大日本帝國召喚   作:もなもろ

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新聞記者の取材メモということでいろいろと書き込みがある描写を試してみました。
Wikipedia形式は、なんか楽ですね。


中央暦1639年12月
東西新聞政治部・取材メモ / インターネット百科事典『電網完全大百科』より 「南満州鉄道株式会社」 / 満洲帝國新京特別市 新京ヤマトホテル 2675(興信27・2015)年12月1日午後8時


東西新聞政治部・取材メモ

 

三好重正兵部次官記者会見文字起こし

 

えー、甚だ遺憾なことではございますが、本日は記者諸君に大変残念なお知らせをせねばならぬ仕儀と相成りました。まずは、陸空軍を代表して、国民の皆様に陳謝を申し述べる次第であります。

えー、先月のことでございますが、我が空軍はアルタラス海峡におけるパーパルディア皇国及びアルタラス王国の小競り合い

 

【(←記者書込) 「小競り合い」との表現。外務省への忖度?】

 

に際して、その状況を調査する為、航空偵察隊を派遣いたしました。えー、その・・・、あー、その偵察隊の経費の支出に際しまして、えー、著しく不適切な処理があり、

 

【(←記者書込) この表現では実態を説明したとは言えない。】

【(←記者書込) 軍 or 政府上層部は全面公開に踏み切れていない??】

 

えー、ありました。然るにぃ・・えー、当該偵察隊司令が、経費取扱いの責任者を、これを、厳しく、えー大変厳しく咎めましたところ、その、経理責任者は、深く、これを恥入り、えー恥入りましたところ、

 

【(←記者書込) 官姓名は出さない?なぜ?ここまで言っておきながら?】

【(←記者書込) 経理部長は官報に告示されていない?要確認】

【(付箋) 派遣偵察隊ハ司令ト参謀長ノミ官報告示】

 

自身の出処進退の手段としての自決をいたしました。

 

【(←記者書込) 「自決」?確かに新情報だが・・・】

 

当該経理責任者は、確かに道を踏み外しましたこと、大いに罪大なりと断ぜざるをえません。しかしながら、彼は軍人としての正道を見つめなおしたときの責任の取り方としては、ひとえに真摯な所大なりと言わざるを得ません。

 

【(←記者書込) 「自決」を賞賛??三好次官、一個人の見解か】

【(←記者書込) それはそれで問題だ】

 

但し、しかしながら、自処する際にわずかに手許がくるいまして、なかなかに難しき仕儀となりましたるところ、派遣隊司令は、その心情を憐みまして、これに介錯を加える次第に及びました。

 

【(←記者書込) 軍は自殺幇助で事件を決するつもり】

【(←記者書込) 抗うか?いや、部長の決裁はおりないだろう・・・(左記抹消線)

 

 

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インターネット百科事典『電網完全大百科』より 「南満州鉄道株式会社」

 

 南満州鉄道株式会社は世界に類を見ない企業形態を有している。2566(明治39・1906)年11月に設立された、創業100年を超える大企業である。現在、満鉄本社は持株会社として活動し、傘下に鉄道事業の外、炭鉱開発(撫順炭鉱など)、製鉄業(鞍山製鉄所)、港湾、電力供給、牧畜、ホテル業(大連・旅順・奉天・新京などのヤマトホテル)、航空会社などの多様な事業を展開する。満鉄本社は満洲国大連市にこれを置き、新京と日本国東京に支社を置く。

 

歴史

 2597(康徳4・昭和12・1937)年11月、治外法権撤廃条約が満日間で締結され、いわゆる満鉄附属地の行政権が満洲国に移譲された。同時に同条約により、日本国の法令により設立され、満洲国内に本店、支店、事務所を置く企業・法人は、満洲国の法令により設立された同種又は類似のそれと看做されることとなった。これにより下記に示す通り、満洲国の会社企業でもあることになった南満州鉄道株式会社は、大連市に本社を置く企業として商業登記をすることとなった。(但し、大連が租借地の為、登記事務は新京で対応していた。)

 南満州鉄道株式会社は、日本の法令である明治39年勅令第142号(南満洲鉄道株式会社ニ関スル件)によって設立されたが、同法令中には既に満鉄の本社を大連市に置くことを定めていた。当時、関東州は条約により日本の租借地となっており、満洲国領土ではあるが、日本の行政権が及ぶ地域であった。租借の期限は2657(西暦1997)年となっていたが、日満同君連合の成立後に租借地の返還が行われることとなった。これにより、満鉄本社は、日本の行政権が及ぶ地から満洲国の領土にその本社の地を移すこととなった。

 日本の明治39年勅令第142号第9条にて、「(南満州鉄道株式会社)総裁副総裁ハ勅裁ヲ経テ政府之ヲ命シ」と規定する。その一方で、日本の会社法も満洲の会社法も同じく、会社の取締役等は商業登記を義務付ける規定となっており、前記、2597(1937)年以降、新京区法院において総裁、副総裁、理事などの人事の登記がされてきた。そして、関東州の満洲国返還後は、大連区法院において登記事務が継承された。日本の勅令に基づく公法的な総裁任命と満洲の会社法に基づく商法的な登記義務と言う「いびつな」構造が現在も続いている。

 但し、満鉄は実質的には満洲国の政府系特殊法人である。満鉄は株式会社であり、設立当初は日本の大蔵大臣が発行済株式の50%を保有していた。満鉄の所有権は、前記の租借権と同様に2662(西暦2002)年までの期限が定められていたが、満鉄の株主の構成比率は2640(西暦1980)年代に既に満洲国国務院財政部が50%の株式取得をしていた。満鉄は増資を繰り返し、その増資分を満洲国政府で購入してきたため、日本の大蔵大臣の株式保有比率が漸減してきたためである。

 総裁、副総裁の選出も株主総会で議決され、それを下にして日本の運輸大臣が大日本帝國天皇に勅裁を請うと同時に、満洲帝國国務院交通部大臣へ通牒を発し、満洲帝國皇帝に対して「も」勅裁を奏請するよう求めていた。この際に、満洲帝國皇帝と大日本帝國天皇は同一意人物であることから、同じ紙面の奏請書に日本の運輸大臣と満洲の交通部大臣とが同時に署名する「奇妙な」奏請文書が誕生した。満洲国の政府系特殊法人の「社長」を日本の天皇が任命するというのは極めて特殊な事例ではあるが、長年の政治的な慣行として現在も維持されている。

 

 

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満洲帝國新京特別市 新京ヤマトホテル

 

 12月の新京は非常に寒さが厳しくなる。日中の平均気温はマイナス12℃であり、平均の最低気温はマイナス16℃にもなる。日中の平均最高気温はマイナス7℃であり、零℃を超える日は稀である。地元民にとってみれば慣れたもので、それは、新京市民たる軍高官にとっても同様である。

 

『しかるに、派遣隊司令が、部下の介錯に及びたることは、彼の心情を思えば、まことに以て慚愧の念に堪えぬところではございますが、これは刑法第202條にいうところの自殺幇助罪ということになります。』

 

 満洲帝國の空軍の統帥を掌る空軍本部の幹部が新京ヤマトホテルの一室でテレビを眺めながら酒杯を交わしている。本日開かれた、日本の空軍次官の記者会見の様子である。

 

「大河内総長にとっては、かの派遣隊司令も切腹をしてほしかったというところですかな。」

 

 空軍中将ゴルドブギーン・フクラスナ空軍本部次長は、ウオッカを飲みながら、独り言を発したが、酔っていたのか、以外に声が大きかった。その声を拾った、空軍上将金栄燈空軍本部総長は、眉をひそめて彼を注意する目的で彼の官職を口にした。

 

「次長。」

「失礼しました。」

「心の中だけに留めておきたまえ。」

 

 金総長は一言だけ苦言を呈すると、再度赤ワインの入ったグラスを口に持っていった。フクラスナ次長の発言を受けてというわけではないだろうが、空軍少将文陽一郎空軍本部第一司長は、日本空軍の今後の展開について口にした。

 

「派遣隊の司令の柏野中佐は、軍法会議に掛けられるということになりましょうが、果たして予審官は起訴まで持っていくのでしょうか。かの部隊は、アレを為してしまった部隊です。公判であのことについて触れることになりはしないかと思うのですが。」

「いや君、あのことに触れなくとも、軍需部の軍官がネコババしたということだけ公訴状に載せればよいのではないか?」

「それが次長。奉天の総軍司令部の人間から聞いた所によりますと、なんでもあのことが起こったとき、飛行ルートを計測するレーダー要員が腹痛を起こしていたようで、軍務に精巧を欠いていたということなのです。で、その腹痛の原因がどうも賞味期限切れの缶詰を食べたことによるということらしく。」

 

 フクラスナ次長はウオッカの入ったグラスを左手で持ったまま、右手でひげを扱きながら、言葉を発した。

 

「すると何かね。あの領空侵犯の原因にもその軍需部の軍官が絡んでいたというのかね。」

「さて、一概には。我々もあのときはパーパルディア皇国の領空について意識していませんでした。レーダー要員が健常であったとしてもあるいは同じ結果になったかと。ただ、軍費の横領があった以上は、軍法会議では部下の統率が適切であったかという観点からも検討が加えられることになるでしょう。軍費の横領によって部隊の行動にどの程度支障が発生したかを検討することになるはずです。そうなると、予審の段階で被疑者は深く反省しているので刑事責任については起訴猶予とし、行政処分として予備役編入、いやひょっとすればそれを通り越して退役処分とすることで、そこで重い処分を加えるとすることも考えられるのではないでしょうか。」

「ふーむ。」

 

 フクラスナ次長はグラスをテーブルに置いて、腕を組む。次長は、テレビに目を向けた。

 

『また、部下に対する処断したことで、彼もまた心に大きな傷を負いました。心身の耗弱により彼の軍務にも精巧を欠くこととなりました。本来毎日作成して上級司令部に提出すべき報告書の提出も欠いておりました。斯くのごとくは軍人たるの義務の放棄。上官に対する報告命令に反したる陸軍刑法第57條抗命罪にもあたると言わねばなりません。』

 

「文司長。三好次官はこう言っているが。抗命罪ともなれば、量刑も重いはずだが。」

「しかし、心神耗弱の状態にあったとも次官は言っています。我が国と日本国と刑法総則の規定にはそう差異はありませんので、刑は減刑されることになるはずです。」

「ふむ、どうかな。こうして記者会見まで開いている。予審官が起訴猶予が相当と検察に事件を戻すのは難しそうだが・・・。総長、総長はいかが思われます?」

 

 第一司長と次長の2人で話していたところ、次長は総長に意見を聞いてみた。第一司長も総長に目を向けた。

 

「ふむ。さて、日本の空軍のことだから、わしにもわかりかねるが、なんといっても皇帝陛下の行幸中というこの時機に不詳事件の発表があったことを鑑みるとだ。遠慮は無用との御内意があったことは確かだとわしはみる。公判が開かれても不思議とは思わん。」

「なるほど・・・。」

 

『なお、本件は未だ捜査中の段階であります。本件は軍法会議に係わる事件ではありますが、刑事訴訟法の規定も考慮の上、捜査の秘密を保ち被疑者の名誉を損なわぬよう、当局は配慮を行っておりますので、報道機関諸氏におかれましても、その趣旨をご理解の上報道に務めていただくよう平に、平にお願い申し上げます。』

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