大日本帝國召喚   作:もなもろ

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拙作のレミールは切れ者です。ですが、覇気がありすぎるという点が難点。足をすくわれそうです。


パーパルディア皇国皇都エストシラント 第一外務局 中央暦1640年1月16日(土)

パーパルディア皇国皇都エストシラント 第一外務局 中央暦1640年1月16日(土)

 ― パーパルディア皇国外務監察官 レミリア・ブラウンシュバイク・フォン・レミール侯爵夫人

 

「それでは、こんな感じでよろしいでしょうか、侯爵夫人。授与式での対応は凡そこのような段取りで進行いたします。」

「ああ、分かった。助かったぞ、タール部長。父上には此度の其方の働きを伝えておく。タール子爵はなかなかの御仁であったとな。」

「ありがたき幸せに御座います。当家はこれ以後もブラウンシュバイク公爵家に忠実にお仕えさせていただきます。」

「うむ。下がってよいぞ。」

 

 皇国の貴族であるにもかかわらず、皇帝陛下に忠実ではなく、父上に忠実にとは・・・。全く、分かりやすいが、度し難い奴だ。

 日満両国特使に対する歓迎式典を明日に、見舞金下賜式典を明後日に控えて、ようやく式次第が固まった。

 式典の準備は、外1のエルトとハンス、外3のカイオスを中心に進められてきたが、指揮する者だけしても物事は動かぬ。計画は立てても式典会場を装飾したり、物品の準備を行う実働部隊がいなければ物事は進まない。日本国及び満洲国については、現時点においても、未だに外3の管轄と来ている。外3の事案に外1の職員を動員することはできないため、式典準備に支障をきたしていた。

 おまけにカイオスがアルタラス国王の戴冠式に出席することとなり、カイオスはそちらのほうに注力せざるを得なくなった。エルトとハンス、カイオスの家の使用人たちを実働部隊として式典の準備を進めてきたが、カイオスの家の使用人たちは、カイオスの渡航準備に専念せざるを得なくなり手を貸すことができなくなった。

 

「それにしても、外3の連中が、ここまで協力的になるとは驚きました。一体何があったんでしょうか。」

「今年に入ってからであったな。カイオスがアルタラス王の戴冠式に出席すると分かってから、何とはなくに協力的になりおった。しかも連中、いろいろと調査しておったようではあるな。見舞金下賜式典における演出はよく考えられておる。ギリギリの線を攻めておるな。」

 

 歓迎式典は、在エストシラントの各国大使を招いての式典であるから、特に演出など必要ではない。皇帝陛下と私は式典の冒頭だけ出席して、皇帝陛下が乾杯の音頭をとった後に直ぐに退出する。

 問題は見舞金下賜式典じゃ。外3の連中が、日本と満洲の習俗を調査して、日本の時代劇の演出を採用するように勧めてきた。彼らの説明によると、日本の高貴な身分の者が下位の身分の者に謁見するときの作法として、上位の者は下位の者に対して直接に言葉を投げかけないというのだ。上位の者に近侍する者が上位の者の言葉を伝えるという方式をとるというのだ。下賜式典では、私が最上位の者となり、皇后予定ということであるから皇族に属するともいえ、日本の外交特使よりも上位身分となる。身分制度の違いを国と国との上下の格の違いに誤認されることができれば、マウントがとれるというのだ。

 悪くない。日満両国が国と国の関係は平等のものと提唱しているが、上下関係というものは現実に存在している。それをあくまでも誤認させるという程度だ。初手としては悪くない。

 

「やはり、腐っても皇国の中央機関の所属する者達なのでしょうね。いろいろと調べているようですよ。つい先日も日本の防諜に関する法令について尋ねてきました。」

「何?防諜に関する法令だと?ハンス、それはどういうことだ?」

 

 どういうことだ。日本の国力や軍事力、民生品の質に関する資料ではなく、法令を調べているだと?

 

「え?さて、なんでも第三外務局の監察軍のほうで調べているので、外1に何か資料がないかと聞いてきたので、こちらで把握している法令集の既定を渡しましたが。」

「わらわは何も聞いていないぞ。」

 

 私は、ずいっと身を乗り出し、ハンスを問い詰めるような口調になった。ハンスは狼狽して、答える。

 

「え?ただの部署間の資料の提供に過ぎなかったので、特に疑問なく渡しましたが・・・何かまずかったでしょうか?」

「いや、わらわも特に・・・だが、何か気になる・・・。」

 

 そう、外1が所蔵する資料を外3に渡しただけ。特に問題がある行為ではない。だが、何か気になる・・・。

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