大日本帝國召喚   作:もなもろ

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室見型はあぶくま型護衛艦とひだ型巡視船を参考に。第二十一型ははやぶさ型ミサイル艇とつるぎ型巡視船を参考にしました。


帝國海軍艦艇要目 / クワ・トイネ公国公都クワ・トイネ 首相官邸執務室 中央暦1639年12月2日(水)

帝國海軍艦艇要目

 

 ―――――

二等海防艦「室見型」

排水量

 2,000トン

全長

 110.0メートル

最大幅

 14.0メートル

深さ

 7.5メートル

主機

 艦本式65年式内火機械複16ヂーゼル:4基

推進器

 水噴式:4軸

出力

 20,000馬力以上

速力

 30ノット以上

兵装

 二二式70口径40粍機銃:1門

 一五式20粍六聯装蜂巣機銃:1門

射撃管制装置

 四四式6号目標追尾型遠隔操縦装置

電波探信儀

 四〇式5号電波探信儀(対水上捜索用):1基

 五三式2号電波探信儀(航海用):1基

光学機器

 五〇式3号赤外線捜索監視装置

搭載艇

 6米内火艇:2艇

搭載機

 なし

 但し後部甲板に回転翼機用の飛行甲板あり

乗員

 42名

 

 ―――――

三等海防艦「第二十一型」

排水量

 200トン

全長

 60.0メートル

最大幅

 8.0メートル

深さ

 4.0メートル

主機

 艦本式65年式内火機械複16ヂーゼル:3基

推進器

 水噴式:3軸

出力

 15,000馬力以上

速力

 40ノット以上

兵装

 一五式20粍六聯装蜂巣機銃:1門

射撃管制装置

 四四式7号目標追尾型遠隔操縦装置

電波探信儀

 四〇式5号電波探信儀(対水上捜索用):1基

 五三式2号電波探信儀(航海用):1基

光学機器

 五〇式3号赤外線捜索監視装置

搭載艇

 5米内火艇:1艇

搭載機

 なし

乗員

 27名

 

 ―――――

―――――

クワ・トイネ公国公都クワ・トイネ 首相官邸執務室

 

「やはり、大東洋各国の妬みは激しいですか・・・。」

 

 クワ・トイネ公国首相エミサスカ・カナタは、目薬を差した後の目頭を押さえながら疲れ切った声を出した。

 

「マオ王国とアワン王国の姿勢がかなり高圧的のようですな。姿勢については、我が国の代表が外務局の部長という低い地位の者であったことも理由だとは思いますが、ヤゴウからの報告では彼らは日満両国からの技術供与を執拗に申し出ています。」

 

 リンスイ外務卿もまた疲れた声でカナタ首相のつぶやきに回答した。持ち回りで開催される大東洋諸国会議の当番がたまたま廻ってきただけではあるが、開催前から会議は荒れるだろうということが予想されており、外務局では事前準備に大忙しであった。外務卿のビーデン・リンスイに加えて、日満両国でいうところの外務次官にあたる外務卿筆頭補佐官のランベルト・ボタンや当日の司会進行に当る日満部長ツールレイ・ヤゴウは在クワ・トイネの各国大使館員や各国のクワ・トイネ大使館を通して議題の調整に奔走した。

 リンスイ外務卿は在クワ・トイネの各国大使に連絡を取り、各国の意向を正式に聴取する。ボタン補佐官は各国に設置している自国の大使館を通して、各国本国外務当局に接触して、各国の意向を確認する。ヤゴウ部長は日満両国の駐箚公使や日満両国政府に接触して、日満両国の会議への参加を促していく。

 会議の調整は非常に難航した。日満両国は大東洋各国と国交を結んでおり、日満両国の現状は駐箚公使から各々の本国に連絡が入っている。当初は半信半疑の大東洋各国であったが、駐箚公使は報告書と共に日満両国の光景を映した写真や様々な物を送った。そして、本国へはクワ・トイネやクイラの駐箚大使からも報告が届く。日満両国の支援を受けて、クワ・トイネとクイラは急速な発展を遂げている。下手すれば、パーパルディア皇国本国以上の発展速度だと。

 大東洋諸国からすれば面白い話ではない。第三文明圏とその周辺では、パーパルディア皇国を頂点として、一部の文明国を除けば、文明圏外国家は均しく同列の存在であった。それが、今やどうだ。クワ・トイネとクイラの2か国だけは未曽有の発展を遂げている。

 時が進むにつれて、日満両国の情報は集まってくる。彼らがクワ・トイネとクイラを発展させたのは、クワ・トイネからは農業生産物を、クイラからは鉱物資源をそれぞれ輸入する為にその輸送ルートを整備するという目的があって行われた。この目的の為に、クワ・トイネとクイラの領土の一部に租界と言う特殊地域を設定した。パーパルディア皇国のように力づくで奪ったわけではないが、国の完全な権力が届かないという点では同じである。

 日満両国の行動は善意に基いたものではなく、自国の生存戦略に基いたものである。クワ・トイネとクイラの外交当局は各国の駐箚大使に繰り返し説明した。たまたま自国の農業生産量が大東洋諸国の中で並外れたものであった、たまたま地下鉱物資源という我々が見向きもしなかった資源が彼らにとっては喉から手が出るほどに欲している資源であったということで、彼らが手を出しているに過ぎないということを。

 

「まあ、そうは言っても、アスファルトで固められた大通り、何十もの人や何十キロの貨物を軽々と運ぶ鉄道、我等の大型貿易船が平民の漁船程度のサイズにみえるタンカー、ワイバーンなどとは比較にならぬ速度と積載量を誇る飛行機、荒れ地をわずかな時間で整地するブルドーザーなどの工作機械と、こう数々のものを彼らも見てしまっているのですからなあ。」

 

 軍務卿から国軍参謀総長へと転官したコンボウ卿もまた疲れた声を出す。日本の軍制に倣い部隊人員装備の管理、人事、経理といった軍政を担当する軍務局から作戦用兵といった軍令を担当する国軍参謀本部が独立した。クワ・トイネ公国内部における諸侯の権力は強い。王家と言う重しがない状態が何千年と続いており、ミズ・トイネ王家の臣下であったということを拠り所とする緩やかな紐帯が存在しているに過ぎない。コンボウ子爵は代々軍務卿を務めた家柄であることから国内の各諸侯も一目を置いている。コンボウ子爵領は、クイラ王国との国境に位置しており、邦内には鉄製品を扱う鍛冶が多く居住している。

 こういった点から軽便鉄道の支線が引かれており、クワ・トイネ公国陸軍造兵廠の選定候補地に選ばれている。

 

「これ以上、マイハーク西部地域に様々な施設を建設するのは諸外国の目を考えると良いことではありません。ようやっと、日本側満洲側と合意ができて、海防艦を入手することができたのです。」

「左様です。ロデニウス西岸の海賊討伐を我が国も受け持たんがためには、強力な海軍力が必要です。海賊となった者達の中にはあのロデニウス沖大海戦での敗残部隊も含まれているとか。我々の既存の海軍力では討伐はおろかその海域まで航行するだけでやっとです。その場である程度の期間作戦行動をとることなど不可能です。」

 

 コンボウ卿の主張には、自領で皇国陸軍の兵器製造を行いたいという思惑が当然ながら存在する。日満両国の技術を受け入れるということは、少なからず不利益が存在する。それは、日満両国国人に対する厳重な取り扱いについてである。

 日満両国本国は、各々の自国民に新世界各国への渡航は自己責任によるものとし、クワ・トイネとクイラにおいても租界設定地域外へは移動しないように推奨していた。現地の法制度は日満両国のそれを基準とすれば、中世世界に相当するものであり、人権保障と言う観点からはまっとうな対応が望むべくもないとされていたからだ。そして、日満両国政府は、新世界各国に自国の人権保障制度に相当するような保護措置を導入するよう求めなかった。

 その例外が租界地域であり、食料と資源の輸入の為に最低限の区域を求め、それも10年の租借期限を設けた。表向きはクワ・トイネとクイラの経済文化振興を目的とはしていたが、現実としては、食料と資源の輸入の為の現地の受け入れ態勢を整えるために民間の活力を利用するために邦人保護を徹底することが目的であった。

 ロウリア王国との戦争で、クワ・トイネとクイラを保護することの重要性は高まった。二国を保護することが国益につながる日満両国は彼ら自身にも侵略に対する手段を整えさせるために、武器の輸出をおこない始めた。同時に軍事生産施設の建設も始めた。クワ・トイネ側に陸軍兵器の製造施設をクイラ側に海軍の造船施設を設けることを打診した。クイラ側ではすぐさまバッスラー特別行政区に造船所の建設を打診した。9月の半ばから三井財閥傘下の富士重工業の手により、数多くの工作機械が運び込まれ、今月末までの完成を見込んでいる。

 ヘラルド海軍卿が言及した海賊退治の為に譲渡された海防艦の整備はこのドックで行われる予定だ。

 

「日本から中型海防艦を2隻、小型海防艦を4隻、満洲から小型海防艦を2隻。これをクイラ王国と均等に分けて、中型海防艦1隻、小型海防艦を3隻。従来のクワ・トイネ海軍が束になっても敵いっこない戦力が手に入るのです。私も日本側から渡された資料を拝見しましたが、たった4隻ではありますが、あのロデニウス沖海戦のロウリア4000隻の大艦隊の5分の1から4分の1程度なら容易に退けることができる戦力であると考えています。」

「ふむ・・・それだけなのか。ロデニウス沖海戦では日満海軍は11隻の軍艦を派遣して、見事に退けたが。」

「残念ですが、4000隻を相手にするには弾薬が足りません。開戦前に弾薬を満載にしたとしてもとてもではありませんが。それに日本海軍の戦艦は、一発の砲撃で数十隻の船を撃沈破しました。そのおかげで、その威力のおかげて、敵は戦意を喪失して逃げたのです。同じことは我々が譲渡された海防艦ではできません。」

「ならば、数をそろえる必要があるということか。」

「そのためにも、大東洋諸外国からの不審をこれ以上招くわけにはいきません。リンスイ卿。日満両国はそれを望んでいない。だから大東洋諸国会議にも参加しない。そうでしょう?」

 

 ヤゴウ部長と田中日本公使・井川満洲公使との会談、リンスイ卿の德川・森山両外相との電話会談での説得にも関わらず、日満両国ともに大東洋諸国会議には不出席の意向を伝えてきた。会議の席で正式に会議招聘の決議をとってから次回以降の参加について検討するということだ。だが、不参加の本当の理由については、日本駐箚のオランゲ公使から伝わってきている。非公式の接待の席などで外交部局の担当官などからもたらされた情報だ。

 

「ああ、日満両国ともに各国の公使から技術供与などの要請が相次いでいるということらしくてな。大東洋諸国が集まる会議の席に出席などすれば、その攻勢が強まると考えているらしい。日満両国は我が国とクイラで手一杯ということらしい。」

「しかし、あれだけの大国。超列強とも言ってよい国力です。工作機械なども各地に数多くあるということは分かっています。手一杯と言うのは不思議ですね。特に満洲はこれから冬が厳しくなります。雪が積もって工作機械を動かすことも難しくなるとも聞いています。それなら死蔵するくらいなら使用してもいいような気がしますが。」

 

 ヘラルド海軍卿もまた日満両国の飛行機を利用して、日本と満洲に出張を重ねている。日満両国の現状については理解が深まりつつある。クワ・トイネとの気候の違いなども理解し、出張がてら札幌の雪まつりを見物してみようかとも考えているほどだ。この点について、先ほど海軍卿と会話したオクレンカ伯爵がそれはだなと解説し始めた。

 

「端的に言えば金だよ金。我がマイハーク西部でも、クイラのバッスラーでも実際に工事を担当するのは日本や満洲の企業、つまり我等でいうところの大商会が担当しておる。彼らも開発初期は軍を投入して大規模な造成を行ったが、今や租界の統治委員会が企業に発注しているという形式をとっている。クイラで行われているバッスラー海軍工廠の造成なんかがそうじゃ。この統治委員会から各企業に発注する金じゃが、我々は土地の提供と言う現物出資を行い、それを通貨に換算した形で払っておるが、それだけでは到底足りん。そこで、日満両国政府が足りぬ分を補填しておる。この間、日本の李蔵相と満洲の劉財務相とクイラのベルディエルート蔵相と会談を行ったが、日満両国が新世界各国すべてを支援するのは不可能と言われた。日満両国は元の世界でも後進国の支援をしていたが、現状我が国とクイラに支出している額は通常年度の支援金の2倍近い額となっていると言われた。元の世界では十数各国を毎年支援してきたそうだ。我等に投資された額はその2倍の額だ。早期に食糧の増産を図り、輸出量を増やすことで外貨を獲得してほしいと依頼された。」

「ならば、そのつなぎとして、我が領へ鉄道を引いてほしい。鉄道付属地として土地を貸与する。その賃料を以て外貨獲得と。」

「それは、コンボウ子爵領への造兵廠建設を見込んでということですか。今重要視すべきは、海防艦に搭載する弾薬を効率的に生産することです。このままでは、クイラから購入することにもなりかねません。我が領は軍港があることから、工作機械の搬入にも適しています。将来的なドック建設も見越した形をとるべきです。」

「だが、クイラとの関係は重要だ。それにクイラから石油パイプラインを引いてもらえば、燃料の問題は解決する。日満両国の火力発電所は原油を燃料としている。発電施設の建設と言う観点からも我が領において建設するほうがよい。」

 

 クワ・トイネ公国は諸侯の権限が強い。今のクワ・トイネには施設を二つ作るだけの余力はない。だから、クイラとは違って建設予定地の策定すら終わっていないのが現状だ。

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