大日本帝國召喚   作:もなもろ

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長い間こちら動いていませんでしたが、こちらも動き出します。え?あの記事の後にこれ?いやですね、他意はございませんよ。
福岡の人間でないと西鉄バスのことは分からないでしょう。最近は自家用車しか乗ってませんが。
そして朝課外。福岡以外はないということを聞いてびっくりしたことがあります。


或る家族の日常 (8)

「はー、ダメじゃったのう。」

 

 夕食の時間。食事を食べながら、祖父ちゃんが、溜息をつく。白沢監督の新作映画のエキストラ募集に祖父ちゃんは応募したが、あえなく選に漏れてしまった。食卓を囲むみんなの目線が父さんの方を向くと、父さんは一つ咳払いをして、話し出した。

 

「父さん。抽選に洩れたのは残念でしょうが、それなら見学にでも行ってはいかがですか?」

「見学・・・そうか、見学なら」

 

 祖父ちゃんの顔に明るくなる。だけどまたすぐに落ち込む。

 

「だがのう、わしは白沢監督の新しい映画に出演したかったんじゃ。この映画は物凄いものになる。時代劇のセットでの撮影ではない。本物の街を使っての撮影なんじゃ。そう、この映画は、作り物ではない、ある意味本物なんじゃ。その本物に・・・」

 

 食卓が暗い雰囲気に包まれ、父さんも気まずい表情でご飯を掻きこむ。隣に座っていた姉貴が俺の横腹を肘でつつく。何とかしろというのか。そうはいっても、いったいどうすればいいんだよ。

 その後は祖母ちゃんが祖父ちゃんを一喝した。嘆いたって結果は分からないんだから、見学で満足しなさいとのことだ。祖母ちゃんは強い。祖父ちゃんは一瞬で正気を取り戻した。

 

「うん、そうじゃの。ばあさんのいう通りじゃの。せっかくの機会なんじゃ、楽しまな損じゃな。うん、隆史、そういうことなんで、ちょっと旅行に行ってきてもよいかの。そうじゃ、ばあさんや、せっかくじゃお前も来なさい。たまには海外旅行もええじゃろう。」

「あらー、いいですわね、お義母さん。たまには御旅行楽しんで来たらいいじゃありませんか。でも、フェン国のお土産って何があるのかしらね。」

 

 いつもの好々爺の顔になって、祖父ちゃんが話し出すと祖母ちゃんも連れて旅行に行くという話をしだした。母さんも乗り気だ。ご近所さんに配るお土産の心配もし出した。

 

「はい。はーい。父さん母さん。荷物持ちがいると思うの。だから、あたしと真一がついていきまーす。」

 

 またしても、姉さんが俺を巻き込もうとしている。学校はどうするんだよ。夏んときみたいに公休は使えないぞ。

 

「別に普通に家族都合で休めばよかろーもん。あんた成績そんなに悪くなかろ。一日、二日ぐらい休んでもよかっちゃないと。」

 

 なんてこと言うんだ。そんなこといったら。

 

「えー、姉貴も兄貴も学校ズル休みすっとー。こすかぁ。」

「私もフェン行ったことない。彩姉ちゃんたちだけズルいズルい。」

 

 ほら、弟妹たちがブーイングしてますよ。どうするんですお姉さんと言う目で見たら、平手が飛んできた。

 

「判断が遅い。優柔不断はよくない。お姉ちゃんは悲しい。」

 

 何を言ってくれやがりますのかお姉さん。母さん、暴力ですよ暴力。もちろん、なでるくらいの勢いでしかなく、平手打ちの真似事でしかなかったけど。別に痛くはないけど、俺も悲しい。

 

「なんです、貴方たち。お姉ちゃんたちはおじいちゃんとおばあちゃんのお世話をするためついて行くんです。遊びに行くんじゃありませんよ。」

「そうだぞ、善吉、涼子。見ての通り、おじいちゃんもおばあちゃんも足腰はしっかりしとるけど、荷物を持って歩くのは大変だ。この世界の外国には、西鉄バスもタクシーも通ってないんだ。歩かないといけない。荷物持ちは必要だ。」

 

 あれ。どうしていく流れに。学校は?

 

「真一、すまんが頼むよ。俺は右足が義足だし、仕事があるからな。学校には、家族都合の休暇希望を出しておくから。大丈夫、祖父母への孝行ということになるんだから、修身の点数はこれで優間違いなしだからな。」

「真一、あんたは福岡家の長男なんだからね。彩香と一緒にしっかりおじいちゃんたちの世話を頼むわよ。」

 

 あらら・・・。まあ、一日二日ぐらいの休みじゃ成績には響かないし、まあいいけど。

 

「そういうことで、真一、荷物持ちよろしくね!」

 

 あんたも荷物持ちだよ、姉さん。

 

 ―――――

「ふむ。福岡、お前は変にフェン王国と関わり合いがあるなあ。夏もフェンでの大会に出場してきたばっかりじゃないか。だが、祖父母への孝行というのは素晴らしいことだ。祖父ちゃん祖母ちゃん孝行しっかりしてきなさい。」

 

 翌日、登校直後に教官室に立ち寄り、学級担任に父が認めた休暇願を出したところこういわれた。そして、ちょっと待っとれと言われ、同時にパイプ椅子に座るように促されて、それに従った。

 俺の通う官立福岡高等学校は、福岡県内に2校ある官立高等学校の一つで、もう一校は北九州にある小倉高等学校だ。1学年5クラスあり、1クラスは40名。文科3クラス、理科5クラス。理科の内1クラスは医学部志望のクラスでこいつは別格だ。卒業後はほぼ全て九州帝大の医学部に進む連中だ。それ以外のクラスも東大や京大志望の成績上位の5,6名以外は基本的には九州帝大に進学する。高等学校の定員は大学の定員とほぼ同一になるように設定されているから、上位校を狙わぬ限り、無試験で入学可能だ。普通の成績を取っていれば問題はないのだから、1,2日休んでも問題じゃない。

 

「ほれ、休暇届だ。親父さんの記した休暇願と併せて提出する。保護者の休暇願があるんだから、休暇届は福岡が自分で書いていい。届は学校長に提出する書類でもあるから、ここで書いていきなさい。」

 

 担任教官からの薦めに応じて俺は筆箱からボールペンを取り出し、書類を記載していく。

 

「しかし、フェンとはなあ。知ってるか、福岡。今歴史学会では、フェンと言う国に注目が集まっているんだ。」

 

 担任教官の担任科目は、歴史学。一年と二年の文科の国史を担当している。それはどういうことだと聞いてみた。日本史とフェンとの間にどういうつながりがあるんだろうか。

 

「お前も出場したフェンの軍祭なんだがな。当日の式次第によるとだ、フェン国王家家宝の剣が国母の差配によって軍祭会場に運ばれてくるんだ。ああ、お前は軍祭の開会式にも参加したんだったよな。なら、話が早いか。なんとだ。フェンの国王の母は代々ニイノアルマという名前を名乗るそうだ。そして、フェンの祖先神の名前は武神トキヒート。なんだ、まだピンとこないか。なら、これはどうだ。フェン国王家家宝の剣の銘がクルサナーギというそうだ。」

 

 ん?なんか、どっかで聞いたような気がするような。

 

「お、なんか聞いたことがあるような顔をしているな。そうなんだ。武神トキヒートは、平安末期の帝の安徳天皇の御名であらせられる言仁(ときひと)、国母ニイノアルマはその御母君の二位尼(にいのあま)。そして、クルサナーギという剣は三種の神器の一つ神剣草薙剣(くさなぎのつるぎ)だ。これはどういうことだ、どういう偶然でこんな名前が重なってるんだろうかねって歴史学会では密かな注目なんだよ。」

 

 え?それは、一体。え?偶然が一つだけなら偶然でかたずけられるにしても、三つも重なったら、それは?

 

「おいおい、そんなに驚くなって。からかった先生が悪かったよ。いやな、世の中にはこんな偶然もあるもんだって話だよ。まあ、地球から日本と満洲が移転したんだ。そう考えれば、世の中にはこんな偶然も、こんな不思議もあるんだよって話でしかないよ。歴史学会云々も面白がって話しているだけだ。研究対象になってるって話じゃない。あっと、ええと何々ふむふむ休暇時期は来年の1月16日から1月19日だな。うん、親御さんの書いた願い出の日付と合ってるな。よし、これで先生から教頭に提出しておくからな。ほら朝課外始まるぞ。はやく教室へ行け。」

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