次官事前稟議
起案:外務省南亜局
クワ・トイネ公国より早期に穀物輸入を開始するためには、クワ・トイネ公国国内の急速な開発が必要不可欠であることは、政府内部においても十分に理解せられる所なりと信ず。また、日本使節団より聴取したる所を総合すれば、クワ・トイネ公国国内の発展もまた彼らの期待するところ大である。すなわち、クワ・トイネ公国の早期の発展は日鍬両国の期待するところ大なれば、港湾・陸地開発に対しては、非常なる手段、尋常ならざる手段、強力なる手段を以て為すべきことは本局の結論なり。
ただし、本条約の締結に当たっては、租借地設定の必要性の説明を十分に説明し、期間満了後は同地が返還されることを強調する必要大なることを特に付言す。
外務省南亜局長 印
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「クワ・トイネ公国」経済文化振興ニ関スル暫定協定(案)
大日本帝国天皇陛下
及
「クワ・トイネ公国」首相閣下ハ
両国間並ニ其ノ臣民及人民間ノ友好通商ノ関係ヲ早期ニ増進セシムルコトヲ欲シ大日本帝國政府ヲシテ「クワ・トイネ公国」ノ経済的文化的発展ヲ強力ニ後援セシムルコトニ合意シタ之ガ為ニ「クワ・トイネ公国」国内ニ於テ大日本帝國ノ助力ヲ最大限ニ発揮セシメムガタメノ特殊地帯ノ創設ニ合意セリ此ノ目的ヲ達成センガタメノ特殊ノ協定ヲ締結スルコトニ決シ之カ為ニ左ノ如ク其ノ全権委員ヲ任命セリ
大日本帝国天皇陛下
外務大臣 従二位勲三等侯爵徳川義輝
「クワ・トイネ公国」首相閣下
全権委員 マキスイ=ハンキ
右各全権委員ハ互ニ其ノ委任状ヲ示シ其ノ良好妥当ナルヲ認メタル後左ノ諸条ヲ協議決定セリ
第一條
大日本帝国ハ「クワ・トイネ公国」ノ経済的文化的発展ノ助力ヲ惜シムコトアルベカラズ「クワ・トイネ公国」ハ大日本帝国ニヨル協力ニ対シテ協力ヲ惜シムコトアルベカラズ
第二條
大日本帝國ハ「クワ・トイネ公国」国内ノ道路整備状況ニ鑑ミ其ノ輸送力増強ノタメ帝國政府ノ責任ニ於テ輸送力強化ノタメノ計画ヲ策定ス
「クワ・トイネ公国」ハ前項ノ計画策定ニ対シテ意見ヲ述ブル機会ヲ得
第三條
大日本帝國及「クワ・トイネ公国」ハ前條ノ目的ヲ達スルタメノ委員会ヲ設置シ計画策定ノ調査研究ヲ行ハシム
委員会ハ「クワ・トイネ公国」ニ置ク
第四條
委員ノ選任ハ大日本帝国「クワ・トイネ公国」双方ノ責任ニ依リテ之ヲ行フ
委員ハ各国ヨリ五名ヲ以テ定員トス
委員長及副委員長ヲ置ク専任ハ互選トス
第五條
委員会ニ幹事一人ヲ置ク
幹事ハ大日本帝国内閣官房高等官ノ中ヨリ内閣総理大臣ノ奏請ニ依リ之ヲ命ス
幹事ハ委員長ノ命ヲ承ケ委員会ノ議事ヲ準備シ庶務ヲ統理ス
第六條
委員会ニ書記三人ヲ置ク
書記ハ大日本帝国内閣官房判任官ノ中依リ委員長之ヲ命ス
書記ハ幹事ノ命ヲ承ケ庶務ニ従事ス
第七條
「クワ・トイネ公国」政府ハ、本条約ニヨル大日本帝国政府ノ経済強化策ヲ「クワ・トイネ公国」国内ニ実施スルニ当リ、大日本帝國ガ其ノ能力ヲ最大限ニ発揮セムガタメ高度ナ自治ヲ必要トスルコトヲ認メ、之ガ為ニ沿岸地域ノ一部ヲ大日本帝国ノ租借地トスルコトヲ認ム
此ノ租借期限ハ別ニ定メル租借地設定ノ日ヨリ10年トス
第八條
租借地ニ於クル行政長官ハ内閣総理大臣ノ奏請ニ依リ天皇之ヲ命ス
行政長官ハ租借地内ノ大日本帝国臣民ノ保護ヲ行フ
第九條
租借地内部ニ於クル刑事事件ニ際シ、大日本帝國臣民及大日本帝國ガ保護セル人民ニ対スル「クワ・トイネ公国」国民タル刑法犯ハ、「クワ・トイネ公国」政府ノ責任ニ於テ処罰スベシ「クワ・トイネ公国」国民及「クワ・トイネ公国」ガ保護セル人民ニ対スル大日本帝國臣民及大日本帝國ガ保護セル人民タル刑法犯ハ、大日本帝国政府ノ責任ニ於テ処罰スベシ
第十條
本条約ニ定ムル租借地ノ範囲ハ、沿岸地帯ノ幅10kmトシ、内陸ニ向ケテ10kmノ区域トス
租借地ノ設定ニ際シテハ現存スル港湾ノ機能ヲ犯サザルヨウ特ニ留意スベシ
大日本帝国ハ、租借地ノ設定ニ当リ「クワ・トイネ公国」ノ軍港ニ接サザルヨウ特ニ留意スベシ
第十一條
大日本帝国政府ハ、租借地ニ繋ガル道路橋梁及鉄道ヲ敷設スル責任ヲ負フ
道路橋梁ハ無償ニテ之ヲ開放ス
鉄道ハ当面ノ間貨物限定ノ運航トス
第十二條
マイハーク港ノ付近ニ租借地ハ置カルベシ
マイハークヨリ内陸穀倉地帯ヘノ道路橋梁及鉄道ハ速ニ起工サルベシ
第十三條
「クワ・トイネ公国」ニ於クル電信電話設備及地上波通信施設ノ建設ハ速ニ検討ヲ開始スベシ
第十四條
本条約ハ批准セラルベク且其ノ批准書ハ成ルベク速ニ「クワ・トイネ」ニ於テ交換セラルベシ
本条約ハ批准書ノ交換後五日ニシテ実施セラルベク且其ノ実施日ヨリ五年間引キ続キ効力ヲ有スベシ
本条約ハ右期間ノ満了ノ六月前ニ廃棄ノ通告ヲ為サレザルトキハ暗黙ノ更新ニ依リ無期限ニ延長セラルベク且爾後何時ニテモ廃棄ヲ通告セラレ得ルモ右廃棄ノ通告ノ日ヨリ六月間引続キ効力ヲ有スベシ
右証拠トシテ全権委員ハ本条約ニ署名調印セリ
平成二十七年二月 日即チ中央暦千六百三十九年二月 日東京ニ於テ日本語及第三文明圏共通言語ヲ以テ本書其々二通ヲ作成ス
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