大日本帝國召喚   作:もなもろ

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平和裏に国交樹立を図ろうとするパ皇国と日満両国。二つの国王戴冠式の裏で彼らを出し抜こうとする陰謀が。
次回、大日本帝國召喚。「ギャラルホルンは鳴った。」
新世界の歴史がまた一ページ。


フェン王国西部都市ニシノミヤコ付近の村 中央暦1640年1月16日(土)

フェン王国西部都市ニシノミヤコ付近の村 中央暦1640年1月16日(土)

 

「ちくしょう。またかよ。」

 

 フェン王国ニシノミヤコ付近の村のそのまた郊外に存在するフェン第二電波塔。日本国の帝國電信電話公社と満洲国の満洲電信電話公社が共同で設置運営するこの電波塔はフェン王国西部に滞在する日満両国国民の通信を司る。日満両国はその歴史から様々なものを共同で運用している。民生品においてもそれは同様で、民間の通信規格は同じものを使用していることから電波塔の機材をは両国から持ち寄り、共同運営とすることにしていた。

 フェン王国東部は、首都アマノキ付近に設置したフェン第一電波塔でカバーしている。フェン王国東部は、五島列島に設置されている帝國電電公社熊本逓信局の電波塔でもカバーできるが、西部はカバーできない。但し、五島列島の電波塔であっても、フェン王国が度々見舞われる魔素滞留の通信障害が発生した場合は、通信が拾えなくなるのは変わらない。

 フェン第二電波塔の管理棟では今日もまた通信障害が発生したことに対していらだつ職員がいた。そして、それに対して茶化す職員も。

 

「何をカリカリしているんだよ。こんなのはいつものことじゃないか。」

 

 今先ほど入れたコーヒーを飲みながら、年配の職員は年若の職員をたしなめる。フェン第二電波塔では、通信障害が多発しており、それは年配の職員がいうとおりで大きな問題となることではないのだが。

 

「問題が起きたことじゃあないですよ。報告書を書かないといけないことが嫌なんじゃないですか。」

 

 組織の常として不具合が起きたときは書類を挙げなければならない。フェン第二電波塔は、新世界転移後に設立された企業のなかでこの手の報告書を量産している。日満両国電電公社が設立した電波塔は、日満両国から5名づつ合計10名の事務員や技師が派遣され、現地に常駐しているが、面倒毎が多い職場というのは忌避されがちだ。早くに定員割れを起こして、臨時のアルバイトが雇われ、派遣されている。

 

「いつものことじゃないか。こないだの報告書の日時だけいじってまた、つくっておいてくれ。」

 

 これもまた組織の常であり、新人は雑用を命じられる。

 

「わーかりましたよ。その代わりチェックはちゃんとしてくださいよ。こないだだったか、前の報告書をコピペしたことがばれて、大目玉くらったんですから。」

 

 報告書を使いまわした際に、日付を書き換えるのを忘れて提出した。このために監督部署から叱責を受けたことを言っているのだろう。

 

ピシャアアアアアアア!!!!!ドガーーーン!!

 

「な、なんだ!」

「外の方です。」

 

 職員たちが外に出ると、駐車場のほうから火の手が上がっていた。

 

「く、車が・・・。」

「燃えている・・・。」

「一体、どういうことだ・・・。」

 

 電波塔事務所の公用車が炎上していた。ガソリンに引火したのだろう、黒い煙が立ちあがり、暗雲を更に黒く染めていた。

 

「雷か?」

「そんなばかな。こんなピンポイントで。」

 

ピシャアアアアアアア!!!!!ドガーーーン!!

 

「な、なんだ!」

「そんな馬鹿な!!どうして。」

 

 電波塔に雷が落ちた。

 

「なんでだ!!なんで!!避雷針が設置されているのに、なぜ施設に雷が落ちるのだ。」

 

 雷は電波塔施設に落下した。施設は木造であったため、炎上を始めた。

 

「なんだなんだ。」

「お、おい。早く消火器を。」

 

 電波塔施設に併設されている職員宿舎からも人が出てきた。しかし、そうこうしている間にもう一度雷が落ちた。

 

「また車に落ちたぞ。」

「どういうことだ。なんでこうも雷が落ちるんだよ。」

「もうだめだ。逃げよう。」

 

 職員たちはまだ、燃えていない車を探そうとした。その瞬間にもう一度雷が落ちる。

 

「森に火が!!」

「駄目だ。走ってふもとまで逃げよう。全員退避だ。急げ。」

 

 フェン第二電波塔の周辺の杜が燃え出した。彼らは逃げ切ることができるのだろうか。

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