして異世界各国に関する情報を内閣官房の新世界担当官が掌握することになっている。この新世界担当官は3人任命されており、高等官二等、すなわち各省の局長級の職となっている。内閣官房新世界担当第一係は新世界における最重要の国家であるクワ・トイネ及びクイラを、第二係はムーなどの遠方の諸国を、そして第三係はクワ・トイネ及びクイラ以外の近隣諸国の情報を取り扱う。
「そういえば、あたし高等女学校で同じクラスだった子が大蔵省にいるんだけどね、彼女からこの間、小耳にはさんだんだけどさ。」
ミランダ女史は既出人物ですが、皆さま覚えておりますでしょうか・・・