大日本帝國召喚   作:もなもろ

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黄中将は以前にも出てきました。あの時よりも、パーパルディア人への印象がいいようです。


満洲帝國熱河省山海関県級市 第三師団歩兵第二十三連隊連隊本部 2675(興信27・2015)年12月15日(火)午後10時

満洲帝國熱河省山海関県級市 第三師団歩兵第二十三連隊連隊本部 2675(興信27・2015)年12月15日(火)午後10時

 ― 満洲帝國陸軍中将第三師団長黄信貴

 

 パーパルティア陸軍の軍人たちが私たちの目の前に現れた。いずれも精悍な顔立ちをしていて好印象を与えてくれる。

 

「この度は観戦武官の申し出を受け入れていただきありがとうございました。私はパーパルディア陸軍統帥本部作戦課に籍を置くギルベルト・ゲープハルト・イェルン・フォン・グレッシェルであります。」

 

 合計7名の男たちは、皆若手だ。20代から30代までの年齢の者達だ。パーパルディア陸軍中央の軍令機関である統帥本部から3名。作戦課のグレッシェル男爵、情報課のクルト・ゴットリープ・ツー・ドライヤー騎士爵、兵站課のヘルベルト・マティーアス・フォン・クノール男爵。首都を防衛するエストシラント騎士団員から2名。ハンス・エルンスト・シュミット騎士、アルトゥル・ケヴィン・ヘルメル騎士。軍政局から2名。軍事課のザームエル・クレーメンス・ツー・バクダッシュ・グレルマン男爵。兵器課のアロイジウス・ライムント・ハイネマンは平民とのことだ。武官団の団長はグレッシェル男爵のようだ。

 

「随分いろいろな部署から選ばれておるのですな。」

 

 観戦武官というからには、戦場での軍の動きを視察するのだから、作戦畑の人間か実戦部隊の人間が派遣されるのが通例と言えよう。軍政畑や情報畑の人間が派遣されてくるというのは異例と言えよう。

 

「はい。我が国と貴国は、その背景とでも言いましょうか、社会制度が根本から違います。せっかくお招きいただきましたので、いろいろな部署から人を集めて、いろいろな角度から視察をさせてもらえればとも考えております。」

 

 ほう。これはまた。パーパルディア人にもいろいろなものがいるということか。中央の人間は頭が柔らかいとでもいうべきか。地方の辺境伯家の人間にはいろいろと辟易とさせられたが、中央の人間は違うということなのかな。

 

「なるほど。いや、柔軟な思考をお持ちなのですな。ただ、貴方方は観戦武官ということですので、我が国内を旅行していただくというわけにはいきませぬ。その点はご了承いただけますれば幸いです。」

「勿論でございます。我等武官団は一段となって行動するように、本国からも申し渡しされております。貴国や日本国の案内人の指示には従うように言われておりますのでご安心ください。」

 

 ほう。パーパルディア人は、我が国を侮り、我々から指図されるのを嫌がると思っていたが、そうでない人間もいるということなのだな。

 

「ただ、行く先々でさまざななご質問をさせていただければと思います。我々に取りましては、貴国との国境を越えましてから、この兵舎にくるまで、我々がこれまでに見たことのない身の回りの品々や乗り物などが数多くございました。そのあたりをご教示いただければと思います。」

 

 うむ、そうであろうな。単独行動は予定されてはおらぬが、万一はぐれたときなどを考える必要があるので、携帯電話の支給はすべきであろうな。

 

 ―――――

 ― パーパルディア陸軍統帥本部作戦課 ギルベルト・ゲープハルト・イェルン・フォン・グレッシェル

 

 アルデ統帥本部総長から観戦武官としてトーパへの出張を命じられてから、私は再度日本国と満洲国についていろいろな情報を精査した。書類に書かれた情報を全て信じるとすれば、両国は恐るべき国家だ。ムーのような強国が突如出現した。リーム王国があった地に驚くべき文明国家が現れたのだ。彼らが言う転移してきたという主張には頷かざるを得ない。

 

「我が国の上層部と日本国の上層部は、未だ貴国と国交がないということを重視しています。そこで皆様方には仮ではありますが、我が国の国籍が与えられます。そして、満洲国陸軍軍人として現地に向かっていただきます。」

「その件についても本国から申し渡されております。本国からは、満日両国の政府上層部が我が国と接触するに際して、我が国と国交を結んでも問題ないと思えるような紳士的な振る舞いをすようにときつく言われております。今一度ここで、我々は貴国の軍人として上官の指示に従いうと宣言いたします。」

 

 黄中将がわずかに微笑んだ。つかみはよかったようだ。

 

「これからの予定ですが、まずは軍服を着替えていただきます。グレッシェル男爵閣下は、武官団の団長でございますので少校の階級とし、他の方々は尉官と致します。その後、多少の座学を受けていただきます。」

 

 階級制と言うのはムー国で採用されている軍の制度である。我が国でも採用しようという動きはあるが、貴族の、それも大貴族の方々からの反発が激しい。大貴族が騎士や平民の下に就くこともあるということが予想され、心情的な反発や貴族としての建前が邪魔をするのだ。

 

「その後夜行列車に乗り、山海関から奉天に向かっていただきます。そこからは奉天の空軍基地に向かい、空軍の輸送機にて日本国樺太の陸軍飛行場に向かっていただきます。」

 

 噂に聞いていた飛行機というやつか。実に楽しみだな。

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