大日本帝國召喚   作:もなもろ

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正常性バイアスとでもいいましょうか。過去に同じようなことが起きたので、大げさに捉えないというのはあると思います。


1月16日(土)の帝國電信電話公社の動き

1月16日(土)の帝國電信電話公社の動き

 

―――――

フェン王国首都アマノキ 新世界電気通信公共事業体フェン第一電波塔

 

 フェン王国国内には日満両国の設置運営する電波塔が2か所存在するが、これらの役割は分かれている。第二電波塔の役割は既に記したが、元々は、フェンの地にはフェン第一電波塔のみが存在した。フェン第一電波塔の役割はフェン国内における無線通信の送受信であり、そして帝國電信電話公社熊本支社五島無線中継所との間に電波を送受信することである。突貫工事ではあるが、これまでフェン王国には存在しなかった50メートルの高さの建造物が出現した。

 第一電波塔は日本の帝國電信電話公社が主体となって建設した。五島列島の無線中継所との接続が基本業務となっていたからである。但し、電波塔の管理事務所の建築と運営は日満合同で行っている。また、第二電波塔と違い、職員は全て本社からの出向者で賄われている。

 

「また、西部で通信障害が?」

 

 電波塔事務所の当直上席者が部下に問い掛けると、部下が答える。

 

「ええ、今月3回目ですね。8日、13日、そして今日。最近多いですね。」

「それで、通信障害発生前に最後の連絡はあったか?」

 

 魔素濃度過剰上昇による通信障害が発生する場合、通信障害は徐々に悪化する。このため、予兆があった時点で、第二電波塔から第一電波塔へと警報を送ることになっている。

 

「それが、今回は警報が送信されてきませんでした。」

「ったく、またかあそこの連中は。先月も1回あったな。」

 

 魔素濃度の過剰上昇の速度によっては、急速に通信状態が悪化する為警報が間に合わない可能性もないわけではない。しかし、先月の警報送信不達は、勤務交代時間帯に状態が悪化したためによるものであり、人為的な遅れが招いたものであった。勿論、このような通信布達を防ぐために勤務時間をずらして交代は行われる。すなわち、9時から17時までの日勤勤務者と17時から翌日9時までの当直勤務者というような勤務時間を設定せずに8時から16時までの勤務者や、10時から18時までの勤務者を置くなどして、勤務時間帯に空白をつくらないようにしている。この時の事故調査では、10時から18時までの勤務者を置かなかったがために、17時ちょうどに発生した魔素濃度の急上昇に対応できなかったがためである。警報不発の責任を問って当時のフェン第二電波塔管理事務所長は減給1か月の処分を受けた。

 

「仕方ない。いつも通り、五島中継所経由で熊本支社に連絡を入れてくれ。通信障害が確認されたことと警報を発令されたいと。」

「了解しました。」

 

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大日本帝國熊本県熊本市 帝國電信電話公社熊本支社

 

 帝國電信電話公社の前身は逓信省通信局である。逓信省の地方支分部局である逓信局は設置市区町村の名称を冠称する。すなわち、九州地方を担当する支分部局は九州逓信局ではなく、地方逓信局が設置されていた熊本市にちなみ熊本逓信局として置かれていた。電話通信業務が公社化され、帝國電信電話公社が設立されると逓信局も電話通信業務関する部署が独立して公社の支社となったが、その際の冠称は逓信省のそれに倣った。それゆえに九州地方を担当する帝國電信電話公社の支社は九州支社ではなく、熊本支社である。

 新世界転移後に熊本支社の業務に新たに追加されたことが、フェン及びガハラ両国への無線通信の取扱いである。

 

「報告します。フェン第一電波塔より通信障害についての報告です。フェン西部地域に通信障害発生。警報発令されたし、とのことです。」

 

 支社の当直員が電話で危機管理担当者に連絡を取ったところ、担当者は即座に指示を出した。

 

「報告ありがとう。私も本社の危機管理担当者に連絡を取るので、君は災害対策マニュアルに沿って、警報発令を本社に向け要請してくれ。併せて帝國放送協会にも同様に障害発生を通達してくれ。」

「了解しました。」

 

 支社社員は、災害対策マニュアルに沿って対応を行った。フェン第一電波塔から熊本支社に連絡が入ってから10分程度の時間であった。

 

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大日本帝國東京都 帝國電信電話公社本社

 

ピロリロリロ、ピロリロリロ。

 

 テレビからニュース速報の音声が流れてきた。

 

『本日13時頃よりフェン王国西部地域一帯に通信障害が発生。通信回復の見込みは現在不詳。』

 

 テレビ画面上部にテロップが表示された。フェン第一電波塔が通信障害を認識してから30分にも満たぬスピードであった。これまでに何度も行われてきた警報であり、電電公社側も帝國放送協会もそして放送協会から情報提供が行われた民法各局にとっては手慣れたことであった。

 

「内閣への事故報告はいかがしましょうか。」

 

 再び起こった第二電話塔からの警報送信不達に際して、危機管理担当者は、危機管理担当の理事に報告をいつ行うのか相談を行っていた。

 

「頭の痛いことだ。つい先日事故調査報告を内閣官房と逓信省に提出したばかりだというのに。再発防止策が何の役に立っていないとはな。」

 

 電電公社は、予算や事業計画策定など重要事項を決定する経営委員会、経営委員会の同意を経て内閣が任命する総裁と副総裁、そして総裁が任命する理事が経営幹部である。この理事は各部署の幹部が宛がわれている。

 

「どうせ、今日は土曜日だ。事故調査報告は月曜日でよかろう。」

「しかし、内閣官房と逓信省に一報だけでもいれておきませんと。」

「そうだな・・・。いや、総裁に連絡して内々に報告をいれてもらおう。総裁は逓信省出身だから今でもつながりがあるだろうからな。内閣官房の方は逓信省からさせればよかろう。内閣官房には各省から出向している者がいるからな。」

「わかりました。では、宜しくお願い致します。」

 

 こうして通信障害が発生した原因について、早急な調査が行われることなく、フェン西部地域の情報が何も得られない状態が続くこととなる。

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