帝都新聞朝刊 2675(平成27・2015)年12月7日(月)
ムー王国との国交樹立
[写真]條約末尾に署名後握手する大谷日本特使とエンリケムー首相
12月7日正子(ムー国現地時間12月6日正午)、ムー国首都オタハイトのムー国王の離宮であるコール・デ・ブラント宮殿において、我が国と満洲国それぞれとムー王国との間の国交樹立の条約調印式を執り行われた。[條約本文は本誌末尾。]調印は、大谷寛治日本全権、于東節満洲全権、ジルベルト・チアノ・チャーチワーデンムー国外相、アルベルト・シトラス・エンリケムー国首相の4氏が行った。第二文明圏各国の大使をはじめとして、神聖ミリシアル帝国大使などの第一文明圏主要国、パーパルディア皇国の大使とクイラ王国の公使、アルタラス王国の駐在事務官といった第三文明圏周辺国からの来賓を迎えての式典となった。
式典は、一段高くなった舞台中央に二脚の机が横に並べて配置されており、我が国と満洲国が同時に調印する形をとった。條約正本は、日本語とムー語、第三文明圏共通言語の三か国語で作成され、第三文明圏共通言語の監修はクイラ王国公使館職員の協力を得ての作成となった。
今回の条約調印式では、日本側とムー側とでそれぞれが所有する2冊の條約書への調印に際しても注意が払われた。條約書への署名は以下の順序で行われた。
【図・開始】
日鵡條約書・日本所有
大谷 →チャーチワーデン→エンリケ
日鵡條約書・ムー所有
エンリケ →大谷 → →チャーチワーデン
満鵡條約書・満洲所有
于 →エンリケ →チャーチワーデン
満務條約書・ムー所有
チャーチワーデン→于 → →エンリケ
【図・終了】
首相と外相では外相の方が格上である。ムー側は、調印の際に首相と外相の調印の順序を日満で交互に行った。日本側と満洲側で机が分かれており、同時に調印を行っているため、片方を纏めて署名を行った方が、職員の移動も少なくスムーズな印象を与える。しかし、今回ムー側はあえてこのような順序で調印式を行った。ムー国は、横並びにした机そして署名の順序により、日本国と満洲国が同格の国家であることを演出したのである。
我が国と満洲国は、同じ君主を戴く立憲君主国であるが、この世界において同君連合と言う政治文化は存在しなかった。これがため、新世界転移当初は、満洲国が我が国の属国であるかのような印象を持つ国家が多くあった。今回、大国ムー国の演出により、このような風潮が一掃される機会になったと帝國外務省及び満洲国国務院外交部では歓迎の声が挙がっている。
今回の調印式後、條約批准書の交換が東京において行われることになっており、大谷全権は一時帰国する。行きとは違い、今回は航空機での帰国となっており、運航には、先日発足したオリエンタル航空の機体が使用される。その際に、駐日大使に内定しているユウヒ・シトラス・マリーニ氏が日本行きの飛行機に同乗することとなっており、条約の批准式典に出席する手はずとなっている。條約の批准手続は、順調に進んでいると枢密院事務局より声明が出ており、早ければ、今週の末には式典が開かれ、宮中にて信任状捧呈式が執り行われることになっている。
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在日ムー王国大使館の位置確定
駐鍬ムー国大使館と駐日カナダ大使館との間に大使館館舎の区分使用契約を締結
ムー国との国交樹立に向けて、駐クイラのムー大使館から数名の職員が日本と満洲に派遣され、様々な事前交渉を行っていた。その交渉項目の中には、在外公館をどこに設置するのかと言う話も含まれていた。
外務省は当初、これまでの各国公使館と同様に地球世界の大国の大使館に隣接した土地を提供し、その大国にムー国大使館員の日本での生活の一部を支援してもらおうという形を考えていた。ただ、ムー国側が、新世界の大国として他の国の在外公館よりも大きな建物の借り受けを希望したため、現在各国が公使館として使用しているコンテナハウスを利用した公使館の設置は困難となった。
そこに手を差し伸べたのが、在日カナダ大使館である。英王冠領カナダ連邦は、大英帝国の中でも有数の国であり、準大国に位置付けられていた国である。だが、この国も世界各国の他の国々の例に洩れず異世界転移の結果として、大使館の業務を縮小した。そのような動きの中で、カナダ連邦をはじめとするオーストラリア連邦、ニュージーランド、南アフリカ連邦の四大王冠領、インド帝国そしてマライ連邦やナイジェリア連邦、カリブ連邦といった英自治領で構成される大英帝国高等弁務官東京会議は、相互に大使館公使館業務を縮小し、館舎を共同利用しようという決議を採択した。この結果として、順次在外公館が移転され、一つの建物の中に2以上の国の在外公館が同居する様になった。
東京赤坂に設置されているカナダ大使館内にも当初はカリブ連邦とボツワナ王国の公使館の館内への移転計画があったが、今回のムー国の大使館設置の話を受けて、この部分をムー国大使館として提供することとなった。ジェイムズ・ブラバゾン・キャヴェンディッシュ駐日カナダ大使と日本出張中の駐クイラムー大使館筆頭書記官が契約書にはサインした。
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懸念薬物公判、被告人一転して起訴内容を認める
本年9月4日に都内四か所で一斉摘発された公然猥褻及び麻薬及向精神薬取締法違反被疑事件について、東京地方裁判所予審部は慎重に調べを進め、11月16日に麻薬及向精神薬取締法違反被疑事件については不起訴処分を妥当とする免訴決定を行ったが、東京地方裁判所検事局は18日に東京控訴院に即時抗告に及んだ。しかし、地裁検事局は一転して、23日に東京地裁予審部への予審請求及び東京控訴院への即時抗告を取り下げ、同日東京地方裁判所刑事部への公判請求を行うに至った。一つの事件に対して二度の起訴に及んだとも解される処置に対しては、一事不再理原則違反だという弁護士団体から非難の声が挙がる中、12月4日、東京地方裁判所において第一回の公判が開かれた。
品川洋一裁判長からの開廷の宣言が行われ、違法風俗営業を行っていた社交倶楽部の従業員であったアルタラス人、レオン・カメル被告に対して起訴状への罪状認否が行われた際、被告はこれを認諾した。これまで、被告人はアルタラス公使館を通じて、機序内容への否認、無罪を申し立てていたとされていた。被告人が罪を認めたことに対して傍聴席では困惑の声が挙がり、品川裁判長が静粛を求めつつ、議事は進んだ。次回公判にて証拠調べが行われ、判決は今月の公判を見込んでいる。
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大日本帝國鵡于王國間修好通商航海条約
大日本帝国天皇陛下
及
鵡于王國國王陛下ハ
両國間並ニ其ノ臣民ノ友好通商ノ関係ヲ永久堅固ノ基礎ニ置クコトヲ欲シ修好通商航海条約ヲ締結スルコトニ決シ之ガ為ニ左ノ如ク其ノ全権委員ヲ任命セリ
大日本帝国天皇陛下
臨時特命全権大使 従三位勲四等大谷寛治
鵡于王國國王陛下
内閣総理大臣 アルベルト・シトラス・エンリケ
外務大臣 ジルベルト・チアノ・チャーチワーデン
右各全権委員ハ互ニ其ノ委任状ヲ示シ其ノ良好妥当ナルヲ認メタル後左ノ諸條ヲ協議決定セリ
第一條
大日本帝國ト鵡于王國トノ間及両国臣民ノ間ニハ永久ノ平和及不易ノ親睦アルベシ
第二條
締約国ハ締約国ノ一方ノ外交代表者ガ国際公法ノ原則ニ依リ確定セラレタル待遇ヲ他方ノ領域内ニ於テ受クベキコトニ同意ス
第三條
締約国ノ一方ハ、総領事、領事、副領事及領事事務官ヲ、他方ノ締約国ノ領域ノ一切ノ港湾及場所ニシテ別国ノ同様ノ領事官ガ駐在スルコトヲ許サルルモノニ駐在セシムル為任命スルノ権利ヲ有スベシ
右領事官ハ最恵国ノ領事官ニ許与セラレ又ハ許与セラルベキ所ト同一ノ権利、特権及免除ヲ他方ノ領域内ニオイテ相互条件ノ下ニ享有スベシ
第四條
締約国ハ通商、関税及渡海渡空並ニ入国シ、旅行シ、滞在シ及居住スルノ自由、生業、職業、商業及産業ニ従事スルコトニ関シテハ最恵国待遇ヲ直接又ハ間接ノ課金、手数料及租税ニ関シテハ内国待遇又ハ最恵国待遇ヲ相互的ニ許与スルコトヲ約ス
第五條
一方ノ締約国若ハ其ノ領海ニ到来スル他方ノ国民及船舶ハ、其ノ国ノ領域若ハ其ノ領海ニ在ル間ハ、一方ノ国法及其ノ裁判管轄権ニ服スベシ
第六條
本条約ハ批准セラルベク且其ノ批准書ハ成ルベク速ニ東京ニ於テ交換セラルベシ
本条約ハ批准書ノ交換後五日ニシテ実施セラルベク且其ノ実施日ヨリ五年間引キ続キ効力ヲ有スベシ
本条約ハ右期間ノ満了ノ六月前ニ廃棄ノ通告ヲ為サレザルトキハ暗黙ノ更新ニ依リ無期限ニ延長セラルベク且爾後何時ニテモ廃棄ヲ通告セラレ得ルモ右廃棄ノ通告ノ日ヨリ六月間引続キ効力ヲ有スベシ
右証拠トシテ全権委員ハ本条約ニ署名調印セリ
平成二十七年十二月七日即チ中央暦千六百三十九年十二月八日「オタハイト」ニ於テ日本語、ムー語及第三文明圏共通言語ヲ以テ本書其々二通ヲ作成ス